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その後の話
ペシミスティックな月の裏⑤※
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「やぁ!あ! あああっ! ん!もぅ無理ぃ!」
「無理じゃないだろう。こないだは自分から腰を振っていたじゃないか」
寝室に連れてかれ、もうどのくらい時間が経っただろう。アトリエにいた時は夕方にはなっていなかった。けれどもう窓の外は真っ暗で、月明かりが見えていた。
俺はグウェンに後ろから容赦なく腰を打ち付けてくる。グウェンの剛直が挿入される度に俺の奥から痛いほどの快楽が襲いかかってくる。
もう何度イったのかは数えられなかった。グウェンも何度か果てていて、俺の中からジュポジュポと香油だけではない水音が響いていた。顔は涙と唾液でぐちゃぐちゃになっている。
「ひ! あ! ああ! んっ、ん!ん゛!」
「お前は一体どういうつもりであんなことを言ったんだ?」
「あっ!ん! まっ、やぁあ!」
「お前に飽きる?いつからそんなことを思っていた?」
グウェンは俺に剛直を突き入れながらヒヤリと冷めている声で聞き続ける。俺は容赦なく剛直で中を抉られ、答えられるわけもなかった。
臀部からはバチュンバチュンと水音に混じって打ち付ける音がして部屋に響いている。俺はもう深すぎる突き入れに、何も考えられなくなっていた。
「あ゛っ!あん! ひ、ふかっい! あ!またイク!……っ!ああ!」
もう精液は出し尽くしていながらも、達した。それでも、無遠慮にグウェンは突き続ける。
「ノア?いつからだ。いつから、俺がお前に飽きると思っていた?」
「ひっ、あん!ああ゛!」
一瞬屈んでゾッとするほどの感情の見えない声で耳元で囁かれた。けれども腰の打ち付けは止まらず、強く抉られるように剛直が押し入ってくる。
「ん゛! ま゛って! またっ! イっ~~~!! あ!ああ!だめぇ!」
「何がダメだ。美味そうに俺のを食べてるくせに。後ろからが嫌なのか?」
「っひぃ!あ…あ゛!!つよ、いぃ! あああああ!」
ぐるん、と挿れたまま仰向けに無理やり変えさせられる。足を思い切り開かれてあらぬ所が全て見えている格好をさせられる。中がぐちゅりと言いながら回転させられる衝撃で怯えるが、お構い無しにグウェンはまた俺に腰を打ち付けた。
目の前の男を受け入れる悦びを知っている俺には、強すぎる快楽に絶叫に似た声が出る。
「お前に飽きて、違う誰かと結婚すると思ってるのか」
「ん!あっ!あんっ! は、ああ!」
「は、あんなに信頼されたと思ったのは俺の勘違いだった訳だな。本当にお前は、残酷な事をしてくる」
俺は少しでも過ぎた快感を逃がそうと、俺の腰を掴んでいるグウェンの腕に爪を立てる。
打ち付けてくる腰はまるで暴力だった。しかし暴力は俺に愉悦を運んでくる。グウェンの冷たい声とは正反対に、剛直は熱く、俺の奥底の欲望を昂らせた。
「もういい。分からないなら、分からせるまでだ」
「ひぃ!あっあっ!だめ!やぁ!またきちゃ…!~~~っ!あああ!」
俺の中は、グウェンを受け入れながら、腹の奥から湧き上がる欲望が駆け上がって来るのを感じた。
けれども、目の前の男の瞳は、獣のようでいて、酷く冷たかった。こんな男の眼は見たことがなく、俺は穿かれ、揺さぶられながらも恐怖を覚えていた。
「離すわけないだろう。一生だ」
「あ!ああ! だめぇ!もうむ、りぃ!」
俺は逃れる術も持たず、ひたすら続く暴力的な快楽の波に翻弄された。
「あはは、今日で何日目?ここに閉じ込められてから」
「レイ…笑えないよ、もう五日目だ」
俺はあれから、寝室と、寝室に備え付けられたトイレとシャワーにしか行けなくなっていた。というのも、足に枷を嵌められているせいだ。ケガしないように内側が柔らかいのはグウェンの唯一残った良心だと思われる。
レイは笑いながら、ベッドから上半身だけ起こしている俺の身体に残る気だるさを回復してくれた。
俺は足枷のせいで着替えも出来ないから、シーツを被るしかなかった。そもそもグウェンは着替えなぞ準備すらする気がなかったようだ。
「僕の言った通りになったねぇ」
「だから笑えないよ…喧嘩にはなるかもと思ったら喧嘩よりも酷い状況になるとは思わなかった」
「ルークも忠告してたんでしょ?」
「なんか、そういえば……言われた気がする…はぁ、いや、もう俺が悪い」
ルークには呑んだ時に、歳をとったら顔に飽きるだろとか言って、絶対グウェンに言うなと忠告されていたのだ。ならばちゃんと訂正して欲しかった。いや、訂正されたって結局子供の挑発に乗った自分が悪いのだ。
「そうだよ。ノアが悪いよー」
「ぐぬぬ」
レイと話していると、扉のノック音が響いた。返事をすると遠慮がちに扉が開く。おずおずと現れたのは、アルフリッツだった。
「ノアさん…あの、大丈夫、ですか……?」
アルは来た時とは別人のように真っ青になっていた。グウェンに何か言われたのだろうか。そして言葉は本当に心配している様子が伺えた。
「ああ、大丈夫……とは言いきれないけど。ごめんね、こんな姿で…」
「いや、その。それは…多分俺のせいでもあると思うので…」
アルは本気で反省しているようだった。レイが部屋に入るように促して、ようやく歩いて部屋に入ってきた。
そして、ベッドの柱から布団の中に繋がっている鎖を見て、さらに体を固まらせていた。7歳児には刺激が強すぎたか。
「す、すみませんでした……あの、本当に……すみません」
「……グウェンに何言われたの?」
「いや、もうそれは……ちょっと…」
一体何を言われたのか。7歳が本気で怯えていた。幼い子供の人生観を変えてしまったかもしれない。
レイはケラケラ笑いながら話し始めた。
「ふはは、この子はともかくとして、グウェンがノアにめちゃくちゃ執着してることに、ノア自身が気が付いてなかったのがウケる」
「……?」
庭園のことだろうか。確かにあれはめちゃくちゃ重いだろう。アイリスやスイレンにも重いと言われた。
俺とアルは2人して不思議そうな顔をしてレイを見た。
「蓮池の庭園だってそうだけど、グウェンの屋敷だってあれノアへのプレゼントなんでしょ?この2つだけで一体いくらすると思ってるのさ。しかもアトリエまで作って、囲う気満々じゃん」
「う」
「しかもさ、僕とまだ婚約してた時だって、ノアに一緒に住めとか言ってたじゃん。普通に考えてアウトだよね」
「……」
「そもそも骨折したからって全部の世話を自分でする必要ないしね」
「……片鱗は最初からあったってこと?」
「王女の件だって、ノアが嫌な目にあってるってだけで一国の王の所まで行っちゃうんだよ?普通にヤバいって」
「なんでみんな教えてくれないの…」
レイに指摘され、俺は遠い目になった。
「いや、普通に気づくって。グウェンが激重執着男だって」
「……まさか俺って鈍い?」
「かなりね。僕より先に結婚してたのに、今更だね」
レイの言葉で、アルはさらに怯えていた。多分、俺がグウェンに執着していると思ったからあんな風に詰め寄ってきたのだ。
しかし、蓋を開けてみればそれは全くの逆だった。グウェンが一体いくらかけたのか分からない屋敷や庭園、アトリエなどのプレゼントの数々、自分のためなら一国の王へすら意見し、そもそも別に婚約者がいても関係なかったとくれば、聡明なアルのことだ。全てを理解したに違いない。
「あの、俺はとりあえず明日家に帰ることになりました……」
「え、まだ期間あるのに?」
「……はい。なので、今日は謝罪に」
それで、アルが部屋に来たのかと理由が分かった。
「また、いつかここに来るかと、思います…その時は、よろしくお願い致します……」
「あ、ああ。気をつけて帰ってね。またおいで…」
アルは真っ青な顔のまま、ぺこりとお辞儀をしてフラフラと出ていった。7歳のトラウマになってないといいのだが。
「ふふっ、はー!ノアとグウェンて本当に周りを巻き込むの上手いねぇ、面白すぎ」
レイはテンション高く言う。レイは基本的に自由奔放なのだ。ルークはそれすら受け入れて自由にさせている。
そして俺はあまり囲われている意識がなかったのは、もともとが引きこもりだからだったに違いない。そういえばちょっと前には、深窓の麗人とか言われてたな、なんてまた遠い目をして思い出していた。
「はぁ、とりあえず大人しくコレをしばらく続けるしかないなぁ」
「トイレとシャワーの人権までは奪われてないし、良かったねぇ」
「勘弁して……」
コレ、と足枷を指差していうと、レイは怖いことを言い出した。そこまでされたら俺も流石に怒るはず。
「次に逢う時には足枷がついてないことを祈ってるよ!弟よ!」
ばいばーいと手を振ってレイは出ていった。弟がこんな目にあっているのに、どうしてあんなにニコニコしていたのか。いや、やっぱり全部俺が悪かったな、と反省するしかなかった。
食事はいつもアイリスとスイレンが代わり替わりに持ってきてくれていた。
「うふふ、ノア様がなんにも分かってない方だったとは旦那様も可哀想ですね」
「ノア様、いい加減気づいているかと思ってたのですが、うふ」
と1ミリも笑ってない目で言い放って行く。激重執着をされていたことに分かっていなかったのは、俺だけだったらしい。どうやら他の使用人たちもどうして今まで気づいていなかったのか理解に苦しんでいるという。
そして夜になると、グウェンは帰宅して来る。
「ノア、今日はレイが来たそうだな」
「んっ、あん! 来た、けど! すぐに……っ、帰った……!」
目の前の男は帰ってくるなり、獣欲の満ちた眼をさせて覆いかぶさってきた。俺はここ数日、すっかり覚えさせられた夫のくれる肌を触るだけの刺激にも簡単に反応してしまう。
身体中に散らされる花弁の跡が連日の行為の激しさを物語っている。
「ん……グウェン、ちょうだい……」
触られるだけで、既に俺は欲望を隠しきれなくなるくらいには調教されていると思う。グウェンの手が自分に触れている事実が俺を昂らせる。
今日はどうやら機嫌が良いらしい。グウェンが口端を少しあげて笑う。
「孕むほどくれてやる」
俺は一瞬この後の閨の激しさを予想し、ゾッとしたが、俺はグウェンの淫靡な手に身を委ねることにした。
足枷が外せるようになったのは、およそ1ヶ月後のことであった。
------
長い間、お付き合い頂きありがとうございました。
また別の作品でお会い出来ることを祈っています。
七咲陸
「無理じゃないだろう。こないだは自分から腰を振っていたじゃないか」
寝室に連れてかれ、もうどのくらい時間が経っただろう。アトリエにいた時は夕方にはなっていなかった。けれどもう窓の外は真っ暗で、月明かりが見えていた。
俺はグウェンに後ろから容赦なく腰を打ち付けてくる。グウェンの剛直が挿入される度に俺の奥から痛いほどの快楽が襲いかかってくる。
もう何度イったのかは数えられなかった。グウェンも何度か果てていて、俺の中からジュポジュポと香油だけではない水音が響いていた。顔は涙と唾液でぐちゃぐちゃになっている。
「ひ! あ! ああ! んっ、ん!ん゛!」
「お前は一体どういうつもりであんなことを言ったんだ?」
「あっ!ん! まっ、やぁあ!」
「お前に飽きる?いつからそんなことを思っていた?」
グウェンは俺に剛直を突き入れながらヒヤリと冷めている声で聞き続ける。俺は容赦なく剛直で中を抉られ、答えられるわけもなかった。
臀部からはバチュンバチュンと水音に混じって打ち付ける音がして部屋に響いている。俺はもう深すぎる突き入れに、何も考えられなくなっていた。
「あ゛っ!あん! ひ、ふかっい! あ!またイク!……っ!ああ!」
もう精液は出し尽くしていながらも、達した。それでも、無遠慮にグウェンは突き続ける。
「ノア?いつからだ。いつから、俺がお前に飽きると思っていた?」
「ひっ、あん!ああ゛!」
一瞬屈んでゾッとするほどの感情の見えない声で耳元で囁かれた。けれども腰の打ち付けは止まらず、強く抉られるように剛直が押し入ってくる。
「ん゛! ま゛って! またっ! イっ~~~!! あ!ああ!だめぇ!」
「何がダメだ。美味そうに俺のを食べてるくせに。後ろからが嫌なのか?」
「っひぃ!あ…あ゛!!つよ、いぃ! あああああ!」
ぐるん、と挿れたまま仰向けに無理やり変えさせられる。足を思い切り開かれてあらぬ所が全て見えている格好をさせられる。中がぐちゅりと言いながら回転させられる衝撃で怯えるが、お構い無しにグウェンはまた俺に腰を打ち付けた。
目の前の男を受け入れる悦びを知っている俺には、強すぎる快楽に絶叫に似た声が出る。
「お前に飽きて、違う誰かと結婚すると思ってるのか」
「ん!あっ!あんっ! は、ああ!」
「は、あんなに信頼されたと思ったのは俺の勘違いだった訳だな。本当にお前は、残酷な事をしてくる」
俺は少しでも過ぎた快感を逃がそうと、俺の腰を掴んでいるグウェンの腕に爪を立てる。
打ち付けてくる腰はまるで暴力だった。しかし暴力は俺に愉悦を運んでくる。グウェンの冷たい声とは正反対に、剛直は熱く、俺の奥底の欲望を昂らせた。
「もういい。分からないなら、分からせるまでだ」
「ひぃ!あっあっ!だめ!やぁ!またきちゃ…!~~~っ!あああ!」
俺の中は、グウェンを受け入れながら、腹の奥から湧き上がる欲望が駆け上がって来るのを感じた。
けれども、目の前の男の瞳は、獣のようでいて、酷く冷たかった。こんな男の眼は見たことがなく、俺は穿かれ、揺さぶられながらも恐怖を覚えていた。
「離すわけないだろう。一生だ」
「あ!ああ! だめぇ!もうむ、りぃ!」
俺は逃れる術も持たず、ひたすら続く暴力的な快楽の波に翻弄された。
「あはは、今日で何日目?ここに閉じ込められてから」
「レイ…笑えないよ、もう五日目だ」
俺はあれから、寝室と、寝室に備え付けられたトイレとシャワーにしか行けなくなっていた。というのも、足に枷を嵌められているせいだ。ケガしないように内側が柔らかいのはグウェンの唯一残った良心だと思われる。
レイは笑いながら、ベッドから上半身だけ起こしている俺の身体に残る気だるさを回復してくれた。
俺は足枷のせいで着替えも出来ないから、シーツを被るしかなかった。そもそもグウェンは着替えなぞ準備すらする気がなかったようだ。
「僕の言った通りになったねぇ」
「だから笑えないよ…喧嘩にはなるかもと思ったら喧嘩よりも酷い状況になるとは思わなかった」
「ルークも忠告してたんでしょ?」
「なんか、そういえば……言われた気がする…はぁ、いや、もう俺が悪い」
ルークには呑んだ時に、歳をとったら顔に飽きるだろとか言って、絶対グウェンに言うなと忠告されていたのだ。ならばちゃんと訂正して欲しかった。いや、訂正されたって結局子供の挑発に乗った自分が悪いのだ。
「そうだよ。ノアが悪いよー」
「ぐぬぬ」
レイと話していると、扉のノック音が響いた。返事をすると遠慮がちに扉が開く。おずおずと現れたのは、アルフリッツだった。
「ノアさん…あの、大丈夫、ですか……?」
アルは来た時とは別人のように真っ青になっていた。グウェンに何か言われたのだろうか。そして言葉は本当に心配している様子が伺えた。
「ああ、大丈夫……とは言いきれないけど。ごめんね、こんな姿で…」
「いや、その。それは…多分俺のせいでもあると思うので…」
アルは本気で反省しているようだった。レイが部屋に入るように促して、ようやく歩いて部屋に入ってきた。
そして、ベッドの柱から布団の中に繋がっている鎖を見て、さらに体を固まらせていた。7歳児には刺激が強すぎたか。
「す、すみませんでした……あの、本当に……すみません」
「……グウェンに何言われたの?」
「いや、もうそれは……ちょっと…」
一体何を言われたのか。7歳が本気で怯えていた。幼い子供の人生観を変えてしまったかもしれない。
レイはケラケラ笑いながら話し始めた。
「ふはは、この子はともかくとして、グウェンがノアにめちゃくちゃ執着してることに、ノア自身が気が付いてなかったのがウケる」
「……?」
庭園のことだろうか。確かにあれはめちゃくちゃ重いだろう。アイリスやスイレンにも重いと言われた。
俺とアルは2人して不思議そうな顔をしてレイを見た。
「蓮池の庭園だってそうだけど、グウェンの屋敷だってあれノアへのプレゼントなんでしょ?この2つだけで一体いくらすると思ってるのさ。しかもアトリエまで作って、囲う気満々じゃん」
「う」
「しかもさ、僕とまだ婚約してた時だって、ノアに一緒に住めとか言ってたじゃん。普通に考えてアウトだよね」
「……」
「そもそも骨折したからって全部の世話を自分でする必要ないしね」
「……片鱗は最初からあったってこと?」
「王女の件だって、ノアが嫌な目にあってるってだけで一国の王の所まで行っちゃうんだよ?普通にヤバいって」
「なんでみんな教えてくれないの…」
レイに指摘され、俺は遠い目になった。
「いや、普通に気づくって。グウェンが激重執着男だって」
「……まさか俺って鈍い?」
「かなりね。僕より先に結婚してたのに、今更だね」
レイの言葉で、アルはさらに怯えていた。多分、俺がグウェンに執着していると思ったからあんな風に詰め寄ってきたのだ。
しかし、蓋を開けてみればそれは全くの逆だった。グウェンが一体いくらかけたのか分からない屋敷や庭園、アトリエなどのプレゼントの数々、自分のためなら一国の王へすら意見し、そもそも別に婚約者がいても関係なかったとくれば、聡明なアルのことだ。全てを理解したに違いない。
「あの、俺はとりあえず明日家に帰ることになりました……」
「え、まだ期間あるのに?」
「……はい。なので、今日は謝罪に」
それで、アルが部屋に来たのかと理由が分かった。
「また、いつかここに来るかと、思います…その時は、よろしくお願い致します……」
「あ、ああ。気をつけて帰ってね。またおいで…」
アルは真っ青な顔のまま、ぺこりとお辞儀をしてフラフラと出ていった。7歳のトラウマになってないといいのだが。
「ふふっ、はー!ノアとグウェンて本当に周りを巻き込むの上手いねぇ、面白すぎ」
レイはテンション高く言う。レイは基本的に自由奔放なのだ。ルークはそれすら受け入れて自由にさせている。
そして俺はあまり囲われている意識がなかったのは、もともとが引きこもりだからだったに違いない。そういえばちょっと前には、深窓の麗人とか言われてたな、なんてまた遠い目をして思い出していた。
「はぁ、とりあえず大人しくコレをしばらく続けるしかないなぁ」
「トイレとシャワーの人権までは奪われてないし、良かったねぇ」
「勘弁して……」
コレ、と足枷を指差していうと、レイは怖いことを言い出した。そこまでされたら俺も流石に怒るはず。
「次に逢う時には足枷がついてないことを祈ってるよ!弟よ!」
ばいばーいと手を振ってレイは出ていった。弟がこんな目にあっているのに、どうしてあんなにニコニコしていたのか。いや、やっぱり全部俺が悪かったな、と反省するしかなかった。
食事はいつもアイリスとスイレンが代わり替わりに持ってきてくれていた。
「うふふ、ノア様がなんにも分かってない方だったとは旦那様も可哀想ですね」
「ノア様、いい加減気づいているかと思ってたのですが、うふ」
と1ミリも笑ってない目で言い放って行く。激重執着をされていたことに分かっていなかったのは、俺だけだったらしい。どうやら他の使用人たちもどうして今まで気づいていなかったのか理解に苦しんでいるという。
そして夜になると、グウェンは帰宅して来る。
「ノア、今日はレイが来たそうだな」
「んっ、あん! 来た、けど! すぐに……っ、帰った……!」
目の前の男は帰ってくるなり、獣欲の満ちた眼をさせて覆いかぶさってきた。俺はここ数日、すっかり覚えさせられた夫のくれる肌を触るだけの刺激にも簡単に反応してしまう。
身体中に散らされる花弁の跡が連日の行為の激しさを物語っている。
「ん……グウェン、ちょうだい……」
触られるだけで、既に俺は欲望を隠しきれなくなるくらいには調教されていると思う。グウェンの手が自分に触れている事実が俺を昂らせる。
今日はどうやら機嫌が良いらしい。グウェンが口端を少しあげて笑う。
「孕むほどくれてやる」
俺は一瞬この後の閨の激しさを予想し、ゾッとしたが、俺はグウェンの淫靡な手に身を委ねることにした。
足枷が外せるようになったのは、およそ1ヶ月後のことであった。
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長い間、お付き合い頂きありがとうございました。
また別の作品でお会い出来ることを祈っています。
七咲陸
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