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三月兎なんかに付き合ってられるか
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「ほのかちゃんがいなくなっちゃったみたいなの」
その何気なく発せられた言葉が、ぞわりとオレの心臓に突き刺さる。あんなことがあったあとで、内殻からの(自称)刺客がいなくなる。何か不穏な気配を感じざるをえない。
図書室にはメグリとカグラ先生だけがいた。いつもの騒がしいウサ耳がいない。
「心配ねぇ。あの子外でご飯食べられるかしら」
あんなにほのかによる図書館の魔改造を嘆き悲しんでいたカグラ先生ですら心配している。なんとなく図書館に住み着く者同士、仲良くやっているみたいだったし(隙を突いて本棚を隠し部屋に改造されているみたいだったけど)、鬱陶しいけど人懐っこい性格ではあったからな。
「ま、あいつのことだ、どっかで道に迷ってんだろ」
ほのかのことを気にしていても仕方ない。
今は、しとりの言っていたことをどうするか、だ。
あのセクシー不審者お姉さん、しとりの情報はオレを人質にした。
不本意ながらこの件に関わってしまったオレは、それでも自身が当事者である可能性も含めて、当局に通報できないまま重大な秘密を抱える羽目になってしまった。
この心臓の魔剣を手に入れた経緯も、しとりと出会ったことも、もしかしたら、ほのかのことも何も話せない。
これじゃあ、しとりと仲間だと思われても仕方ない、あるいは、それも含めてしとりの策略か。
こんなことメグリ達には相談できっこない。
無関係なメグリ達をこんな厄介事に巻き込むわけにはいかない。
そして、このタイミングで。
「マジか……」
当局からの連絡だ。
大至急、東洋日本地域管理局卦照支部へ来てください。貴方に伝えたいことがあります。
なんか色々書いてあったけど、要はそういうことだ。
おいおい、しとりと出会ったのはつい昨日のことだぞ。
あまりにも出来すぎたタイミングでの招集通知。
ご都合主義にも程がある。これが物語だとしたら、書いたやつはプロット下手すぎだろ。
だけど、それなら当局は。
どこまで知っている? 万引きがバレたことか、それとも、内殻よりの闖入者のことか。
どこまで繋がっている? この物事はどこからどこまでが地続きなんだ?
当局の要請だって今は無視してしまうこともできなくはない。そのうち強制執行されてしまうけどさ。
だけど。
オレの知らないところで、オレを巻き込んで物事が勝手に進んでいる。
そういうのはあまり気持ちいいものじゃない。
というか、嫌いだ。
何もわからないならこっちから動かなくちゃいけない。
別にこの世界はディストピアじゃない。
当局だって運営しているのはちゃんと人間だ。
さては、別に怖くはないんじゃないかという説もある。
なら、要請通り出向いてやろうじゃないか。
「じゃ、オレ用事あるから」
「ルジネもたまには授業出たら?」
「今現在進行中でサボってやがるメグリにだけは言われたくねえよ」
もちろん当局に出向く、なんて告げるはずなく。
動揺を悟らせないように素っ気なくそう言うと、オレはそそくさと図書室をあとにした。
こんな時、瞬間移動門を使えるやつがいてくれたらずいぶん楽なんだけど。でも、オレ、友達いねえし、アハルギとかが聖遺物として扱ってねえかなあ。
オレの淡い期待を完全に裏切ってそこにいたのは。
「は? なんでお前がここにいるんだよ」
「やや、それはこっちの台詞だ、ルジネ殿」
なぜかまたバニーガールに扮したうさ耳褐色ロリ巨乳、ほのかがこちらに向かって元気いっぱいに手を振っていた。
オレはそれを見ないふりしてその横を立ち去ろうとしたんだけど、「お、おい、無視するな!」と、ぴこぴことオレの横を歩く。誰が好き好んでバニーガールと歩かなきゃいけないんだ。悪目立ちも甚だしすぎるだろ。
「内殻のスパイがこんな真っ昼間にこの辺うろついてていいのか?」
「ふふふん、問題ない、我は優秀だからな」
「ちょっと良くわかんないですけど」
「そんなことより、ルジネも管理局に用なのか? この道は管理局に通じておるぞ?」
そう、無駄に入り組んでいるはずの道は、なぜかこの道は真っ直ぐに管理局だけに向かって伸びている。
だからこそ、ここにはオレとほのか、それと数人しかいなかった。
「つーか、当局なんかに行ったらソッコー逮捕されるんじゃねえの?」
「いやはや、常々申しておろう。我が目的はもとより外殻管理局に奪われた聖遺物の回収だ」
「あっそ。つーか、何のために当局がそんなことするんだよ、聖遺物なんてただの物だろ?」
「我が知るはずなかろう。目的はどうあれ、外殻の不届き連中は内殻の宝を盗み出しているのだ、決して許すまじ」
(なあなあ、主。この獣娘の口調、わらわと被ってない? 処していい? 処していい?)
「ダメに決まってんだろ」
「ん? なんか言ったか?」
「お前のキャラに不満があるやつがいるんだとさ」
オレの知らないところで勝手に対抗意識を燃やしているアウラは置いといて。
そんなことより。
「メグリ達が心配してたぞ、急にいなくなったってよ」
「むむ、それは申し訳ないことをしたか。今日の決戦に備えていたのだよ」
「メグリの魔眼は千里眼じゃねえからな、あんまり遠く行くなよ」
「子ども扱いするな! 大体同い年だ!」
衝撃の事実に驚きながら、まあ、このぴちぴちのバニーガール衣裳から溢れんばかりのお胸を見下ろしながら、確かに年相応いや、むしろ不相応かもしれないなあ、と一応納得。これじゃあメグリの立場がない。
いやいや、こんなことはどうでもいいんだ。
さっきからあまりにも出来すぎていやしないか? このタイミングで目的地が一緒、というのは何か作為的なものを感じざるをえない。待ち伏せでもされていたんじゃないか。
かたや、当局からの招集、
かたや、当局への侵入。
相反する目的の偶然の(あるいは意図的な)一致。
というか、ほのかはこんな白昼堂々にちょっと遊びに行く、みたいな感じで決戦開始でいいのか?
はたしてほのかはしとりと無関係なのだろうか。
内殻からの不法の異邦人。
接点としてはあまりにも確かすぎる。真っ先に疑うべきだ。
だけど、ただそれだけで2人を同じだと決めつけていいのだろうか。
しとりの目的はまだわからないけど、ほのかの任務である聖遺物探しとは違うような気もする。
そもそも、もししとりの目的も聖遺物だとしたら、ジャンク屋という外殻における重要拠点をあんなにあっさり破壊するだろうか。
しとりにはもっと別の目的があるんじゃないか。
それこそ、聖遺物よりも重要な目的が。
「なあ、ほのかは外殻とかオレらのこと、どう思ってる?」
「ん? そうだな……、」
ほのかは考えるようにデジタル広告まみれの空を見上げ、少しだけ歩く速度を落とした。
「外殻は地面が固くて歩きにくいし、空気は美味しくないし、メグリの母上のお菓子以外の食べ物はまずいけど、まあ、もう慣れたな」
「それで、オレらのことは?」
「うむ、ルジネ殿達のことは、我が忠実なるしもべだと思って痛だッ!?」
なんかエモくなるかと思ったオレがバカだった。オレへの戒めの念を込めてほのかに脳天チョップしておく。
ほのかにもしとりのことを訊くべきじゃない。
仮にほのかとしとりが繋がっていた場合、オレの情報がしとりに渡ってしまう。多少なりともオレがあのジャンク屋に関わりがあって、そして、もしかしたら、しとりの“探し物”を持っているかもしれない。
おそらく、しとりはまだあの欠片のことを知らない。それだけがオレの唯一の手札だ。
だからこそオレが何を持っているのか、それを知られるのはまずい。
「ほのか、別にオレといるときはそんなキャラ作らなくてもいいよ?」
「それ、アハルギ殿にも言われたー! 違うもん、キャラじゃないもん! っていうかそんな憐みの口調で言わないで!」
いやー、ほのかはやっぱりなんか違うような気がするけどなあ。
なんだかんだで今までつるんできたやつを疑いきれない。チームとして一緒に戦ったほのかをまだどこかで信じている自分がいる。
「それにしても、あれが管理局だったとはな。バカみたいな構造故に逆に気付かなかったぞ」
「あれを見逃し続けたお前の目が節穴すぎる件」
オレ達が見上げる先には。
天空に浮かぶ巨大なモノリス。
地上から約50メートル上空に浮遊する、入口も出口も窓すらない一枚の白い板。
シンプル故、ある意味で最強のセキュリティ機能。
「それじゃあな、オレはお前とはカンケーねえから捕まってもオレの名前出すんじゃねえぞ」
「そんなの当たり前だ。我が簡単に仲間を売ると思っているのか」
「あ、まあ、そうか。そうだよな」
ほのかが何気なく言った、仲間、という言葉がちくりと刺さった。
「うむ。ま、そもそも我は捕まったりなどしないがな」
こいつ、今まで一度も任務とやらについて成功している素振りは全く見られなかったが、その溢れんばかりの自信は一体どこからくるのだろうか。
「ところで、お前ってウサギ耳だけどさ、発情期とかあんの?」
「にゃッ!? お、お、女の子に向かって何訊いてんの!?」
動揺からか完全にキャラを忘れて真っ赤になっているほのか。……え、あ、あれ……?
「あ、いや、そんな大したことじゃ」
「大したことなの!!」
「おごッ!?」
あまりにも鋭い正拳突きの一閃が完全にみぞおちに入って悶絶。息もできず膝から崩れ落ちる。(あーあ、それはちょっとデリカシー無さすぎじゃ)
「ファンタズム・セットアップ、ウィング・オブ・イカロス、じゃ、ルジネ殿!」
「お、おーい、ほのかー、なんかその聖遺物は良くない気がするけどなあー」
うずくまったままのオレの忠告も虚しく。
ほのかはプンプン怒りながら蝋燭で塗り固められた粗雑な翼を広げてそのまま巨大な板を目指し上空へと消えていった。
その何気なく発せられた言葉が、ぞわりとオレの心臓に突き刺さる。あんなことがあったあとで、内殻からの(自称)刺客がいなくなる。何か不穏な気配を感じざるをえない。
図書室にはメグリとカグラ先生だけがいた。いつもの騒がしいウサ耳がいない。
「心配ねぇ。あの子外でご飯食べられるかしら」
あんなにほのかによる図書館の魔改造を嘆き悲しんでいたカグラ先生ですら心配している。なんとなく図書館に住み着く者同士、仲良くやっているみたいだったし(隙を突いて本棚を隠し部屋に改造されているみたいだったけど)、鬱陶しいけど人懐っこい性格ではあったからな。
「ま、あいつのことだ、どっかで道に迷ってんだろ」
ほのかのことを気にしていても仕方ない。
今は、しとりの言っていたことをどうするか、だ。
あのセクシー不審者お姉さん、しとりの情報はオレを人質にした。
不本意ながらこの件に関わってしまったオレは、それでも自身が当事者である可能性も含めて、当局に通報できないまま重大な秘密を抱える羽目になってしまった。
この心臓の魔剣を手に入れた経緯も、しとりと出会ったことも、もしかしたら、ほのかのことも何も話せない。
これじゃあ、しとりと仲間だと思われても仕方ない、あるいは、それも含めてしとりの策略か。
こんなことメグリ達には相談できっこない。
無関係なメグリ達をこんな厄介事に巻き込むわけにはいかない。
そして、このタイミングで。
「マジか……」
当局からの連絡だ。
大至急、東洋日本地域管理局卦照支部へ来てください。貴方に伝えたいことがあります。
なんか色々書いてあったけど、要はそういうことだ。
おいおい、しとりと出会ったのはつい昨日のことだぞ。
あまりにも出来すぎたタイミングでの招集通知。
ご都合主義にも程がある。これが物語だとしたら、書いたやつはプロット下手すぎだろ。
だけど、それなら当局は。
どこまで知っている? 万引きがバレたことか、それとも、内殻よりの闖入者のことか。
どこまで繋がっている? この物事はどこからどこまでが地続きなんだ?
当局の要請だって今は無視してしまうこともできなくはない。そのうち強制執行されてしまうけどさ。
だけど。
オレの知らないところで、オレを巻き込んで物事が勝手に進んでいる。
そういうのはあまり気持ちいいものじゃない。
というか、嫌いだ。
何もわからないならこっちから動かなくちゃいけない。
別にこの世界はディストピアじゃない。
当局だって運営しているのはちゃんと人間だ。
さては、別に怖くはないんじゃないかという説もある。
なら、要請通り出向いてやろうじゃないか。
「じゃ、オレ用事あるから」
「ルジネもたまには授業出たら?」
「今現在進行中でサボってやがるメグリにだけは言われたくねえよ」
もちろん当局に出向く、なんて告げるはずなく。
動揺を悟らせないように素っ気なくそう言うと、オレはそそくさと図書室をあとにした。
こんな時、瞬間移動門を使えるやつがいてくれたらずいぶん楽なんだけど。でも、オレ、友達いねえし、アハルギとかが聖遺物として扱ってねえかなあ。
オレの淡い期待を完全に裏切ってそこにいたのは。
「は? なんでお前がここにいるんだよ」
「やや、それはこっちの台詞だ、ルジネ殿」
なぜかまたバニーガールに扮したうさ耳褐色ロリ巨乳、ほのかがこちらに向かって元気いっぱいに手を振っていた。
オレはそれを見ないふりしてその横を立ち去ろうとしたんだけど、「お、おい、無視するな!」と、ぴこぴことオレの横を歩く。誰が好き好んでバニーガールと歩かなきゃいけないんだ。悪目立ちも甚だしすぎるだろ。
「内殻のスパイがこんな真っ昼間にこの辺うろついてていいのか?」
「ふふふん、問題ない、我は優秀だからな」
「ちょっと良くわかんないですけど」
「そんなことより、ルジネも管理局に用なのか? この道は管理局に通じておるぞ?」
そう、無駄に入り組んでいるはずの道は、なぜかこの道は真っ直ぐに管理局だけに向かって伸びている。
だからこそ、ここにはオレとほのか、それと数人しかいなかった。
「つーか、当局なんかに行ったらソッコー逮捕されるんじゃねえの?」
「いやはや、常々申しておろう。我が目的はもとより外殻管理局に奪われた聖遺物の回収だ」
「あっそ。つーか、何のために当局がそんなことするんだよ、聖遺物なんてただの物だろ?」
「我が知るはずなかろう。目的はどうあれ、外殻の不届き連中は内殻の宝を盗み出しているのだ、決して許すまじ」
(なあなあ、主。この獣娘の口調、わらわと被ってない? 処していい? 処していい?)
「ダメに決まってんだろ」
「ん? なんか言ったか?」
「お前のキャラに不満があるやつがいるんだとさ」
オレの知らないところで勝手に対抗意識を燃やしているアウラは置いといて。
そんなことより。
「メグリ達が心配してたぞ、急にいなくなったってよ」
「むむ、それは申し訳ないことをしたか。今日の決戦に備えていたのだよ」
「メグリの魔眼は千里眼じゃねえからな、あんまり遠く行くなよ」
「子ども扱いするな! 大体同い年だ!」
衝撃の事実に驚きながら、まあ、このぴちぴちのバニーガール衣裳から溢れんばかりのお胸を見下ろしながら、確かに年相応いや、むしろ不相応かもしれないなあ、と一応納得。これじゃあメグリの立場がない。
いやいや、こんなことはどうでもいいんだ。
さっきからあまりにも出来すぎていやしないか? このタイミングで目的地が一緒、というのは何か作為的なものを感じざるをえない。待ち伏せでもされていたんじゃないか。
かたや、当局からの招集、
かたや、当局への侵入。
相反する目的の偶然の(あるいは意図的な)一致。
というか、ほのかはこんな白昼堂々にちょっと遊びに行く、みたいな感じで決戦開始でいいのか?
はたしてほのかはしとりと無関係なのだろうか。
内殻からの不法の異邦人。
接点としてはあまりにも確かすぎる。真っ先に疑うべきだ。
だけど、ただそれだけで2人を同じだと決めつけていいのだろうか。
しとりの目的はまだわからないけど、ほのかの任務である聖遺物探しとは違うような気もする。
そもそも、もししとりの目的も聖遺物だとしたら、ジャンク屋という外殻における重要拠点をあんなにあっさり破壊するだろうか。
しとりにはもっと別の目的があるんじゃないか。
それこそ、聖遺物よりも重要な目的が。
「なあ、ほのかは外殻とかオレらのこと、どう思ってる?」
「ん? そうだな……、」
ほのかは考えるようにデジタル広告まみれの空を見上げ、少しだけ歩く速度を落とした。
「外殻は地面が固くて歩きにくいし、空気は美味しくないし、メグリの母上のお菓子以外の食べ物はまずいけど、まあ、もう慣れたな」
「それで、オレらのことは?」
「うむ、ルジネ殿達のことは、我が忠実なるしもべだと思って痛だッ!?」
なんかエモくなるかと思ったオレがバカだった。オレへの戒めの念を込めてほのかに脳天チョップしておく。
ほのかにもしとりのことを訊くべきじゃない。
仮にほのかとしとりが繋がっていた場合、オレの情報がしとりに渡ってしまう。多少なりともオレがあのジャンク屋に関わりがあって、そして、もしかしたら、しとりの“探し物”を持っているかもしれない。
おそらく、しとりはまだあの欠片のことを知らない。それだけがオレの唯一の手札だ。
だからこそオレが何を持っているのか、それを知られるのはまずい。
「ほのか、別にオレといるときはそんなキャラ作らなくてもいいよ?」
「それ、アハルギ殿にも言われたー! 違うもん、キャラじゃないもん! っていうかそんな憐みの口調で言わないで!」
いやー、ほのかはやっぱりなんか違うような気がするけどなあ。
なんだかんだで今までつるんできたやつを疑いきれない。チームとして一緒に戦ったほのかをまだどこかで信じている自分がいる。
「それにしても、あれが管理局だったとはな。バカみたいな構造故に逆に気付かなかったぞ」
「あれを見逃し続けたお前の目が節穴すぎる件」
オレ達が見上げる先には。
天空に浮かぶ巨大なモノリス。
地上から約50メートル上空に浮遊する、入口も出口も窓すらない一枚の白い板。
シンプル故、ある意味で最強のセキュリティ機能。
「それじゃあな、オレはお前とはカンケーねえから捕まってもオレの名前出すんじゃねえぞ」
「そんなの当たり前だ。我が簡単に仲間を売ると思っているのか」
「あ、まあ、そうか。そうだよな」
ほのかが何気なく言った、仲間、という言葉がちくりと刺さった。
「うむ。ま、そもそも我は捕まったりなどしないがな」
こいつ、今まで一度も任務とやらについて成功している素振りは全く見られなかったが、その溢れんばかりの自信は一体どこからくるのだろうか。
「ところで、お前ってウサギ耳だけどさ、発情期とかあんの?」
「にゃッ!? お、お、女の子に向かって何訊いてんの!?」
動揺からか完全にキャラを忘れて真っ赤になっているほのか。……え、あ、あれ……?
「あ、いや、そんな大したことじゃ」
「大したことなの!!」
「おごッ!?」
あまりにも鋭い正拳突きの一閃が完全にみぞおちに入って悶絶。息もできず膝から崩れ落ちる。(あーあ、それはちょっとデリカシー無さすぎじゃ)
「ファンタズム・セットアップ、ウィング・オブ・イカロス、じゃ、ルジネ殿!」
「お、おーい、ほのかー、なんかその聖遺物は良くない気がするけどなあー」
うずくまったままのオレの忠告も虚しく。
ほのかはプンプン怒りながら蝋燭で塗り固められた粗雑な翼を広げてそのまま巨大な板を目指し上空へと消えていった。
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