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リリーの質問
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「達、我輩は魔界では公爵の地位にある、それがお前にとってどう影響するかわかるか?」
達はキョトンとした顔でメフィストを見た。
「我輩は長期的にこちらに留まることは出来ない、度々魔界へ帰ることとなる。お前は血の契りによって司が人間界に留まる限り人間界から離れられない故、その度に命の危険にさいなまれることとなるのだ」
「フェレス卿、達を脅すきか?」
司がメフィストを睨む。
メフィストは司の方を向き、目を細めて言った。
「我輩は事実を述べたまで、それが脅しとなるのならそうなのであろう。しかし、お前が結んだ血の契りのせいで達の命が脅かされているのもまた事実――」
「死の契りを解除すれば良いではないか」
「我輩は達に選ばれたのだ、何の保証もないまま解除する謂れはない。だが、達には現状をしっかりと把握していてもらわねばならん。予期せず離れ離れになった場合、本来ならば1日と待たずに達は冥界行きだからな」
達はメフィストの言葉に目を見開いた。
(1日と待たずにメイカイ……、冥界――っ死!?)
「メ、メメメフィスト……この前帰ったよね? 何で俺生きて?」
「それはだな――」
達は真っ青になって、汗をかいていた。
メフィストは滴るその汗をじっと見つめ、涙と同様、やはり舐め始めた。
「ひっ」
またもやその場の空気が凍る。ピチャピチャと水音だけが響く。
「見せつけてくれるわね」
今まで黙っていたベルゼブブが囃し立てた。
メフィストは達から顔を離すと、うっとりとした瞳で達を見つめて言った。
「つまりは……だ、こうしてお前に触れる密度が濃かったり、我輩の1部がお前の体内に蓄積されたりしている間は、我輩の纏う魔力がお前を守るから離れていても大丈夫ということだ。ほら、我輩が帰還する前、身に覚えがあろう?」
「あぁ…ぁあ?」
メフィストが達のお尻を撫でると、達はゆでダコのように真っ赤になり、口をパクパクさせた。
メフィストは、動揺する達が可愛くてこめかみにキスをした。
司が拳で机を叩く。一気に視線が司に集まる。
「達……、今の話は本当か?」
司は俯き、震えている。
「パパ……?」
「……朱里君は知っていたのか?」
朱里は怪訝そうに司を見て言った。
「それを俺に聞くんですか……? 達に何かしらあったことはすぐに気づきましたよ。達は話してはくれませんでしたが……、身体中に散らばる赤いあとを見れば――」
朱里は達が赤を通り越して黒い顔をしていることに気づき慌てて口を噤んだ。
「朱里……、気づいてたの?」
涙目の達に朱里は焦った。
「と、達――」
「フェレス卿ゥゥゥ!!」
司は般若のような顔をしてメフィストに吠え、胸倉を掴んだ。
「我輩が達と交わって何が悪い! 我輩の僕だぞ!」
「私の息子だ!」
「私の息子でもあるわね、相性はどうだったの?」
「マ……ママ!?」
急に話に参戦してきたリリーの質問に、達は混乱した。
「良かった?」
(……悪くはなかった……。でもそんなこと皆の前で口が裂けても言えないよっ!)
達はただでさえ恥ずかしい事実を皆に知られ、さらに実の母親にその感想まで聞かれて当惑し、顔を真っ赤にして俯き沈黙した。
(否定しない……わね)
リリーはそれを肯定ととった。
達はキョトンとした顔でメフィストを見た。
「我輩は長期的にこちらに留まることは出来ない、度々魔界へ帰ることとなる。お前は血の契りによって司が人間界に留まる限り人間界から離れられない故、その度に命の危険にさいなまれることとなるのだ」
「フェレス卿、達を脅すきか?」
司がメフィストを睨む。
メフィストは司の方を向き、目を細めて言った。
「我輩は事実を述べたまで、それが脅しとなるのならそうなのであろう。しかし、お前が結んだ血の契りのせいで達の命が脅かされているのもまた事実――」
「死の契りを解除すれば良いではないか」
「我輩は達に選ばれたのだ、何の保証もないまま解除する謂れはない。だが、達には現状をしっかりと把握していてもらわねばならん。予期せず離れ離れになった場合、本来ならば1日と待たずに達は冥界行きだからな」
達はメフィストの言葉に目を見開いた。
(1日と待たずにメイカイ……、冥界――っ死!?)
「メ、メメメフィスト……この前帰ったよね? 何で俺生きて?」
「それはだな――」
達は真っ青になって、汗をかいていた。
メフィストは滴るその汗をじっと見つめ、涙と同様、やはり舐め始めた。
「ひっ」
またもやその場の空気が凍る。ピチャピチャと水音だけが響く。
「見せつけてくれるわね」
今まで黙っていたベルゼブブが囃し立てた。
メフィストは達から顔を離すと、うっとりとした瞳で達を見つめて言った。
「つまりは……だ、こうしてお前に触れる密度が濃かったり、我輩の1部がお前の体内に蓄積されたりしている間は、我輩の纏う魔力がお前を守るから離れていても大丈夫ということだ。ほら、我輩が帰還する前、身に覚えがあろう?」
「あぁ…ぁあ?」
メフィストが達のお尻を撫でると、達はゆでダコのように真っ赤になり、口をパクパクさせた。
メフィストは、動揺する達が可愛くてこめかみにキスをした。
司が拳で机を叩く。一気に視線が司に集まる。
「達……、今の話は本当か?」
司は俯き、震えている。
「パパ……?」
「……朱里君は知っていたのか?」
朱里は怪訝そうに司を見て言った。
「それを俺に聞くんですか……? 達に何かしらあったことはすぐに気づきましたよ。達は話してはくれませんでしたが……、身体中に散らばる赤いあとを見れば――」
朱里は達が赤を通り越して黒い顔をしていることに気づき慌てて口を噤んだ。
「朱里……、気づいてたの?」
涙目の達に朱里は焦った。
「と、達――」
「フェレス卿ゥゥゥ!!」
司は般若のような顔をしてメフィストに吠え、胸倉を掴んだ。
「我輩が達と交わって何が悪い! 我輩の僕だぞ!」
「私の息子だ!」
「私の息子でもあるわね、相性はどうだったの?」
「マ……ママ!?」
急に話に参戦してきたリリーの質問に、達は混乱した。
「良かった?」
(……悪くはなかった……。でもそんなこと皆の前で口が裂けても言えないよっ!)
達はただでさえ恥ずかしい事実を皆に知られ、さらに実の母親にその感想まで聞かれて当惑し、顔を真っ赤にして俯き沈黙した。
(否定しない……わね)
リリーはそれを肯定ととった。
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