異世界転生事情に巻き込まれて

3.【速報】美少女が居候することになりました

コーディネートはこーでねーと

「お隣さんには紹介しておいた方がいいと思うわ、何か言われたら面倒だし」

　完全にそれはそう。

　もし家で見知らぬ若い女の子が何食わぬ顔で生活しているのを見たら、ご近所さんはなんて思うだろうか。

　この家のご主人が若い女を連れ込んでいる。そう勘違いさせてしまうかもしれない。いや、まあ、ほぼ合ってるんだがやましいことは何もない、堂々としてればいいのかもしれないが。

　だけど、そんな噂を広められたら最後、たとえそれが誤解だったとしてもそれを解く前に確実に良からぬことが起きる。案外とせまいコミュニティだ、これはオレ達の今後に関わる。

　そんなことになったらとても面倒だ。不安の種は早急に摘み取っておくに限る。

　ちなみにフィリアスの服は五日香が最近ハマっている超格安ファストブランドの通販でとりあえず調達済みだ。サイズ感は五日香の見立て通り。「わたしの好みなど気にしなくてもいい」というフィリアスのお言葉に甘えて、何を着てもばっちり似合いまくる少女を着せ替え人形にしてしまう五日香と、ついでにオレも。

「こんなに服をもらえるなんて初めてだ」

　フィリアスは少し困惑しているみたいだけど、なんだか心なしか嬉しそうだったからまあいいか。洋服をたくさんプレゼントされて嬉しくない女の子はあまりいないだろう。

　今日のフィリアスのコーディネートはオーバーサイズのゆったりとした黒いパーカーと細い太ももが眩しいデニムのショートパンツ、それに、白いスニーカーというラフな出で立ち。

　オーバーサイズのパーカーは彼女の体形を少しだけカバーしてくれるので挨拶しに行って悪目立ちしないように、というオレのチョイスだ。最近のファッションセンスはいまいち良くわからんが、フィリアスならどんな格好でも大丈夫だろう。

「少し暑いかもよ？」

「ま、とりあえず挨拶のときだけお願いしますよ、フィリアス」

「大丈夫だ、わたしは気にしない」

　言うまでもなくフィリアスはもう何も気にしていないだろう。そのキラキラ輝かせた赤い瞳ですぐわかる。

　無表情だと思ってたけど意外とコロコロ表情が変わるな。尻尾が生えていたらきっとブンブン振り回していだだろうな。