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番外編2
サシャとアーヴィンについて
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前前シリーズ、『薄幸文官志望は嘘をつく』に出てくる人物についてです。分からない方は飛ばしても何ら問題ない番外編です。読みたい人物達だけ読んでくださると嬉しいです。ここまでシリーズを通して読んでくださった方へのお礼のつもりです。
サシャ=ジルヴァール
伯爵家長男。紫の瞳に銀の髪を持つ。サラサラ艶やかで小さい頃は天使のようだったし、大人になってからは女神やら月の精やら言われている。
意外と図太い性格で、頑固な一面もあったりする。好きになったら一直線な所も。
アーヴィン=イブリック
侯爵家。兄弟姉妹たくさん居る。騎士団長の息子であるが、アーヴィン自体は騎士団長にあまり興味はない。父も母もおおらかな性格をしている。
手に入れたいものがあれば平気で嘘をつくし全力を尽くす。欲望に忠実。元々ゲイだったので男性と何人か付き合ったが飽きっぽい所があって直ぐに別れてしまっていた。
ちなみにサシャとアーヴィンの2人が揃うと顔面偏差値高すぎてみんな遠巻きになる。
□■□
「サシャってアーヴィンと何して過ごしてるの?」
事務処理中に声をかけてきたのは上司であるコリンだった。サシャはピタリとペンの動きを止めて斜め向かいの書類の山越しに見えるピンクの髪色の上司を見た。上司の手は頬杖をついた体勢で、いかにも仕事をサボってます的な状態だ。
こういう時のコリンは質問に答えるまで厄介で、仕事をしてくれない。サシャは小さくため息をついてコリンの疑問に答えることにした。
「何って…別に普通です」
「普通が思い浮かばないから言ってるんじゃん。なんか想像つかないなーって」
コリンは「教えてくれてもイイじゃん!」とぶーぶー文句を垂れる。年上の割りにあまり歳を感じさせない様子がまた似合う。
「じゃあさ、こないだの休みの日は何したの?」
「……前の休みは…確か」
コリンに聞かれ、サシャは天を仰いで記憶を探ることになった。
「ただいまぁ……」
ぐったりと疲れを見せた顔で玄関を開ける。明日がようやく訪れる休日と分かると余計に疲労が身体を襲っていたが、ふわりと鼻腔をくすぐるいい香りがする。サシャの好きなシチューの香りだ。暗くどんよりとしていたはずの表情に光が差し込み、パァ、と百合の花が咲き誇るようにご機嫌になった。
「おかえり、サシャ。先に帰って悪かったな」
「ううん……! ご飯作ってくれたの?ありがとう…っ」
「っ、と。こら。危ないって」
サシャがガバリと夫であるアーヴィンに飛びつくと、アーヴィンは危なげなくサシャを抱きとめてくれる。怒っているような言葉なのに声はなんだか嬉しそうだ。
「いつもありがと、アーヴィン」
「どういたしまして。ほら、手ェ洗ってこい」
「はぁい」
ご機嫌になったサシャは、アーヴィンに頬擦りしてから、ちゅ、と頬に音を立ててキスをした。フンフンと鼻歌を歌いながらアーヴィンから離れようとした。
しかし、ガシ、と腕を掴まれて身体が前に進まない。それどころか前に進もうとした反動でアーヴィンの方へよたついてぶつかってしまう。
「っわ。なぁに?アーヴィン、どうしたの?」
「……おまえ、ほんと……」
はあああぁ……と大きくため息をつかれる。なんだろうか。なにか不味いことをしたのだろうか。アーヴィンの顔を下から覗き込むと、うっ、と呻く声がする。首を捻っていると、突然アーヴィンはサシャを肩に乗せて荷物を運ぶように持ち上げられてしまった。
「うわぁ!」
「シチューは後だ。シャワー行くぞ」
「え!? な、なんで!なんで?!」
何がアーヴィンの琴線に触れたのか理解できないまま、サシャはそのままシャワーへ連行され、シチューは次の日までお預けにされたのだった。
「……それで、次の日も目が覚めたらまだ続行中だった気が」
「こわ!怖い!怖いって! ホラーじゃん!性欲お化け!帰ってからずっと?! ヤバいって!」
「他人の夫をお化け呼ばわりしないでください!」
コリンに言われ、サシャは文句を言いつつも、またサシャは騙されていたことに気づく。
『夫婦なら二日間ぶっ通しなんか当たり前だから』とアーヴィンに嘘をつかれていたのだと。
サシャ=ジルヴァール
伯爵家長男。紫の瞳に銀の髪を持つ。サラサラ艶やかで小さい頃は天使のようだったし、大人になってからは女神やら月の精やら言われている。
意外と図太い性格で、頑固な一面もあったりする。好きになったら一直線な所も。
アーヴィン=イブリック
侯爵家。兄弟姉妹たくさん居る。騎士団長の息子であるが、アーヴィン自体は騎士団長にあまり興味はない。父も母もおおらかな性格をしている。
手に入れたいものがあれば平気で嘘をつくし全力を尽くす。欲望に忠実。元々ゲイだったので男性と何人か付き合ったが飽きっぽい所があって直ぐに別れてしまっていた。
ちなみにサシャとアーヴィンの2人が揃うと顔面偏差値高すぎてみんな遠巻きになる。
□■□
「サシャってアーヴィンと何して過ごしてるの?」
事務処理中に声をかけてきたのは上司であるコリンだった。サシャはピタリとペンの動きを止めて斜め向かいの書類の山越しに見えるピンクの髪色の上司を見た。上司の手は頬杖をついた体勢で、いかにも仕事をサボってます的な状態だ。
こういう時のコリンは質問に答えるまで厄介で、仕事をしてくれない。サシャは小さくため息をついてコリンの疑問に答えることにした。
「何って…別に普通です」
「普通が思い浮かばないから言ってるんじゃん。なんか想像つかないなーって」
コリンは「教えてくれてもイイじゃん!」とぶーぶー文句を垂れる。年上の割りにあまり歳を感じさせない様子がまた似合う。
「じゃあさ、こないだの休みの日は何したの?」
「……前の休みは…確か」
コリンに聞かれ、サシャは天を仰いで記憶を探ることになった。
「ただいまぁ……」
ぐったりと疲れを見せた顔で玄関を開ける。明日がようやく訪れる休日と分かると余計に疲労が身体を襲っていたが、ふわりと鼻腔をくすぐるいい香りがする。サシャの好きなシチューの香りだ。暗くどんよりとしていたはずの表情に光が差し込み、パァ、と百合の花が咲き誇るようにご機嫌になった。
「おかえり、サシャ。先に帰って悪かったな」
「ううん……! ご飯作ってくれたの?ありがとう…っ」
「っ、と。こら。危ないって」
サシャがガバリと夫であるアーヴィンに飛びつくと、アーヴィンは危なげなくサシャを抱きとめてくれる。怒っているような言葉なのに声はなんだか嬉しそうだ。
「いつもありがと、アーヴィン」
「どういたしまして。ほら、手ェ洗ってこい」
「はぁい」
ご機嫌になったサシャは、アーヴィンに頬擦りしてから、ちゅ、と頬に音を立ててキスをした。フンフンと鼻歌を歌いながらアーヴィンから離れようとした。
しかし、ガシ、と腕を掴まれて身体が前に進まない。それどころか前に進もうとした反動でアーヴィンの方へよたついてぶつかってしまう。
「っわ。なぁに?アーヴィン、どうしたの?」
「……おまえ、ほんと……」
はあああぁ……と大きくため息をつかれる。なんだろうか。なにか不味いことをしたのだろうか。アーヴィンの顔を下から覗き込むと、うっ、と呻く声がする。首を捻っていると、突然アーヴィンはサシャを肩に乗せて荷物を運ぶように持ち上げられてしまった。
「うわぁ!」
「シチューは後だ。シャワー行くぞ」
「え!? な、なんで!なんで?!」
何がアーヴィンの琴線に触れたのか理解できないまま、サシャはそのままシャワーへ連行され、シチューは次の日までお預けにされたのだった。
「……それで、次の日も目が覚めたらまだ続行中だった気が」
「こわ!怖い!怖いって! ホラーじゃん!性欲お化け!帰ってからずっと?! ヤバいって!」
「他人の夫をお化け呼ばわりしないでください!」
コリンに言われ、サシャは文句を言いつつも、またサシャは騙されていたことに気づく。
『夫婦なら二日間ぶっ通しなんか当たり前だから』とアーヴィンに嘘をつかれていたのだと。
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