【完結】泥中の蓮

七咲陸

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2章

仇も情けも月の行いから出る※

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※ちょっと変態プレイです。苦手な方は注意して下さい



夜が来なければいい、と本気でそう思った。

昨日までは締切に追われ、朝が来なければいいと思っていたのに。恐らくあともう少しでグウェンが帰ってくる。何度目かの大きなため息をついて机に突っ伏した。


「やってしまわれましたね。主人はお怒りになるでしょう」
「だめよ、アイリス。追い討ちをかけては。これからめちゃくちゃに怒られるのが目に見えているからって」
「や、やめて…追い討ちかけないで……」


スイレンとアイリスに更なる追い打ちをかけられて、気分が沈んでいく。

あれからグウェンは一言も話さず、その場を離れていった。俺も、やらかした事が大きすぎて何も言葉を発することが出来なかった。それからはずっとため息をついている。


「もーほんと、いつもは冷静なのにどうしてやらかすかなぁー」
「レイやめとけ。これから責められまくるのが目に見えてるんだ。まぁよく王族相手に詰め寄ることが出来たなとは思うが。どうせ締切明けのハイテンションだったんだろ」


そう、ルークの言う通りだった。まず、始まりの時点でテンションが高かったことは否めない。

使節団が来たというのに、何日かぶりのグウェンを見つけて気分が高揚し、グウェンが刺繍を見て感嘆しているのにも気づいたのだ。それはもう嬉しくて仕方がなくて。

そのテンションのまま殿下にズカズカと土足で踏み荒らすかのようにありえない言動をした。


「いっそ殺して…」
「まぁノア1人では行かないだろうから大丈夫じゃん?」
「グウェン様が1人で行かせないだろ。平気だって」
「……そもそも引きこもりなんだ、俺は」


前世で引きこもりとなり、現世でもインドアの仕事をすることですっかり引きこもりが身体に染み付いていた。

グウェンに怒られることはもちろん嫌だったが、それと同じくらい旅行でもない状況で他国に行く事は考えただけで本気でツラい。


「うーん、なんか思ったよりも殿下って気さくな方なんだねぇ」
「人見知りの俺でも話しやすくて調子に乗ってしまったんだ…ああああああ、絶対グウェンに怒られる!!」
「分かってるじゃないか」


突っ伏していた身体を上げられなくなった。その声の人物は、何日かぶりに会いたいと思いつつも、今一番会いたくない人物だった。

ゆっくり身体を起こして、その人物の顔を覗くように見ると、こめかみがぴくぴくしていた。


「ひっ……!」
「殿下はあれから大層機嫌がよかった。そもそもだ!隣国へ行くことも充分におかしい話だが、王族へあんなに詰め寄るように話すなどありえん!しかもだ!笑顔を振り撒きすぎて殿下ですら固まっていたぞ!」
「あーあー、そんなにニッコニコだったの。珍しー」
「大方、グウェン様しか見てなかっただろ」


レイとルークはテーブルにある菓子をムシャムシャ食べながら話し、俺へのヘルプは一切してくれない。この場に俺の味方は誰も居なかった。


「父上から連絡があった、『うちの婚約者殿は一体何をしでかしたんだ』と言っていた」
「うっ!」
「母上は招待状が届いた瞬間、封蝋を見て頭痛で目眩がしたそうだ」
「ううう……」


グゥの音もでない。


「誰も歓迎してないの?ノアが隣国に行くこと」
「…………居ることには居る。宰相閣下だ」
「宰相閣下ぁ?どうしてです?」


ルークの質問に大きく溜息をつきながらグウェンは説明する。


「国を上げていくわけではないから経費はぼぼゼロ。むしろ工芸品の流通が盛んになることを期待している。……あとは、レイとノアの叔父の件でアーロイ王国との友好にほんの少しだがヒビが入っていた。親族が行くことでなんの憂いがないことをアピールしたいんだろう」
「うわっ……いい事づくめだ。こりゃ断れないね」
「レイ、そもそも王族からの招待は断ることは出来ないだろ」


俺は唸ることしか出来なかった。そう。俺は今断崖の絶壁に立たされているんだ。戻ることはできない。飛び込むことしか出来ない場所まで行っている。


「んー…じゃあ僕も行こっかなぁ」
「え?レイも招待されてるのか?」
 「ううん、でもノアの顔も込みで気に入られたなら僕もなんとかするからさ」
「……れ、レイ~~!!!」


俺は大好きな兄を抱きしめながら、とにかく泣いた。

ルークとグウェンは2人でまた大きくため息をついていたが気付かないふりをするしかなかった。おそらく2人ともこう思っているからだ。『この兄弟は、お互いに甘すぎる』と。









「ノア、覚悟は出来てるな」


夕食を取り、レイとルークが帰宅したあとにグウェンに手を引かれ、寝室へ連れていかれた。ベッドに押し倒され、ギシッと俺の心情を代弁するようにベッドから悲鳴が聞こえる。


「ほ、本当にごめんなさい……あ、あんなことになるなんて思わなかった!」
「言い訳は無用だ」


嫌な予感がする。何をされるのか色んな思考が駆け巡る。グウェンの事だから痛いことはないだろうが。ビクビクと怯えていると、グウェンが覆いかぶさり、首筋にピリッとした感覚があった。


「んっ…」
「出来れば行かせたくないが、拒否するのは難しい。俺も行けるように調整するからな」
「は、はい……」


オドオドと返事をすると、今度は唇に柔らかい感触がする。

謝罪は止めようと心に決めた。目の前の男の機嫌が少しでも良くなるように、と首に自分の腕を回すことにした。


「んっ、ふっ……ん」
「ノア、舌出して」
「……んぁ」


少しだけ逡巡した後、素直に舌を出す。グウェンは出された舌を舐めずり、痛くない程度に、腰が痺れる程度に吸われる。唾液が口を開け続けているせいで、グウェンの唾液と混ざって口からだらしなく垂れていく。


「んふ、ぁ、んっ……ぷぁ」
「……今日は俺の思う通りにするからな」
「ん……グウェン、何でもするから…」


大体いつもグウェンの思う通りになっていると思うが、そうは口にしない。もう今日は、この男の機嫌を取り戻す。それに徹するしかないのだ。

けれどこの後俺は、王子の前でやらかしたことよりも、何でもする発言に後悔することになった。




「あっ!あ!だめ!もう出ない!むり!やっ、あ゛!あ゛!」


パンッパンッと叩きつけられるように後ろから後孔が蹂躙される。奥の良いところも、前立腺も全部当てられて、頭がおかしくなりそうだった。もう何回イったのか数えていない。もう精液は出ない。

ドライのままイカされ続けていた。グウェンも何度か出したのか、後孔の抜き挿しする音に激しい水音が混ざって泡立っている。


「出なくてもイけるだろう」
「ん゛っ!もう!無理ぃ!」
「何でもするんだろう?」


言ったけども、こんなにキツイくらいイカされ続けられると過ぎた快楽が苦しくて生理現象で涙が出る。

すると、食事の際、ヤケ酒のように飲んだのが効いてきたのか今ここで込み上げてはならないものが湧き上がる。


「ちょ、ちょっ、と!まっ、てぇ!やだ!やだやだ!」
「どうした?」


拒否の仕方に雰囲気が変わったのが感じたのか、尋ねてくる。しかし、腰の動きは止めて貰えなかった。


「と、まって゛ぇ!あ!1回、抜いて!」
「……ああ、いつもより飲んでたな」


バレた。バレてはならない人物に、暴かれた。

けれど後ろから突き上げられている動きが止まった。グウェンがズルっと後ろから引き抜かれ、ほっとした。ベッドから降りようとしたが、膝に腕を入れられ、そのまま横抱きにされた。


「わっ!お、下ろして!」
「……ああ、後でな」


部屋に備え付けられているトイレに行こうとしているのか。しかし、グウェンはシャワー室に向かった。危険信号が自分の頭で鳴る。理解したくなくて、頭が一瞬真っ白になった。

シャワー室に着くと、身体を下ろされた。シャワーを流すと最初は冷たかったが直ぐに暖かいお湯が流れる。自分の背中に壁を当てられて、グウェンは俺の左足を膝から持ち上げた。


「え」


すると、ぐちゅん!、という音とともに思い切り突き上げられた。


「~~~~っっ!!!あ゛!やだ!だめ!」
「大丈夫だ、ここなら」
「やだやだやだ!やっあ゛!」


否定の言葉は完全に無視され、グウェンはお構い無しに奥をガツガツ突く。その度に込み上げてくるものを出したくなる。みっともなく、子供のように嫌だと繰り返すことしか出来なかった。


「ノア、少しだけ押す」
「ひっ!!やめ!~~~っあ、やだぁ……」


腹部を軽く圧迫されるだけで、我慢して堰き止めていたものが瓦解する。

シャワーと共に流れていく水は、透明ではなかった。それを見て、生理的なものだけでは無い涙が流れてきた。


「っ、ひっく、やだっていったのにぃ……!」
「ノア、よく出来たな。可愛いぞ」
「ひ、ひくっ、ひどい…ぃ」


俺は、何でもするという言葉は二度と口にしないと心に決めた。


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