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崩壊寸前の大国偏

魔族とお姫様の商売

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男が出したものは、火もないのに光る石だった。
娘は、男が出したものを指しながら、
「これの用途は?」
と簡潔に聞き、男は、
「見ての通り、光る石、名前は、光石って言って、特殊加工した地下の石さ」
と答えた。
「ふむなるほどこれは、夜に活用できるな。ほかにも・」
と娘はこの品物の活用方法をいろいろ考えている。
たしかにこれは夜に火の変わりに使えるな。
火は、とにかく目立ってしまうきらいがある。
しかしこの石は、火のように煙が出ないから目立たないし、火のように、危険でない所もいい。
しかしこの石はどうやってできるのだろう?
私が思案している間にも、ほかの商談をしていた。
「では次に、宝石類だな、適当に持ってきたが、どういうのがこっちで珍しいのだ?」
「まあ品物次第だなそれに関しては、だから商品を見せてくれ。」
「ほいほい、まあこういったもんだが」
と言って男は、私たちが座る椅子の前にあるテーブルに、袋に入ったものをぶちまけた。
男がぶちまけたものは、色とりどりの宝石たちだった。
その宝石たちは、どれもこれもがこぶし大の大きさをしていた。
これ一つで一生遊んで暮らせるぐらいの、価値があるだろう。
そんなものを男、は無造作にテーブルにぶちまけた。
私が、心の中で驚きに慄いていると、娘が、
「こらこら、広いテーブルだからと言って、そんなに広げるなよ」
と違う方向性で男を叱った。
私は、心の中で、そこじゃないだろうと突っ込んだ。
娘は男の行動にあきれながらも、テーブルにぶちまけられた宝石を、物色し始めた。
私も改めて、宝石たちを見てみた。
そうするとますます驚いた。
宝石の中には、ダイヤモンドやサファイア、エメラルド、ルビーと言った、
どれもが国宝にしても差し支えのない宝石があった。
私はいよいよ卒倒しそうだ。
娘はそれらの宝石を手にしながら、「これは買取、これはいい」といった買取するものを選んでいた。
娘はそれほど驚いていない。
なぜだ、娘はあまり装飾品を好まなかった。
しかしそれは、私が娘に買い与えなかったからだ。
娘は6人目の子供なのであまりかまわなかった。
だから与える領地も、適当に選んだんだ。
しかし娘は、宝石自体に、魅力を感じていないように見受けられる。
女とは、キラキラしたものが好きなのだと思っていた。
しかし娘は、その限りではないようだ。
ますます私は、切なくなるな、きれいになりたい欲求が見当たらない。女の子なのに。
自業自得なのかもしれんな。
私も娘にかまわなかったから、このように育ってしまった。
私が悲しくなっていると娘は仕分けを終えたようで、
「こちらの宝石は買い取らせてもらうが、こっちの石は今回は見送りだ」
と言って、仕分けた宝石を男に示した。
男は人の悪い笑顔を浮かべながら、
「了ー解、じゃあこっちの買わない宝石はどうしとく?」
と娘が見送りと言った、宝石類を示して聞いてきた。
「そちらは今は、買わないができればとって置いてくれ、また次の機会に買う、そのときはもっと大量に仕入れてくれる助かる」
と男に答え、次回の要求そえた。
「うーむなるほどな、お姫さんは、なんか考えがありそうだが、こっちも、親切で商売をやっているわけじゃない、いくらお姫様の頼みでも、無償では、引き受けるのはできないな」
と男はにやにやしながら娘に言った。
娘は、男がにやにやしたのと同時に何かたくらんでます、と言う顔をしながら、
「まあ確かにそうだな、お前の言うとおりだ、商人ならばここは有償だろうと予想していた。
だから、対価は支払うよ、そちらの要求も一応参考で聞こう?」
とにっこり笑顔の上から目線で答えた。
男も娘に負けないくらいの、笑顔で、
「それでは遠慮なく、君を貰い受けたいな」
と答えた。
私は、「はあ?」と間抜けな声を出してしまった。
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