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3章:「査察へ行こうぜ……久しぶりに……キレちまったよ……」
ディスりは心の中で
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あまりにもひどすぎる爆発オチから一転。
誰しもが憧れていた、我らのめくるめくキャッキャウフフな温泉回もなくなり。
意気消沈でボロボロになりながらも様々な冒険、そして、出会いと別れを経て、かろうじて合流できた我々は、ひとまず近くの村で休息を取ることにした。
この寂れた村には温泉がないらしいのが残念極まるが贅沢も言ってられぬ。
あくまで我らは査察に来ているのからな。温泉はまたの機会にしよう。他の温泉地を急いでピックアップだ。ガカイシなどはどうだろうか?
それにしても、あれだけの爆発に巻き込まれても次の話では、服が破けて髪型がアフロになるだけでピンピンしている辺り、やはり不条理なまでにギャグ次元というわけだ。
我はこの世界観に断じて異を唱えたい。我がやりたいのは、硬派な本格ファンタジーだ! ……ところで本格ファンタジーとは何ぞや?
「ひどい目にあった」
「結局温泉も入れませんでしたね」
「アタシ、マジ欲求不満なんですけどおおおお」
「もはや素を隠そうともしなくなってきたな、オフィーリア」
これも打ち解けてきたってことでいいのだろうか?
一緒に旅している以上仲良くなるのは悪いことではない。だが、我と彼女らはいわば、主人と護衛、メインとサブ、主食とおかずの関係。あんまり仲が良すぎる、というのも考えなくてはいけない気がする。
我は長い間、仲間というものを得たことがない。魔王となって魔界に君臨してからは、ますます仲間という存在に無頓着になってしまった。
魔界を統べる魔王となり、配下は多いが、いつ下剋上が起きるかわからぬ微妙な関係性の中で、いつしか他者を信頼するということをすっかり忘れてしまったのかもしれぬな。
いやいや、別にそれが悪いってわけじゃないもん。い、陰キャではない、用心深いだけだ。
それに、なんかこやつらの視線から感じるのは友達というよりは、どちらかというと獲物を狙うかのような、艶っぽいギラギラなんだよな。
「というか、なぜか聖剣に認められたんだが?」
我は右手の聖剣を無造作にふりふり振ってみる。
完全に錆び付いていたと思われていたボロい剣が、今はなぜか鏡のように我が美しい顔を映せるほどに見事な輝きを放っていて、柄や装飾も黄金と無数の宝石に彩られていた。
どうやらあのボロいなまくらは選定のための仮初めの姿だったらしい。どいつもこいつも目が節穴すぎる。
しかしまあ、光なぞと長年食わず嫌いしていたが、こうなってくると色々試してみるのも悪くはないな。もしかしたら克服しているかもしれないし。
「ステラ様の件もあります、もしかしたら、ヘラ様はそういう素質があったのかもしれません」
「光と闇が合わさって最強に見える、か。こんな小ネタを天丼するとは思わなんだ」
先代魔王である我が光の象徴であるこの聖剣と親和性があるとか、マジ最強すぎる。ステラが生まれたことが完全に伏線になっていたとはな。我ながら天晴れだ。
「わはは、これならあのクソ雑魚女神が来ても簡単に倒せるな!」
「流石です、ヘラ様。親子丼が捗り……いえ、親子で揃って光と闇の属性持ちとは魔界も安泰ですね」
「口の滑り方がえげつないな」
もうほぼ言っちゃってるぞ、グロリア。こやつらと仲良くなるのはやっぱりマズいのかもしれぬな。夜の警戒は怠らぬように気を付けねば。
しかし、こんなボロクソになった我らを心暖かく迎えてくれた宿屋の老夫婦には感謝せねばなるまい。気を遣ってか、我が後ろに控えていた護衛ふたりの圧に負けてか、我らを相部屋にしたのだけは解せぬが。
「うむ、たまには安宿のしょーもない飯も悪くないな!」
「あ、それ、本当にダメっすよ、ヘラ様」
「いや、褒めてる、褒めてるって。寒い地でこうやって暖炉を囲みながら食べるジャンクで空腹を満たすだけのハイカロリー飯はやはり美味しいなって」
「謝ってください、ヘラ様、全裸土下座で」
「なんでだよ! 正直すまんかった!」
誰しもが憧れていた、我らのめくるめくキャッキャウフフな温泉回もなくなり。
意気消沈でボロボロになりながらも様々な冒険、そして、出会いと別れを経て、かろうじて合流できた我々は、ひとまず近くの村で休息を取ることにした。
この寂れた村には温泉がないらしいのが残念極まるが贅沢も言ってられぬ。
あくまで我らは査察に来ているのからな。温泉はまたの機会にしよう。他の温泉地を急いでピックアップだ。ガカイシなどはどうだろうか?
それにしても、あれだけの爆発に巻き込まれても次の話では、服が破けて髪型がアフロになるだけでピンピンしている辺り、やはり不条理なまでにギャグ次元というわけだ。
我はこの世界観に断じて異を唱えたい。我がやりたいのは、硬派な本格ファンタジーだ! ……ところで本格ファンタジーとは何ぞや?
「ひどい目にあった」
「結局温泉も入れませんでしたね」
「アタシ、マジ欲求不満なんですけどおおおお」
「もはや素を隠そうともしなくなってきたな、オフィーリア」
これも打ち解けてきたってことでいいのだろうか?
一緒に旅している以上仲良くなるのは悪いことではない。だが、我と彼女らはいわば、主人と護衛、メインとサブ、主食とおかずの関係。あんまり仲が良すぎる、というのも考えなくてはいけない気がする。
我は長い間、仲間というものを得たことがない。魔王となって魔界に君臨してからは、ますます仲間という存在に無頓着になってしまった。
魔界を統べる魔王となり、配下は多いが、いつ下剋上が起きるかわからぬ微妙な関係性の中で、いつしか他者を信頼するということをすっかり忘れてしまったのかもしれぬな。
いやいや、別にそれが悪いってわけじゃないもん。い、陰キャではない、用心深いだけだ。
それに、なんかこやつらの視線から感じるのは友達というよりは、どちらかというと獲物を狙うかのような、艶っぽいギラギラなんだよな。
「というか、なぜか聖剣に認められたんだが?」
我は右手の聖剣を無造作にふりふり振ってみる。
完全に錆び付いていたと思われていたボロい剣が、今はなぜか鏡のように我が美しい顔を映せるほどに見事な輝きを放っていて、柄や装飾も黄金と無数の宝石に彩られていた。
どうやらあのボロいなまくらは選定のための仮初めの姿だったらしい。どいつもこいつも目が節穴すぎる。
しかしまあ、光なぞと長年食わず嫌いしていたが、こうなってくると色々試してみるのも悪くはないな。もしかしたら克服しているかもしれないし。
「ステラ様の件もあります、もしかしたら、ヘラ様はそういう素質があったのかもしれません」
「光と闇が合わさって最強に見える、か。こんな小ネタを天丼するとは思わなんだ」
先代魔王である我が光の象徴であるこの聖剣と親和性があるとか、マジ最強すぎる。ステラが生まれたことが完全に伏線になっていたとはな。我ながら天晴れだ。
「わはは、これならあのクソ雑魚女神が来ても簡単に倒せるな!」
「流石です、ヘラ様。親子丼が捗り……いえ、親子で揃って光と闇の属性持ちとは魔界も安泰ですね」
「口の滑り方がえげつないな」
もうほぼ言っちゃってるぞ、グロリア。こやつらと仲良くなるのはやっぱりマズいのかもしれぬな。夜の警戒は怠らぬように気を付けねば。
しかし、こんなボロクソになった我らを心暖かく迎えてくれた宿屋の老夫婦には感謝せねばなるまい。気を遣ってか、我が後ろに控えていた護衛ふたりの圧に負けてか、我らを相部屋にしたのだけは解せぬが。
「うむ、たまには安宿のしょーもない飯も悪くないな!」
「あ、それ、本当にダメっすよ、ヘラ様」
「いや、褒めてる、褒めてるって。寒い地でこうやって暖炉を囲みながら食べるジャンクで空腹を満たすだけのハイカロリー飯はやはり美味しいなって」
「謝ってください、ヘラ様、全裸土下座で」
「なんでだよ! 正直すまんかった!」
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