1 / 92
1章
地獄※
しおりを挟む
「お前ほんと女顔だけど下ついてんのかよ」
「見てみりゃいいだろ、ほらよっと」
汗と埃の匂いがする体育倉庫の中で、ゲスな笑い声が重なる。合図と共に制服は無理やり開かれ、平らな胸が露わになる。ズボンも一気に脱がされ、身体は後ろから羽交い締めにされて身動きは取れない。
「顔が良いし、男でもヤレるなー」
「妊娠することも無いしな」
「生はやめろよ、病気こええし」
嫌だ、やめろ、といくら叫んでもコイツらにはニヤニヤと下卑た顔をさせるだけだった。恐ろしくて身体は震えていた。これからされることを思えば、殴られたり、蹴られた方がマシだ。一人の男が自分のズボンのチャックを開けて、屹立した男根を出してくる。気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
「アハハ、お前もうそんなかよ、やべぇな」
「俺レイプもの好きなんだよなー。今めっちゃ興奮してる。俺1番な」
暴れて蹴りあげる足を押さえつけられる。自分の唯一の穴に向かって屹立した男根が容赦なく突き立てられた。
「ああああああああぁぁぁ、ぁぐっ」
痛い。痛みで叫び声を上げた。叫んだと同じに右頬に鈍い痛みを感じた。正面の男とは別の男が拳を握っていた。
「うるせぇなー、だまって喘げよ」
「いやいや声聞いたら萎えるって」
「顔は殴るの止めろよなー」
「いいから、楽しもうぜ」
どのくらい経っただろうか、ゴムは途中で無くなったようだった。精液と血で濡れているそこは痛みも感じなくなるほどに使い込まれた。涙も枯れ果てた虚ろな瞳をしていた。
「はー、結構楽しんだな」
「いや俺まだヤルわ。変われよ」
「おい!なにをしている!開けなさい!」
「やべぇ!! 誰か来た!」
ドアは無理やりこじ開けられた。悲惨な状況に教師陣は一瞬言葉を失っていた。
もう思い出したくもない記憶だ。
なのに、憶えている。心も身体も。
記憶が、恐怖が蘇る。
「月人、もうあの人達は退学になったの。あなたももう少ししたら違う学校に行きましょう。行った先は知ってるから絶対に被ったりしないわ。お母さんと勇気をだして外に出ましょう。貴方ならきっと大丈夫、今はつらいかもしれないけど一緒に頑張りましょう」
「うるさい!!!」
自分の部屋の前で母親の声がする。母親の励ましのエールは今1番聞きたくなかった。
惨めで、恐怖で外界を拒絶した。何ヶ月部屋に閉じこもっているだろうか。排泄の時だけ部屋からでて、それ以外は自分の部屋にいた。いわゆる引きこもりにというやつだ。
「お母さん待ってるからね」
「うるせえって言ってんだろくそばばあ!!!」
しばらくするとドアの外からパタパタと遠ざかるスリッパの音がした。この怒りを、悲しみを、辛さを、痛さを。母に全て浴びせた。母は根気よく毎日話しかけてきた。けれど、話される度に自分の惨めさが増していく気がした。だから、母を貶めた。
「おねがい、月人。顔だけでも見たいの」
「うるせぇ鏡見ろよ!最悪なことにお前とそっくりなんだからな!!お前がこんな顔で産んだから俺は……!」
「……そんな」
母は、その日以降話しかけてこなくなった。何日か経った後、またドアの前から話しかけてきた。
「月人。母さんが死んだ」
静かな父の声だった。
「…遺書があった。お前にごめんなさいって書いてある。…お前をそんな風に産んだのは俺たちかもしれないが、死なせるほどだったか…?俺と母さんがどれだけお前を育てることを頑張って来たのかわかるのか?お前が暴行を受けたあとも、俺と母さんは学校に毎日行って相手に重い罰が下るように努めていた。……お前のことを愛していたのに」
父の声は微かに上擦っていた。けれど無理やり押さえつけたような怒気も感じられる。
「そんな人を、お前は殺したんだ」
手近にあった紐を掴んだ。それを掴んだら後は止まらなかった。ドアノブに括り、自分の首にかけた所までが、自分にあった記憶だった。これが、俺の1度目の地獄だった。
「見てみりゃいいだろ、ほらよっと」
汗と埃の匂いがする体育倉庫の中で、ゲスな笑い声が重なる。合図と共に制服は無理やり開かれ、平らな胸が露わになる。ズボンも一気に脱がされ、身体は後ろから羽交い締めにされて身動きは取れない。
「顔が良いし、男でもヤレるなー」
「妊娠することも無いしな」
「生はやめろよ、病気こええし」
嫌だ、やめろ、といくら叫んでもコイツらにはニヤニヤと下卑た顔をさせるだけだった。恐ろしくて身体は震えていた。これからされることを思えば、殴られたり、蹴られた方がマシだ。一人の男が自分のズボンのチャックを開けて、屹立した男根を出してくる。気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い、気持ち悪い。
「アハハ、お前もうそんなかよ、やべぇな」
「俺レイプもの好きなんだよなー。今めっちゃ興奮してる。俺1番な」
暴れて蹴りあげる足を押さえつけられる。自分の唯一の穴に向かって屹立した男根が容赦なく突き立てられた。
「ああああああああぁぁぁ、ぁぐっ」
痛い。痛みで叫び声を上げた。叫んだと同じに右頬に鈍い痛みを感じた。正面の男とは別の男が拳を握っていた。
「うるせぇなー、だまって喘げよ」
「いやいや声聞いたら萎えるって」
「顔は殴るの止めろよなー」
「いいから、楽しもうぜ」
どのくらい経っただろうか、ゴムは途中で無くなったようだった。精液と血で濡れているそこは痛みも感じなくなるほどに使い込まれた。涙も枯れ果てた虚ろな瞳をしていた。
「はー、結構楽しんだな」
「いや俺まだヤルわ。変われよ」
「おい!なにをしている!開けなさい!」
「やべぇ!! 誰か来た!」
ドアは無理やりこじ開けられた。悲惨な状況に教師陣は一瞬言葉を失っていた。
もう思い出したくもない記憶だ。
なのに、憶えている。心も身体も。
記憶が、恐怖が蘇る。
「月人、もうあの人達は退学になったの。あなたももう少ししたら違う学校に行きましょう。行った先は知ってるから絶対に被ったりしないわ。お母さんと勇気をだして外に出ましょう。貴方ならきっと大丈夫、今はつらいかもしれないけど一緒に頑張りましょう」
「うるさい!!!」
自分の部屋の前で母親の声がする。母親の励ましのエールは今1番聞きたくなかった。
惨めで、恐怖で外界を拒絶した。何ヶ月部屋に閉じこもっているだろうか。排泄の時だけ部屋からでて、それ以外は自分の部屋にいた。いわゆる引きこもりにというやつだ。
「お母さん待ってるからね」
「うるせえって言ってんだろくそばばあ!!!」
しばらくするとドアの外からパタパタと遠ざかるスリッパの音がした。この怒りを、悲しみを、辛さを、痛さを。母に全て浴びせた。母は根気よく毎日話しかけてきた。けれど、話される度に自分の惨めさが増していく気がした。だから、母を貶めた。
「おねがい、月人。顔だけでも見たいの」
「うるせぇ鏡見ろよ!最悪なことにお前とそっくりなんだからな!!お前がこんな顔で産んだから俺は……!」
「……そんな」
母は、その日以降話しかけてこなくなった。何日か経った後、またドアの前から話しかけてきた。
「月人。母さんが死んだ」
静かな父の声だった。
「…遺書があった。お前にごめんなさいって書いてある。…お前をそんな風に産んだのは俺たちかもしれないが、死なせるほどだったか…?俺と母さんがどれだけお前を育てることを頑張って来たのかわかるのか?お前が暴行を受けたあとも、俺と母さんは学校に毎日行って相手に重い罰が下るように努めていた。……お前のことを愛していたのに」
父の声は微かに上擦っていた。けれど無理やり押さえつけたような怒気も感じられる。
「そんな人を、お前は殺したんだ」
手近にあった紐を掴んだ。それを掴んだら後は止まらなかった。ドアノブに括り、自分の首にかけた所までが、自分にあった記憶だった。これが、俺の1度目の地獄だった。
24
お気に入りに追加
855
あなたにおすすめの小説
美貌の騎士候補生は、愛する人を快楽漬けにして飼い慣らす〜僕から逃げないで愛させて〜
飛鷹
BL
騎士養成学校に在席しているパスティには秘密がある。
でも、それを誰かに言うつもりはなく、目的を達成したら静かに自国に戻るつもりだった。
しかし美貌の騎士候補生に捕まり、快楽漬けにされ、甘く喘がされてしまう。
秘密を抱えたまま、パスティは幸せになれるのか。
美貌の騎士候補生のカーディアスは何を考えてパスティに付きまとうのか……。
秘密を抱えた二人が幸せになるまでのお話。
異世界転生先でアホのふりしてたら執着された俺の話
深山恐竜
BL
俺はよくあるBL魔法学園ゲームの世界に異世界転生したらしい。よりにもよって、役どころは作中最悪の悪役令息だ。何重にも張られた没落エンドフラグをへし折る日々……なんてまっぴらごめんなので、前世のスキル(引きこもり)を最大限活用して平和を勝ち取る! ……はずだったのだが、どういうわけか俺の従者が「坊ちゃんの足すべすべ~」なんて言い出して!?
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
宰相閣下の執愛は、平民の俺だけに向いている
飛鷹
BL
旧題:平民のはずの俺が、規格外の獣人に絡め取られて番になるまでの話
アホな貴族の両親から生まれた『俺』。色々あって、俺の身分は平民だけど、まぁそんな人生も悪くない。
無事に成長して、仕事に就くこともできたのに。
ここ最近、夢に魘されている。もう一ヶ月もの間、毎晩毎晩………。
朝起きたときには忘れてしまっている夢に疲弊している平民『レイ』と、彼を手に入れたくてウズウズしている獣人のお話。
連載の形にしていますが、攻め視点もUPするためなので、多分全2〜3話で完結予定です。
※6/20追記。
少しレイの過去と気持ちを追加したくて、『連載中』に戻しました。
今迄のお話で完結はしています。なので以降はレイの心情深堀の形となりますので、章を分けて表示します。
1話目はちょっと暗めですが………。
宜しかったらお付き合い下さいませ。
多分、10話前後で終わる予定。軽く読めるように、私としては1話ずつを短めにしております。
ストックが切れるまで、毎日更新予定です。
最強S級冒険者が俺にだけ過保護すぎる!
天宮叶
BL
前世の世界で亡くなった主人公は、突然知らない世界で知らない人物、クリスの身体へと転生してしまう。クリスが眠っていた屋敷の主であるダリウスに、思い切って事情を説明した主人公。しかし事情を聞いたダリウスは突然「結婚しようか」と主人公に求婚してくる。
なんとかその求婚を断り、ダリウスと共に屋敷の外へと出た主人公は、自分が転生した世界が魔法やモンスターの存在するファンタジー世界だと気がつき冒険者を目指すことにするが____
過保護すぎる大型犬系最強S級冒険者攻めに振り回されていると思いきや、自由奔放で強気な性格を発揮して無自覚に振り回し返す元気な受けのドタバタオメガバースラブコメディの予定
要所要所シリアスが入ります。
異世界に転生したら竜騎士たちに愛されました
あいえだ
BL
俺は病気で逝ってから生まれ変わったらしい。ど田舎に生まれ、みんな俺のことを伝説の竜騎士って呼ぶんだけど…なんだそれ?俺は生まれたときから何故か一緒にいるドラゴンと、この大自然でゆるゆる暮らしたいのにみんな王宮に行けって言う…。王宮では竜騎士イケメン二人に愛されて…。
完結済みです。
7回BL大賞エントリーします。
表紙、本文中のイラストは自作。キャライラストなどはTwitterに順次上げてます(@aieda_kei)
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます
muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。
仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。
成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。
何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。
汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる