僕の伴侶は最古の竜

ライ

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学園偏

僕だけの制服

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入学式も終わり、僕はガルサーが言っていた、制服の仕立てに向かった。
制服を仕立てるために、仕立て人のもとに行った。
仕立て屋の男は、小太りのおじさんだった。
「こんな小さいサイズの注文に驚いたが、このちっこい奴よう、だったのか」
と僕を見て最初に放った言葉がこれだった。
もう怒るのも疲れるくらいになった。
僕は遠いところを見るような目になった。
僕の反応を、置いてガルサーは仕立て屋に、
「早速こいつの制服を仕立ててくれ」
と言い、仕立て屋の男は、快く引き受けた。
「了解しました、もとよりこんなに小さな、竜騎の仕立てができるなんて、こちらも光栄だな」
とがはがは笑いながら言った。
僕は小さいとの言葉に眉間にしわを寄せながらも、
「よろしくお願いします」
と頼んだ。
男は僕の頼みに笑顔のままで、
「おう、誰にも負けない立派な制服を仕立ててやるよ、これでも俺は王都一の仕立て屋の看板を背負ってるんでな、名を落とさないためにも、がんばらせてもらうぜ」
と軽くウィンクをしながら請け負った。
正直言って、大男がウィンクしても、かっこよくはない。
だが男の態度には好感が持てる。
自分のためと言葉にするのならば、間違っても恥ずかしいものはできないだろう。
僕は再度、男に向き直り、
「僕を誰にも負けないくらいかっこよく仕立ててください。
僕の美しい竜の前にいても気後れしないように」
と改めて真剣に頼んだ。
僕の真剣な顔に、男も真剣な顔で、
「ああ、俺の名にかけて」
と答えてくれた。
僕は笑顔になって、
「ありがとうございます」
と頭を下げた。
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