香水のせいにすればいい

香水の落とし方

そそり立つ

　そそり立つ僕の陰茎を香水斗は口に含んだ。歯を当てないように舌を駆使している。香水斗は僕の陰茎を口いっぱいに頬張っていた。じゅぷじゅぷ、と香水斗の唾液と僕の先走りが泡だっていく。
　
　尿道にあるものを吸い上げるように吸われ、後孔に指を出し入れされる。その不思議な感覚から逃れるように、もたれると背中に冷たい鏡が当たってゾクリと背筋が凍った。
　
　こんなの止めなくちゃいけないのに声を押し殺すのに必死だった。口元に手を置いて荒く息をする。この熱を早くどうにかしたくて親指を軽くかじった。

「んっ……」

　親指をかじる僕を見て香水斗は「指をかじるな」と取り払われるけど我慢ができない。首を振ってまた指をくわえた。

「こら」

「はっ……無茶言うな！」

　――……ガチャリ。仮眠室のドアが開いた。僕と香水斗しかいないと思っていたのに、誰かが入ってくる。

「……！」

「あーだりぃ……ちょっと寝るか……」

　男性の声がかすかに聞こえた。バレたらどうしよう……！　そう思った瞬間、ビクっと身体が跳ねた。僕の陰茎から口を離していた香水斗の顔を精液で汚してしまう。それを紛らわすために後ろ手でシャワーの水栓を探し出し最大限に捻った。

　シャァァァ――……。

　自分からお湯をかぶって香水斗の顔も一緒に濡らした。恥ずかしくて悲しいのか混乱したまま涙が出てくる。口を押さえた手で目を拭えば、また香水斗と目が合った。

　香水斗は純粋に下から見上げていて、その視線に耐えれなくなった僕は香水斗を押し出して逃げようとする。だけど、それを許してはくれなかった。

「今、出てどうすんだ？　着る服もないのに……」

　小声で僕の耳元にささやき、バスタブのふちにかかったボトムとパンツに指をさす。絞ればどうにかなるかもしれないとやってみたが穿ける状態にはならなかった。