11 / 23
幼馴染み~木ノ内 朱里~3
しおりを挟む
達がまだ小学校低学年の頃、難癖をつけて絡んできた高学年の男の子がいた。
その子は達の事が好きでちょっかいを出していただけなのだが、四六時中達の後をつけ回ったり、屋上に閉じ込めたりと明らかに度を越していた。
当時、達はクラスが別れてしまった朱里には相談出来ず、また朱里も達に遠慮して深くは追求出来ずにいた。そんな日々がしばらく続き、とうとう達は学校に行くのが怖くなり登校拒否になってしまった。朱里は達に怖い思いをさせてしまったと深く後悔し、そして2度と同じ過ちを繰り返さないと誓った。その後、達は朱里の説得により再び登校する事が出来たが、その頃にはそのいじめっ子の姿はどこにもなかった。怪我をして入院したらしいことは噂で聞いたが詳細を聞いても皆口を濁らすばかり、そして退院後もその子がこの学校に戻って来ることはなかった。
この件に関して達はひそひそ話でしか情報を入手出来なかったが、やはりいじめっ子を制裁したのは朱里だった。彼はタイマン勝負であっさりと勝ち、相手が許しを乞い続けているにも関わらず暴行し続け、最終的には気を失ったいじめっ子をロープで縛り上げ屋上から吊るして放置したそうだ。先生が気づいて下ろす頃には既にいじめっ子は転校したいと泣き叫んでいたという。
朱里が罪に問われなかったのは確証が得られなかったからだ。
大人の目撃者がいなかったこと、さらに同世代の目撃者が、朱里に賛同した者と朱里の報復を恐れた者に分かれたものの結果的に固く口を噤んだため、証言すらも得ることが出来なかったようだ。余程恐ろしかったのか被害者のいじめっ子さえも固く口を閉ざしてしまったという。
達がひそひそ話でも情報を得られたのは、当事者の1人だったからこそだった。
普段から優しい朱里がそんなことをするなんて到底信じられなかった達は、本人に直接聞いてみて驚愕した。
「達を苦しめたんだから当然の報いだね」
朱里はそう言いきったのだ。
朱里にはスイッチのようなものがあって、それに触れてしまうと別人のように変貌してしまうことを達は初めて認識した。しかもそれは全て達自身に関わることで起こっていることに気がつくのに時間はかからなかった。事実に気がついてからは朱里の別人スイッチが入らないよう、達なりに気にかけてきた。
しかし、今回は相手が悪魔だ。
こちらの常識がどこまで通じるか……、出来れば朱里とメフィストとの遭遇は避けたかったが、達の儚い希望もすぐに消えてしまった。
「お帰りマイハニー 」
玄関で達と朱里を出迎えたのはメフィストと……怪しげなオカマ?だった。
その子は達の事が好きでちょっかいを出していただけなのだが、四六時中達の後をつけ回ったり、屋上に閉じ込めたりと明らかに度を越していた。
当時、達はクラスが別れてしまった朱里には相談出来ず、また朱里も達に遠慮して深くは追求出来ずにいた。そんな日々がしばらく続き、とうとう達は学校に行くのが怖くなり登校拒否になってしまった。朱里は達に怖い思いをさせてしまったと深く後悔し、そして2度と同じ過ちを繰り返さないと誓った。その後、達は朱里の説得により再び登校する事が出来たが、その頃にはそのいじめっ子の姿はどこにもなかった。怪我をして入院したらしいことは噂で聞いたが詳細を聞いても皆口を濁らすばかり、そして退院後もその子がこの学校に戻って来ることはなかった。
この件に関して達はひそひそ話でしか情報を入手出来なかったが、やはりいじめっ子を制裁したのは朱里だった。彼はタイマン勝負であっさりと勝ち、相手が許しを乞い続けているにも関わらず暴行し続け、最終的には気を失ったいじめっ子をロープで縛り上げ屋上から吊るして放置したそうだ。先生が気づいて下ろす頃には既にいじめっ子は転校したいと泣き叫んでいたという。
朱里が罪に問われなかったのは確証が得られなかったからだ。
大人の目撃者がいなかったこと、さらに同世代の目撃者が、朱里に賛同した者と朱里の報復を恐れた者に分かれたものの結果的に固く口を噤んだため、証言すらも得ることが出来なかったようだ。余程恐ろしかったのか被害者のいじめっ子さえも固く口を閉ざしてしまったという。
達がひそひそ話でも情報を得られたのは、当事者の1人だったからこそだった。
普段から優しい朱里がそんなことをするなんて到底信じられなかった達は、本人に直接聞いてみて驚愕した。
「達を苦しめたんだから当然の報いだね」
朱里はそう言いきったのだ。
朱里にはスイッチのようなものがあって、それに触れてしまうと別人のように変貌してしまうことを達は初めて認識した。しかもそれは全て達自身に関わることで起こっていることに気がつくのに時間はかからなかった。事実に気がついてからは朱里の別人スイッチが入らないよう、達なりに気にかけてきた。
しかし、今回は相手が悪魔だ。
こちらの常識がどこまで通じるか……、出来れば朱里とメフィストとの遭遇は避けたかったが、達の儚い希望もすぐに消えてしまった。
「お帰りマイハニー 」
玄関で達と朱里を出迎えたのはメフィストと……怪しげなオカマ?だった。
0
お気に入りに追加
134
あなたにおすすめの小説
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
[完結]ひきこもり執事のオンオフスイッチ!あ、今それ押さないでくださいね!
小葉石
BL
有能でも少しおバカなシェインは自分の城(ひきこもり先)をゲットするべく今日も全力で頑張ります!
応募した執事面接に即合格。
雇い主はこの国の第3王子ガラット。
人嫌いの曰く付き、長く続いた使用人もいないと言うが、今、目の前の主はニッコニコ。
あれ?聞いていたのと違わない?色々と違わない?
しかし!どんな主人であろうとも、シェインの望みを叶えるために、完璧な執事をこなして見せます!
勿論オフはキッチリいただきますね。あ、その際は絶対に呼ばないでください!
*第9回BL小説大賞にエントリーしてみました。
見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています
幸せの温度
本郷アキ
BL
※ラブ度高めです。直接的な表現もありますので、苦手な方はご注意ください。
まだ産まれたばかりの葉月を置いて、両親は天国の門を叩いた。
俺がしっかりしなきゃ──そう思っていた兄、睦月《むつき》17歳の前に表れたのは、両親の親友だという浅黄陽《あさぎよう》33歳。
陽は本当の家族のように接してくれるけれど、血の繋がりのない偽物の家族は終わりにしなければならない、だってずっと家族じゃいられないでしょ? そんなのただの言い訳。
俺にあんまり触らないで。
俺の気持ちに気付かないで。
……陽の手で触れられるとおかしくなってしまうから。
俺のこと好きでもないのに、どうしてあんなことをしたの? 少しずつ育っていった恋心は、告白前に失恋決定。
家事に育児に翻弄されながら、少しずつ家族の形が出来上がっていく。
そんな中、睦月をストーキングする男が現れて──!?
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる