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15. アンドロイドとホムンクルス

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僕はサクヤさんと一緒に露天風呂から出て、浴衣に着替えて旅館の部屋に戻った。畳の敷かれた12帖の和室である。僕は彼女と並んで座り、お茶を飲んでいた。窓から外を見ると紅葉した山々が見える。時折風が吹いてきて、庭の木々の葉がサラサラと音を立てて舞っていた。静寂に包まれた空気がとても心地よい。まるでこの世界に二人しかいないような錯覚に陥りそうになる。今だけは誰にも邪魔されたくないと思った。

「とても落ち着きますね」

サクヤさんはそう言って目を閉じた。長いまつ毛が下まぶたに影を作っている。彼女の白い肌は、お風呂上がりで火照っているのか、ほんのりとピンク色に染まっていた。とても色っぽい姿だ。彼女の姿を眺めているだけで幸せな気分になる。ずっと見ていても飽きないくらい美しい。
彼女の横顔に見惚れていると、彼女は僕の視線に気付いて微笑んだ。

「どうかしましたか?」

「サクヤさんの顔がとても綺麗なので、つい見てしまいました」
僕は正直な気持ちを口にする。

「ふふっ、ありがとうございます」
彼女は嬉しそうに笑った。

「京太様も格好いいですよ」

「え? 本当ですか」

「はい。京太様は凛々しくて素敵だと思います」

「あ、ありがとうございます」
僕は照れくさくなり、思わず頬を掻く。

「私達はこの世界で二人きりですね」

「はい……」

僕達以外に誰もいない空間で、彼女と二人で寄り添って過ごす時間は、何物にも代え難いほど貴重なものだった。僕は彼女の肩を抱き寄せる。すると、サクヤさんは僕の方に体を預けてきた。

しばらくすると、彼女は僕の耳元で囁いた。
「少しだけ……眠ってもいいですか?」

「どうぞ、いくらでも寝てください。僕が起こしてあげますよ」

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて、もう少しの間だけ、京太様に体をあずけさせて頂きますね」

サクヤさんは僕の胸の中に顔を埋めて眠り始めた。二人の呼吸音が静かに響く。彼女の柔らかな髪からはシャンプーの良い香りが漂ってきた。彼女が側にいるという事実が僕を幸福な気持ちに満たしてくれる。いつまでもこのまま一緒に過ごしたいと思うほどだった。
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