引退魔王お忍び領地査察紀行

？？？

？？？

「おっふぉおおおお！？　どうしてお父様がこの配信に！？」

「ステラ様、今はそれどころじゃないんすよ」

「この配信よりも大事なことなんてこの世界のどこにありまして！？」

「そんなに堂々と言われるとこっちも困っちゃうんですけど」

「ちょ、ダンマス、貴女、そんなにお父様とイチャイチャしないでくださいまし！？　で、でも、ダンヘラてぇてぇには激しく同意ですわ！」

「そういえば、聖都の件でめちゃくちゃ仲違いしてませんでした？」

「あら、そんなこと、お父様の可愛さの前ではほんの些細なことですわ。サブカルは永久に不滅です！」

「言い切ったわ、この娘」

「それに、幻の水着回でほんのり仲直りはしましたしね」

「こうなってくると、丸々水着回をカットしたのが悔やまれるっすねー」

「ふぁあああおほおおお！！　お父様、カ、カワイイですわ！　めちゃくちゃ緊張しているじゃありませんか！　縮こまっている姿も素晴らしいですわね！」

「まあ、確かに普段見られない感じですし、こうしてヘラ様の安否がわかったのは良かったんすけどね」

「しゅ、しゅごい、お父様がワタシ達リスナーを罵ってくださっている……」

「ダメだ、この娘、何とかしないと」

「ああ、どうしましょう、お父様を陥れるアイディアが次々と湧いてきますわ」

「ステラ様に半分加担してるアタシが言うのもなんですけど、マジやべえっすね」

「うふふ、身体の内側、主に子宮の辺りが熱く滾ってしまいますわねえ」

（……ヘラ様、逃げて、超逃げて）

「人の域に留めておいたお父様のかわいさが本来の姿を取り戻していく。人の欠けた呪縛を解いて、人を超えた神に近い存在へと変わっていく。天と地と万物とキモオタを紡ぎ、相補性の巨大な銀髪赤目ゴスロリ幼女萌えの中で、自らをエネルギーの凝縮態に変身させているんだわ。純粋にキモオタの願い叶える、ただそれだけの為に……」

「ヘラ様の可愛さに感極まって急にキモコピペも挟んできた……」

「で、どうかなさいまして？　そんなに急いでどこに行きますの？」

「あ、そうだ、すっかり本来の目的を忘れてたっす。実は……」