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学園編
予想外の展開?
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「調合の場所が整うのは早くて明日の夕方以降になるはずなので、それまでは頼んだ仕事をしていてくれ」
宰相のその言葉で私は退出した。
仕事のために用意された、一時的な私の仕事部屋に帰ると、リークスと王子だけが残っていた。
「あれ、アンジュは?」
「あ、帰ってきた。忠犬くんなら、何か気になることがあるって言ってどこかに行ったよ」
なぜか王子は他国の、それも王宮の片隅の部屋の備え付けのソファに、我が物顔で座っている。
なんでかな?意味が分からな過ぎて頭が混乱してきたんだけど。
「えっと、なんで王子はここにまだいるんですか?」
「ここ以外にいたらそれこそ大騒ぎになると思うけど?」
私の質問に答える代わりに、あんたが言うなな言葉が返ってきた。
「じゃあ来た時と同じように帰ってくださいよ」
「えー、君と僕の仲だしもう少しゆっくりしてたいなあ」
「んー、王子ーそろそろお嬢がかわいそうだから今日は帰ったほうがいいんじゃないですかー?」
「おやおや、思わぬところから援護射撃がきたね。まあ、確かにまだ仕事もあるようだし、今日はこれでお暇しようかな。可愛いリアも見れたし」
リークスの言葉で王子は帰ることを決めてくれた。
ちらっと部屋にあった未決裁の書類の山を見てもいたので、それも理由の一つだろう。
「あの、王子、帰る前に聞いておかないとかと思ったのですが、聞いてもよろしいですか?」
私はずっと気になっていたことを王子に問うことにした。
多分はぐらかされるとは思っても聞かずには済ますことができなかったので。
「うん?可愛いリアの頼みだから、一つだけ君の疑問に答えてあげよう。何が聞きたいの?」
王子は出ていこうとした足を止めてこちらに戻り、私の予想に反して教えてくれるようだ。
「えっと、いろいろ気にはなりますけど、この国に来た理由が知りたいです」
「うーん、そうだねぇ。別に教えてもいいんだけど、今教えなくても後で知ることになるのに」
とても意味深な言葉を返され、聞くこと間違えた不安しか感じない。
「あの、それはどういうことでしょうか」
「ふふ、だめだよ、リア、答えてあげる疑問は一つだけ。だからさっきの疑問にしか答えてあげない」
私の言葉に被せるようにそう言って、
「実はね、僕、ここの学園の教師になるんだ」
・・・・・は?
意味がわからない、なんで他国の王子が他国の学園の教師に?
それにゲームにこの人出てないはずだけど・・・
「すみません、何を言っているのか理解できないんですけど・・・」
「えー、リアはもしかして知らなかった?」
「だぁからまっっったくわからないんですが!」
つい大声で、しかも相手が他国の王族であるのも忘れるくらいの言葉使いをしてしまった。
「はっ、す、すみません!王子」
「ははっ、別に良いよ。僕とリアの仲だしね。そっか、流石のリアも知らなかったんだね」
「えっと、何の話なんでしょうか」
「ああ、ごめんごめん、僕が教師としてこの国に来たのはね、星獣について教えにきたんだよ。スターズの学園に王族が入学する年にヒオウギから星獣のことを教える王族が来ることになっているんだよ。まあ、ここ数百年は建前だけになっててやってなかったんだけど、僕が復活させたんだ。スターズ国としては我が国の介入を煙たがってるから嫌がったけど、ちょこっと頑張っちゃったんだ」
星獣・・・
スターズ国と違い、ヒオウギ国は星の力を宿した獣に守護される国なのは学習院で知ってはいたけど、ゲームではそういった話は出てなかった。
もしかしてこれって、ゲームから離れた展開になったの?
んん?でも待てよ、ゲームから離れるのは私としても良いことじゃない?
他国という第三者が介入されれば流石にハーレムルートとかはほぼ無くなるんじゃない?
王族がハーレム要員とか客観的に見たら、いやおかしいだろってなるよね?
乙女ゲーム転生もの小説の典型的なのは、神様的存在が介在して意思に関係なくヒロインの望むようになるとかあるけど、そういうのって大抵ゲームの登場人物にしか作用しないのが多いし、大丈夫だと思いたいな。
「おーい、リーアー」
はっ
思考に耽り過ぎて王子のこと忘れてた。
「なんでしょうか、王子」
「うんいや、まだリアと一緒にいたいけど、そろそろ僕はお暇するよ。多分少ししたら人が来るっぽいしね」
無言になった私に特に聞くこともせず、王子は退出するらしい。
まあ、何考えていたか聞かれるのも困るので、良いのだけど。
「そうですか、おもてなしもできず申し訳ございませんが、ドアはあちらです」
「ふふ、僕もドアから出たいけど、今はお忍びだからね、天井からこっそり出るよ。そういうことだからリア、また学園で会おうね」
「え、学園では関わらないで・・・」
別れの言葉もそこそこに、王子は宣言通り天井の板を外して出て行った。
私の言葉は宙に消え、反射的に留めようとした手は頭上に放置される。
一連の流れを黙って聞いていたリークスはというと、何故か床に這いつくばっているが、私はさっきの王子の言葉の意味を考えるのに忙しく、理由を聞くことはできなかった。
やばくない?他国の王子と知り合いなんて、目立たない方がおかしい。
あの王子、学習院在学中もちょくちょく構ってきたし、同じような対応されたらなんで王子と知り合いなのってなって、めんどくさい連中が出てきそう。ヒオウギでは留学生ってのもあって遠巻きにされてただけど、ただの伯爵家の娘ってなると何するかわかんないし。
いや、うち新興貴族だし、古参貴族からのやっかみとかでもっとやばいことになるかも。
そうなると私の目的の邪魔になったりするかもだけど、どうしよう。
うんうん悩んでいると、ドアがノックされる。
「リア嬢、調薬の場が整ったので知らせに来た、いるかね?」
ノックの主は大臣だった。
宰相のその言葉で私は退出した。
仕事のために用意された、一時的な私の仕事部屋に帰ると、リークスと王子だけが残っていた。
「あれ、アンジュは?」
「あ、帰ってきた。忠犬くんなら、何か気になることがあるって言ってどこかに行ったよ」
なぜか王子は他国の、それも王宮の片隅の部屋の備え付けのソファに、我が物顔で座っている。
なんでかな?意味が分からな過ぎて頭が混乱してきたんだけど。
「えっと、なんで王子はここにまだいるんですか?」
「ここ以外にいたらそれこそ大騒ぎになると思うけど?」
私の質問に答える代わりに、あんたが言うなな言葉が返ってきた。
「じゃあ来た時と同じように帰ってくださいよ」
「えー、君と僕の仲だしもう少しゆっくりしてたいなあ」
「んー、王子ーそろそろお嬢がかわいそうだから今日は帰ったほうがいいんじゃないですかー?」
「おやおや、思わぬところから援護射撃がきたね。まあ、確かにまだ仕事もあるようだし、今日はこれでお暇しようかな。可愛いリアも見れたし」
リークスの言葉で王子は帰ることを決めてくれた。
ちらっと部屋にあった未決裁の書類の山を見てもいたので、それも理由の一つだろう。
「あの、王子、帰る前に聞いておかないとかと思ったのですが、聞いてもよろしいですか?」
私はずっと気になっていたことを王子に問うことにした。
多分はぐらかされるとは思っても聞かずには済ますことができなかったので。
「うん?可愛いリアの頼みだから、一つだけ君の疑問に答えてあげよう。何が聞きたいの?」
王子は出ていこうとした足を止めてこちらに戻り、私の予想に反して教えてくれるようだ。
「えっと、いろいろ気にはなりますけど、この国に来た理由が知りたいです」
「うーん、そうだねぇ。別に教えてもいいんだけど、今教えなくても後で知ることになるのに」
とても意味深な言葉を返され、聞くこと間違えた不安しか感じない。
「あの、それはどういうことでしょうか」
「ふふ、だめだよ、リア、答えてあげる疑問は一つだけ。だからさっきの疑問にしか答えてあげない」
私の言葉に被せるようにそう言って、
「実はね、僕、ここの学園の教師になるんだ」
・・・・・は?
意味がわからない、なんで他国の王子が他国の学園の教師に?
それにゲームにこの人出てないはずだけど・・・
「すみません、何を言っているのか理解できないんですけど・・・」
「えー、リアはもしかして知らなかった?」
「だぁからまっっったくわからないんですが!」
つい大声で、しかも相手が他国の王族であるのも忘れるくらいの言葉使いをしてしまった。
「はっ、す、すみません!王子」
「ははっ、別に良いよ。僕とリアの仲だしね。そっか、流石のリアも知らなかったんだね」
「えっと、何の話なんでしょうか」
「ああ、ごめんごめん、僕が教師としてこの国に来たのはね、星獣について教えにきたんだよ。スターズの学園に王族が入学する年にヒオウギから星獣のことを教える王族が来ることになっているんだよ。まあ、ここ数百年は建前だけになっててやってなかったんだけど、僕が復活させたんだ。スターズ国としては我が国の介入を煙たがってるから嫌がったけど、ちょこっと頑張っちゃったんだ」
星獣・・・
スターズ国と違い、ヒオウギ国は星の力を宿した獣に守護される国なのは学習院で知ってはいたけど、ゲームではそういった話は出てなかった。
もしかしてこれって、ゲームから離れた展開になったの?
んん?でも待てよ、ゲームから離れるのは私としても良いことじゃない?
他国という第三者が介入されれば流石にハーレムルートとかはほぼ無くなるんじゃない?
王族がハーレム要員とか客観的に見たら、いやおかしいだろってなるよね?
乙女ゲーム転生もの小説の典型的なのは、神様的存在が介在して意思に関係なくヒロインの望むようになるとかあるけど、そういうのって大抵ゲームの登場人物にしか作用しないのが多いし、大丈夫だと思いたいな。
「おーい、リーアー」
はっ
思考に耽り過ぎて王子のこと忘れてた。
「なんでしょうか、王子」
「うんいや、まだリアと一緒にいたいけど、そろそろ僕はお暇するよ。多分少ししたら人が来るっぽいしね」
無言になった私に特に聞くこともせず、王子は退出するらしい。
まあ、何考えていたか聞かれるのも困るので、良いのだけど。
「そうですか、おもてなしもできず申し訳ございませんが、ドアはあちらです」
「ふふ、僕もドアから出たいけど、今はお忍びだからね、天井からこっそり出るよ。そういうことだからリア、また学園で会おうね」
「え、学園では関わらないで・・・」
別れの言葉もそこそこに、王子は宣言通り天井の板を外して出て行った。
私の言葉は宙に消え、反射的に留めようとした手は頭上に放置される。
一連の流れを黙って聞いていたリークスはというと、何故か床に這いつくばっているが、私はさっきの王子の言葉の意味を考えるのに忙しく、理由を聞くことはできなかった。
やばくない?他国の王子と知り合いなんて、目立たない方がおかしい。
あの王子、学習院在学中もちょくちょく構ってきたし、同じような対応されたらなんで王子と知り合いなのってなって、めんどくさい連中が出てきそう。ヒオウギでは留学生ってのもあって遠巻きにされてただけど、ただの伯爵家の娘ってなると何するかわかんないし。
いや、うち新興貴族だし、古参貴族からのやっかみとかでもっとやばいことになるかも。
そうなると私の目的の邪魔になったりするかもだけど、どうしよう。
うんうん悩んでいると、ドアがノックされる。
「リア嬢、調薬の場が整ったので知らせに来た、いるかね?」
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