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■■■■【軌条空論・紙一繝ュ繝シ■ ■⑥

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「ま、宝の持ち腐れですけどね~」

 それが自身に向けての言葉なのか、わたしに言った言葉なのかわからない。小烏丸は迫り狂う連撃を、今度こそはふらふらと避けながらそう呟くと、ただの黒い箒にしか見えないそれを本来の使用用途なんて完全無視、振り下ろした魔剣と星槍に合わせて掲げてあっさりと受け止める。

「アナタは“始源拾弐機関”であり、ワタクシの敵になりえる存在です。これ以上他の“始源拾弐機関”と接触する前にサクッと壊しますね~」

 魔剣と星槍、黒い箒の不条理かつ不可解な交差の先、小烏丸の瞳は真っ黒で、いくら睨み付けたってやっぱり何を考えているのかわからない。対話不可、相互理解不可、わたし達は明確に小烏丸の敵として認知されている。こんな最低最悪の酷過ぎる対峙ではわかり合えるはずもなく。

「わたしの物語はそういうものなの、壊されてたまるか!」

 先に仕掛けてしまったのは確かにわたしの方だけど、でも、このふざけた異世界神話創世少女と錯誤世界秩序機能の戦争をおっ始めたのは小烏丸の方だ。

 それに、わたしの物語を全否定しやがったのはずっと忘れないからな。

「いいや!『限界』だッ! 壊すねッ!」

 小烏丸はわざとらしくそう叫ぶとおもむろに黒い箒を振り上げる。「ッ!」簡単に弾かれる魔剣と星槍、崩れる体勢、両腕を上げて完全に無防備なわたしの身体。唸りを上げて箒が迫り狂うのがなぜかスローモーションで見えて。こんな箒ごときで走馬灯って、っていうか走馬灯ってホントにあるのかよ、そんなことより身体を動かさせてよ、などと切実に思いながら。「クソ……ッ」悪態だけが絞り出た。死ぬの、こんなところで? 目を閉じる時間さえない。

 あまりにも軽々しい死、不本意に覚悟していたわたしの頭上が「え?」暗く翳る。

「我は必ず戻って来る! この世界が、小さきキミが我を必要とするからさ!」

 見上げればわたしと小烏丸の間に割って入る巨大な紅い影。ほとんど墜落だ。

 お互い、とっさに飛び退いて回避。わたしにいたってはほとんど転倒に近いけど。

 地響き、盛大に舞い上がる砂礫、衝撃と風圧に吹き飛ばされるようにさらに後方へ。

 ごろごろ転がるのがようやく収まって、這いつくばった体勢のままその奇怪な機械音の主を探す。

「我が名は【軌条空論・紙一重】――世界を守るもの!」

 その声は、喉の震えではない人工的な機械音。それなのに、なんだか気持ちが昂り、心が震えるような気分になるような高らかな名乗り上げ。

 その飛来者は、黒と赤を基調にした超巨大な機械の巨人。見上げればその機体は陽光を受けて煌めき、その兜を思わせる頭部からはギラリと機械的な眼光が輝いている。

「うわ、男子憧れの超巨大ロボットじゃないですか~、そろそろ空気を読んで世界観考えたらどうですか~?」

 明らかに【軌条空論・紙一重】が巨大になっている。目の前の少女に対するカウンターとしてはどう見てもオーバースペックな気がするけど、いや、彼女は神様で、そして、得体が知れない。【軌条空論・紙一重】の機能が、対峙するものと対等の能力になる、というものならば、じゃあ、この強大な機械巨人と同等だとされた、小鳥遊 小烏丸、というちっぽけな少女の能力はどれほどのものなのだろうか。少なくとも、その見た目からでは判断できない。
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