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2章
生殺しの蛇に噛まれる※
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馬車から降りると、殿下の部下に取り囲まれた。戦闘で何の役にも立たない俺と、放心しているレイでは抵抗できるはずもなく、殿下の後をついて行くことしか出来なかった。
王宮内は、悪趣味ではないかとも言えるほどの黄金が使われていた。そこかしこにギラつく装飾たちに悪趣味以外の何物でもないと思った。
しかし、殿下の部屋に案内されて、その悪趣味な趣味は殿下のものでないと気付かされた。
本で1度は見たことがある絵や壺、装飾品。そのどれもが名作とされている職人の結晶だった。
俺は敵陣地へノコノコやってきたにも関わらず、こんな時にも職業病を発症してしまうことに辟易した。
殿下は部屋の真ん中にあるソファへ、ふんぞり返るようにドカッと座った。これまでの態度は全て猫かぶりだったと感じた。
レイは馬車の中からずっと震えていた。おそらく、18年間のプライドを全て折られたせいだ。生まれてこの方、天才や世界一の魔法使いと言われ続けたレイは、この目の前の男に、「偽物」と評された。レイがどれだけ傷ついたか分からない。それでも俺はずっとレイの手を離さなかった。これを離せば、レイは更に傷つくのも分かりきったことだった。
「さて、そこの偽物の天才は今使い物にならない。この部屋は一切魔法が使えないからね。例え使えたとしてもここは王宮だ。君たちが逃げれば適当な罪で永遠に追われるだけだ」
「…何が望みですか」
俺の声は震えていた。目の前に対峙する男はまるで蛇のようだった。絡みついて、離さない。逃げられないと感じた。
「……ウォルター」
いつの間にか、殿下についていた従者が、俺たちの後ろに立っていた。ビクリと俺がすると、レイの首に針が刺さっていた。
「な!なにを!」
「……ぅ」
従者から身を離す。シリンジには液体は残っていなかった。全てレイの首筋に入れられたのだと理解した。
レイは小さく呻くと、放心していたレイの目から光が消えていくのが分かった。レイと俺の目線が合わない。
「何を入れた?!」
「ちょっと廃人にさせただけだ。暫くは戻ってこないよ。魔法を封印してても念には念を入れないといけないからね」
「この……っ」
レイをギュッと抱きしめるが、レイに力はない。立っていることも理解していないようだった。
「さぁ、寝台に乗れ。2人とも乗っていい」
「……」
「乗れ」
俺が躊躇していると、低くおぞましい声で命令される。俺一人が抵抗できるはずもない。
じりじりと後ろに下がるしか出来なかった。ゆっくりと、少しずつ寝台に後ずさりする。目線を逸らすことも怖くて出来なかった。寝台に膝裏が当たった。レイをゆっくり倒し、寝台に寝かせた。
「レイ……」
「ノア殿、いや、ノア。君が相手をしてくれればレイには手を出さないようにしよう」
「……っ」
俺にとってその言葉は、この絶望的な状況でまるで希望かのように感じてしまった。
この男は、分かっている。俺にそう言えば、俺が反抗しないことを。
「…レイには、指1本触れるな……!」
「いいな、その目。どこまでその抵抗が続くのか見物だ」
そう言って、男は俺を寝台に磔にするように押し倒す。
腰を撫でつけられ、背筋にゾワッと戦慄が走った。気持ち悪い。怖い。嫌だ。その全てを、焦点が合わないまま天井を見ている隣のレイを見て俺は呑み込んだ。
どの程度時間が経っただろうか。時間は随分経ったようにも感じたし、さほど経ってないようにも感じた。けれど、地獄のようなこの時間が永遠に続いているように感じて、俺は意識せず涙を流していた。
誰かに縋りたくて、目の前の男には絶対に縋りたくなくて。隣のレイの手をずっと握り続けた。
「っは、あ!……っく、ぅ」
「ははは。良い所にしか当ててないはずだよ。もう何回君はイった?」
男は俺を揺さぶりながら、嗤う。触られている所全てに不快感を感じるのに、グウェンにすっかり覚えさせられた身体は快楽を拾い上げてしまう。
もう吐精はしていなかった。今ある快楽は、後孔からの刺激によるものだ。
「あ!ん、ぅ……~~~~っ!」
「っは、後ろでイクことに慣れきってるね。これは誰が開発した?グウェン?それともゴードリック?」
「っく、この、糞が……」
「そんな口利きいていいと思ってる?」
「っ!」
男はレイの方に手を伸ばそうとする。俺は慌てて男の腕を掴んだ。絶対にレイには手出しさせたくない。
「君はどうしてそんなに兄が大切なの?教えてよ」
「…教える。教えるから、手を出すな」
そう言うと男は出した手を引っ込めた。ホッとしたのも束の間、俺の腰に手を当て、中にいる男がまた俺の後孔を貫き始めた。
「っあ!」
「ふふふ、面白い、面白いよ。君たち、本当に面白い。飽きないよ」
「んぐっ、ぁ、ああ!」
「さぁ、教えて?ノアがこんな目に遭ってもレイを可愛がる理由を」
理由…、理由は沢山ある。兄だから。俺と同じようにレイが一目惚れした相手を奪ったから。でも一番の理由は分かってる。後悔したくないからだ。
もう、あの前世の自分のようになりたくなかった。家族を不幸にしたくなかった。
「レイが、っ、家族だからだ!」
「そんなありきたりな答え要らないんだよ」
「っあ!」
「違うよね。君は。もっと奥深くにあるよね」
この男はどこまで俺を見透かしているのだろうか。俺が、レイを可愛がり続ける自分の浅ましさを見透かしているのか。
「っ、俺は、もう間違えたくない、からだっ」
「へぇ、まるで間違えたことがあるようだ。レイの様子だとそんなふうに見えないのにおかしい話だ。弟に正しいことをされ続けている兄のように見えるよ」
現世では、間違いなどあってはならないと決意していた。もうあんな風に、家族を失いたくない。
「そう、だ。おれは!ぁ、はっ、今回は家族を失いたく、ない、だから」
「それは君の死んだ両親のこと?なんだかチグハグだ。君はレイを見ている時に一体誰を見ているの?まるで」
ここではない、誰かを見ているようだ
「っ!」
「はは、締まった」
「っあ!や、やめ!」
「面白い面白い面白い!あはははは!」
王宮内は、悪趣味ではないかとも言えるほどの黄金が使われていた。そこかしこにギラつく装飾たちに悪趣味以外の何物でもないと思った。
しかし、殿下の部屋に案内されて、その悪趣味な趣味は殿下のものでないと気付かされた。
本で1度は見たことがある絵や壺、装飾品。そのどれもが名作とされている職人の結晶だった。
俺は敵陣地へノコノコやってきたにも関わらず、こんな時にも職業病を発症してしまうことに辟易した。
殿下は部屋の真ん中にあるソファへ、ふんぞり返るようにドカッと座った。これまでの態度は全て猫かぶりだったと感じた。
レイは馬車の中からずっと震えていた。おそらく、18年間のプライドを全て折られたせいだ。生まれてこの方、天才や世界一の魔法使いと言われ続けたレイは、この目の前の男に、「偽物」と評された。レイがどれだけ傷ついたか分からない。それでも俺はずっとレイの手を離さなかった。これを離せば、レイは更に傷つくのも分かりきったことだった。
「さて、そこの偽物の天才は今使い物にならない。この部屋は一切魔法が使えないからね。例え使えたとしてもここは王宮だ。君たちが逃げれば適当な罪で永遠に追われるだけだ」
「…何が望みですか」
俺の声は震えていた。目の前に対峙する男はまるで蛇のようだった。絡みついて、離さない。逃げられないと感じた。
「……ウォルター」
いつの間にか、殿下についていた従者が、俺たちの後ろに立っていた。ビクリと俺がすると、レイの首に針が刺さっていた。
「な!なにを!」
「……ぅ」
従者から身を離す。シリンジには液体は残っていなかった。全てレイの首筋に入れられたのだと理解した。
レイは小さく呻くと、放心していたレイの目から光が消えていくのが分かった。レイと俺の目線が合わない。
「何を入れた?!」
「ちょっと廃人にさせただけだ。暫くは戻ってこないよ。魔法を封印してても念には念を入れないといけないからね」
「この……っ」
レイをギュッと抱きしめるが、レイに力はない。立っていることも理解していないようだった。
「さぁ、寝台に乗れ。2人とも乗っていい」
「……」
「乗れ」
俺が躊躇していると、低くおぞましい声で命令される。俺一人が抵抗できるはずもない。
じりじりと後ろに下がるしか出来なかった。ゆっくりと、少しずつ寝台に後ずさりする。目線を逸らすことも怖くて出来なかった。寝台に膝裏が当たった。レイをゆっくり倒し、寝台に寝かせた。
「レイ……」
「ノア殿、いや、ノア。君が相手をしてくれればレイには手を出さないようにしよう」
「……っ」
俺にとってその言葉は、この絶望的な状況でまるで希望かのように感じてしまった。
この男は、分かっている。俺にそう言えば、俺が反抗しないことを。
「…レイには、指1本触れるな……!」
「いいな、その目。どこまでその抵抗が続くのか見物だ」
そう言って、男は俺を寝台に磔にするように押し倒す。
腰を撫でつけられ、背筋にゾワッと戦慄が走った。気持ち悪い。怖い。嫌だ。その全てを、焦点が合わないまま天井を見ている隣のレイを見て俺は呑み込んだ。
どの程度時間が経っただろうか。時間は随分経ったようにも感じたし、さほど経ってないようにも感じた。けれど、地獄のようなこの時間が永遠に続いているように感じて、俺は意識せず涙を流していた。
誰かに縋りたくて、目の前の男には絶対に縋りたくなくて。隣のレイの手をずっと握り続けた。
「っは、あ!……っく、ぅ」
「ははは。良い所にしか当ててないはずだよ。もう何回君はイった?」
男は俺を揺さぶりながら、嗤う。触られている所全てに不快感を感じるのに、グウェンにすっかり覚えさせられた身体は快楽を拾い上げてしまう。
もう吐精はしていなかった。今ある快楽は、後孔からの刺激によるものだ。
「あ!ん、ぅ……~~~~っ!」
「っは、後ろでイクことに慣れきってるね。これは誰が開発した?グウェン?それともゴードリック?」
「っく、この、糞が……」
「そんな口利きいていいと思ってる?」
「っ!」
男はレイの方に手を伸ばそうとする。俺は慌てて男の腕を掴んだ。絶対にレイには手出しさせたくない。
「君はどうしてそんなに兄が大切なの?教えてよ」
「…教える。教えるから、手を出すな」
そう言うと男は出した手を引っ込めた。ホッとしたのも束の間、俺の腰に手を当て、中にいる男がまた俺の後孔を貫き始めた。
「っあ!」
「ふふふ、面白い、面白いよ。君たち、本当に面白い。飽きないよ」
「んぐっ、ぁ、ああ!」
「さぁ、教えて?ノアがこんな目に遭ってもレイを可愛がる理由を」
理由…、理由は沢山ある。兄だから。俺と同じようにレイが一目惚れした相手を奪ったから。でも一番の理由は分かってる。後悔したくないからだ。
もう、あの前世の自分のようになりたくなかった。家族を不幸にしたくなかった。
「レイが、っ、家族だからだ!」
「そんなありきたりな答え要らないんだよ」
「っあ!」
「違うよね。君は。もっと奥深くにあるよね」
この男はどこまで俺を見透かしているのだろうか。俺が、レイを可愛がり続ける自分の浅ましさを見透かしているのか。
「っ、俺は、もう間違えたくない、からだっ」
「へぇ、まるで間違えたことがあるようだ。レイの様子だとそんなふうに見えないのにおかしい話だ。弟に正しいことをされ続けている兄のように見えるよ」
現世では、間違いなどあってはならないと決意していた。もうあんな風に、家族を失いたくない。
「そう、だ。おれは!ぁ、はっ、今回は家族を失いたく、ない、だから」
「それは君の死んだ両親のこと?なんだかチグハグだ。君はレイを見ている時に一体誰を見ているの?まるで」
ここではない、誰かを見ているようだ
「っ!」
「はは、締まった」
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