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13.試験開始
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――そういえば、ギルマスの強さってどれくらいなんだろ?
ふと気になった。
ちょっと緊張しすぎないように、息抜きの意味で見てみようかな。
僕は《分析》を使って、こっそりとギルマスのステータスを確認した。
【名前】ウォーカー
【種族】人族
【レベル】61
【HP】12345/12345
【MP】73/73
【力】165
【耐久】152
【魔力】51
【器用】69
【敏捷】112
【運】59
【魔法】
火属性
【スキル】
剣術Lv.6、短剣術Lv.4、槍術Lv.1、弓術Lv.1、体術Lv.3、回避Lv.3
――おぉ! ギルマスなだけあって、ダンより全然強いぞ。
さすがに僕とは比較にならないけど、この世界ではかなり強い方なのかな?
しかしあれだね、ゲームだとまったく気にならなかったけど、相手が生きてる人間だと少し悪い事してる気分だ。
実際、覗き見してるわけだけし、あまり見境なく使用するのはやめとこう。
だいぶ余裕がでてきたかな、もう大丈夫そうだ。
「では、試験を開始する――始め!」
ダンが開始の合図とともに、剣を振り上げ突っ込んでくるけど……遅っそ!!
まあ、あのステータスならこんなもんなのかなあ。
「オラァッ!」
振り下ろされた剣を、手にした短剣で難なく弾く。
特にスキルを使ったわけじゃない。
ただ、ダンの片手剣を僕の短剣で弾いただけだ。
「くっ……そがぁ!」
多分、あれ全力で振り下ろしてたよね。
それを弾かれたもんだから、ダンはイラついた様子で飛び退いて距離を開けた。
「フンッ! よく止めたじゃねぇか。でもコレは止められるかよっ! ――オラァッ!!」
ダンが水平に剣を振る。
これも、僕からするとゆっくりとした速度に感じられる。
「よっと」
今度も、僕はダンの水平斬りを短剣で弾いた。
ダンと僕との間には、かなりのステータス差がある。
普通にやったら力負けするけど、思った通りAOLの特性がこの世界には活きている。
――ふふん、AOLには『パリィ』というテクニックがあるのだ。
これは、相手の攻撃をタイミングよく武器を合わせると、その攻撃を防ぐことができるのだ。
そして、このパリィにはステータス差は関係ない。
なので、AOLを極めている僕にとっては、ダンの大振りをパリィするなんて容易いことなのだ。
「なっ――!? そんなバカな! ありえねぇッ!!」
また、すぐに飛び退くダン。
まるでヒットアンドアウェイ戦法みたいだ。
ヒットしてないけど。
「別にありえなくないよ。ある程度、力量の差があればの話だけど」
「――ッ!」
物凄い形相でこっちを睨んでる。
ダンの歯を噛みしめる音が、こっちまで聞こえそうだ。
「この俺様をとことん侮辱しやがってぇっ……!!」
別に侮辱してるわけじゃないんだけどね。
事実だし、これが僕の作戦なのだ。
そう、名付けて、『相手の攻撃全部防いで心を折っちゃえ作戦』だ!
ふふん、我ながら完璧な作戦だろう。
「《ブラインドスラッシュ》!!」
おっと、《ブラインドスラッシュ》か。
《ブラインドスラッシュ》は《一閃》と同じ、剣術クラスのレベル2で取得するスキルだ。
このスキルは乱れ斬りなので手数が多いけど、一撃のダメージは少ない。
ま、もちろん喰らうつもりもないけどね。
「おおおぉぉ――ッ!!」
不規則な動きで、様々な角度からくる斬撃。
僕はそれを短剣で、冷静に一撃ずつパリィする。
全部で11連撃だけど、そのすべてをタイミング良くパリィし、最後の一撃に合わせて少し短剣を振ってダンの片手剣を空中へ弾き飛ばした。
「――ぁ」
「勝負あり、だよね?」
パリィは完璧なタイミングで合わせることによって、反撃のチャンスを生むことができる。
十分に力の差を見せ付けれただろうし、もうこれで終わりでいいだろう。
「うむ、そこまで! この勝負ソーコの勝ちだな」
ギルマスの勝利宣言と同時に、ダンが膝から崩れ落ちた。
僕に負けたことが相当ショックだったみたいだ。
「マ、マジかよ……」
「女の子が勝っちゃったぞ――!」
「うおぉ、ヤバい、最後まったく見えなかったぞ!?」
「可愛い……」
観客が僕の戦いぶりに驚いてる。
ふっふっふっ。そうだろう、そうだろう。
ふふん、悪い気はしないぞ!
「試験は合格ですか?」
「ああ、もちろんだ。むしろ合格以外ありえんだろう。冒険者ギルドは君の加入を歓迎しよう」
ほっ、一安心。
さすがに合格だよね、良かった。
次はアンジェの番だね――。
「ざっけんじゃねェェッ!!」
何事かとダンを見ると、ポーションを一気飲みしている。
チラッと見た感じ、あれは『エンハンスポーション』だ。
身体能力を向上させるポーションで、ランクは多分中級ってところかな。
中級っていうと、『HP、MP、運を除いたステータスを10分間1.5倍に上昇させる』っていう効果のはずだ。
「おいダン! 何やってる! もう試験は終わりだ!」
「うるっっせェェッ!! 試験なんて知るかよ! このままで終われるかッ!!」
「こんのバカ野郎が……ッ」
ギルマスの制止を無視し、目を血走らせている。
諦めが悪いなぁ……明らかに力の差があるのに、わからないのかな?
それとも、僕みたいな美少女に負けたことが認められないのかねぇ。
ステータスが1.5倍になったところで、攻撃が当たらなければ驚異にもならないのに。
「失礼します。ここからは私が引き受けます。まだ私の試験が終わっていないので」
アンジェはそう言うと僕の前に立った。
顔が見えないけど、なんだか有無を言わせない凄みがあるんだけど……怒ってる?
「おい女ァ……俺が用あんのはそこのガキなんだよ。お前ェの相手は後でしてやるからよぉ……わかったら、さっさとどけッ!!」
「アンジェといったか、すまんが試験は中止だ。コイツの始末をつけねばならんのでな」
「それには及びません。私が始末をつけるので、試験もこのまま継続で構いません」
ちょ、アンジェさん?
始末って何する気!?
殺す気じゃないよね!?
「ア、アンジェ? ここはギルマスに任せたほうがいいんじゃないかな?」
「ソーコの言う通りだ。ダンは、エンハンスポーションを飲んでいて危険だ。俺が後始末をつける」
「問題ありません。傷一つ負うことなく終わらせます」
――いや僕の心配は、アンジェがやりすぎちゃわないかってことなんだけど!
「このクソアマがぁ……テメェもこの俺様を愚弄する気かあッ!? クソガキといい、主人が主人ならその従者もゴミだな」
「――ソーコ様を侮辱することは許しません」
「アンジェ、僕は気にしてないからね? 大丈夫だから一旦落ち着こう。ね?」
マズイマズイ、アンジェが本気出したらダンなんて瞬殺だぞ。
ただの試験で殺し合いとか、普通に考えてヤバ過ぎでしょ!
「あァー……ゴチャゴチャうっせーなァ。コレで二人まとめてケリをつけてやるよ」
ダンはニヤリと嗤うと、禍々しい雰囲気の剣を取り出した。
「あれって……」
――『ティルフィング』だったかな?
確か効果は、『装備中はHPと防御力が半分になるけど、攻撃力が2倍になる』っていうのだったかな。
いわゆる『魔剣』の一種だね。
「アレは――! 危険だっ、下がってろ!!」
ギルマスが慌てて間に入って剣を構えるが、
「問題ないです」
いつの間にか移動したアンジェが、ギルマスを手で制した。
「なっ――」
「さあ、始めましょう」
驚くギルマスをよそに、アンジェは手をクイクイっとして、ダンを挑発した。
ふと気になった。
ちょっと緊張しすぎないように、息抜きの意味で見てみようかな。
僕は《分析》を使って、こっそりとギルマスのステータスを確認した。
【名前】ウォーカー
【種族】人族
【レベル】61
【HP】12345/12345
【MP】73/73
【力】165
【耐久】152
【魔力】51
【器用】69
【敏捷】112
【運】59
【魔法】
火属性
【スキル】
剣術Lv.6、短剣術Lv.4、槍術Lv.1、弓術Lv.1、体術Lv.3、回避Lv.3
――おぉ! ギルマスなだけあって、ダンより全然強いぞ。
さすがに僕とは比較にならないけど、この世界ではかなり強い方なのかな?
しかしあれだね、ゲームだとまったく気にならなかったけど、相手が生きてる人間だと少し悪い事してる気分だ。
実際、覗き見してるわけだけし、あまり見境なく使用するのはやめとこう。
だいぶ余裕がでてきたかな、もう大丈夫そうだ。
「では、試験を開始する――始め!」
ダンが開始の合図とともに、剣を振り上げ突っ込んでくるけど……遅っそ!!
まあ、あのステータスならこんなもんなのかなあ。
「オラァッ!」
振り下ろされた剣を、手にした短剣で難なく弾く。
特にスキルを使ったわけじゃない。
ただ、ダンの片手剣を僕の短剣で弾いただけだ。
「くっ……そがぁ!」
多分、あれ全力で振り下ろしてたよね。
それを弾かれたもんだから、ダンはイラついた様子で飛び退いて距離を開けた。
「フンッ! よく止めたじゃねぇか。でもコレは止められるかよっ! ――オラァッ!!」
ダンが水平に剣を振る。
これも、僕からするとゆっくりとした速度に感じられる。
「よっと」
今度も、僕はダンの水平斬りを短剣で弾いた。
ダンと僕との間には、かなりのステータス差がある。
普通にやったら力負けするけど、思った通りAOLの特性がこの世界には活きている。
――ふふん、AOLには『パリィ』というテクニックがあるのだ。
これは、相手の攻撃をタイミングよく武器を合わせると、その攻撃を防ぐことができるのだ。
そして、このパリィにはステータス差は関係ない。
なので、AOLを極めている僕にとっては、ダンの大振りをパリィするなんて容易いことなのだ。
「なっ――!? そんなバカな! ありえねぇッ!!」
また、すぐに飛び退くダン。
まるでヒットアンドアウェイ戦法みたいだ。
ヒットしてないけど。
「別にありえなくないよ。ある程度、力量の差があればの話だけど」
「――ッ!」
物凄い形相でこっちを睨んでる。
ダンの歯を噛みしめる音が、こっちまで聞こえそうだ。
「この俺様をとことん侮辱しやがってぇっ……!!」
別に侮辱してるわけじゃないんだけどね。
事実だし、これが僕の作戦なのだ。
そう、名付けて、『相手の攻撃全部防いで心を折っちゃえ作戦』だ!
ふふん、我ながら完璧な作戦だろう。
「《ブラインドスラッシュ》!!」
おっと、《ブラインドスラッシュ》か。
《ブラインドスラッシュ》は《一閃》と同じ、剣術クラスのレベル2で取得するスキルだ。
このスキルは乱れ斬りなので手数が多いけど、一撃のダメージは少ない。
ま、もちろん喰らうつもりもないけどね。
「おおおぉぉ――ッ!!」
不規則な動きで、様々な角度からくる斬撃。
僕はそれを短剣で、冷静に一撃ずつパリィする。
全部で11連撃だけど、そのすべてをタイミング良くパリィし、最後の一撃に合わせて少し短剣を振ってダンの片手剣を空中へ弾き飛ばした。
「――ぁ」
「勝負あり、だよね?」
パリィは完璧なタイミングで合わせることによって、反撃のチャンスを生むことができる。
十分に力の差を見せ付けれただろうし、もうこれで終わりでいいだろう。
「うむ、そこまで! この勝負ソーコの勝ちだな」
ギルマスの勝利宣言と同時に、ダンが膝から崩れ落ちた。
僕に負けたことが相当ショックだったみたいだ。
「マ、マジかよ……」
「女の子が勝っちゃったぞ――!」
「うおぉ、ヤバい、最後まったく見えなかったぞ!?」
「可愛い……」
観客が僕の戦いぶりに驚いてる。
ふっふっふっ。そうだろう、そうだろう。
ふふん、悪い気はしないぞ!
「試験は合格ですか?」
「ああ、もちろんだ。むしろ合格以外ありえんだろう。冒険者ギルドは君の加入を歓迎しよう」
ほっ、一安心。
さすがに合格だよね、良かった。
次はアンジェの番だね――。
「ざっけんじゃねェェッ!!」
何事かとダンを見ると、ポーションを一気飲みしている。
チラッと見た感じ、あれは『エンハンスポーション』だ。
身体能力を向上させるポーションで、ランクは多分中級ってところかな。
中級っていうと、『HP、MP、運を除いたステータスを10分間1.5倍に上昇させる』っていう効果のはずだ。
「おいダン! 何やってる! もう試験は終わりだ!」
「うるっっせェェッ!! 試験なんて知るかよ! このままで終われるかッ!!」
「こんのバカ野郎が……ッ」
ギルマスの制止を無視し、目を血走らせている。
諦めが悪いなぁ……明らかに力の差があるのに、わからないのかな?
それとも、僕みたいな美少女に負けたことが認められないのかねぇ。
ステータスが1.5倍になったところで、攻撃が当たらなければ驚異にもならないのに。
「失礼します。ここからは私が引き受けます。まだ私の試験が終わっていないので」
アンジェはそう言うと僕の前に立った。
顔が見えないけど、なんだか有無を言わせない凄みがあるんだけど……怒ってる?
「おい女ァ……俺が用あんのはそこのガキなんだよ。お前ェの相手は後でしてやるからよぉ……わかったら、さっさとどけッ!!」
「アンジェといったか、すまんが試験は中止だ。コイツの始末をつけねばならんのでな」
「それには及びません。私が始末をつけるので、試験もこのまま継続で構いません」
ちょ、アンジェさん?
始末って何する気!?
殺す気じゃないよね!?
「ア、アンジェ? ここはギルマスに任せたほうがいいんじゃないかな?」
「ソーコの言う通りだ。ダンは、エンハンスポーションを飲んでいて危険だ。俺が後始末をつける」
「問題ありません。傷一つ負うことなく終わらせます」
――いや僕の心配は、アンジェがやりすぎちゃわないかってことなんだけど!
「このクソアマがぁ……テメェもこの俺様を愚弄する気かあッ!? クソガキといい、主人が主人ならその従者もゴミだな」
「――ソーコ様を侮辱することは許しません」
「アンジェ、僕は気にしてないからね? 大丈夫だから一旦落ち着こう。ね?」
マズイマズイ、アンジェが本気出したらダンなんて瞬殺だぞ。
ただの試験で殺し合いとか、普通に考えてヤバ過ぎでしょ!
「あァー……ゴチャゴチャうっせーなァ。コレで二人まとめてケリをつけてやるよ」
ダンはニヤリと嗤うと、禍々しい雰囲気の剣を取り出した。
「あれって……」
――『ティルフィング』だったかな?
確か効果は、『装備中はHPと防御力が半分になるけど、攻撃力が2倍になる』っていうのだったかな。
いわゆる『魔剣』の一種だね。
「アレは――! 危険だっ、下がってろ!!」
ギルマスが慌てて間に入って剣を構えるが、
「問題ないです」
いつの間にか移動したアンジェが、ギルマスを手で制した。
「なっ――」
「さあ、始めましょう」
驚くギルマスをよそに、アンジェは手をクイクイっとして、ダンを挑発した。
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