【完結】泥中の蓮

七咲陸

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side story -レイとルーク-②

蝶よ花よ⑤※

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扉にノックを3回すると、およそ1ヶ月間、聞きたくて仕方なかった中性的で心地よい声が聞こえてきた。

ドアを開けると、レイはベッドの上に座って、広げた地図を真剣に見ていた。討伐のために来たと言っていたから、討伐区域の確認をしているのだろう。

真剣な様子で、俺のことは気づいてない。レイはドアに背を向けていたので、俺はそのままレイに近づき、後ろから抱きしめた。


「っ、ルーっん…!」


驚いて振り返ったレイの唇を奪うように口付けをした。


「ん…んぅ…んん」


深く口付けながら、レイがもぞもぞ動いて広げた地図も気にせず踏みながら俺の方に向いて首に手を回してきた。ちゅ、とリップ音を立てて唇が離れる。


「ん…るーく、今日はもう会えないと思ってた……」
「明日は非番だからな。こっちに帰ってこれたんだ」
「?普段は寮じゃないの?」
「子守りが夜までだからな。侯爵家の使用人の部屋を借りてる」
「……ふぅん」


レイは少しつまらなそうな相槌を打つ。数週間構っていなかったのにも関わらず、子供の面倒を見ているせいで微かに不機嫌なのは明らかだった。


「子守りの相手はあの子供でしょ、中庭にいた」
「ああ、良く騎士団に忍び込むらしくてな。……ん?レイお前、見てたのか」


そういえばクレイグが居たな、と思い出す。ルークと同室であるクレイグが案内役になっていた可能性がある。てことはあの時クレイグが慌てていたのは。


「……っ」


レイはきっと、また恥ずかしくなって隠れたのだ。耳まで真っ赤になるレイを見て確信する。そして、左耳の耳朶に自分が送ったピンク色のロードクロサイトのピアスがついているのを見て湧き上がってくる欲を感じた。


「ピアス、本当は俺が開けたかったけど」
「うん…ノアに開けてもらった」
「ふ、嫌がっただろ」


ノアが本気で嫌がってる顔は想像に難くない。レイに耳に穴を開けることも、レイが俺のために耳に穴を開けようとしてることも、ノアが嫌がることも全部分かっていてピアスを送ったことも。


「後で覚悟しろって言ってた」
「…何されんだよ、俺」
「ふふ、ね、ルークは怒りにきたの?」
「俺が変態だって吹聴しただろ」
「んふふ、みんなの反応が面白いんだもん」


陽気なあいつらの様子が思い浮かんで、レイのテンションもよそ行きの割に高くなっていたんだろうと思った。


「そんな感じでずっと笑ってた?」
「この顔でみんなが討伐中、言うこと聞いてくれるなら使うに越したことないよ」


ノアの前ではただ我儘なだけだが、仕事中は意外にも打算的な所がある。

レイは討伐になると大体リーダーを頼まれることが多い。後衛で状況をよく見れることと、レイのコミュニケーション能力と判断力が光る。


「じゃあ、俺だけに見せる顔で変態プレイに付き合ってもらうからな」
「……明日の体力分は残してね」


そう言いながら、レイは機嫌良さそうに防音の魔法をかける。まるで、わざと俺が怒るように団員に性的嗜好をバラしているのかと思うほどに機嫌が良かった。






ギシ、とベッドの軋む音がやけに響く。レイの両手首はタオルでベッドボードに括り付けた。上半身は簡単なシャツを着ていたが、中途半端に肌蹴させるといやに扇情的になった。


「ん…」


レイは居心地が良くないのか少しだけモゾモゾと蠕動する。両手首が不自由なせいで上手く動けていない。


「痛くない?」
「……うん、だいじょ、ぶ」


それじゃ遠慮なくと言わんばかりに俺はレイの胸の頂きを両方指で摘んだ。


「ぁ!」


多少痛みがあったのか、レイの顔が少しだけ歪んでいる。俺は顔を近づけ、その頂きに舌を這わせた。ぬるり、と舐め上げると、レイの反応はまだ少し鈍いもののくすぐったいのか声が漏れる。


「んっ…」


まだそんなに開発していなかったせいもあってここだけでは快感は足りていないようだった。けれど、これはレイが勝手に団員たちに好き勝手言ったお仕置きも含んでいる。俺は執拗に舐め回すのを続けた。もう片方は指で摘んだり、押したりと緩い刺激を続ける。


「…っ、ね、あんまりそこわかんないけど……」
「ああ、まだな」


なんたって楽しみはこれからだ。今日で開発してしまおうと画策する。


「あっ! ったぁ、やだぁ……」


カリッと軽く歯を立てるとレイから珍しく嫌がる声が上がる。俺は気にせずまるでロードクロサイトの色とそっくりな蕾の様な先の尖りを少し強く吸い上げた。


「あっ、い……っ」


口を離してレイの顔を見る。目からは大きな水溜まりが1つ出来ていた。けれども頬は紅潮していて劣情を煽り立ててくる。


「痛いだけ?」
「わ、分かんない…ジンジンする…」
 

俺はその言葉にふ、と嗤う。レイの足はもじもじさせていて落ち着かない。胸の頂きはすっかり赤みを帯びてピンと上に張っていた。

俺はもう一度今度は逆の頂きを舐める。さっきまで舐め上げた方はまた指でつねって摘んで、親指で軽く押し潰す。

今度は痛くないように慎重にゆっくり丁寧に嬲る。吸う時も強すぎないように気をつけながらレイの頂きを弄ぶ。


「ぁっ、ん!」


しばらく続けていると、レイの身体がビクッと反応して声が上がった。俺はもう一度顔を話した。レイを見ると、涙目になりながらも混乱している表情をしていた。


「な、なんで……ぇ?」
「感度が上がっただけだ、ほら証拠に」


とレイの視線を下に向かせるように指で指す。レイは自分の屹立が緩く立ち上がりかけてるのをみて、更に顔を赤面させた。


「あっ、やだぁ…」
「レイ。今日はここだけでイけるまでやめないから」
「ひっ、あ!んっ、んん!」


レイに微笑み、俺はまたレイの頂きに顔を埋めた。レイの怯えた声は無視する。また同じように舐めたり摘んだりしていると、段々と嬌声が大きくなってくる。レイの腰は、屹立を触ってほしそうにカクカクしていた。


「レイ。下は触らないよ」
「や、やだ…るーく、お願い」
「レイ?」


また嫌がるレイに微笑むと、んぐ、とレイは恥ずかしそうに口を閉じた。

本当に可愛くて仕方がない。俺の言うことなら何でも聞くこの蝶が愛しくて仕方がない。

俺は何度目かのレイの頂きを今までで1番強く吸い上げた。


「あっ!!!」


ビクンと上半身が浮き上がる。レイは乳首だけで既に息も絶え絶えだった。緩い快感がずっと続く地獄で涙が横に流れていた。レイの屹立は完全に反り返っていた。


「っはぁ、ぁ、も、だめぇ…っ」
「ああ、もうイケそうだな」


思ったよりも短かった。もともと素質があったのか。前から少しずつ弄ってはいたからその分感度も上がりやすかったせいもあったかもしれないな、と思いながら、俺はレイの赤くぷっくり腫れた乳首を両手でピンッと指で弾いた。


「あっ!!~~~っ!」


レイの身体はビクビクと震わせながら上半身が反り返った。レイの屹立からはダラダラと流れるように精液が垂れていた。


「っは、はっ、……ふ…っあ!まだ!」


ピクピクとイった快感を息を整えながら逃がそうとしている中、俺は香油を取り出しレイの後孔に垂らした。そのままぐちゅ、と指を入れる。


「あっ、あ!あっ!」


久しぶりだからか、狭くなっている中を拡張するように指を動かす。レイの中の良いところを掠っているのと、イったばかりで感度も良いので声を我慢できずにいる。


「あっ!んぅ、ぁあっ……っは、ぁ!」


指を少しずつ増やし、3本が簡単に入る頃にはレイの腰はガクガクと震えていた。ベッドに繋いである手首を見ると少し赤く擦れているようだったが、レイは全く気にしている様子はなかった。

俺は指をレイの中から抜いて、自分の陰茎を先程まで責めた蕾に当てる。


「レイ、入れるけど俺は動かない。レイも動かすなよ」
「んぇ…、な、どうするの……?」


俺は多分、この日1番の笑顔を見せて言った。


「乳首だけでまたイくんだ」


ひ、とレイは怯えていた。関係なしに俺はレイの蕾に中をあまり刺激しないように正常位でゆっくり挿入した。


「や、あ、あああ……っ」
「あー、入った。じゃ、レイ。自分で弄って」
「へ…ぁ、るーくがしてくれるんじゃないの……?」


レイの腰はヒクッと軽く動いているが、無視して微笑む。そして両手首のタオルを外してやった。


「ああ。さっき俺がやったみたく自分でやって」


レイはまた羞恥で涙目になりながらも、おずおずと自由になった手を自分の頂きに持っていった。

最初は遠慮がちにコリコリと自分で乳首を弄っていたが、段々と快感を得るようになってきたのか自分で力を調整してつねったり押したりし始めた。


「っあ!あ、ぁっ」


レイの腰がゆさゆさ揺れているが、このくらいなら中での快感は弱いと思い、そのままにする。

レイが自ら乳首を弄って快感を追いかけている様は卑猥で淫乱だった。ピンクだった乳首はすっかり赤く熟れた蕾のようになっているし、表情も上手くいつもの様に快楽が襲ってきてくれないもどかしさで眉尻が下がって涙目のままである。屹立は反り返り、先端から出ている液でテラテラしているのも淫靡で全てが俺を煽るようだった。

ああ、やっぱりこの美しい蝶が色欲を感じている様はずっと見ていたい。


「あ!~~~っ、あああ!」


突如、ビクンっと思い切り身体が跳ね上がり、腰も浮いて、俺はレイの中から抜けてしまった。達したレイは乱れた息もそのままに身体をピクピク痙攣させている。


「レイ。頑張ったな」
「っは、ぁ、は……ん、るーく…」


レイはまだイったばかりで気怠さがあるだろう腕を俺の首に回してくる。俺はレイの顔に屈み、口付けをした。口内に舌を入れ、舌を絡ませるように深く口付けすると、レイの足が俺の腰に巻き付くように絡ませてきた。


「ん……ふ、んん…」
「は、エロ。煽るの上手くなったな」
「……ふふ、先生が優秀だからね…」


俺は夜が更けるまで、淫猥な蝶を自らの巣で貪った。









翌日、ルークの声で目を覚ました。


「レイ、おはよう」
「……ん、るーく……」


まだ寝惚けたままでルークを見ると、既に部屋のシャワーを浴びた後のようだった。

すると、外がなんだか風と雨の音でうるさいことに気づく。


「?……雨?」
「ああ、昨日はそんな気配なかったけどな、豪雨だぞ」
「…じゃぁ、今日は中止だ……」


激しい雨の中、討伐はできない。しかも、スタンピードの魔獣達も、さすがに豪雨の中は襲いに来る可能性も低い。また滞在期間が延長しそうだった。

ため息をついて、ベッドの端にシーツを掴みながら座った。


「ま、ゆっくりシャワー浴びて朝飯にしよう。身体辛いなら持ってくるぞ」
「……後でみんなにからかわれそうだから、自分で行くよ」


そう言って、腰に回復をかけて立ち上がり、シャワーを浴びに行った。

お湯がかかると、あらぬ所がヒリヒリしてくる。昨日散々弄った胸の頂きが赤くなっていた。


「痛い…」


恥ずかしながら回復をかけて思う。またルークにせがまれたら自分は拒否しないんだろうな、と。





スッキリして、食堂にルークと行くと団員たちがおはようと気さくに挨拶してくれた。


「おいルーク、お前昨日クレイグの部屋に帰らなかったって?」
「あ?当たり前だろ。嫁が来てるのにムサい部屋になんかいるわきゃねーわ」
「うわ、俺の事ムサいってひど!」


団員と軽口を聞いているルークが、いかにここに馴染んでいるのか分かる。ここの団員は王城の騎士団と違い、気取らず気安い。ルークも仕事をしやすそうだった。

そんな様子を横目に、トレイを取るために手を伸ばした。


「……あれ?レイ殿、それどうしたんすか…っ」
「? ……あ」


クレイグに自分の手首を指さされる。袖口の広い服を着たため、手を伸ばすと手首が見えてくる。腰と胸には回復をかけたが、腕の痛みはあんまり感じなかったせいと、寝ぼけていたせいですっかり存在を忘れていた。

クレイグは気づいたようで、少し顔を赤くして指が震え、か、の口で止まったままだった。

他の周りにいた団員達もなんだなんだと自分の手首に注目してきた。

手首には縛られた後が赤くくっきり残っていた。


「……っ!」
「あ、やば」


自分の顔がみるみる紅潮するのが分かる。ルークが呟いたと同時に、トレイを思い切り元凶の頭に叩き落とした。


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