友達の彼女

みのりみの

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内海との出会い

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深夜の音楽番組の収録にへ行った。

そこでなぜかロケ弁ではなく社食が食べたいと春が言い出した。
ロケ弁を用意してたのに演者の頼みだからか局員の内海と名乗る小柄な女性は快く是非と言った。

ゆるいパーマに伸びかけのショートカットに耳に揺れる大きなピアス。
足首まで隠れるくらいの長いスカート。
背の低い彼女にはその格好がよく似合いテレビ局で働く女のふわりとした余裕と都会らしさを醸し出していた。

みんなでたまにはいいかと楽屋を出て内海さんの案内で社食に行こうとすると近くの楽屋から女の子達が出てきた。
「きゃ!」
扉を閉めたかと思うとまたそっと開いてこっちを見ていた。

「HARUさん」

春が振り返ると扉から黒髮のロングヘアーの女の子がでてきた。
「あれだれ?」
「DLOPっていう6人組のアイドルグループですよ。最近デビューして売り出し中みたいでよく見かけます」
内海さんはみんなに言った。

ショートパンツにロングブーツ。意志の強そうな瞳。ブーツからでる太ももがムチムチしてエロい。開いた胸元からは巨乳があからさまに目に入る。
ひろこと似たような髪型やエロそうな雰囲気でも決してひろこに似ている訳ではないその子は春に何やら話していたので先にエレベーターホールへ行った。
すぐに春が戻ってきたので内海さんがエレベーターで12階の社食へアテンドしてくれた。

「春、ナンパされたの?」
「ライブのチケット買いたいので電話していいですかって連絡先きかれた。ライブの予定なんてまだないよな?」
「それ、単に逆ナンじゃないか?」
聖司に言われみんな吹き出す。

「春はモテるから」

春がひろこ以外の子と、それは男だからあるかもしれない。

たまには他の子に目がいってもいいかもしれない。
それでひろこがいいか他の子がいいか気づく恋もある。
そしたら1人になったひろこに迫るのは誰なんだろう。
ひろこの恋人になれる権利はみんな平等になるんだ。
俺は春の横顔を見つめていた。

内海さんの配慮で社食に入り全員分の席を確保してくれてみんなで注文した。

「HARUさん社食がよかったんですか?」

内海さんはお茶を全員に配りながら話しかけた。
「ロケ弁も飽きちゃって。社食って会社員になった気分になれていいじゃないですか」
春のことばに内海さんはふふふと上品に笑った。
「それ、安藤ひろこちゃんと同じ意見。昨日あたし彼女のアテンドしたんですよ。年末番組の打ち合わせで。」
全員の動きが止まった。
まさかここでひろこの話題になるとは。芸能人なんてたくさんいるのになんでひろこなんだ?!俺は頭が真っ白になりとっさに立ち上がった。  

「内海!!」
「は、はい!」
さっきまでの笑顔が強張り内海さんも立ち上がった。

「内海さん、すいません。なんでもないです」
俺はおとなしく座ったがみんな目が硬直していた。

「安藤ひろこはかわいかったですか?」

とびきりハスキーな声で春が発言し場は凍りついた。
誰も春の顔を見れなかったと思う。

「かわいかったですよ。色っぽくてドキドキしました。うちの男性スタッフもドキドキしたって」
内海はまだドギマギしながら言った。

「内海さぁんケン怖くないから緊張しないで」
優希が内海さんの頭を撫でている。 

「内海さんは局員なんですか?」
聖司が質問した。
「はい。宣伝部在籍です。音楽番組はほぼ担当しておりますので何かありましたらおっしゃってください。来週は支倉大介さんのアテンドなんですけど、SOULのみなさんと仲良しなのですよね?」
「大ちゃんなんだ」
みんなが大ちゃんの話が出て少し笑い合い雰囲気が変わった。

「あ、支倉大介さんも安藤ひろこちゃんのファンみたいですよ。こないだおっしゃってました。」
また場がしーんと静まり返る。


『ひろこの部屋、今週のお客さまは支倉大介さんでーす』

木曜深夜に始まる番組を毎週見ていた。
ひろこの司会業も慣れたものだった。お団子頭にラベンダーのワンピースを着て拍手をしている。
大ちゃんがゲストの回だ。
大ちゃんは番組の中で公然と「ひろこちゃんかわいいね」「ひろこちゃんどうゆう人がタイプなの?」「ひろこちゃんどうしてそんなに色っぽいの!」と売り出し中には痛い会話がひろこに食いつき、肩組むかと思えば抱きついたりやりたい放題。
笑ってごまかし逃げるひろこがまた愛らしくてこれは春が見るには毒だとしきりに思えた。

この番組、編集でこの出来という事は実際は相当ヘビーだったのではとさえ思った。

一応女性人気NO1アーティストである支倉大介も全国区の地上波でこれでいいのか?とも疑問はあるがそこはチャラ男大ちゃん、それでよしなんだろう。

俺は内海と連絡先の交換をした。と言っても名刺をもらったので夜掛けますとだけ声をかけた。

昼間とっさに内海を威嚇したようでなんか気分が悪く、俺は内海にTVを見ながら電話して謝った。

「気にしてないから大丈夫ですよ」
あの温厚な笑顔が浮かんだ。

「ひろこ、元気だった?最近話してないんだ。俺はただの友達だけど」

内海にまで春の事で巻き込むのはかわいそうで、俺はフォローがてらに言っておいた。 

「安藤さん、仕事は順調だけど最近は悩む事ばかりですって言ってましたよ。ケンさんはお友達だったんですね。あんなかわいい子と友達なんてよく好きにならずにいられますね!」

内海のことばに意表を突かれたようでドキッとした。
「安藤さん、まだお若いのにすごい時計してました。稼いでるんですね。あの歳であんな高価な時計してるタレントさんなんて見た事ないからすごいなってびっくりしましたよ」
「もしかして白いROLEX?」
「それです!」

ひろこは手錠をしていたんだ。
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