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その後の話
おまけ
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グウェンに監禁されてからおよそ1ヶ月。俺はようやく監禁生活から脱出することが出来た。
長かった。夜はもちろん、グウェンが非番の日には昼夜問わずに身体に覚え込まされるように快楽漬けにされていた。絶倫過ぎる。腹上死するかと思ったことも何度かあった。
今日はそんな監禁生活脱出おめでとう、というなんとも有難くない会を開くとレイが言い出したらしい。グウェンの奥底に眠らせていた本性を俺が今更知ったことに、レイは本気で面白がっていた。
ガーデンテーブルに、軽食やデザートが所狭しと並んでいる。今日はいつものティータイムとは違うので、テーブルも大きいサイズに変わっていた。
参加者は俺、グウェン、レイ、ルークのいつものメンバーに加え、テオとアルも来ることになっていた。
アルが来てくれるとは驚きだった。レイが声をかけたみたいだが、それにしても驚いた。どうやら俺の様子をずっと心配してアルはレイとやり取りしていたらしい。
「いやーウケるね。ノア先生ってマジで鈍感なんだ」
「テオ、あんまり言うなよ。もうさすがに気づいたんだからな」
テオが俺をからかうように言うと、ルークが俺になんのフォローもしない窘めをした。そんな2人のやり取りにレイはケラケラ笑っている。
「あ、あの……ノアさん。本当にすみませんでした」
アルはあの日より顔色は良くなっているが、未だに青い。心做しか、ほんの少し震えている気もする。余程グウェンが怖いのか。
「いや、俺は」
「謝る必要などない。アルのおかげでノアがどう思っていたか分かったからな」
真顔で言うグウェンを見て、俺もアルも同じ顔色をしているに違いない。俺がここで変な発言をしたら、監禁生活に逆戻りしそうで何も言えなかった。
レイはケラケラずっと笑っているが、テオとルークは呆れるように俺を見ていた。
「ノアって監禁からどうやって脱出出来たのー? 普通に出れたとは思えないんだよねぇ」
レイにそう聞かれ、どうやって脱出出来たのか証明する必要があった。
俺は覚悟を決めて、自分の首にぶら下がるチェーンを触って、服の中に入れていた部分を取り出した。
「あはははは! ブラックダイヤモンド?! デカい! 天然もの?!」
レイは俺がつけているネックレスを指差して大爆笑していた。この兄は弟の災厄をこんなにも楽しんでいる。なんて酷い兄なのか。
「うわ、一体おいくらするんすか?」
ルークがそういうが、グウェンは答えずに紅茶を口に含んだ。
そう。俺は監禁されて1週間が経過したあたりから、この生活が続くのはヤバいとさすがに思ったのだ。しかし、足枷を外してくれ、と言った日には酷く激しく抱かれてしまった。
そこで、提案をした。足枷の代用品を手に入れてもらい、それと足枷を交換するというふうに。
グウェンはしばらく逡巡したようだったが、分かった、と了承してくれた。しかしこんな大きなブラックダイヤモンドは簡単に手に入るはずもなく、3週間待つこととなったのだ。
俺は良くて指輪、悪くて首輪かなと軽く考えていたので、まさかこんな持っているだけで呪いを受けそうなネックレスがプレゼントされるとは思いもしなかった。
「服の中に入れるなと言ってるんだがな」
「いやいやいや!こんな高そうなモノ出してたら落ち着かない!」
「グウェンがノアに宝石送るの、なにげに初めてじゃない?指輪以外で」
俺が宝石類を一切つけていないため、グウェンも渡すのを抑えていたらしい。俺のつけている宝石と言えば、結婚指輪くらいだ。それだってかなりシンプルに仕上げてもらった。ゴテゴテしているのは普段刺繍をしていると引っかかりそうで嫌だった。
「仕事に邪魔そうだったから…」
「ほんとノア、そういう恋人っぽい事にはドライだねぇ。てかこれ、魔道具じゃない?」
「魔道具?」
レイはブラックダイヤモンドをじっと見つめて言う。俺はあまりその辺のことに詳しくないので首を傾げた。
「グウェンこれ……」
「レイは見破るか、さすがに」
「魔力抵抗強過ぎて看破しにくいけど…うわ」
「絶対言うなよ」
レイとグウェンだけが2人で魔道具について分かりあっているようだった。レイに忠告され、俺は魔道具の効果を知りたくなった。
「え?なに? なんの効果があるの?」
「ノアが知らない方がいい事ってこの世にたくさんあると思う」
「レイどういうこと……グウェン、顔を逸らさないで怖い怖い怖い、なにこれ。え!なんか外せないんだけど!嘘!」
俺は怖くなって1度外そうとチェーンの繋ぎ目を弄るが、ビクともしない。首から抜こうとしても何故か途中で動かなくなる。
「ノアは魔力一切ないから、何も抵抗出来ないんだな…」
「まだプレゼントってあるんですか?」
ルークが慌てている俺を憐れむ。その横でテオが聞くと、グウェンは紅茶を1口含む。そして静かにティーカップをソーサーに置く。
「ある」
「ひぃ! 聞いてない!」
「そんなに大層なものではないからな」
「あ、なら良かった……」
「展示会館だ」
「ひいいい!」
建物がいつの間にか計画されていた。この男の財力は一体どこから湧き出ているのか。恐ろしい計画に怯えている俺をしりめにレイは聞く。
「どこに建てるの?」
「ソフィア王女に相談したら、良い所を紹介されてな」
「……まさか」
ソフィア王女は俺の刺繍を大層気に入ってくれている。コレクションされていると言っても過言ではない。その刺繍を使ったドレスも作るくらいだ。
王女と言うには、王族である。王族が紹介して建物を建てるということは。
「ソフィア王女の宮の近くが空いてるらしくてな」
「王族の土地使うな!」
俺の刺繍如きでなぜそこまでするのか。 本邸の1部屋を使うとかならまだしも、王族の土地で、王城の土地。
俺のツッコミにも、グウェンは何処吹く風だ。レイは大爆笑していた。
「まーまー、ノアが鈍感だったせいでグウェンが振り切ってるんだから。もう甘えて全て受け入れた方が良いって」
「いやいやいや! 王族の土地はない!」
「王族の土地じゃなかったらどこに立てるつもりだったんです?」
テオがグウェンの方を向いて尋ねる。グウェンは一旦目を閉じて考えてから、発言した。
「城下町の一等地だ」
「い、嫌だ…どっちも嫌だ……」
城下町は国の人全員に見られるかもしれない。王女の隣は王族に見られるかもしれない。どちらに建てられても俺には地獄に感じた。
元来そんなに目立ちたがり屋ではない。レデリート殿下が来た時の刺繍展示は、宰相閣下の命令だったからやっただけだ。
俺が首を振って拒否しているが、グウェンは全く意に介してくれない。
「ノアさん、もう諦めた方が良いです。父が言ってました、グウェン兄様は有言実行しかしないって」
アルの言葉で俺は地獄に叩き落とされた。
----------
魔道具の効果は、ほぼプライバシーが無くなるようなものが付与されています。
GPS、会話傍受、感情視覚化、解除不可、肩がこらないように無重力化、宝石や金属が劣化しないようにする……などです。グウェンは今までノアのプライバシーまでは犯さないように必死に抑えていたので強要してませんでした。
長かった。夜はもちろん、グウェンが非番の日には昼夜問わずに身体に覚え込まされるように快楽漬けにされていた。絶倫過ぎる。腹上死するかと思ったことも何度かあった。
今日はそんな監禁生活脱出おめでとう、というなんとも有難くない会を開くとレイが言い出したらしい。グウェンの奥底に眠らせていた本性を俺が今更知ったことに、レイは本気で面白がっていた。
ガーデンテーブルに、軽食やデザートが所狭しと並んでいる。今日はいつものティータイムとは違うので、テーブルも大きいサイズに変わっていた。
参加者は俺、グウェン、レイ、ルークのいつものメンバーに加え、テオとアルも来ることになっていた。
アルが来てくれるとは驚きだった。レイが声をかけたみたいだが、それにしても驚いた。どうやら俺の様子をずっと心配してアルはレイとやり取りしていたらしい。
「いやーウケるね。ノア先生ってマジで鈍感なんだ」
「テオ、あんまり言うなよ。もうさすがに気づいたんだからな」
テオが俺をからかうように言うと、ルークが俺になんのフォローもしない窘めをした。そんな2人のやり取りにレイはケラケラ笑っている。
「あ、あの……ノアさん。本当にすみませんでした」
アルはあの日より顔色は良くなっているが、未だに青い。心做しか、ほんの少し震えている気もする。余程グウェンが怖いのか。
「いや、俺は」
「謝る必要などない。アルのおかげでノアがどう思っていたか分かったからな」
真顔で言うグウェンを見て、俺もアルも同じ顔色をしているに違いない。俺がここで変な発言をしたら、監禁生活に逆戻りしそうで何も言えなかった。
レイはケラケラずっと笑っているが、テオとルークは呆れるように俺を見ていた。
「ノアって監禁からどうやって脱出出来たのー? 普通に出れたとは思えないんだよねぇ」
レイにそう聞かれ、どうやって脱出出来たのか証明する必要があった。
俺は覚悟を決めて、自分の首にぶら下がるチェーンを触って、服の中に入れていた部分を取り出した。
「あはははは! ブラックダイヤモンド?! デカい! 天然もの?!」
レイは俺がつけているネックレスを指差して大爆笑していた。この兄は弟の災厄をこんなにも楽しんでいる。なんて酷い兄なのか。
「うわ、一体おいくらするんすか?」
ルークがそういうが、グウェンは答えずに紅茶を口に含んだ。
そう。俺は監禁されて1週間が経過したあたりから、この生活が続くのはヤバいとさすがに思ったのだ。しかし、足枷を外してくれ、と言った日には酷く激しく抱かれてしまった。
そこで、提案をした。足枷の代用品を手に入れてもらい、それと足枷を交換するというふうに。
グウェンはしばらく逡巡したようだったが、分かった、と了承してくれた。しかしこんな大きなブラックダイヤモンドは簡単に手に入るはずもなく、3週間待つこととなったのだ。
俺は良くて指輪、悪くて首輪かなと軽く考えていたので、まさかこんな持っているだけで呪いを受けそうなネックレスがプレゼントされるとは思いもしなかった。
「服の中に入れるなと言ってるんだがな」
「いやいやいや!こんな高そうなモノ出してたら落ち着かない!」
「グウェンがノアに宝石送るの、なにげに初めてじゃない?指輪以外で」
俺が宝石類を一切つけていないため、グウェンも渡すのを抑えていたらしい。俺のつけている宝石と言えば、結婚指輪くらいだ。それだってかなりシンプルに仕上げてもらった。ゴテゴテしているのは普段刺繍をしていると引っかかりそうで嫌だった。
「仕事に邪魔そうだったから…」
「ほんとノア、そういう恋人っぽい事にはドライだねぇ。てかこれ、魔道具じゃない?」
「魔道具?」
レイはブラックダイヤモンドをじっと見つめて言う。俺はあまりその辺のことに詳しくないので首を傾げた。
「グウェンこれ……」
「レイは見破るか、さすがに」
「魔力抵抗強過ぎて看破しにくいけど…うわ」
「絶対言うなよ」
レイとグウェンだけが2人で魔道具について分かりあっているようだった。レイに忠告され、俺は魔道具の効果を知りたくなった。
「え?なに? なんの効果があるの?」
「ノアが知らない方がいい事ってこの世にたくさんあると思う」
「レイどういうこと……グウェン、顔を逸らさないで怖い怖い怖い、なにこれ。え!なんか外せないんだけど!嘘!」
俺は怖くなって1度外そうとチェーンの繋ぎ目を弄るが、ビクともしない。首から抜こうとしても何故か途中で動かなくなる。
「ノアは魔力一切ないから、何も抵抗出来ないんだな…」
「まだプレゼントってあるんですか?」
ルークが慌てている俺を憐れむ。その横でテオが聞くと、グウェンは紅茶を1口含む。そして静かにティーカップをソーサーに置く。
「ある」
「ひぃ! 聞いてない!」
「そんなに大層なものではないからな」
「あ、なら良かった……」
「展示会館だ」
「ひいいい!」
建物がいつの間にか計画されていた。この男の財力は一体どこから湧き出ているのか。恐ろしい計画に怯えている俺をしりめにレイは聞く。
「どこに建てるの?」
「ソフィア王女に相談したら、良い所を紹介されてな」
「……まさか」
ソフィア王女は俺の刺繍を大層気に入ってくれている。コレクションされていると言っても過言ではない。その刺繍を使ったドレスも作るくらいだ。
王女と言うには、王族である。王族が紹介して建物を建てるということは。
「ソフィア王女の宮の近くが空いてるらしくてな」
「王族の土地使うな!」
俺の刺繍如きでなぜそこまでするのか。 本邸の1部屋を使うとかならまだしも、王族の土地で、王城の土地。
俺のツッコミにも、グウェンは何処吹く風だ。レイは大爆笑していた。
「まーまー、ノアが鈍感だったせいでグウェンが振り切ってるんだから。もう甘えて全て受け入れた方が良いって」
「いやいやいや! 王族の土地はない!」
「王族の土地じゃなかったらどこに立てるつもりだったんです?」
テオがグウェンの方を向いて尋ねる。グウェンは一旦目を閉じて考えてから、発言した。
「城下町の一等地だ」
「い、嫌だ…どっちも嫌だ……」
城下町は国の人全員に見られるかもしれない。王女の隣は王族に見られるかもしれない。どちらに建てられても俺には地獄に感じた。
元来そんなに目立ちたがり屋ではない。レデリート殿下が来た時の刺繍展示は、宰相閣下の命令だったからやっただけだ。
俺が首を振って拒否しているが、グウェンは全く意に介してくれない。
「ノアさん、もう諦めた方が良いです。父が言ってました、グウェン兄様は有言実行しかしないって」
アルの言葉で俺は地獄に叩き落とされた。
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魔道具の効果は、ほぼプライバシーが無くなるようなものが付与されています。
GPS、会話傍受、感情視覚化、解除不可、肩がこらないように無重力化、宝石や金属が劣化しないようにする……などです。グウェンは今までノアのプライバシーまでは犯さないように必死に抑えていたので強要してませんでした。
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