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        白紙        

ーー  縺九∩縺ごm縺  ーー⑤

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「”その模倣、まさに神業(ゴーストダッド)“、まあ、相手の武器の完全上位互換を生成するスキルです」

「模倣……ですって?」

「ええ、そうです。安心してください、あんな時代遅れの産廃の物語なんて簡単にコピペできるんですよ」

 そんな、ありえない。あの物語は、いいえ、“始源拾弐機関”は唯一無二の物語のはずで、それをコピーすることができるなんて。それに、あの身体が引き裂かれるような尋常じゃない痛みは。

「灼血、メルト」

 灼けるような身体の痛みがわたしの内側を巡る熱とともに燃え上がる。その苦痛に思わず歯を食いしばる。ゆっくりと立ち上がる、うん、大丈夫、もうどこも痛くない。わたしの身体はあの時みたいにひび割れない。

「おやおや~? イキり散らかしといてその程度で終わりなんですか~?」

「うるさい、わたしはまだ負けてない」

 対話も対峙もできやしない。これじゃあ、今までと何も変わらないじゃない。

「そんなんでよくもまあ主人公だなんて言い張ってたもんですね」

「っ……!」とっさに反論もできず。

 だって、こんな最悪の結末だけを見てしまえば結局のところわたしは脇役でしかなかったと思っても仕方ないじゃない。小烏丸の物語の端っこにすらいなかったモブキャラでしかない。

「……でも、それでも譲れないものがあるんだ」

 こんなところで諦めるわけにはいかないんだ。だってまだ終わってない。

 この先に何があるのか、わたしは何も知らないんだから。

 だから、ここで終われるはずがない!

 ――カチリッ、何かが嵌るような音がしたと思った瞬間、視界を塗りつぶすほどの青白い光が溢れ出す。これは、外因衛星、マルドゥック・アーカム・ヴェロシティの光?

 何でもない、何にでもなれるもの。それは今はまるで、闇夜を照らす月光のように優しく暖かいものだった。

 そして気付けばわたしの手の中には、銀色に輝く小さな銃があった。わたしにはその銃の機構も何もわからない。

 だけど、わたしの小さな手のひらにさえ収まってしまうそれが、わたしの希望の光なんだというのはわかった。

 それを見つめながら、自然と口元に笑みが浮かぶ。……ああ、これが今、わたしの望む形なのね。

 今ならわかる。この力があればきっと、誰も傷つけずに済むんだって。

「お、その希望に満ちた表情、何かこの状況を打開する方法でも見つけちゃったんですか~?」

「ええ、そうよ。わたしはこの物語の主人公でそして、戦闘なんて無縁なはずなの。だから、アナタを傷つけなくても終わらせられる方法を見つけたわ」

「へぇ~、そうですか。まあ無駄でしょうけど」

 彼女は少しだけ驚いたような素振りを見せたあとに、いつものわざとらしい調子でそんなことを言った。

「こんな物語、ぶち壊してやる」

 だってこれは今までの物語では絶対にありえなかった展開だもの。こんな突拍子もない解決方法なんて、わたしには思いもよらない。

「それじゃあ頼むわよ、マルドゥック・アーカム・ヴェロシティ!」

 わたしは小さな銃を真っ直ぐに小烏丸へと向ける。構えなんて知らない、こんなめちゃくちゃな体勢、銃撃士が見たら怒り狂ってしまうでしょうね。

 だから、両手を前に出したわたしの姿はまるで祈りのようで……

「あ、やっぱりそれやめましょうか、”神に縋るより4000$に値する解決策を(スタックス)“」

「なッ……!?」

 引き金が引かれる前に、突然力ない光へと霧散してしまう小銃。青白い光がまたスーパーマイクロバッグへと戻ってしまった。
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