香水のせいにすればいい

弓葉

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香りの設計図

心酔

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 捨てたはずの精液を香水斗は隠した。さすがにこれは見逃せない。

「まさかと思うけど入浴剤に入れてないよな……?」

 たぶん、大丈夫と思いたいが今の香水斗ならやりかねない。僕は確認のために香水斗を見る。

「個人的に使っている」

 香水斗は軽くため息をつきながら返事をした。

「個人的にでもよくないだろ! その……人のせ、精液を使って調合するなんて……」

「別に料理でもあるだろ、隠し味に変わった調味料いれたりさ。ちょっとした興味だよ、興味」

 悪びれた様子もなく香水斗は僕の精液が入ったビニール袋を差しだそうともしないし、捨てようともしない。しびれを切らした僕が手を出せば、茶化すように香水斗は手の甲にキスをした。

「じゃあ、自分の精液でやれば……「やった」

「え?」

 僕は香水斗を二度見する。この男、本気か?

「自分の精液でやったから志野の精液使ってみたくなったんだよ」

 僕は何も言い返せなかった。香水斗の理論は正しいのかもしれない。そう思わせるほど、僕は香水斗が作る香りに心酔していた。

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