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18.古城の依頼
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「おかえりなさーい!」
『笑福亭』に入ると、リーリが元気に出迎えてくれた。
この癒やされる笑顔に出迎えてもらうためにずっとここに居たい気もするけど、ホームのためにはそういうわけにもいかないか。
「ただいま、リーリ。少し部屋で休むけど、夕食時になったら呼びに来てもらってもいい?」
「うん! 今日はお肉料理がおすすめだよ! 楽しみにしててねっ!」
「お肉かー、いいね。楽しみにしてるよ」
ここの料理は美味しいから楽しみだ。
さて、それまでは部屋で創作魔法かスキルでも研究してるかな。
――創作魔法とは、なんと自分で新たに創り出す魔法のことなのだ。
まあ創り出すとはいっても、実際のところは既存魔法の動きや威力のパラメータのプログラムをイジるような感じで、必ずしも創作の方が優れているわけではない。
同様に創作スキルや創作装備もあり、これらも似たようなものだ。
これらは、やり込み要素を増やすという意味でAOLに実装されていた。
プログラムに精通してない素人でも慣れれば簡単で、暇な時によく新しい魔法やスキルを創り出したり改善したりしたものだ。
「うん、ここでも問題なく出来るみたいだ。アンジェ、僕はちょっと創作の研究するから、適当にしててね」
「わかりました、ソーコ様」
メニューを開いてみると、魔法の中に『《創作》』の項目があったので、とりあえずリーリが呼びに来るまでの間、僕はいつものように創作研究に勤しむのだった。
◆◇◆
「――んが?」
コンコンと扉を叩く音で目が覚めた。
どうやら、いつの間にか寝ちゃってたみたいだ。
「私が出ますね」
「ありがとう、アンジェ」
アンジェはそう言って、僕のベッドの脇にある椅子から立ち上がった。
――あれ? 僕が寝てる間、ずっと座って待ってたのかな。
「どちら様でしょうか?」
「商人ギルドのアリーです」
「エリーもいるよー!」
「え? アリーさん? エリーさんも?」
てっきりリーリが呼びに来てくれたと思ってたから、扉の向こうから2人の名前が聞こえてきて驚いた。
――2人揃って何の用だろう。なんか悪い事してない……よね?
「こんばんは。突然押し掛けてすみません」
「ごめんねえ、ソーコちゃん、アンジェちゃん。お姉がどうしても2人とご飯を一緒に食べたいって駄々をこねるからさ」
「ちょ、ちょっと、エリー!?」
ほうほう……どうやら、この姉妹には中々いい印象を持ってもらってるようだ。
うむうむ、なんでかはよくわからないけど、美人姉妹のお誘いを断る理由なんてないから、もちろんオーケーだ!
「そうだったんですか。そういうことなら喜んで! 知ってるかもしれないですけど、ここの料理はとっても美味しいんですよ!」
「ええ、私達もたまに食べに来ますよ。ここはギルドでもおすすめのお店ですから」
「あ、そういえばそうでしたね。宿をおすすめしてもらいましたもんね」
「2人は家を借りたんでしょ? 冒険者ギルドの試験も合格したし、それも兼ねてお祝いしようってね。あ、でもお姉が2人ともっとお話したいっていうのが1番だけどね!」
「もうっ! エリーったら!」
アリーさんが顔を赤くしている。
ああ、いいなぁ……2人を見てると心が洗われるようだ。
姉妹の仲もかなり良さそうだし、これからもこういう機会があるかも……!
「あれ、開いてる? おーい、ご飯の時間だよー」
僕が2人のやり取りを見て癒やされていると、リーリが扉からひょっこり顔を出した。
「あら。久し振りね、リーリちゃん」
「お、リーリちゃんだー!」
「あれ? アリーさんとエリーさん?」
リーリが可愛らしく小首を傾げる。
ああ、アリーさんとエリーさんは笑福亭にたまに食事に来るようだから、リーリとも顔見知りなのか。
「リーリ、アリーさんとエリーさんと一緒に夕食を取りたいから、4人座れる席に案内してもらっていい?」
「うん、わかった! まいどありー!」
リーリが嬉しそうに返事をする。
美味しい料理を美人姉妹と一緒に食べるだなんて、あっちの世界では考えられなかったことだ。
ついに、僕にもモテ期到来かの予感――!
あぁ、ほんとAOLの世界は最高だぜ!
◆◇◆
次の日。
目が覚めると、やっぱりアンジェはもう起きてた。
着替えも済んでるし、少なくともさっき起きたばっかとかではなさそうだ。
――この子、ちゃんと寝てるのかな?
それにしても、昨日は楽しかったなぁ。
アリーさんとエリーさんの2人は、お酒が好きみたいで結構飲んでいた。
僕とアンジェはジュースだ。
2人はお酒を飲んだせいか、それぞれのギルドが持ってる情報とかも教えてくれて、初耳の話も多かったので興味深かった。
まあ、本当にマズい事は言ってないんだろうけどね。
話の中で特に気になったのが、街の近くにあるダンジョン化された古城の話だ。
少なくとも、AOLでハイドニア周辺に古城のダンジョンがあるなんて聞いたことがない。
アンジェもハイドニアに来たのは随分久しぶりらしく、そんな話は知らなかったみたいだ。
――むむむ。これは是非とも、トッププレイヤー(自称)としては、ダンジョン探索に行ってみたいところですなぁ。
それと気になる点がもう1つ。
昨日僕とアンジェを誘ってきた、『ヤン』というエルフがマスターの『ルーラーズ』という名のホーム。
どうやら、ここにはちょっと黒い噂があるらしい。
噂レベルを出ないのであまり言えないみたいだけど、なにやら良からぬことをしているみたいな。
ハッキリしないから事実無根の可能性もあるけど、どの道僕は彼のホームとは関わるつもりはない。
――これ以上、変なのに絡まれたりするのはごめんだ。
ああ、あとどちらのギルドでも僕のことが話題になってるらしい。
商人や冒険者というのはどこかのホームに所属するのが一般的なようで、フリーの僕を入れたいところが多いようだ。
どうやら商人ギルドでは、質の悪いポーションがどこからか出回ってるのが問題になってるみたいで、中級を納品出来る薬師の僕が必要とされてるみたい。
冒険者ギルドでも、かわいい新人がCランク冒険者を倒したっていう話が広まっているかららしい。
まあ僕はどこにも入る気はないから、面倒なことが増えたなあという感想しかないんだけどね。
「お待たせ。朝ごはん食べに行こうか」
「はい、ソーコ様」
とりあえず、今日は冒険者ギルドへ行くことにした。
古城の依頼なんかもあるかもしれないし、まずは情報を集めなきゃね。
食堂で少し遅い朝ご飯を済ませて冒険者ギルドへ移動。
ギルドの中は相変わらず盛況な賑わいだ。
「さて、古城の依頼はあるかなー……おっ」
掲示板を見てみると、『古城の調査』という依頼があった。
内容を見てみると、突如現れた古城の調査・探索、Bランク以上の冒険者が推奨の依頼のようだ。
――うーむ、古城かあ。
AOLで古城といえば、僕のサポーターでもあった『リリス』の設定上の住居がそれだ。
ゲームの中で実際に目にしたわけではないけど、ふとなんとなく彼女がそこにいるかもしれないという気がした。
ま、なんにせよ、これがリリスだとしたらなんとしても僕が迎えに行かなくては。
「ふーむ……最低でもCランクかぁ」
とはいっても、推奨がBランク以上で必須がCランク以上か……Fランクの僕じゃ受けれないな。
もういっそ依頼受けずに勝手に入っちゃう?
いやでも、後々問題になったらそれはそれでマズいしなあ。
「やあ、その依頼に興味があるのかい?」
僕が依頼書とにらめっこしてると、後ろから声を掛けられた。
振り返ると、そこには超が付くほどのイケメンが立っていた。
『笑福亭』に入ると、リーリが元気に出迎えてくれた。
この癒やされる笑顔に出迎えてもらうためにずっとここに居たい気もするけど、ホームのためにはそういうわけにもいかないか。
「ただいま、リーリ。少し部屋で休むけど、夕食時になったら呼びに来てもらってもいい?」
「うん! 今日はお肉料理がおすすめだよ! 楽しみにしててねっ!」
「お肉かー、いいね。楽しみにしてるよ」
ここの料理は美味しいから楽しみだ。
さて、それまでは部屋で創作魔法かスキルでも研究してるかな。
――創作魔法とは、なんと自分で新たに創り出す魔法のことなのだ。
まあ創り出すとはいっても、実際のところは既存魔法の動きや威力のパラメータのプログラムをイジるような感じで、必ずしも創作の方が優れているわけではない。
同様に創作スキルや創作装備もあり、これらも似たようなものだ。
これらは、やり込み要素を増やすという意味でAOLに実装されていた。
プログラムに精通してない素人でも慣れれば簡単で、暇な時によく新しい魔法やスキルを創り出したり改善したりしたものだ。
「うん、ここでも問題なく出来るみたいだ。アンジェ、僕はちょっと創作の研究するから、適当にしててね」
「わかりました、ソーコ様」
メニューを開いてみると、魔法の中に『《創作》』の項目があったので、とりあえずリーリが呼びに来るまでの間、僕はいつものように創作研究に勤しむのだった。
◆◇◆
「――んが?」
コンコンと扉を叩く音で目が覚めた。
どうやら、いつの間にか寝ちゃってたみたいだ。
「私が出ますね」
「ありがとう、アンジェ」
アンジェはそう言って、僕のベッドの脇にある椅子から立ち上がった。
――あれ? 僕が寝てる間、ずっと座って待ってたのかな。
「どちら様でしょうか?」
「商人ギルドのアリーです」
「エリーもいるよー!」
「え? アリーさん? エリーさんも?」
てっきりリーリが呼びに来てくれたと思ってたから、扉の向こうから2人の名前が聞こえてきて驚いた。
――2人揃って何の用だろう。なんか悪い事してない……よね?
「こんばんは。突然押し掛けてすみません」
「ごめんねえ、ソーコちゃん、アンジェちゃん。お姉がどうしても2人とご飯を一緒に食べたいって駄々をこねるからさ」
「ちょ、ちょっと、エリー!?」
ほうほう……どうやら、この姉妹には中々いい印象を持ってもらってるようだ。
うむうむ、なんでかはよくわからないけど、美人姉妹のお誘いを断る理由なんてないから、もちろんオーケーだ!
「そうだったんですか。そういうことなら喜んで! 知ってるかもしれないですけど、ここの料理はとっても美味しいんですよ!」
「ええ、私達もたまに食べに来ますよ。ここはギルドでもおすすめのお店ですから」
「あ、そういえばそうでしたね。宿をおすすめしてもらいましたもんね」
「2人は家を借りたんでしょ? 冒険者ギルドの試験も合格したし、それも兼ねてお祝いしようってね。あ、でもお姉が2人ともっとお話したいっていうのが1番だけどね!」
「もうっ! エリーったら!」
アリーさんが顔を赤くしている。
ああ、いいなぁ……2人を見てると心が洗われるようだ。
姉妹の仲もかなり良さそうだし、これからもこういう機会があるかも……!
「あれ、開いてる? おーい、ご飯の時間だよー」
僕が2人のやり取りを見て癒やされていると、リーリが扉からひょっこり顔を出した。
「あら。久し振りね、リーリちゃん」
「お、リーリちゃんだー!」
「あれ? アリーさんとエリーさん?」
リーリが可愛らしく小首を傾げる。
ああ、アリーさんとエリーさんは笑福亭にたまに食事に来るようだから、リーリとも顔見知りなのか。
「リーリ、アリーさんとエリーさんと一緒に夕食を取りたいから、4人座れる席に案内してもらっていい?」
「うん、わかった! まいどありー!」
リーリが嬉しそうに返事をする。
美味しい料理を美人姉妹と一緒に食べるだなんて、あっちの世界では考えられなかったことだ。
ついに、僕にもモテ期到来かの予感――!
あぁ、ほんとAOLの世界は最高だぜ!
◆◇◆
次の日。
目が覚めると、やっぱりアンジェはもう起きてた。
着替えも済んでるし、少なくともさっき起きたばっかとかではなさそうだ。
――この子、ちゃんと寝てるのかな?
それにしても、昨日は楽しかったなぁ。
アリーさんとエリーさんの2人は、お酒が好きみたいで結構飲んでいた。
僕とアンジェはジュースだ。
2人はお酒を飲んだせいか、それぞれのギルドが持ってる情報とかも教えてくれて、初耳の話も多かったので興味深かった。
まあ、本当にマズい事は言ってないんだろうけどね。
話の中で特に気になったのが、街の近くにあるダンジョン化された古城の話だ。
少なくとも、AOLでハイドニア周辺に古城のダンジョンがあるなんて聞いたことがない。
アンジェもハイドニアに来たのは随分久しぶりらしく、そんな話は知らなかったみたいだ。
――むむむ。これは是非とも、トッププレイヤー(自称)としては、ダンジョン探索に行ってみたいところですなぁ。
それと気になる点がもう1つ。
昨日僕とアンジェを誘ってきた、『ヤン』というエルフがマスターの『ルーラーズ』という名のホーム。
どうやら、ここにはちょっと黒い噂があるらしい。
噂レベルを出ないのであまり言えないみたいだけど、なにやら良からぬことをしているみたいな。
ハッキリしないから事実無根の可能性もあるけど、どの道僕は彼のホームとは関わるつもりはない。
――これ以上、変なのに絡まれたりするのはごめんだ。
ああ、あとどちらのギルドでも僕のことが話題になってるらしい。
商人や冒険者というのはどこかのホームに所属するのが一般的なようで、フリーの僕を入れたいところが多いようだ。
どうやら商人ギルドでは、質の悪いポーションがどこからか出回ってるのが問題になってるみたいで、中級を納品出来る薬師の僕が必要とされてるみたい。
冒険者ギルドでも、かわいい新人がCランク冒険者を倒したっていう話が広まっているかららしい。
まあ僕はどこにも入る気はないから、面倒なことが増えたなあという感想しかないんだけどね。
「お待たせ。朝ごはん食べに行こうか」
「はい、ソーコ様」
とりあえず、今日は冒険者ギルドへ行くことにした。
古城の依頼なんかもあるかもしれないし、まずは情報を集めなきゃね。
食堂で少し遅い朝ご飯を済ませて冒険者ギルドへ移動。
ギルドの中は相変わらず盛況な賑わいだ。
「さて、古城の依頼はあるかなー……おっ」
掲示板を見てみると、『古城の調査』という依頼があった。
内容を見てみると、突如現れた古城の調査・探索、Bランク以上の冒険者が推奨の依頼のようだ。
――うーむ、古城かあ。
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ゲームの中で実際に目にしたわけではないけど、ふとなんとなく彼女がそこにいるかもしれないという気がした。
ま、なんにせよ、これがリリスだとしたらなんとしても僕が迎えに行かなくては。
「ふーむ……最低でもCランクかぁ」
とはいっても、推奨がBランク以上で必須がCランク以上か……Fランクの僕じゃ受けれないな。
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