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契約する時は説明を読みましょう
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「あ、ノエル! 無事だった?」
ランディを保健室にヴィオレットと運んだ後、教室に戻るとジナルマーが駆け寄ってきた。
「間一髪……ジナルマー、一生友達で居てくれ……」
俺はジナルマーの肩に手を置いて感謝を述べた。
「ええ? それは歓迎するけども。大袈裟だなぁ」
「大袈裟な訳があるか。襲われかけたわ」
「え! そんなにやばかったの?! やっぱりテーヴ、一緒に割り込むべきだったよー」
ライがテーヴに向かって叫ぶと、テーヴは首を振った。
「……ヴィオレット様に任せた方が良い。エルダーなのだし、そういう面倒を見るのも役割の一つだ」
「なんなんだよエルダーって。訳わかんねぇよ……」
テーヴに言うと、呆れたようにため息ををついた。
「なんで知りもせずにエルダーを頼んだんだ……エルダーって言うのは先輩って意味がある」
「それはなんとなく、分かる」
「先輩が後輩を学園生活をより良くするために導くために出来た制度だ。より良くするためなら、基本的になんでもしてあげることを求められる」
「なんでも?」
「そうだ。ノエルが助けろと言えば助けるし、勉強を教えろと言えば指導する。教え方は問われていないが」
「……こええよ!」
絶対教えろとは言いたくない!
そういうの、姉に見せられたBL本に沢山あった……! 教える代わりにとか、教えてる間にだんだん……とか! エロい事されるやつな!
「ノエルは16歳まで手を出さない約束をさせてるから、兄様も何もしないんじゃない?」
「……確かに」
ジナルマーに言われ、頼みやすく感じる。
まぁ7歳の勉強なんて大したことないだろうけどな。
「とにかく、ヴィオレット様に任せとけば大丈夫だよ! 良かったね、ノエル」
「とりあえずな……」
婚約する時に決めた、16歳までは手を出さない、という制約が、なんとなく怖く感じてきたのは俺だけだろうか。
「ところで、ランディはどうなったんだ」
「……ヴィオ様が吹っ飛ばして意識飛んでたから、保健室にいる」
「ノエル。ヴィオレット様を怒らせるなよ。絶対だ」
テーヴに強めに言われる。
フラグか?それは。フラグなのか?
「兄様は滅多に怒らないから平気だよー」
「滅多に怒んねーからこええんだよ……」
そもそもジナルマーは良い子そうだし、怒られることがなさそうだ。
俺も良い子にしてる方だとは思うが、婚約破棄する時は慎重にしよう。両親同席の上、きちんとした破棄を……
「ま、これでランディも俺には近づかねーだろ!」
「……そうかなぁ…、なんだかノエルの話を聞く限り、凄く正義感強そうだからなぁ……」
「やめろ言うな」
ジナルマーの言葉のせいで諦めないフラグが立つ!
しかし、ランディはついぞ戻ってこなかった。
不安になって保健室に行くことにした。
半分はエルダーのヴィオレットのせいだが、その半分の内の少しは俺がちゃんと説明出来なかったせいだ。
あと半分はランディ自身のせいだがな!
「おーい……平気か……?」
ベッドにあるカーテンを開けて入ると、まだランディは寝ていた。寝息があることにホッとした。
これ以上はフラグが立ちそうだし、俺はくるりと踵を翻した。
しかし、腕を掴まれた事でゾッとした。
「ひっ……!」
恐怖で上手く声が出なかった。寝ていると思っていた相手が、突然腕を掴んできたなんて驚く以上に恐怖だわ!
「ノエル? なんで俺はここに居るんだ?」
「……覚えてないですかね」
「あんまり……記憶が無いな」
ラッキーだ。このまま忘れ去ってくれ!
「転んだんですよ、いやー良かった。 俺は目撃者だから様子見に来ただけです。運んでくれた人は知らない人でしたけど。じゃ!」
腕を思い切りブンッと振って引き剥がし、俺は保健室を後にした。
俺は嘘をつくことに何ら躊躇いもなかった。
しかし、俺はラッキーとばかりに微笑んでしまったことにこの時は気づいていなかった。
ランディを保健室にヴィオレットと運んだ後、教室に戻るとジナルマーが駆け寄ってきた。
「間一髪……ジナルマー、一生友達で居てくれ……」
俺はジナルマーの肩に手を置いて感謝を述べた。
「ええ? それは歓迎するけども。大袈裟だなぁ」
「大袈裟な訳があるか。襲われかけたわ」
「え! そんなにやばかったの?! やっぱりテーヴ、一緒に割り込むべきだったよー」
ライがテーヴに向かって叫ぶと、テーヴは首を振った。
「……ヴィオレット様に任せた方が良い。エルダーなのだし、そういう面倒を見るのも役割の一つだ」
「なんなんだよエルダーって。訳わかんねぇよ……」
テーヴに言うと、呆れたようにため息ををついた。
「なんで知りもせずにエルダーを頼んだんだ……エルダーって言うのは先輩って意味がある」
「それはなんとなく、分かる」
「先輩が後輩を学園生活をより良くするために導くために出来た制度だ。より良くするためなら、基本的になんでもしてあげることを求められる」
「なんでも?」
「そうだ。ノエルが助けろと言えば助けるし、勉強を教えろと言えば指導する。教え方は問われていないが」
「……こええよ!」
絶対教えろとは言いたくない!
そういうの、姉に見せられたBL本に沢山あった……! 教える代わりにとか、教えてる間にだんだん……とか! エロい事されるやつな!
「ノエルは16歳まで手を出さない約束をさせてるから、兄様も何もしないんじゃない?」
「……確かに」
ジナルマーに言われ、頼みやすく感じる。
まぁ7歳の勉強なんて大したことないだろうけどな。
「とにかく、ヴィオレット様に任せとけば大丈夫だよ! 良かったね、ノエル」
「とりあえずな……」
婚約する時に決めた、16歳までは手を出さない、という制約が、なんとなく怖く感じてきたのは俺だけだろうか。
「ところで、ランディはどうなったんだ」
「……ヴィオ様が吹っ飛ばして意識飛んでたから、保健室にいる」
「ノエル。ヴィオレット様を怒らせるなよ。絶対だ」
テーヴに強めに言われる。
フラグか?それは。フラグなのか?
「兄様は滅多に怒らないから平気だよー」
「滅多に怒んねーからこええんだよ……」
そもそもジナルマーは良い子そうだし、怒られることがなさそうだ。
俺も良い子にしてる方だとは思うが、婚約破棄する時は慎重にしよう。両親同席の上、きちんとした破棄を……
「ま、これでランディも俺には近づかねーだろ!」
「……そうかなぁ…、なんだかノエルの話を聞く限り、凄く正義感強そうだからなぁ……」
「やめろ言うな」
ジナルマーの言葉のせいで諦めないフラグが立つ!
しかし、ランディはついぞ戻ってこなかった。
不安になって保健室に行くことにした。
半分はエルダーのヴィオレットのせいだが、その半分の内の少しは俺がちゃんと説明出来なかったせいだ。
あと半分はランディ自身のせいだがな!
「おーい……平気か……?」
ベッドにあるカーテンを開けて入ると、まだランディは寝ていた。寝息があることにホッとした。
これ以上はフラグが立ちそうだし、俺はくるりと踵を翻した。
しかし、腕を掴まれた事でゾッとした。
「ひっ……!」
恐怖で上手く声が出なかった。寝ていると思っていた相手が、突然腕を掴んできたなんて驚く以上に恐怖だわ!
「ノエル? なんで俺はここに居るんだ?」
「……覚えてないですかね」
「あんまり……記憶が無いな」
ラッキーだ。このまま忘れ去ってくれ!
「転んだんですよ、いやー良かった。 俺は目撃者だから様子見に来ただけです。運んでくれた人は知らない人でしたけど。じゃ!」
腕を思い切りブンッと振って引き剥がし、俺は保健室を後にした。
俺は嘘をつくことに何ら躊躇いもなかった。
しかし、俺はラッキーとばかりに微笑んでしまったことにこの時は気づいていなかった。
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