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設定(≠核心)
―ーLIVE:【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】&【 】feat. ――④
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「や、ごめんなさいね、ここには何もないの。宇宙空間は真っ暗だし背景描写がおろそかになったりしないか不安ね」
「だから、そういうメタ的なことはやめてもらえます!?」
【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の不穏な言葉に、思わず周囲を見渡す。
確かにときおりチカチカと無機質に点滅を繰り返す丸みを帯びた銀色の巨大な建造物以外は真っ暗で、見渡す限り丸い地平線のどこまでも銀色の金属板と埃っぽい砂の大地が広がっているだけ。どう見てもここには普通の生き物は住めない、魔獣すら怪しい。
ふと見上げてみれば、お日様はあんなに近くにあって、砂漠で見たときみたいにギラギラ暑苦しく輝いているっていうのに、今はさっぱり鬱陶しく感じない。お空の色が黒いだけでこんなにも世界の見え方が変わってしまうなんて不思議ね。
月に関する神話や伝説は結構多い。
夜空を見上げればいつもそこにあって、暗闇に怯えるわたし達を静かに見守る、あるいは、太陽とは違うその神秘的な輝きに魅せられた者を惑わせる。
そんな様々な表情を見せてくれる月に思いを馳せ、物語を綴る。そうやって、この3つの月は神話や伝説、おとぎ話として語られてきた。
そして、その真実は、というと……うん、こればっかりは、他の物語と同じように、他愛のないおとぎ話のひとつとして楽しんでもらう方がいいんだと思う。真実はいつもひとつ、それじゃあ、物語の創造の余地がなくなっちゃうもん。
……そう、でも、確かに【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の言う通り、たったこれだけで月の描写は事足りてしまったのだ。これはとてもまずい、由々しき事態だ。何もないのに歩き回る必要もない。知りたい情報は【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】が全部教えてくれる。これは、他の月にも行った方がいいか?
「あ、そ、その、アナタは歩く必要もない、食事も残念だけど出せない、ここは大気が希薄だから天気だって変わらない。ゴ、ゴメンね、周囲を動く、というのは描写するのがとても簡単なファクターなのに」
「え、な、何? なんか編集かなにかされてます? 文章書きにおける常套手段封じようとしてます?」
なんすか、会話だけで成立させようとしてるんすか? そんなのよっぽど技量がなければただの台本と変わらないわ。わたし達は演技をしているわけじゃない、ちゃんとこの世界で生きている。会話と擬音は効果的に使わなきゃ。「いくぞッ!」「うむ」キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン! ばっかりじゃ今何してるかさっぱりだもの。
「本題はこの世界、この物語がいかにして成り立ったかです。文章の基礎講座ではありませんのでこの問題は割愛します。それとも、基礎講座をご所望ですか?」
「本題で! 本題の方をお願いします!」
これ以上話がややこしくなるのは避けたい。ただでさえファンタジーから少しずつ離れてしまいそうなんだ。ここで、SFからエッセイになるのだけは何としてでも回避しなくては。というか、意味わからないじゃん、ファンタジーからSFになってさらにエッセイになるって。
「オーケー、それじゃあ、その前に……」
わたしの目の前で、どこからともなく差し込む青白い光が幾色にも分岐し、スーパーマイクロバッグのときみたいに光が上から下に細かく動いて【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の仮想偶像が顕現する。
「改めまして、初めまして。キミがイメージしやすいように私達をアイドルグループとして投影してみたよ、これからはここに話しかけてくれれば大丈夫だから」
そこには、きらびやかでめっちゃかわいい衣装を身にまとった7人の女の子の姿。虹の7色をそれぞれが担当しているらしく、統一感のある衣装のどこかに、それでも、各々の個性が差し入れられていた。
「うん、ありがとう、とても助かる!」
うん、これなら、確かに今までよりずっと話しやすい。だって、【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の声はどこからともなく聞こえてきて、今わたしが立っているこの月こそが本体だってことは頭では理解できてるけどさ。でも、何もない場所に向かって話しかけているのはなんだかおかしな気分だったんだもの。
「何か困ったらさー、私達を描写すればいいじゃんよ」
「だから、そういうのやめて!」
「だから、そういうメタ的なことはやめてもらえます!?」
【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の不穏な言葉に、思わず周囲を見渡す。
確かにときおりチカチカと無機質に点滅を繰り返す丸みを帯びた銀色の巨大な建造物以外は真っ暗で、見渡す限り丸い地平線のどこまでも銀色の金属板と埃っぽい砂の大地が広がっているだけ。どう見てもここには普通の生き物は住めない、魔獣すら怪しい。
ふと見上げてみれば、お日様はあんなに近くにあって、砂漠で見たときみたいにギラギラ暑苦しく輝いているっていうのに、今はさっぱり鬱陶しく感じない。お空の色が黒いだけでこんなにも世界の見え方が変わってしまうなんて不思議ね。
月に関する神話や伝説は結構多い。
夜空を見上げればいつもそこにあって、暗闇に怯えるわたし達を静かに見守る、あるいは、太陽とは違うその神秘的な輝きに魅せられた者を惑わせる。
そんな様々な表情を見せてくれる月に思いを馳せ、物語を綴る。そうやって、この3つの月は神話や伝説、おとぎ話として語られてきた。
そして、その真実は、というと……うん、こればっかりは、他の物語と同じように、他愛のないおとぎ話のひとつとして楽しんでもらう方がいいんだと思う。真実はいつもひとつ、それじゃあ、物語の創造の余地がなくなっちゃうもん。
……そう、でも、確かに【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の言う通り、たったこれだけで月の描写は事足りてしまったのだ。これはとてもまずい、由々しき事態だ。何もないのに歩き回る必要もない。知りたい情報は【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】が全部教えてくれる。これは、他の月にも行った方がいいか?
「あ、そ、その、アナタは歩く必要もない、食事も残念だけど出せない、ここは大気が希薄だから天気だって変わらない。ゴ、ゴメンね、周囲を動く、というのは描写するのがとても簡単なファクターなのに」
「え、な、何? なんか編集かなにかされてます? 文章書きにおける常套手段封じようとしてます?」
なんすか、会話だけで成立させようとしてるんすか? そんなのよっぽど技量がなければただの台本と変わらないわ。わたし達は演技をしているわけじゃない、ちゃんとこの世界で生きている。会話と擬音は効果的に使わなきゃ。「いくぞッ!」「うむ」キンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキンキン! ばっかりじゃ今何してるかさっぱりだもの。
「本題はこの世界、この物語がいかにして成り立ったかです。文章の基礎講座ではありませんのでこの問題は割愛します。それとも、基礎講座をご所望ですか?」
「本題で! 本題の方をお願いします!」
これ以上話がややこしくなるのは避けたい。ただでさえファンタジーから少しずつ離れてしまいそうなんだ。ここで、SFからエッセイになるのだけは何としてでも回避しなくては。というか、意味わからないじゃん、ファンタジーからSFになってさらにエッセイになるって。
「オーケー、それじゃあ、その前に……」
わたしの目の前で、どこからともなく差し込む青白い光が幾色にも分岐し、スーパーマイクロバッグのときみたいに光が上から下に細かく動いて【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の仮想偶像が顕現する。
「改めまして、初めまして。キミがイメージしやすいように私達をアイドルグループとして投影してみたよ、これからはここに話しかけてくれれば大丈夫だから」
そこには、きらびやかでめっちゃかわいい衣装を身にまとった7人の女の子の姿。虹の7色をそれぞれが担当しているらしく、統一感のある衣装のどこかに、それでも、各々の個性が差し入れられていた。
「うん、ありがとう、とても助かる!」
うん、これなら、確かに今までよりずっと話しやすい。だって、【外装起因機関・電葬経土:七人姉妹】の声はどこからともなく聞こえてきて、今わたしが立っているこの月こそが本体だってことは頭では理解できてるけどさ。でも、何もない場所に向かって話しかけているのはなんだかおかしな気分だったんだもの。
「何か困ったらさー、私達を描写すればいいじゃんよ」
「だから、そういうのやめて!」
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