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魔王の勇者育成日記 15.家に帰るまでが社会科見学です
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ちかていこくは、くらいのにあかるく、つめたいのにさむくない、ふしぎなばしょでした。たいようの ひかりが さしこんでこない かわりに、そこかしこの いわが ほうせきの ように、ひかっていました。
「あそこに おしろの ような ものがある」
りっぱな たてものを みつけた さんにんは、おしろらしき ばしょへ いってみる ことに しました。
おしろの なかには たくさんの けらいが いました。
「おれたちは たびびとだ。このしろで いちばん えらいまものに あわせてもらえないか」
けらいは、なにごとかを ささやきあった あと、あんない を してくれました。
「いがいと ゆうこうてき なのかも しれない」
まもの は あんしん したように いいました。
「これだけ ひろい くに を、きちんと おさめて いるのだと したら、かなり あたまが いいはずだ。ゆだんは しない ほうが いい」
おさは ぎゃくに けいかいしんを つよめました。
さんにん が とおされた のは、ぎょくざ の ある ひろい ばしょ でした。
「たびの ものが まいり ました」
けらい は ぎょくざ に すわる まもの に あたまを さげました。
さんにん は、まもの を みて おどろき ました。
その まもの は、 まるで かみさま のように こうごうしかった のです。
(まおうのだいぼうけん 十三巻より)
とにかくすぐに行く、と言ってサクラは電話を切った。すぐに駆け付けたい気持ちを押さえ、緊急の番号に掛けると、数秒後にカミツレが出た。
『どうしました?』
「カミツレ長官!お休みのところすみません、コスモスがー、キキョウの畑で、落とし穴が!」
『少し落ち着きなさい。コスモスに何があったんです。あと聞き取り辛いのでゆっくり喋って下さい』
どうやらカミツレは風の強い場所に居るようだ。電話口からごうごうと風の音が聞こえる。
「コスモスがリヒト様を連れてキキョウの畑に行ったんです。そしたら、畑の土が突然消えて、コスモスとキキョウが落ちて、その後普通の土に戻ったと」
『二人はどうしたんです』
「落ちたまま、解らないそうです」
『解りました。貴方は現場に向かいなさい。私も後から行きます。事務課には連絡しておきますから、手続きせずに行っていいですよ』
「ありがとうございます!」
カミツレが電話を切ったので、サクラはそのまま走り出した。カミツレが休暇の今日、休日出勤している中で一番権限を持っているのはサクラである。その為、入館時と退館時に手間の掛かる手続きが要る。その辺に気を回してくれたカミツレに感謝しつつ、サクラは猛ダッシュした。
完全に出口を塞がれた空洞の中、コスモスとキキョウは真っ逆さまに落ちていた。
コスモスは落下しながら、風を呼ぼうと手を伸ばした。空洞の中には僅かに風がある。これを使えば上がれるはずだ。
「!?」
自分の魔力に風が呼応しない。コスモスは目を見開いた。
(風が、呼べない?どうして?)
初めて行った土地であったとしても、風であればコスモスは自由に操ることが出来る。今、この空間には風がある。それなのに、操れない。初めての事態に、コスモスは混乱した。
「コスモス様、しっかり掴まっていて下さい」
コスモスの様子を見て、落下は避けられないと判断したらしく、キキョウがコスモスの腕を引っ張って抱き締めた。キキョウは髪を結んでいる紐を解き、空中でしならせた。後数秒で地面に着くというところで、キキョウはそれを地面に向かって投げた。
ぼよん、とい間抜けな音と共に、二人は地上に降り立った。キキョウに抱きかかえられて無事着地したコスモスは、目の前に薄緑色のゼリー状に揺れる物体を見た。
「これは一体・・・?」
「魔界の豆の一種です。普段は紐のようですが、空気を含ませて刺激を与えるとゼラチンのように膨らむんです」
「すごい豆があるんだね・・・」
つまりキキョウは普段、豆を髪に撒いていたことになる。コスモスはツッコむべきかどうか迷い、今はとりあえず置いておくことにした。備えあれば憂いなしってやつなんだろう、多分。
「助かったよキキョウ、ありがとう」
「お怪我がなくて何よりです。ここは登れそうにありませんし、何処か別の場所を探しましょう」
「うん、そうだね。大分落ちて来ちゃったみたいだね・・・」
コスモスは上を見上げた。不思議なことに、出口が閉ざされていても辺りは真っ暗にはならなかった。暗いことは暗いが、ある程度の距離ならば視認出来る。周りにある土壁にところどころ鉱物のようなものが含まれており、それが光っているようだった。
「足元が悪いですから、お気をつけて」
「ありがとう」
近くに段差があった為、キキョウはコスモスに手を差し伸べた。コスモスはそれをぎゅっと握った。
「何があるか解らないし、手を繋いでおこう」
「!」
キキョウは少し赤くなったが、緊急事態であることを思い出して頭を振った。
「はい!コスモス様は私がお守り致します!」
「ありがとう」
二人は手を繋ぎ、辺りの様子を見て回った。落ちて来た空洞の周囲は開けた場所になっていて、数キロ程はどの方面にでも歩いて行けそうであった。
「どっちに行けばいいんだろう・・・」
コスモスは考えた。何処か一本しか道が無いのであれば、その道を進んでいくのだが、どの方向へでも進めるとすると、何か目印をつけておかないと迷う可能性が高い。
(風も使えないし、何だか嫌だな・・・)
コスモスは空いている方の手で反対側の自分の腕を抱き締めた。言いようの無い不安があった。そもそもこんなに深い穴に落ちたことがないし、どう考えても不自然だった。
「!」
キキョウと繋いでいる手がぎゅっと握られて、コスモスはキキョウを見た。
「大丈夫です。コスモス様。必ず地上に戻れます」
「キキョウ・・・」
コスモスを励まそうとしているらしく、キキョウは微笑んだ。
「・・・ありがとう」
コスモスも微笑んだ。キキョウだって不安だろうに、自分を心配してくれている。コスモスは少し自分が情けなくなった。もっと気をしっかり持たなければ。
「あれ?おかしいなあ。変なのが紛れ込んでる」
「「!」」
突然聞こえた声に、二人は同時に振り向いた。数十m先から、ぱしゃぱしゃと水を蹴る音がする。土が湿っている為、そこかしこにある水溜りを踏んでいるのだろう。音が近づいてくると、少年の姿が現れた。見た目としては、イナホと同じぐらいに見えた。キラキラと輝く銀髪に、大きな青い瞳。可愛らしい少年は、冷たい表情で二人を見た。
「まあ、いいか。目的のも居るし。連れてくだけだな」
「君は、一体?」
コスモスが話し掛けると、少年は心底嫌そうな顔をした。
「話し掛けるんじゃねーよ。お前みたいなのは目障りでしょうがないんだ。黙ってついて来い」
少年は舌打ちをすると、二人に背を向けた。
コスモスはポカーンとした。キキョウもポカーンとしていたが、コスモスよりも先にハッとした。
「きっさま、何という無礼な口をっ・・・!」
「キキョウ、落ち着いて。着いて行ってみよう」
「コスモス様・・・」
コスモスは悪口に慣れていた。容姿が容姿なだけに、昔から陰口を言われることも多かったのだ。秘書室に入った時にも、「室長と寝たんじゃないか」とか陰で言われていた。この時ばかりは逆鱗に触れたのできちんと報復しておいた。
「どうやら、私達を落としたことに関係ありそうだし、もしかしたら出口も解るかもしれない」
ね、とコスモスが言い聞かせるので、キキョウは頷いた。
「解りました」
二人は手を繋いだまま、少年の後に続いた。
「サクラ室長!」
キキョウの畑に着いたサクラは、すぐにアネモネに案内された。
「あそこです。陰になってるところ」
サクラが現場の近くまで来ると、イナホ達が押し寄せて来た。
「室長!!コスモス達は大丈夫だよな!?な?!」
「室長ぉおおお!コスモスがあ、キキョウさんがああああ」
「コスモス、コスモスー!」
上から誰の台詞か当ててみよう。(答:イナホ・コムギ・リヒト)
サクラはよしよしと三人を宥め、ベルトコンベアーのように後ろへくるりと回した。
「とにかく、様子を見てみる。静かにしててくれ」
サクラはその場に膝を着き、地面に手を当てて目を閉じた。子供達は「何かやるらしい」と悟ったらしく、口元を引き結んだ。
サクラは掌から大地に呼び掛け、土の下の様子を探った。今居る場所から問題の場所まで、地中を這う根のように意識を伸ばしていく。
「!」
サクラは目を開けた。掌を地面から離し、訝しげに陰になっている場所を見る。
「室長、何か解ったのか?」
イナホの質問に、サクラは首を振った。
「解らない。あの辺りだけ、闇みたいになっていて見えない。・・・もう少し深く潜ってみる」
サクラはもう一度地面に手を触れた。
「止めておきなさい」
後ろから聞こえた声に、サクラは振り向いた。
「カミツレ長か・・・」
振り向いた先には、見慣れない姿のお兄さんが立っていた。
一部の髪を後ろでアップにして結び、下の方は自然に流し、白いパーカーに紺のVネックのTシャツ、七分丈のジーパンにスニーカーを着用し、何故かサーフボードを持っている。眼鏡はしていない。
「下手に介入しては危険です」
サクラは唖然としてお兄さんを見つめた。お兄さんは怪訝な顔をした。
「何です?私の顔に何か付いていますか?」
「・・・も、もしかして、カミツレ長官ですか?」
「そうですが」
サクラは不敬を承知でまじまじとお兄さんの顔を見つめた。めっちゃ若い。普段細身の眼鏡とピシッとした制服の着こなしと、厳しめの物言いから威厳みたいなものが出まくっているが、こうしてラフな格好をしていると滅茶苦茶若く見える。サクラよりは年上な筈であるが、この格好で「新人です」とか言われたら信じるかもしれない。イナホも目を丸くしてお兄さんを凝視している。
そして、何よりもサクラには気になることがあった。
「・・・何でサーフボード持ってるんですか?」
「エアサーフィンをしているところだったんです。着替える時間が無かったのでそのまま来ました」
エアサーフィンとは、特殊な風が吹いている場所でサーフボードに乗って楽しむスポーツである。海の波ではなく、空の風に乗るのである。風が吹いていないタイミングが来ると落下するので、サーフボードからも風が出せる仕組みになっている。かなり高度なスポーツなので、本格的にやる人しかやらない。サーフボードに燃料が入っていれば空を飛んで移動出来るので、カミツレはそれでやって来たのである。下手に地上を移動するよりも速い。※ただし、決められた場所以外を飛ぶのには免許が必要。無免許で飛ぶと空路交通法違反で逮捕される。
「それで、コスモスが落ちた地面というのは?」
「あ、あそこです」
カミツレのオフの日スタイルについてツッコミたいことは山程あったが、今はそれどころではないことを思い出してサクラはカミツレに経緯を手短に説明した。
カミツレは二人が落ちたという地面を見つめた。暫く考える素振りをした後、後ろに控えているアネモネに言った。
「アネモネ。子供達を連れて家の中に入っていて下さい。サクラと話すことがあります」
「あ・・・はい」
アネモネは俯いていた。顔が蒼褪めているのがカミツレは気になったが、状況が状況なので無理もないと納得した。
アネモネが子供達を連れて行くと、カミツレはサクラに向き直った。
「サクラ。次の長官は貴方ですから、貴方には話しておいた方がいいでしょう。今回のことにも関わりがあるかもしれません」
カミツレは横目で影の場所を見つめながら言うと、サクラに視線を移した。
「貴方は地下帝国の存在を知っていますか」
「!」
先程自分の中で浮かんだ言葉が出て来て、サクラは驚いた。
「・・・魔王様の城で、魔界開拓史という古代史の本を見つけました。その本の内容が『まおうのだいぼうけん』という絵本に似ていて・・・その絵本に、『ちかていこく』という言葉が出て来るので、もしかして実在するのでは、と思っていました」
「成る程」
カミツレは頷いた。
「あの絵本に書かれていることはおおよそ事実だと私は思っています。もう少し情報はありますが、それについては落ち着いてから話しましょう」
「それでは、やはり・・・」
サクラは拳を握った。
「ええ。地下帝国は実在します」
「何故、その存在が隠されているのですか!?こんな重大なことを、何故、」
サクラは大きな声を出した。魔界の真下に、見知らぬ国があるのだ。それを魔界の住民は知らされていない。まるでその存在を隠しているかのようで、サクラには不可解だった。
「それは後程説明しましょう。今はまず、二人をどうにかしなければ」
カミツレはサクラと同じように地面に膝を着き、掌を当てた。
「私に何かあったら、内務庁のことは任せます。地下帝国については、私の机の錠付きの引き出しを見て下さい。錠の番号は1225です」
「カミツレ長官・・・」
サクラは言葉を失った。尋常ではない事態であるとサクラは理解した。長官であるカミツレが自ら魔力を使うということは、それだけの一大事である。光り出したカミツレの姿を、サクラは複雑な気持ちで見守った。
コスモス達が少年に付いて行った先は、城のような建物に繋がっていた。光源のようなものは無いのに、辺りはぼんやりと明るい。大理石のような壁と柱のそこかしこに、薄紫色の鉱物のような光が見える。地上ではおよそ見たことのない空間だった。
少年が立ち止まった先には、玉座のようなものがあった。
「コスモス様、」
「うん、」
その玉座に、誰かが座っているのが見えた。
古代紫の長い髪を後ろで括り、濃い紫色のマントを纏う若い男性。薄い色の瞳が、コスモス達を見下ろしている。
二人は本能的に悟った。この男性は、自分達より遥かに強い。今まで感じたことのないような威圧感が、その場を支配していた。
「連れて参りました、ヴェルディ様」
少年は玉座の少し前に跪き、恭しく礼をして言った。ヴェルディと呼ばれた男性は、ほんの少し目を細めた。
「確かにカルーアの一族ではあるようだが、我の探している者とは違うな」
ヴェルディは目を伏せた。
「!」
コスモスはカルーアという言葉が出て来たことに驚いた。どうして知っているのかは解らないが、やはり自分が目的であったらしい。コスモスの様子に気づいたキキョウは、コスモスを庇うように一歩前に出た。
「あれは何だ」
「はい、ヴェルディ様。呼んでいないものが紛れてしまったのでございます」
「ならば要らぬ」
「はい。ヴェルディ様」
キキョウのことを話しているらしいとコスモスが気付いた時には、少年が武器を振り上げていた。
「ッ!?」
鉄線のような鞭がキキョウの体に纏わりつき、体に食い込んで締め上げた。
「ぅあぁっ!!」
「キキョウ!!」
少年が鞭を振ると、キキョウは鞭が体中に食い込んだままで倒れた。小さな針金のような棘で締め上げられ、キキョウの体中から血が滲み出ている。
「キキョウ!」
コスモスはキキョウの傍に膝を着き、鞭に触れようとした。
「ッ」
小さな棘に触れると電気のようなものが走り、コスモスは指先に小さな火傷を負った。キキョウはぐったりとしていて、意識を失っている。コスモスは血の気が引いた。キキョウは全身にこの電気を浴びているのだろうか。
「そなたに訊きたいことがある」
ヴェルディはコスモスに言った。コスモスは立ち上がり、ヴェルディを睨み付けた。
「キキョウを離して下さい」
鞭を引いている少年が、不愉快そうに顔を歪めた。
「ヴェルディ様がご質問なさると仰っている。嘘偽りなくお答えしろ」
少年の言葉には答えず、コスモスはヴェルディに言い放った。
「キキョウを離してくれるまで、貴方の質問には答えません」
真っ直ぐに射抜いてくる視線に、ヴェルディは少しだけ目を開いた。
「あやつと同じ一族なだけはある。よく似ているな」
ヴェルディは口元に弧を描いた。
「離してやれ」
ヴェルディの言葉に、少年は腑に落ちなさそうな顔でキキョウを鞭から解放した。
「キキョウ!」
コスモスは膝を着いてキキョウの様子を確認した。意識は無い。呼吸も浅い。早く手当しないと危ないかもしれない。コスモスは震えそうになる手をぎゅっと握った。何とかして、ここから逃げなくては。キキョウを守らなくては。
コスモスはぐっと唇を引き結び、立ち上がってヴェルディを見た。
「質問というのは、何でしょうか」
コスモスは、この場所の風を使えない。即ち、自力では脱出出来ない。自分を連れて来たのであろうこの男性の力を借りるしかない。それ以上に、逆らえば命はないであろう。コスモスは目の前の男性が桁違いの魔力を持っているのを肌で感じていた。
「そなた、薄藍色の瞳をしたカルーアを知っているか?」
「薄藍色の瞳・・・?」
コスモスは眉根を寄せた。
「カルーアに、青系統の色を持つ者は居ない筈です。少なくとも、私が知っている中には居ません」
ヴェルディはゆっくりと目を伏せた。
「そうか・・・ならばもう用は無い」
ヴェルディは片手で払う仕草をした。
「処分致しますか?」
少年が鞭を構えた。
「!」
コスモスはキキョウの前に立った。もしここで、ヴェルディが頷けば二人共命は無い。少年の魔力は然程強いわけではないが、風を使えない今、手負いのキキョウを連れて脱出するのは不可能だった。
(サクラ・・・)
コスモスの頬をつう、と汗が伝った。平和である筈の魔界に暮らしていて、こんな窮地に陥るとは思わなかった。死ぬかもしれないと思ったら後悔ばかりが押し寄せてきて、コスモスは泣きそうになるのをぐっと堪えた。
暫く沈黙した後、ヴェルディは細目を開けた。
「干渉しようとしている者が居るな・・・」
ヴェルディは少しだけ眉根を寄せた。
「そなたはあやつの一族故、殺すのは忍びない。帰してやろう」
ヴェルディは右手で玉座に寄りかかるように頬杖を突くと、左手の指を鳴らした。
「!」
パチン、という音が響いた直後、コスモス達の真下から豪風が吹いた。
「!」
カミツレは地面に当てていた掌に電撃が走ったような強烈な痛みを感じた。
「カミツレ長官!」
「弾かれました」
軽く手を振りながらカミツレは言った。
「やはり一筋縄では行きませんね」
カミツレは己の掌をじっと見た。軽くではあるが広範囲で火傷を負っている。
「一体何が― !?」
サクラは一瞬早くその変化に気づき、二人が落ちた場所を見た。平らな地面が僅かに盛り上がるのを視認した直後、辺りの土が弾け飛び、下から豪風が吹いて来た。
「なっ!!」
余りの風圧に二人は目を閉じ、その場から飛ばされないように踏ん張った。
「!コスモス!!キキョウ!」
風が収まってサクラが目を開けると、落ちた辺りの地面にコスモスとキキョウが横たわっていた。
「あそこに おしろの ような ものがある」
りっぱな たてものを みつけた さんにんは、おしろらしき ばしょへ いってみる ことに しました。
おしろの なかには たくさんの けらいが いました。
「おれたちは たびびとだ。このしろで いちばん えらいまものに あわせてもらえないか」
けらいは、なにごとかを ささやきあった あと、あんない を してくれました。
「いがいと ゆうこうてき なのかも しれない」
まもの は あんしん したように いいました。
「これだけ ひろい くに を、きちんと おさめて いるのだと したら、かなり あたまが いいはずだ。ゆだんは しない ほうが いい」
おさは ぎゃくに けいかいしんを つよめました。
さんにん が とおされた のは、ぎょくざ の ある ひろい ばしょ でした。
「たびの ものが まいり ました」
けらい は ぎょくざ に すわる まもの に あたまを さげました。
さんにん は、まもの を みて おどろき ました。
その まもの は、 まるで かみさま のように こうごうしかった のです。
(まおうのだいぼうけん 十三巻より)
とにかくすぐに行く、と言ってサクラは電話を切った。すぐに駆け付けたい気持ちを押さえ、緊急の番号に掛けると、数秒後にカミツレが出た。
『どうしました?』
「カミツレ長官!お休みのところすみません、コスモスがー、キキョウの畑で、落とし穴が!」
『少し落ち着きなさい。コスモスに何があったんです。あと聞き取り辛いのでゆっくり喋って下さい』
どうやらカミツレは風の強い場所に居るようだ。電話口からごうごうと風の音が聞こえる。
「コスモスがリヒト様を連れてキキョウの畑に行ったんです。そしたら、畑の土が突然消えて、コスモスとキキョウが落ちて、その後普通の土に戻ったと」
『二人はどうしたんです』
「落ちたまま、解らないそうです」
『解りました。貴方は現場に向かいなさい。私も後から行きます。事務課には連絡しておきますから、手続きせずに行っていいですよ』
「ありがとうございます!」
カミツレが電話を切ったので、サクラはそのまま走り出した。カミツレが休暇の今日、休日出勤している中で一番権限を持っているのはサクラである。その為、入館時と退館時に手間の掛かる手続きが要る。その辺に気を回してくれたカミツレに感謝しつつ、サクラは猛ダッシュした。
完全に出口を塞がれた空洞の中、コスモスとキキョウは真っ逆さまに落ちていた。
コスモスは落下しながら、風を呼ぼうと手を伸ばした。空洞の中には僅かに風がある。これを使えば上がれるはずだ。
「!?」
自分の魔力に風が呼応しない。コスモスは目を見開いた。
(風が、呼べない?どうして?)
初めて行った土地であったとしても、風であればコスモスは自由に操ることが出来る。今、この空間には風がある。それなのに、操れない。初めての事態に、コスモスは混乱した。
「コスモス様、しっかり掴まっていて下さい」
コスモスの様子を見て、落下は避けられないと判断したらしく、キキョウがコスモスの腕を引っ張って抱き締めた。キキョウは髪を結んでいる紐を解き、空中でしならせた。後数秒で地面に着くというところで、キキョウはそれを地面に向かって投げた。
ぼよん、とい間抜けな音と共に、二人は地上に降り立った。キキョウに抱きかかえられて無事着地したコスモスは、目の前に薄緑色のゼリー状に揺れる物体を見た。
「これは一体・・・?」
「魔界の豆の一種です。普段は紐のようですが、空気を含ませて刺激を与えるとゼラチンのように膨らむんです」
「すごい豆があるんだね・・・」
つまりキキョウは普段、豆を髪に撒いていたことになる。コスモスはツッコむべきかどうか迷い、今はとりあえず置いておくことにした。備えあれば憂いなしってやつなんだろう、多分。
「助かったよキキョウ、ありがとう」
「お怪我がなくて何よりです。ここは登れそうにありませんし、何処か別の場所を探しましょう」
「うん、そうだね。大分落ちて来ちゃったみたいだね・・・」
コスモスは上を見上げた。不思議なことに、出口が閉ざされていても辺りは真っ暗にはならなかった。暗いことは暗いが、ある程度の距離ならば視認出来る。周りにある土壁にところどころ鉱物のようなものが含まれており、それが光っているようだった。
「足元が悪いですから、お気をつけて」
「ありがとう」
近くに段差があった為、キキョウはコスモスに手を差し伸べた。コスモスはそれをぎゅっと握った。
「何があるか解らないし、手を繋いでおこう」
「!」
キキョウは少し赤くなったが、緊急事態であることを思い出して頭を振った。
「はい!コスモス様は私がお守り致します!」
「ありがとう」
二人は手を繋ぎ、辺りの様子を見て回った。落ちて来た空洞の周囲は開けた場所になっていて、数キロ程はどの方面にでも歩いて行けそうであった。
「どっちに行けばいいんだろう・・・」
コスモスは考えた。何処か一本しか道が無いのであれば、その道を進んでいくのだが、どの方向へでも進めるとすると、何か目印をつけておかないと迷う可能性が高い。
(風も使えないし、何だか嫌だな・・・)
コスモスは空いている方の手で反対側の自分の腕を抱き締めた。言いようの無い不安があった。そもそもこんなに深い穴に落ちたことがないし、どう考えても不自然だった。
「!」
キキョウと繋いでいる手がぎゅっと握られて、コスモスはキキョウを見た。
「大丈夫です。コスモス様。必ず地上に戻れます」
「キキョウ・・・」
コスモスを励まそうとしているらしく、キキョウは微笑んだ。
「・・・ありがとう」
コスモスも微笑んだ。キキョウだって不安だろうに、自分を心配してくれている。コスモスは少し自分が情けなくなった。もっと気をしっかり持たなければ。
「あれ?おかしいなあ。変なのが紛れ込んでる」
「「!」」
突然聞こえた声に、二人は同時に振り向いた。数十m先から、ぱしゃぱしゃと水を蹴る音がする。土が湿っている為、そこかしこにある水溜りを踏んでいるのだろう。音が近づいてくると、少年の姿が現れた。見た目としては、イナホと同じぐらいに見えた。キラキラと輝く銀髪に、大きな青い瞳。可愛らしい少年は、冷たい表情で二人を見た。
「まあ、いいか。目的のも居るし。連れてくだけだな」
「君は、一体?」
コスモスが話し掛けると、少年は心底嫌そうな顔をした。
「話し掛けるんじゃねーよ。お前みたいなのは目障りでしょうがないんだ。黙ってついて来い」
少年は舌打ちをすると、二人に背を向けた。
コスモスはポカーンとした。キキョウもポカーンとしていたが、コスモスよりも先にハッとした。
「きっさま、何という無礼な口をっ・・・!」
「キキョウ、落ち着いて。着いて行ってみよう」
「コスモス様・・・」
コスモスは悪口に慣れていた。容姿が容姿なだけに、昔から陰口を言われることも多かったのだ。秘書室に入った時にも、「室長と寝たんじゃないか」とか陰で言われていた。この時ばかりは逆鱗に触れたのできちんと報復しておいた。
「どうやら、私達を落としたことに関係ありそうだし、もしかしたら出口も解るかもしれない」
ね、とコスモスが言い聞かせるので、キキョウは頷いた。
「解りました」
二人は手を繋いだまま、少年の後に続いた。
「サクラ室長!」
キキョウの畑に着いたサクラは、すぐにアネモネに案内された。
「あそこです。陰になってるところ」
サクラが現場の近くまで来ると、イナホ達が押し寄せて来た。
「室長!!コスモス達は大丈夫だよな!?な?!」
「室長ぉおおお!コスモスがあ、キキョウさんがああああ」
「コスモス、コスモスー!」
上から誰の台詞か当ててみよう。(答:イナホ・コムギ・リヒト)
サクラはよしよしと三人を宥め、ベルトコンベアーのように後ろへくるりと回した。
「とにかく、様子を見てみる。静かにしててくれ」
サクラはその場に膝を着き、地面に手を当てて目を閉じた。子供達は「何かやるらしい」と悟ったらしく、口元を引き結んだ。
サクラは掌から大地に呼び掛け、土の下の様子を探った。今居る場所から問題の場所まで、地中を這う根のように意識を伸ばしていく。
「!」
サクラは目を開けた。掌を地面から離し、訝しげに陰になっている場所を見る。
「室長、何か解ったのか?」
イナホの質問に、サクラは首を振った。
「解らない。あの辺りだけ、闇みたいになっていて見えない。・・・もう少し深く潜ってみる」
サクラはもう一度地面に手を触れた。
「止めておきなさい」
後ろから聞こえた声に、サクラは振り向いた。
「カミツレ長か・・・」
振り向いた先には、見慣れない姿のお兄さんが立っていた。
一部の髪を後ろでアップにして結び、下の方は自然に流し、白いパーカーに紺のVネックのTシャツ、七分丈のジーパンにスニーカーを着用し、何故かサーフボードを持っている。眼鏡はしていない。
「下手に介入しては危険です」
サクラは唖然としてお兄さんを見つめた。お兄さんは怪訝な顔をした。
「何です?私の顔に何か付いていますか?」
「・・・も、もしかして、カミツレ長官ですか?」
「そうですが」
サクラは不敬を承知でまじまじとお兄さんの顔を見つめた。めっちゃ若い。普段細身の眼鏡とピシッとした制服の着こなしと、厳しめの物言いから威厳みたいなものが出まくっているが、こうしてラフな格好をしていると滅茶苦茶若く見える。サクラよりは年上な筈であるが、この格好で「新人です」とか言われたら信じるかもしれない。イナホも目を丸くしてお兄さんを凝視している。
そして、何よりもサクラには気になることがあった。
「・・・何でサーフボード持ってるんですか?」
「エアサーフィンをしているところだったんです。着替える時間が無かったのでそのまま来ました」
エアサーフィンとは、特殊な風が吹いている場所でサーフボードに乗って楽しむスポーツである。海の波ではなく、空の風に乗るのである。風が吹いていないタイミングが来ると落下するので、サーフボードからも風が出せる仕組みになっている。かなり高度なスポーツなので、本格的にやる人しかやらない。サーフボードに燃料が入っていれば空を飛んで移動出来るので、カミツレはそれでやって来たのである。下手に地上を移動するよりも速い。※ただし、決められた場所以外を飛ぶのには免許が必要。無免許で飛ぶと空路交通法違反で逮捕される。
「それで、コスモスが落ちた地面というのは?」
「あ、あそこです」
カミツレのオフの日スタイルについてツッコミたいことは山程あったが、今はそれどころではないことを思い出してサクラはカミツレに経緯を手短に説明した。
カミツレは二人が落ちたという地面を見つめた。暫く考える素振りをした後、後ろに控えているアネモネに言った。
「アネモネ。子供達を連れて家の中に入っていて下さい。サクラと話すことがあります」
「あ・・・はい」
アネモネは俯いていた。顔が蒼褪めているのがカミツレは気になったが、状況が状況なので無理もないと納得した。
アネモネが子供達を連れて行くと、カミツレはサクラに向き直った。
「サクラ。次の長官は貴方ですから、貴方には話しておいた方がいいでしょう。今回のことにも関わりがあるかもしれません」
カミツレは横目で影の場所を見つめながら言うと、サクラに視線を移した。
「貴方は地下帝国の存在を知っていますか」
「!」
先程自分の中で浮かんだ言葉が出て来て、サクラは驚いた。
「・・・魔王様の城で、魔界開拓史という古代史の本を見つけました。その本の内容が『まおうのだいぼうけん』という絵本に似ていて・・・その絵本に、『ちかていこく』という言葉が出て来るので、もしかして実在するのでは、と思っていました」
「成る程」
カミツレは頷いた。
「あの絵本に書かれていることはおおよそ事実だと私は思っています。もう少し情報はありますが、それについては落ち着いてから話しましょう」
「それでは、やはり・・・」
サクラは拳を握った。
「ええ。地下帝国は実在します」
「何故、その存在が隠されているのですか!?こんな重大なことを、何故、」
サクラは大きな声を出した。魔界の真下に、見知らぬ国があるのだ。それを魔界の住民は知らされていない。まるでその存在を隠しているかのようで、サクラには不可解だった。
「それは後程説明しましょう。今はまず、二人をどうにかしなければ」
カミツレはサクラと同じように地面に膝を着き、掌を当てた。
「私に何かあったら、内務庁のことは任せます。地下帝国については、私の机の錠付きの引き出しを見て下さい。錠の番号は1225です」
「カミツレ長官・・・」
サクラは言葉を失った。尋常ではない事態であるとサクラは理解した。長官であるカミツレが自ら魔力を使うということは、それだけの一大事である。光り出したカミツレの姿を、サクラは複雑な気持ちで見守った。
コスモス達が少年に付いて行った先は、城のような建物に繋がっていた。光源のようなものは無いのに、辺りはぼんやりと明るい。大理石のような壁と柱のそこかしこに、薄紫色の鉱物のような光が見える。地上ではおよそ見たことのない空間だった。
少年が立ち止まった先には、玉座のようなものがあった。
「コスモス様、」
「うん、」
その玉座に、誰かが座っているのが見えた。
古代紫の長い髪を後ろで括り、濃い紫色のマントを纏う若い男性。薄い色の瞳が、コスモス達を見下ろしている。
二人は本能的に悟った。この男性は、自分達より遥かに強い。今まで感じたことのないような威圧感が、その場を支配していた。
「連れて参りました、ヴェルディ様」
少年は玉座の少し前に跪き、恭しく礼をして言った。ヴェルディと呼ばれた男性は、ほんの少し目を細めた。
「確かにカルーアの一族ではあるようだが、我の探している者とは違うな」
ヴェルディは目を伏せた。
「!」
コスモスはカルーアという言葉が出て来たことに驚いた。どうして知っているのかは解らないが、やはり自分が目的であったらしい。コスモスの様子に気づいたキキョウは、コスモスを庇うように一歩前に出た。
「あれは何だ」
「はい、ヴェルディ様。呼んでいないものが紛れてしまったのでございます」
「ならば要らぬ」
「はい。ヴェルディ様」
キキョウのことを話しているらしいとコスモスが気付いた時には、少年が武器を振り上げていた。
「ッ!?」
鉄線のような鞭がキキョウの体に纏わりつき、体に食い込んで締め上げた。
「ぅあぁっ!!」
「キキョウ!!」
少年が鞭を振ると、キキョウは鞭が体中に食い込んだままで倒れた。小さな針金のような棘で締め上げられ、キキョウの体中から血が滲み出ている。
「キキョウ!」
コスモスはキキョウの傍に膝を着き、鞭に触れようとした。
「ッ」
小さな棘に触れると電気のようなものが走り、コスモスは指先に小さな火傷を負った。キキョウはぐったりとしていて、意識を失っている。コスモスは血の気が引いた。キキョウは全身にこの電気を浴びているのだろうか。
「そなたに訊きたいことがある」
ヴェルディはコスモスに言った。コスモスは立ち上がり、ヴェルディを睨み付けた。
「キキョウを離して下さい」
鞭を引いている少年が、不愉快そうに顔を歪めた。
「ヴェルディ様がご質問なさると仰っている。嘘偽りなくお答えしろ」
少年の言葉には答えず、コスモスはヴェルディに言い放った。
「キキョウを離してくれるまで、貴方の質問には答えません」
真っ直ぐに射抜いてくる視線に、ヴェルディは少しだけ目を開いた。
「あやつと同じ一族なだけはある。よく似ているな」
ヴェルディは口元に弧を描いた。
「離してやれ」
ヴェルディの言葉に、少年は腑に落ちなさそうな顔でキキョウを鞭から解放した。
「キキョウ!」
コスモスは膝を着いてキキョウの様子を確認した。意識は無い。呼吸も浅い。早く手当しないと危ないかもしれない。コスモスは震えそうになる手をぎゅっと握った。何とかして、ここから逃げなくては。キキョウを守らなくては。
コスモスはぐっと唇を引き結び、立ち上がってヴェルディを見た。
「質問というのは、何でしょうか」
コスモスは、この場所の風を使えない。即ち、自力では脱出出来ない。自分を連れて来たのであろうこの男性の力を借りるしかない。それ以上に、逆らえば命はないであろう。コスモスは目の前の男性が桁違いの魔力を持っているのを肌で感じていた。
「そなた、薄藍色の瞳をしたカルーアを知っているか?」
「薄藍色の瞳・・・?」
コスモスは眉根を寄せた。
「カルーアに、青系統の色を持つ者は居ない筈です。少なくとも、私が知っている中には居ません」
ヴェルディはゆっくりと目を伏せた。
「そうか・・・ならばもう用は無い」
ヴェルディは片手で払う仕草をした。
「処分致しますか?」
少年が鞭を構えた。
「!」
コスモスはキキョウの前に立った。もしここで、ヴェルディが頷けば二人共命は無い。少年の魔力は然程強いわけではないが、風を使えない今、手負いのキキョウを連れて脱出するのは不可能だった。
(サクラ・・・)
コスモスの頬をつう、と汗が伝った。平和である筈の魔界に暮らしていて、こんな窮地に陥るとは思わなかった。死ぬかもしれないと思ったら後悔ばかりが押し寄せてきて、コスモスは泣きそうになるのをぐっと堪えた。
暫く沈黙した後、ヴェルディは細目を開けた。
「干渉しようとしている者が居るな・・・」
ヴェルディは少しだけ眉根を寄せた。
「そなたはあやつの一族故、殺すのは忍びない。帰してやろう」
ヴェルディは右手で玉座に寄りかかるように頬杖を突くと、左手の指を鳴らした。
「!」
パチン、という音が響いた直後、コスモス達の真下から豪風が吹いた。
「!」
カミツレは地面に当てていた掌に電撃が走ったような強烈な痛みを感じた。
「カミツレ長官!」
「弾かれました」
軽く手を振りながらカミツレは言った。
「やはり一筋縄では行きませんね」
カミツレは己の掌をじっと見た。軽くではあるが広範囲で火傷を負っている。
「一体何が― !?」
サクラは一瞬早くその変化に気づき、二人が落ちた場所を見た。平らな地面が僅かに盛り上がるのを視認した直後、辺りの土が弾け飛び、下から豪風が吹いて来た。
「なっ!!」
余りの風圧に二人は目を閉じ、その場から飛ばされないように踏ん張った。
「!コスモス!!キキョウ!」
風が収まってサクラが目を開けると、落ちた辺りの地面にコスモスとキキョウが横たわっていた。
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