23 / 77
22.階級
しおりを挟む
「やれやれ。ここに来てからというもの、君達のような輩をもう何度排除したか。他所様の家にずかずかと入るだなんて、失礼な話だと思わないのかい?」
吸血鬼と思われる少年は、心底面倒くさいという態度を全面に出して僕達を出迎えた。
まあ出迎えたというか、彼の言う通り彼からすると僕達は望まれていない侵入者なんだけど。
「フッ、我々は冒険者ギルドから正式に依頼を受けて来ているのだ。君にどうこう言われる筋合いはない」
「それなら勝手に人の家に侵入してもいいと? まるで犯罪者と話してるようだ」
「なっ……この『流星』に向かって犯罪者だと!!」
セシールが鬼のような形相で少年を睨んだ。
対する少年は、そんなこと何処吹く風と涼しい顔をしている。
正直、理屈で言えば、少年が正しいのかなと僕も思ってしまう。
だって、住んでる家に勝手に入って来られたら、僕達だって怒るだろうし。
普通の魔物なら喋ることなんてないから気にもしないけど、相手が理知的で害がないなら、無理に倒す必要なんてないかもしれない。
「だってそうだろう? 我々がこの城の外で何か君達にしたか? してないだろう? 君達だって同じことをされたら、私と同じ気持ちになると思うがね」
「セシール様になんてことを! アンタなんかと一緒にしないで!」
「そうですわ。例えあなた達の存在に害はなかったとしても、私達はギルドの依頼で調査しているの。文句があるならギルドに言ってくれるかしら」
「2人の言う通りだ。それに君は人間ではないだろう? 隠しても無駄だ」
「別に隠してるつもりはないんだがね。確かに私は吸血鬼だけど、それが何か問題か?」
少年は肩を竦めた。
「フッ……ではいずれ、君は我々人間にとって害をなす存在となるだろう。そうなる前に、今ここでその芽を摘んでおかなければな」
そう言って、セシールは剣を抜いた。
「いやいや、待ってくださいよ。彼の言うことも間違ってないと思います。僕達の依頼は『古城の調査』であって、ここを攻略することじゃないはずです。まずは、この事をギルドに報告しませんか?」
「いや、この吸血鬼は既に害がある存在だ。僕達よりも先に来た冒険者がいただろう。お前はそれを排除したと言ったな? 『流星』の名に懸けて、僕がお前を倒そう」
セシールはまったく僕の意見を聞かず、剣先を少年に向けて突き付けた。
何でコイツはこんなに自己中なんだ。
僕も彼には聞かなきゃいけないことがあるのに。
これじゃあ話が進まないじゃないか。
「だから待ってくださいって。相手は吸血鬼ですよ? 純血ではないにしても、貴族種や混血種でも十分に強い敵ですよ」
セシール達にとっては、だけどね。
僕?
僕はまあ、レベル的にはキツイかもしれないけど、知識と経験と、いざというときのアンジェがいるからね。
「混血種!? 混血種だと!? この私を混血種なんかと一緒にするな!! リリス様より伯爵位を賜っているのだぞ! 命令があったからこれまで殺さずにいたが、本来なら貴様らなどコウモリ共の餌にしてくれるわ!」
あ、しまった、なんか怒らせてしまった。
でもお陰で、やっぱりここがリリスの城ってことがわかったぞ。
あー、よかったよかった……いや、良くないか。
めっちゃキレてるし。
吸血鬼には階級があって上から順に、真祖、純血種、貴族種、一般種、そしてダンピールとも呼ばれる混血種だ。
純血種はリリスの眷属13人しかいないけど、一応全員の顔と名前はわかる。
でも、目の前の少年吸血鬼は見たことがない。
だから、純血種以下の貴族種、またはそれ以下の一般種や混血種かと思ったのだ。
なので、世間話程度のつもりで軽く聞いただけだったんだけど、彼のプライドが許さなかったらしい。
これからは、吸血鬼と階級の話をするときには気をつけよう。
「あ、いや、別に馬鹿にしてるわけじゃなくてですね――というか、リリスがいるなら連れてきてもらってもいいですか?」
「き、貴様っ! リリス様を呼び捨てだと? しかも、よりによって我が主を連れてこいだと!? 何様のつもりだ!! ふざけた奴らめ……貴様らは血を抜き取り、臓物を畜生の餌にしてくれる!」
「あぅ……」
僕はただ、リリスがこの場に来れば丸く収まるかなって思っただけだったのに……。
丁寧に言ったつもりだったけど、言葉選びがまずかったようだ。
「フッ、もういい。下がっていたまえ。あの吸血鬼は宣戦布告をしたんだ。で、あるならば、この『流星』のセシールが相手をしてやろうじゃないか」
だから『流星』って何!?
ていうか、セシールがレノに勝てるわけがない。
鑑定スキルの《分析》を使って、2人のステータスをこっそり拝見した。
名前までバッチリなんだけど……この2人、お相手にならないレベル差だ。
当然、レノの方がレベルが高い。
レノは伯爵級を名乗るだけあって、ステータスでいえば、冒険者ギルドのマスターであるウォーカーよりも強い。
一方、セシールはダンよりは強いけど、ウォーカーには勝てないレベルだ。
なんでセシールがここまで余裕振ってるか、本当に謎なんだけど。
「いや、無理しない方が――」
「もうアンタは黙ってな。邪魔だから、下がってなよ」
「そうよ。それに、私達は吸血鬼と戦ったことがあるの。最後は逃げられたけど、あのまま戦ってれば倒せてたわ」
え、そうなの?
意外にパーティーで戦うと、連携とかで何倍もの実力が出る感じ?
「……ちなみに相手の階級は?」
「一般種だったかしら?」
全然違うじゃん!
相手は貴族種なんですけど!
貴族種と一般種なんて兵士と一般人くらいに違うぞ。
いや、もっと差があるかもしれない。
それに、そもそも強さで言ったら一般種よりも混血種の方が強いくらいだし。
……というか一般種は、それもうただの平民みたいなもんだったはずじゃない?
「き、貴様らぁ……ッ!」
レノが下を向いてわなわなと震えている。
あ……アカンヤツだ、これ。
今の会話聞かれてたみたいだ。
「非力な者を虐げるとは、何たる愚行……絶対に生きて返さんぞ貴様らぁ――!!」
「ぬおぉッ!?」
「ぅげっ!」
「キャアッ!」
レノが叫んだ瞬間、部屋が揺れるほどの衝撃波でセシール達が後ろに吹っ飛んで転がった。
僕とアンジェ、その後ろにいたフェルは大丈夫だったけど。
「はぁ……」
僕は3人仲良くひっくり返る姿を見て、思わずため息をついたのだった。
吸血鬼と思われる少年は、心底面倒くさいという態度を全面に出して僕達を出迎えた。
まあ出迎えたというか、彼の言う通り彼からすると僕達は望まれていない侵入者なんだけど。
「フッ、我々は冒険者ギルドから正式に依頼を受けて来ているのだ。君にどうこう言われる筋合いはない」
「それなら勝手に人の家に侵入してもいいと? まるで犯罪者と話してるようだ」
「なっ……この『流星』に向かって犯罪者だと!!」
セシールが鬼のような形相で少年を睨んだ。
対する少年は、そんなこと何処吹く風と涼しい顔をしている。
正直、理屈で言えば、少年が正しいのかなと僕も思ってしまう。
だって、住んでる家に勝手に入って来られたら、僕達だって怒るだろうし。
普通の魔物なら喋ることなんてないから気にもしないけど、相手が理知的で害がないなら、無理に倒す必要なんてないかもしれない。
「だってそうだろう? 我々がこの城の外で何か君達にしたか? してないだろう? 君達だって同じことをされたら、私と同じ気持ちになると思うがね」
「セシール様になんてことを! アンタなんかと一緒にしないで!」
「そうですわ。例えあなた達の存在に害はなかったとしても、私達はギルドの依頼で調査しているの。文句があるならギルドに言ってくれるかしら」
「2人の言う通りだ。それに君は人間ではないだろう? 隠しても無駄だ」
「別に隠してるつもりはないんだがね。確かに私は吸血鬼だけど、それが何か問題か?」
少年は肩を竦めた。
「フッ……ではいずれ、君は我々人間にとって害をなす存在となるだろう。そうなる前に、今ここでその芽を摘んでおかなければな」
そう言って、セシールは剣を抜いた。
「いやいや、待ってくださいよ。彼の言うことも間違ってないと思います。僕達の依頼は『古城の調査』であって、ここを攻略することじゃないはずです。まずは、この事をギルドに報告しませんか?」
「いや、この吸血鬼は既に害がある存在だ。僕達よりも先に来た冒険者がいただろう。お前はそれを排除したと言ったな? 『流星』の名に懸けて、僕がお前を倒そう」
セシールはまったく僕の意見を聞かず、剣先を少年に向けて突き付けた。
何でコイツはこんなに自己中なんだ。
僕も彼には聞かなきゃいけないことがあるのに。
これじゃあ話が進まないじゃないか。
「だから待ってくださいって。相手は吸血鬼ですよ? 純血ではないにしても、貴族種や混血種でも十分に強い敵ですよ」
セシール達にとっては、だけどね。
僕?
僕はまあ、レベル的にはキツイかもしれないけど、知識と経験と、いざというときのアンジェがいるからね。
「混血種!? 混血種だと!? この私を混血種なんかと一緒にするな!! リリス様より伯爵位を賜っているのだぞ! 命令があったからこれまで殺さずにいたが、本来なら貴様らなどコウモリ共の餌にしてくれるわ!」
あ、しまった、なんか怒らせてしまった。
でもお陰で、やっぱりここがリリスの城ってことがわかったぞ。
あー、よかったよかった……いや、良くないか。
めっちゃキレてるし。
吸血鬼には階級があって上から順に、真祖、純血種、貴族種、一般種、そしてダンピールとも呼ばれる混血種だ。
純血種はリリスの眷属13人しかいないけど、一応全員の顔と名前はわかる。
でも、目の前の少年吸血鬼は見たことがない。
だから、純血種以下の貴族種、またはそれ以下の一般種や混血種かと思ったのだ。
なので、世間話程度のつもりで軽く聞いただけだったんだけど、彼のプライドが許さなかったらしい。
これからは、吸血鬼と階級の話をするときには気をつけよう。
「あ、いや、別に馬鹿にしてるわけじゃなくてですね――というか、リリスがいるなら連れてきてもらってもいいですか?」
「き、貴様っ! リリス様を呼び捨てだと? しかも、よりによって我が主を連れてこいだと!? 何様のつもりだ!! ふざけた奴らめ……貴様らは血を抜き取り、臓物を畜生の餌にしてくれる!」
「あぅ……」
僕はただ、リリスがこの場に来れば丸く収まるかなって思っただけだったのに……。
丁寧に言ったつもりだったけど、言葉選びがまずかったようだ。
「フッ、もういい。下がっていたまえ。あの吸血鬼は宣戦布告をしたんだ。で、あるならば、この『流星』のセシールが相手をしてやろうじゃないか」
だから『流星』って何!?
ていうか、セシールがレノに勝てるわけがない。
鑑定スキルの《分析》を使って、2人のステータスをこっそり拝見した。
名前までバッチリなんだけど……この2人、お相手にならないレベル差だ。
当然、レノの方がレベルが高い。
レノは伯爵級を名乗るだけあって、ステータスでいえば、冒険者ギルドのマスターであるウォーカーよりも強い。
一方、セシールはダンよりは強いけど、ウォーカーには勝てないレベルだ。
なんでセシールがここまで余裕振ってるか、本当に謎なんだけど。
「いや、無理しない方が――」
「もうアンタは黙ってな。邪魔だから、下がってなよ」
「そうよ。それに、私達は吸血鬼と戦ったことがあるの。最後は逃げられたけど、あのまま戦ってれば倒せてたわ」
え、そうなの?
意外にパーティーで戦うと、連携とかで何倍もの実力が出る感じ?
「……ちなみに相手の階級は?」
「一般種だったかしら?」
全然違うじゃん!
相手は貴族種なんですけど!
貴族種と一般種なんて兵士と一般人くらいに違うぞ。
いや、もっと差があるかもしれない。
それに、そもそも強さで言ったら一般種よりも混血種の方が強いくらいだし。
……というか一般種は、それもうただの平民みたいなもんだったはずじゃない?
「き、貴様らぁ……ッ!」
レノが下を向いてわなわなと震えている。
あ……アカンヤツだ、これ。
今の会話聞かれてたみたいだ。
「非力な者を虐げるとは、何たる愚行……絶対に生きて返さんぞ貴様らぁ――!!」
「ぬおぉッ!?」
「ぅげっ!」
「キャアッ!」
レノが叫んだ瞬間、部屋が揺れるほどの衝撃波でセシール達が後ろに吹っ飛んで転がった。
僕とアンジェ、その後ろにいたフェルは大丈夫だったけど。
「はぁ……」
僕は3人仲良くひっくり返る姿を見て、思わずため息をついたのだった。
10
お気に入りに追加
745
あなたにおすすめの小説
「お前のような奴はパーティーに必要ない」と追放された錬金術師は自由に生きる~ポーション作ってたらいつの間にか最強になってました~
平山和人
ファンタジー
錬金術師のカイトは役立たずを理由にパーティーから追放されてしまう。自由を手に入れたカイトは世界中を気ままに旅することにした。
しかし、カイトは気づいていなかった。彼の作るポーションはどんな病気をも治す万能薬であることを。
カイトは旅をしていくうちに、薬神として崇められることになるのだが、彼は今日も無自覚に人々を救うのであった。
一方、カイトを追放したパーティーはカイトを失ったことで没落の道を歩むことになるのであった。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件
月風レイ
ファンタジー
普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。
そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。
そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。
そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。
そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。
食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。
不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。
大修正中!今週中に修正終え更新していきます!
神の宝物庫〜すごいスキルで楽しい人生を〜
月風レイ
ファンタジー
グロービル伯爵家に転生したカインは、転生後憧れの魔法を使おうとするも、魔法を発動することができなかった。そして、自分が魔法が使えないのであれば、剣を磨こうとしたところ、驚くべきことを告げられる。
それは、この世界では誰でも6歳にならないと、魔法が使えないということだ。この世界には神から与えられる、恩恵いわばギフトというものがかって、それをもらうことで初めて魔法やスキルを行使できるようになる。
と、カインは自分が無能なのだと思ってたところから、6歳で行う洗礼の儀でその運命が変わった。
洗礼の儀にて、この世界の邪神を除く、12神たちと出会い、12神全員の祝福をもらい、さらには恩恵として神をも凌ぐ、とてつもない能力を入手した。
カインはそのとてつもない能力をもって、周りの人々に支えられながらも、異世界ファンタジーという夢溢れる、憧れの世界を自由気ままに創意工夫しながら、楽しく過ごしていく。
死霊王は異世界を蹂躙する~転移したあと処刑された俺、アンデッドとなり全てに復讐する~
未来人A
ファンタジー
主人公、田宮シンジは妹のアカネ、弟のアオバと共に異世界に転移した。
待っていたのは皇帝の命令で即刻処刑されるという、理不尽な仕打ち。
シンジはアンデッドを自分の配下にし、従わせることの出来る『死霊王』というスキルを死後開花させる。
アンデッドとなったシンジは自分とアカネ、アオバを殺した帝国へ復讐を誓う。
死霊王のスキルを駆使して徐々に配下を増やし、アンデッドの軍団を作り上げていく。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
女神に同情されて異世界へと飛ばされたアラフォーおっさん、特S級モンスター相手に無双した結果、実力がバレて世界に見つかってしまう
サイダーボウイ
ファンタジー
「ちょっと冬馬君。このプレゼン資料ぜんぜんダメ。一から作り直してくれない?」
万年ヒラ社員の冬馬弦人(39歳)は、今日も上司にこき使われていた。
地方の中堅大学を卒業後、都内の中小家電メーカーに就職。
これまで文句も言わず、コツコツと地道に勤め上げてきた。
彼女なしの独身に平凡な年収。
これといって自慢できるものはなにひとつないが、当の本人はあまり気にしていない。
2匹の猫と穏やかに暮らし、仕事終わりに缶ビールが1本飲めれば、それだけで幸せだったのだが・・・。
「おめでとう♪ たった今、あなたには異世界へ旅立つ権利が生まれたわ」
誕生日を迎えた夜。
突如、目の前に現れた女神によって、弦人の人生は大きく変わることになる。
「40歳まで童貞だったなんて・・・これまで惨めで辛かったでしょ? でももう大丈夫! これからは異世界で楽しく遊んで暮らせるんだから♪」
女神に同情される形で異世界へと旅立つことになった弦人。
しかし、降り立って彼はすぐに気づく。
女神のとんでもないしくじりによって、ハードモードから異世界生活をスタートさせなければならないという現実に。
これは、これまで日の目を見なかったアラフォーおっさんが、異世界で無双しながら成り上がり、その実力がバレて世界に見つかってしまうという人生逆転の物語である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる