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鬼のセンチネル
心中した鬼 弐
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鮮やかに色づいた紅葉は少しだけ怖く感じた。
藤は自然豊かな森で紅葉の赤色に囲まれていた。強く風が吹いて紅葉の落ち葉が舞い踊る。入り口には古びた木の看板があった。そこには、もみじ神社と掘られている。
「甘い匂いがする……」
藤がもみじ神社に着いてから、ずっと匂いが纏まとわり付いていた。
「早く行け、時間が勿体もったいない」
藤は後ろから小突かれる。藤の後ろには数人の男たちがいた。彼等は陰陽寮の人間で、陰陽師とセンチネルを監視する管理者だ。
陰陽師というのは、センチネルを制御するもの。
センチネルは、特殊な能力を持ったもの。
陰陽寮は、センチネルと陰陽師を管理するもの。
藤は陰陽師の素質アリと、この見知らぬ土地に連れて来られた。
「はい……」
藤の目線の先には、百段ぐらいの階段が見える。
「進め」
百段ぐらいある階段を登ることを躊躇していれば、さっさと動けと催促された。
「はい……」
陰陽寮に逆らうことはできない。逆らえば反逆者として刑に罰せられる。そういう世界だ。藤は小さくため息をつき階段を全て登り切ると、本殿が見えた。中に入るよう促され、履いていた靴を脱いで上がり込む。
階段を上り、祭神を祭る裏側へまわった。
裏側へまわると地下に繋がる隠し扉があった。陰陽寮の人間はその扉を開けて、藤に中へ入るように言った。
「明かりはないんですか?」
扉の先は、一寸先も見えない闇。明かり無しで足を踏み入れるのは勇気が必要だった。
「明かりを点けることは禁止されている」
陰陽寮の人間は怖がる藤を置いて先に進んだ。藤が逃げ出さないように間を挟み込む徹底ぶりだ。藤は前を歩く陰陽寮の人間の後ろについて、階段を下りていく。
階段は木でできており、かなり急だった。藤は階段を踏み外さないように壁に手をつく。階段を下りきると、圧迫感を感じるほど天井は低かった。
「切なくて甘い匂いがする……」
藤は紅葉の匂いではない、何かの匂いに反応した。外では感じることがなかった切ない匂いが混じりだす。この匂いは地下の奥から漂ってきているようだ。
「やはり、相性がよさそうだな」
陰陽寮の人間は嬉しそうに話しかけてきた。藤はいい気はしない。
階段を下りて廊下を進む。真ん中ぐらいまで進んだところで壁に違和感を感じた。
藤は自然豊かな森で紅葉の赤色に囲まれていた。強く風が吹いて紅葉の落ち葉が舞い踊る。入り口には古びた木の看板があった。そこには、もみじ神社と掘られている。
「甘い匂いがする……」
藤がもみじ神社に着いてから、ずっと匂いが纏まとわり付いていた。
「早く行け、時間が勿体もったいない」
藤は後ろから小突かれる。藤の後ろには数人の男たちがいた。彼等は陰陽寮の人間で、陰陽師とセンチネルを監視する管理者だ。
陰陽師というのは、センチネルを制御するもの。
センチネルは、特殊な能力を持ったもの。
陰陽寮は、センチネルと陰陽師を管理するもの。
藤は陰陽師の素質アリと、この見知らぬ土地に連れて来られた。
「はい……」
藤の目線の先には、百段ぐらいの階段が見える。
「進め」
百段ぐらいある階段を登ることを躊躇していれば、さっさと動けと催促された。
「はい……」
陰陽寮に逆らうことはできない。逆らえば反逆者として刑に罰せられる。そういう世界だ。藤は小さくため息をつき階段を全て登り切ると、本殿が見えた。中に入るよう促され、履いていた靴を脱いで上がり込む。
階段を上り、祭神を祭る裏側へまわった。
裏側へまわると地下に繋がる隠し扉があった。陰陽寮の人間はその扉を開けて、藤に中へ入るように言った。
「明かりはないんですか?」
扉の先は、一寸先も見えない闇。明かり無しで足を踏み入れるのは勇気が必要だった。
「明かりを点けることは禁止されている」
陰陽寮の人間は怖がる藤を置いて先に進んだ。藤が逃げ出さないように間を挟み込む徹底ぶりだ。藤は前を歩く陰陽寮の人間の後ろについて、階段を下りていく。
階段は木でできており、かなり急だった。藤は階段を踏み外さないように壁に手をつく。階段を下りきると、圧迫感を感じるほど天井は低かった。
「切なくて甘い匂いがする……」
藤は紅葉の匂いではない、何かの匂いに反応した。外では感じることがなかった切ない匂いが混じりだす。この匂いは地下の奥から漂ってきているようだ。
「やはり、相性がよさそうだな」
陰陽寮の人間は嬉しそうに話しかけてきた。藤はいい気はしない。
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