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再接触
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「やっぱり脅されてるな」
俺は凄く凄くピンチだった。
ジナルマー達と話し終えると同時に、腕を掴まれ空き教室に連れ込まれた。掴む手の力が異様に強くて俺は逃げることが出来なかった。
因みに今も逃げられそうにない。
壁ドン中だからだ。
「ら、ランディさん……その、少し離れてくれませんかね」
なんで俺が男に壁ドンされなきゃいけねぇんだよ! 俺はしたいんだよ!女の子に!
「ノエルが認めれば離れる」
「認めるも何も、婚約者でエルダーである人に脅されるなんて有り得ません!」
エルダーが抑止力になるって言ってたのに!嘘つき!
「……無理やり付けられているんだろ? そのイヤリングも」
「だ、だとしたらなんなんですか、代わりに違うものをくれるんですか」
あ、俺は今絶対まずいことを言ったなって自分でも思った。
「……エルダー破棄か。近く準備する」
「え?! やめてやめて! 良いんです!このままで!」
頼む、ややこしくしないでくれ!
準備っつーのは、エルダーの証拠であるイヤリング以上の物を準備するっつー事だ。
涙目になりつつそう訴えると、ランディの頬が少し赤く染まった。
は!無表情が崩れた!
「そんなに泣くほど嫌なら、俺が絶対に助けるからな」
そう言ってランディは俺の肩に両手を置く。
言語が通じなくなってる! やばい!
「い、いえ! 嫌なんじゃなくて! この状況のが!」
「この状況を変えるためにはエルダーを破棄させなくちゃな」
聞けよ!人の話を!
「ですから! 俺は望んでエルダーになったんです!」
「……婚約者は」
「は?」
「婚約者も望んでなったのかよ」
俺は咄嗟に答えられなかった。
半分望んで、半分詐欺にあったようなもんだ。
答えられない俺を見て、ランディは「やっぱり」と言う。
やっぱりって何! もうこれ以上ややこしくしないで!
「と、とにかく! もう構わないでください!」
「どうしてだよ。助けようとしてるのに」
出たー!正義感の強いやつだー!
こっちの都合なんかお構い無しに正義を理由にふりかざそうとするのは暴力みたいなもんだからな。
気持ちだけ貰っとくから! やめてくれ!
「ひっ……!」
ランディの顔が近づく。俺はさらに涙目になって顔を逸らした。
「……可愛いとは思っていたけど、泣きそうな顔は凄くそそられるな」
「ひぃいいい!」
7歳!お前7歳だろうが!
なんだよそそられるって!
キスをされるんじゃないかと思うほどの距離に顔を近づけられ、俺はますます恐怖する。
すると、ランディは突然後ろに吹っ飛んで行った。
「……た、助かった……」
「ジナルマーから連絡があって来てみれば、ノエルは随分楽しそうだな」
ヴィオレットがどうやらランディの首根っこを掴んで後ろにぶん投げたようだった。
ランディは因みに死んでない。のびてはいるが。
「楽しい訳あるか! めちゃくちゃ怖かった!」
まだ涙目のまま叫ぶと、ヴィオレットは愉快そうに笑う。
「抵抗もまともに出来ないのか」
「腕力は付かなかったんだよ! 脚力はあるけどな!」
「なら蹴ればいいだろう」
……確かに。次からそうしよう。
「まあ中途半端に抵抗すれば益々相手は逆上して……」
「いつも助けてくれてありがとうございます! これからもよろしくお願いします!」
俺は他力本願で生きることに決めたのだった。
俺は凄く凄くピンチだった。
ジナルマー達と話し終えると同時に、腕を掴まれ空き教室に連れ込まれた。掴む手の力が異様に強くて俺は逃げることが出来なかった。
因みに今も逃げられそうにない。
壁ドン中だからだ。
「ら、ランディさん……その、少し離れてくれませんかね」
なんで俺が男に壁ドンされなきゃいけねぇんだよ! 俺はしたいんだよ!女の子に!
「ノエルが認めれば離れる」
「認めるも何も、婚約者でエルダーである人に脅されるなんて有り得ません!」
エルダーが抑止力になるって言ってたのに!嘘つき!
「……無理やり付けられているんだろ? そのイヤリングも」
「だ、だとしたらなんなんですか、代わりに違うものをくれるんですか」
あ、俺は今絶対まずいことを言ったなって自分でも思った。
「……エルダー破棄か。近く準備する」
「え?! やめてやめて! 良いんです!このままで!」
頼む、ややこしくしないでくれ!
準備っつーのは、エルダーの証拠であるイヤリング以上の物を準備するっつー事だ。
涙目になりつつそう訴えると、ランディの頬が少し赤く染まった。
は!無表情が崩れた!
「そんなに泣くほど嫌なら、俺が絶対に助けるからな」
そう言ってランディは俺の肩に両手を置く。
言語が通じなくなってる! やばい!
「い、いえ! 嫌なんじゃなくて! この状況のが!」
「この状況を変えるためにはエルダーを破棄させなくちゃな」
聞けよ!人の話を!
「ですから! 俺は望んでエルダーになったんです!」
「……婚約者は」
「は?」
「婚約者も望んでなったのかよ」
俺は咄嗟に答えられなかった。
半分望んで、半分詐欺にあったようなもんだ。
答えられない俺を見て、ランディは「やっぱり」と言う。
やっぱりって何! もうこれ以上ややこしくしないで!
「と、とにかく! もう構わないでください!」
「どうしてだよ。助けようとしてるのに」
出たー!正義感の強いやつだー!
こっちの都合なんかお構い無しに正義を理由にふりかざそうとするのは暴力みたいなもんだからな。
気持ちだけ貰っとくから! やめてくれ!
「ひっ……!」
ランディの顔が近づく。俺はさらに涙目になって顔を逸らした。
「……可愛いとは思っていたけど、泣きそうな顔は凄くそそられるな」
「ひぃいいい!」
7歳!お前7歳だろうが!
なんだよそそられるって!
キスをされるんじゃないかと思うほどの距離に顔を近づけられ、俺はますます恐怖する。
すると、ランディは突然後ろに吹っ飛んで行った。
「……た、助かった……」
「ジナルマーから連絡があって来てみれば、ノエルは随分楽しそうだな」
ヴィオレットがどうやらランディの首根っこを掴んで後ろにぶん投げたようだった。
ランディは因みに死んでない。のびてはいるが。
「楽しい訳あるか! めちゃくちゃ怖かった!」
まだ涙目のまま叫ぶと、ヴィオレットは愉快そうに笑う。
「抵抗もまともに出来ないのか」
「腕力は付かなかったんだよ! 脚力はあるけどな!」
「なら蹴ればいいだろう」
……確かに。次からそうしよう。
「まあ中途半端に抵抗すれば益々相手は逆上して……」
「いつも助けてくれてありがとうございます! これからもよろしくお願いします!」
俺は他力本願で生きることに決めたのだった。
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