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学園編

死亡フラグからの天国きましたー!

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「あら、わたくしとしたことが、話が逸れてしまったわね。貴女をお呼びしたのはわたくしのお友達になっていただきたかったのよ。デネブに上がったばかりでまだ右も左もわからないでしょうし、わたくしとしても、貴女とはお友達になりたかったのでいい機会かと思いましたの」
え?えええええ?
あのああのカレン様が私とお友達になりたい?
これって願望が見せた夢?
それとも私の耳が壊れて願望が勝手に翻訳したの?
「モルトさん?聞こえていらっしゃるのかしら、カレンさんが貴女とお友達になりたいと申しているのよ、光栄なことなんだから断る理由なんて無いでしょう」
衝撃に固まってる私を現実に戻すように、取り巻きの一人がカレン様が言ったことを再度言い、先ほどまさに望外の喜びしかないカレン様のお友達発言が私の願望が見せた幻想でもなければ耳が壊れたわけでもないということがわかった。
「ああ、あの!私の方からも、ぜひ宜しくお願いします!」
何も考えず頭を下げてこっちからもお願いした。
流石にこんなにすぐに友達ポジションをゲットできるとは思わなかったけど、これは絶対逃してはならない事案だ。
カレン様の考えはまだよくわからないけど、とりあえず普通に話し合える関係になれればカレン様の断罪を阻止するために動けるし、誰がカレン様を陥れるか観察もできる、その上、こんな間近で推しを眺めれるなんて、一石二鳥にも三鳥にもなる。
何としても友達ポジを獲得しなければ。
「あら、そう?それはよかったわ、わたくしのことは気軽にカレンと呼んでちょうだい」
「そ、そ、そんな恐れ多い!」
「良いのよ、その代わりにわたくしも貴女のことをリアさんと呼ばせてもらうわ。お友達になるのだからこのくらいは当たり前のことですわ」
「っ、で、ではカレン様と呼ばせてもらいます。私のことはどうぞ、リアと呼び捨てでお呼びください」
あのカレン様の口から私の名前が!!
あああ、もう感激過ぎて一瞬言葉に詰まっちゃった。
もう、これで我が一生に悔いはないとか思えそうだけど、私にはカレン様を救う使命が残ってるんだ。
カレン様が可愛すぎるからといっても尊死は我慢しなきゃ。
「そうね、今はそれでもいいわ。これでわたくしとリアはお友達よ。これから宜しくお願いするわね」
「はい!」
こうして私は、良い意味で思わぬハプニングにより、無事に推しのお友達ポジションを手に入れることに成功したのだった。

リアとの会話が終わって、取り巻きの令嬢と共にその場を後にしたカレン達。
「それにしても、よろしかったんですか?あのような貴族の恥さらしである新興貴族の筆頭の娘と友達になどなって」
「貴女、口を慎みなさい、新興貴族を貴族と認めないのは陛下への反逆意思ととられかねないわ。それに、気になることがあるから良いのよ」
「気になること、ですか?」
「ええ、貴女達には関係のないことよ。それに、モルトさんはテストの成績通り、本当に頭が良さそうだし、何かの役に立つかもしれないわ」
「そうですね、カレンさんが良いのであればそれが正しいのでしょう」
「確かにそうかもしれませんわ。新興貴族など、我ら古参貴族の偽物、我ら古参貴族のために働くのが下々のものの努めですわ。それで死のうが生きようが我らには与り知らぬこと。むしろ我らの役に立つことこそが義務ですわ」
「しかし、私思ったのだけれど、今回のテスト、範囲が広すぎではなくて?」
「私も思ったわ、全く習った覚えのない問題があったように思えたのよ」
「ああ、確かそれはベガクラスの担任が、三年で習う範囲を入れて、予習力を試すという試みであったとわたくしは担任のイティス先生から伺ったわ」
「まあ、そうでしたの?でも確かベガクラスの担任って、没落寸前の男爵家のものでなくて?」
「そうよ、私達とは違う、負け犬の一族、きっと妬みで嫌がらせのつもりでやっとのでしょうね、もっともらしい口実まで使って、卑しいことだわ」
カレンは無言で取り巻きの令嬢達が話すのを眺めていた。
その瞳には、彼女達を侮蔑するような色が見え隠れしていたが、この場にいるものは誰一人気づく様子は無かった。
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