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モデルのゆかさんの場合
しおりを挟むモデルのゆかさんの場合
公園で缶コーヒーを飲みながらスマホを見て唸る茶髪の女性
彼女の名前は沢霧ゆか
中高生に人気の雑誌 ふるふるのモデルである
最近は人気が落ち込み悩みを抱えていた。
スマホ片手に自身の評判を見ていた
肌きたない
今時色黒のモデルなんて時代遅れ
口調が嫌い
とコメントに対して 少し傷ついていた。
ゆかの肌は生まれつき色黒でそばかすもある
消してブサイクというわけではないがはっきり言えば人を選ぶ肌質と見た目 それから品が無くきつい言い方なのでこの要因がさらに人を選んでしまう。
「なんなんだよ」
缶コーヒーを地面に捨て 去ろうとすると
若い男性の声が聞こえてきた。
「ダメだよ ちゃんとゴミ箱に捨てないと」
振り向くと真っ黒な肌と道化師のような格好の
男がさっき捨てた缶コーヒーを持ちゴミに捨てた。
「うるせぇよ 私の勝手だろ」
ゆかはイライラして道化師にきつく言ったが
言われた本人はニヤリと笑う。
「そんなにイライラしないで~ほらお菓子だよ~」
マシュマロの入った袋を手渡されたが…
「んなもんいらねーよ」
マシュマロの入った袋を振り払い地面に落ちた。
「君 そんなにマシュマロが嫌いなの?白くてふわふわで美味しいのに」
地面に落ちたマシュマロの入った袋を拾い 中身を出して食べた。
白いというワードに苛立ちの表情を隠せなかった。
道化師は話を続ける。
「どうやら君は白いというワードを気にしているようだね?」
ピクと動くゆかに道化師は笑う。
「最近暑くなったよね~ここだと日焼けして色黒になるから 続きはテントで話そ」
道化師が指をパチンとすると地面が宙返りし
豪華なロココ町の椅子と机 机にはクッキーと紅茶が置かれている。
ゆかは戸惑うが道化師は話を続ける。
「大丈夫だよ この空間はねさっきのところと時間が1分しか変わらないんだ ここでは何時間でも話せるよ」
ゆかは道化師に聞く
「あんた…一体何者?」
道化師は紅茶を飲みながら名刺を渡した
ジョーカーという名前と裏面には【人助けが大好きななんでもできる素晴らしい道化師】と書かれている
「なんでもできる??」
道化師 ジョーカーは紅茶を置いた
「そうさ 僕はなんでもできるんだ」
指をパチンとするとアールグレイの紅茶がカモミールハーブティーに代わる。
ゆかは恐る恐る一口飲むとふわっとした感覚と共にイライラしていた気持ちが落ち着いた。
「このハーブティーうまいじゃん あんたすげえ!」
ゆかは感激していた。
ジョーカーは笑顔でこう話す
「ありがとう ところで君の願いはなんだい?」
ゆかはいきなり聞かれたのでびっくりしていた。
「願いって??」
ジョーカーはさらに言い続ける。
「僕は人助けが大好きなのさ さっき君を見かけた時に君の目は曇っていた 何か悩みがあるのかなって」
ゆかはハーブティーを机に置き しばらくの沈黙の後口を開いた。
「あたし 最近人気が落ちちゃってさ…私も精一杯直そうと努力したんだけど…全てダメだった…美白にする洗顔やメイク 口調とか…全て
」
ジョーカーはうんうんと聞いていた。
「君は頑張り屋さんなんだね 人気を取り戻そうとするその姿勢がどの子よりも素晴らしいよ
でも努力が報われないのはいやだね」
ゆかはそう言われ 涙を流した。
「私がもっと美白で口調も清楚だったら人気上がるのにな…」
その言葉を聞き ジョーカーは笑う。
「だったら今すぐなろうよ 君が目指す清楚な
美白の子」
ジョーカーは指をパチンとするとゆかの目の前紅茶が代わる。
綺麗な色のロイヤルミルクティーだ
「それはね 君の理想の姿になれる紅茶さ
それを飲み干せば素敵なレディにかわる」
ゆかはそう言われて半信半疑で紅茶を飲む
するとゆかの体がまばゆい光を放つ
そして…
道化師は鏡を持ってきた。
「素敵なレディだね」
ゆかは恐る恐る鏡を見るとそこには色白の美しい女性が写っていた。
「この方は…あれ?私喋り方が…」
喋り方が変わり 戸惑いを隠せない。
「穏やかな口調に清楚な容姿 まるで少女漫画のヒロインのようだ」
にっこり微笑むとゆかはジョーカーの手を掴み
お礼を言う「ありがとうございます」
ジョーカーはにっこり笑うと指をパチンと鳴らした。
ゆかが気がつくとさっきいた所で缶コーヒーを持ち 座っていた。
「あれ?ジョーカーさんは…」
自身の容姿を見て うんと頷いた。
(こんな綺麗な容姿さえ あればアタシの人気は鰻登りだぜー)
ゆかはそう思い 缶コーヒーを地面に再度ポイ捨てし その場を去った。
その光景をジョーカーは見ていた。
(人間ってどんなに見繕っても本質は変わらないもんだね)
その後ゆかはふるふるのアンケートで高い人気を誇り メディアへの露出も増えた〔清楚で礼儀正しい〕とSNSでの評判もあり彼女の人気は
鰻登りに上がった。
楽屋にて彼女はニヤリと笑った
「ふふっ後は有名俳優かモデルと結婚して
ママさんモデルになって薔薇色の人生を送るだけ…」
しかし そんな人気も長くは続かなかった。
あるバラエティにて一躍有名になったあるモデルによりゆかの人気は2位まで下がってしまった。
浅黒い肌の白に近い金髪女性
名前は影結 まねき
美しい見た目かつ女優としての才能があり 最近人気の若手モデルである。
「影結…」
楽屋で顔を顰めながら呟いた。
(でも大丈夫…アタシにはすげぇ味方がついているからさ…影結なんてすぐに消せる)
彼女のスマホには大手メディアのお偉いさんと
芸能界のドンや数々の事務所の連絡先が載っていた。
しばらくして 影結のゴシップ記事が出回った。
〔モデル 影結まねき 俳優ティーンフジサキとお泊まりデート!?〕
雇ったパパラッチが彼女を追い詰めた記事を見て 祝杯をあげたゆか
(これでアタシの人気はまた戻るぜ ザマァ)
しかし 彼女の思惑は見事に外れるのだった
〔出版社 ふじ ミヤモト社長脱税罪で逮捕〕
〔芸能界大御所 本田ゆうすけ容疑者
脅迫罪及び強姦罪で逮捕〕
〔ティーン氏の事務所 ティーンにパワハラ!?ティーン氏事務所に起訴予定)
影結を潰すための彼らが逮捕され のちにゆかの悪行が明かされたのだった。
〔モデル影結のゴシップ その主犯格モデル沢霧ゆかの指示!?)
〔ティーン氏 事務所に脅されていた!?〕
SNSでは
えっ胸糞悪
ゆか ちょー性悪女じゃん
芸能界のゴミ
などのコメント欄で溢れ返り炎上し とあるバラエティ番組の司会は彼女の事に関して
「見た目は可愛いそれは認めるけど とんでもない女よ あの子は」
テレビを消し 頭を掻きむしりながら唸る
(なんなんだよ どいつもこいつも)
そしてふとあの道化師を思い出した。
(そうだ…あのピエロに会えば…)
身支度を整え あの公園まで行く。
ベンチに座り ジョーカーが来るのを待った。
(早く来いよ!クソが)
貧乏ゆすりをしながら待つとジョーカーが現れた。
「あっ炎上モデルの沢霧ゆかじゃないか こんな所で会えるなんて光栄だよ」
笑いながら言うと肩をガシッと掴まれた。
「お願い 私をもっと美しくして!私誰よりも美しくなりたいの」強く肩を掴まれた。
しかしジョーカーは真顔で答えた。
「えっ?君は美しいじゃないか?色白で清楚な見た目 それ以上持ったら君はなんになるの?」
ゆかはその答えにイライラしていた。
「いいから早く私を美しくしてよ なんでもいいから早く」
ジョーカーはなんでもいいという答えにニヤリと笑う
「わかったよ じゃあ特別サービス 君をめちゃくちゃ美しい存在にしてあげる
目をつぶってね」
ゆかはジョーカーの言う通り目を瞑った。
「目を開けてごらん」
その声に目を開ける…
(これで誰よりも美しい存在に…あれ???体が動かない)
「お客様の誰よりも美しい存在にしてあげました」
笑顔でそう答えた。
(えっちょっと待って アタシ…)
ゆかは改めて自分の状況をかすかに動く目で見る。
そう 自分は蝋人形になってしまっていた。
「ゆかさん これであなたは永遠に歳も取らず
美しいまま生きられますよ その目も次第に動かなくなりますがまあ美しさには犠牲がつきものです あなたの願いは叶えられました」
ジョーカーはその場から去っていく
(ちょっと待ってよ こんなのって
誰か助けて!お願い)
暗闇の中そう思った。
その後 ゆかは世界一の美しいとメディアで取り上げられた
人形としてね…
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