終末世界を可愛い部下たちとともに

9. ウイルスバスター

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熱が出てもう1週間になる。
いつもは体調を崩しても栄養ドリンクを飲んで温かくして寝れば2~3日で大体治るのに、今回は違うようだ。最近流行っている新型のウイルスなのではないかと心配になる。肉体的に辛いだけでない。精神的にも参ってしまう。食欲がわかず、眠たくなくてもずっと布団にくるまっている。たぶん死にはしないのだろうけど、このまま死んでしまうのではないかと不安になってくる。

……だめだ……、意識が遠のいていく……

そのとき、アイが部屋に入ってきた。青いポニーテールの少女。黒いスーツに身を包み、胸元には地球滅亡管理局のバッジをつけている。

「……おい、うつると悪いから来なくていいって言ったのに……」
僕は弱々しい声で言った。

「何言ってるんですか！そんなこと言ってる場合じゃないでしょう！」

アイは焦った様子で言った。顔には心配の色が見える。彼女はベッドの横の椅子に腰掛けた。僕は彼女の顔を見つめる。

「大丈夫ですか？お粥とか作ってきたんで食べてください」

「ありがとう……」
しかし、今は何も食べられない。食欲が全くわかない。

「食べた方がいいですよ」

「そうだな……。後で食べるよ」
今は彼女の優しさに応える気力もない。

「……調子はどうですか？」

「全然治る気配がないな……、アイ、本当に僕はもうダメかもしれない……」

頭がボーっとする。体が熱い。呼吸が苦しい。視界が揺れる。彼女の姿が霞む。彼女は不安そうな表情で僕を見ている。彼女の美しい顔立ちが悲しげに歪んでいる。

「何を言っているんですか！きっとよくなります！」

そう言って彼女は僕の手を握った。彼女の柔らかい手に包まれると、手を通じて優しい波動のようなものが流れ込んでくる。彼女に対する愛しさがこみ上げてきた。僕は思わず彼女の手を握り返した。彼女は嬉しそうに微笑んだ。その笑顔を見ると心が癒されていく。僕は彼女の手の感触を確かめるように指を絡めた。少し汗ばんだ手は彼女の白い手に吸い付くような感覚がある。彼女の手を自分の頬に当てた。彼女の体温を感じながら目を閉じると、まるで彼女を抱いているかのような錯覚に陥る。彼女の甘い香りがする……

僕はそのまま深い眠りに落ちていった……