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56.2つの目的
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――ボロン王国 王城
アリシアとセラフィは、王城にある一室で非公式の会談を行っていた。
本来ならば、聖女という立場であるアリシアをもてなすために最大級の歓待を行い、謁見の間にて話すことが通例であるが、今回はアリシア側の要求でなるべく人目に付かないように行われていた。
「――して、聖女様はなぜこのような形を望まれたのですかな?」
ボロン王国の国王ブラーク・ボリウムは、テーブルを挟んで反対の椅子に腰掛けるアリシアに落ち着いた様子で問いかけた。
「突然の来訪にも関わらずお受けいただき、感謝の至りに堪えません。単刀直入に申し上げます、陛下。かの国……アルゴン帝国に関することです」
アリシアの言葉に、僅かながら眉を動かすブラーク。
それは、彼にとっても今もっとも頭を悩ませる存在だったからだ。
「アルゴン帝国……ですか。なぜここでその国の名前がでてくるのですかな?」
だが、いくら頭を悩ませる存在だとしてもそれを簡単に認めてしまうわけにはいかない。
政治とは駆け引きであり、こうして国王と話している彼女もそういう存在だからだ。
「陛下、お互い曝け出すことは難しいと承知していますが、できれば話を建設的に進めるためにも、ご協力いただけると助かります。今回非公式という形を取ったのも、そのためにできるだけ配慮した結果です。事態は急ぐかもしれないのです」
「ふむ……。わかりました、ではお互い包み隠さず話しましょう」
「――! ありがとうございます!」
アリシアの考えはどうにかブラークに伝わり、「第1段階はクリアね」と安堵する。
「それで、その『事態』というものはなんでしょうか?」
「はい、ご存知のようにアルゴン帝国は領土拡大によって大きくなった歴史があります。そして、貴国にもその手が伸びてきていることは、国境付近の諍いからも断言できるかと思います」
「……」
ブラークは黙って頷く。
隠してるつもりはないが、いったいどこまで内情を知られているのかと、ブラークは麗しき聖女に内心恐れを抱く。
「これは我が『エイスフル教国』が得た情報ですが、そう遠くない未来にアルゴン帝国は貴国に攻め入ろうとしております」
それ自体は「国境付近の諍い」から考えれば、そこに考え至るとこは普通のことだ。
しかしアリシアはそれだけでなく――、
「――そう、未来とはいっても、1か月以内と我々は考えております」
「1か月!? すぐではないか!」
教国からもたらされた情報に、ブラークは愕然とした顔で声を上げた。
「はい。もちろん確たる証拠を持っているわけではありませんが、我々はそう予想しております」
「ふむ……最近、アルゴン帝国の我が国に対する姿勢に思うところはあったが、それほど早いとは……すぐに対処せねばなりませぬな。聖女様、大変貴重な情報をいただき感謝いたします。このことは教皇様にもお伝えいただきたく――」
「あ、待ってください!」
「はい?」
アリシアの制止に、ブラークは首を傾げる。
「私の役目は、このことを陛下にお伝えするだけではございません。教国として、ボロン王国にお力添えをしたいと考えているのです」
「っ! それは、つまり……」
「はい、我がエイスフル教国はボロン王国に派兵を考えております」
◆◇◆
「あぅ~、お腹減ったのですぅ……」
城を出た途端、セラフィの腹から大きな音が鳴りだしたのだった。
「いい子にしてて偉かったわ、セラフィ」
「えへへなのです」
アリシアはセラフィの頭を慈しむように優しくなでた。
会談の場では、「私が話すからセラフィは大人しくしててね」と言い含めていたため、セラフィはじっと大人しくわがままを言わず我慢していた。
そんなセラフィを見ていたので、アリシアもすぐにでもお昼に連れていってあげたいところだったが、
「セラフィ、ごめんね。もう少しだけ我慢できるかしら?」
と、セラフィに謝る。
「えぇー!? なんでなのです!? セラフィ悪い子なのです!?」
セラフィはあわわと涙目になりながらアリシアにしがみついた。
「ち、違うのよ。そうじゃなくて、今回この国に来たのは2つの目的があって、1つは今の会談で終わったけど、もう1つはお昼を知り合いのところで頂きたいの」
「知り合いのところです?」
「ええ、そうよ。昔に教国で出会った子でね、その子のお父様が商会を営んでいるの。今でもこうして王国に来たときなんかは、会いに行ったりしてるのよ。彼女が教国に来るときもあるし、私のお友達よ」
最後に会ったのは数年前なので、どんな風に成長したかしらとアリシアは楽しみな気持ちになる。
「お友達なのです? 仲がいいのですか?」
「ええ、いいわ。あなたとチヨメちゃんのように、ね?」
するとセラフィは腕を組み、
「ふむむぅ~、チヨメとセラフィは仲がいいですか?」
と、首を傾げるのだった。
アリシアはそんなセラフィを見て、くすりと笑うのだった。
アリシアとセラフィは、王城にある一室で非公式の会談を行っていた。
本来ならば、聖女という立場であるアリシアをもてなすために最大級の歓待を行い、謁見の間にて話すことが通例であるが、今回はアリシア側の要求でなるべく人目に付かないように行われていた。
「――して、聖女様はなぜこのような形を望まれたのですかな?」
ボロン王国の国王ブラーク・ボリウムは、テーブルを挟んで反対の椅子に腰掛けるアリシアに落ち着いた様子で問いかけた。
「突然の来訪にも関わらずお受けいただき、感謝の至りに堪えません。単刀直入に申し上げます、陛下。かの国……アルゴン帝国に関することです」
アリシアの言葉に、僅かながら眉を動かすブラーク。
それは、彼にとっても今もっとも頭を悩ませる存在だったからだ。
「アルゴン帝国……ですか。なぜここでその国の名前がでてくるのですかな?」
だが、いくら頭を悩ませる存在だとしてもそれを簡単に認めてしまうわけにはいかない。
政治とは駆け引きであり、こうして国王と話している彼女もそういう存在だからだ。
「陛下、お互い曝け出すことは難しいと承知していますが、できれば話を建設的に進めるためにも、ご協力いただけると助かります。今回非公式という形を取ったのも、そのためにできるだけ配慮した結果です。事態は急ぐかもしれないのです」
「ふむ……。わかりました、ではお互い包み隠さず話しましょう」
「――! ありがとうございます!」
アリシアの考えはどうにかブラークに伝わり、「第1段階はクリアね」と安堵する。
「それで、その『事態』というものはなんでしょうか?」
「はい、ご存知のようにアルゴン帝国は領土拡大によって大きくなった歴史があります。そして、貴国にもその手が伸びてきていることは、国境付近の諍いからも断言できるかと思います」
「……」
ブラークは黙って頷く。
隠してるつもりはないが、いったいどこまで内情を知られているのかと、ブラークは麗しき聖女に内心恐れを抱く。
「これは我が『エイスフル教国』が得た情報ですが、そう遠くない未来にアルゴン帝国は貴国に攻め入ろうとしております」
それ自体は「国境付近の諍い」から考えれば、そこに考え至るとこは普通のことだ。
しかしアリシアはそれだけでなく――、
「――そう、未来とはいっても、1か月以内と我々は考えております」
「1か月!? すぐではないか!」
教国からもたらされた情報に、ブラークは愕然とした顔で声を上げた。
「はい。もちろん確たる証拠を持っているわけではありませんが、我々はそう予想しております」
「ふむ……最近、アルゴン帝国の我が国に対する姿勢に思うところはあったが、それほど早いとは……すぐに対処せねばなりませぬな。聖女様、大変貴重な情報をいただき感謝いたします。このことは教皇様にもお伝えいただきたく――」
「あ、待ってください!」
「はい?」
アリシアの制止に、ブラークは首を傾げる。
「私の役目は、このことを陛下にお伝えするだけではございません。教国として、ボロン王国にお力添えをしたいと考えているのです」
「っ! それは、つまり……」
「はい、我がエイスフル教国はボロン王国に派兵を考えております」
◆◇◆
「あぅ~、お腹減ったのですぅ……」
城を出た途端、セラフィの腹から大きな音が鳴りだしたのだった。
「いい子にしてて偉かったわ、セラフィ」
「えへへなのです」
アリシアはセラフィの頭を慈しむように優しくなでた。
会談の場では、「私が話すからセラフィは大人しくしててね」と言い含めていたため、セラフィはじっと大人しくわがままを言わず我慢していた。
そんなセラフィを見ていたので、アリシアもすぐにでもお昼に連れていってあげたいところだったが、
「セラフィ、ごめんね。もう少しだけ我慢できるかしら?」
と、セラフィに謝る。
「えぇー!? なんでなのです!? セラフィ悪い子なのです!?」
セラフィはあわわと涙目になりながらアリシアにしがみついた。
「ち、違うのよ。そうじゃなくて、今回この国に来たのは2つの目的があって、1つは今の会談で終わったけど、もう1つはお昼を知り合いのところで頂きたいの」
「知り合いのところです?」
「ええ、そうよ。昔に教国で出会った子でね、その子のお父様が商会を営んでいるの。今でもこうして王国に来たときなんかは、会いに行ったりしてるのよ。彼女が教国に来るときもあるし、私のお友達よ」
最後に会ったのは数年前なので、どんな風に成長したかしらとアリシアは楽しみな気持ちになる。
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「ええ、いいわ。あなたとチヨメちゃんのように、ね?」
するとセラフィは腕を組み、
「ふむむぅ~、チヨメとセラフィは仲がいいですか?」
と、首を傾げるのだった。
アリシアはそんなセラフィを見て、くすりと笑うのだった。
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