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おはなし

五話 身バレと計画

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メイは夢を見ていた。

レオナード王子との初めての出会い。
国一番の美形との婚約ということで社交会では話題になっていた。

当時のレオナード王子は金髪碧眼の美形 まさにおとぎ話に出てくる王子様
でも第一の印象は…美形だけど頭がお花畑ぽいなと思ってしまった。
(この人運命の人は君じゃなかったとか言って婚約破棄する系じゃないよね)

と一瞬思ったが案の定当たっていた。

断罪された日 見覚えのない嫌がらせの内容に怒りを覚えた。

「私メイ様に嫌がらせをされておりましたの」

その表情に生まれて初めで殺意を覚えた。
その夢の内容があまりにも不快だったので目を覚ました。

「うぅ…」

重い体を起こすと周りが騒いでいた。

「何…」

バンと自室のドアを開ける1人の青年

「助けに来ました!!メイ様!!」

その青年はフードを被っており、顔は見えない
青年はメイの顔を確認すると自身を抱え、自室の窓から飛び降りた。

「きゃぁ」

青年は転移魔法で城から脱出しメイをさらった

「メイ!!」

リオンは叫ぶ。


 
メイが転移した先は真っ暗な空間に数本の蝋燭の明かりが灯りピチョンピチョンという水の音が聞こえる地下通路。

周りにはコートをきた人々が蝋燭の小さな火で暖をとっていた。

「ここは…」
コートを脱ぎ捨てた青年

その顔は白い髪の短髪ルビーのような赤い目
雪のように白い肌が蝋燭の灯火に照らされている。

「お久しぶりです メイ・ローズ様」
目の前で跪く青年。

「貴方は…騎士長の…弟のクリス・ルース様??」

彼の顔には見覚えがあった、彼は騎士長様の弟クリス・ルース…

「あなたは隣国のレッドベリー王国に…」

「王国の危機を察知し此処に戻りました…案の定
王国は…」

隅で怯えるボロ服を着た女子供…

「状況はわかりました しかし何故私を…」

クリスはメイの手を取る

「私は貴方が魔物達の国にあの女の身代わりとして嫁入りしたと聞き…怒りを覚えました…
兄はあの悪女に夢中で私の話など聞き入れてはくれませんでした メイ様あの悪女の暴走を止めてください 貴方様がいれば王国は…」

メイは首を横に振る。

「私を救い出すその意思は感謝しますわ でも
今は魔物達の国に居させてください…まだ時は早いですわ」

メイはクリスに説明する。

「あと数日で魔法学園の卒業式…同時に王国あげての結婚式を彼らはあげますわ…この国の警備は
少しばかり隙ができますわ その時が一回きりのチャンス…その時に合流しましょう」

「メイ様…」

蝋燭の灯火が少しばかり揺れた。

場所は変わり 城内のメイの部屋。

「…メイ」

空っぽの部屋を見つめながらメイ部屋を見つめる。

メイがいないその日は眠れず、一人メイの帰りを待っていた。
「メイ…」
最初こそ婚約破棄してくれることを喜んだがいざ彼女が目の前にいなくなると寂しさもう自分の元に帰らないかもしれないと言う不安がリオンを襲う。

「メイ…早く帰ってきてください」
目をぎゅっと瞑りメイの帰りを待つ。

「ただいま…」
リオンが振り向くとメイがいた。 

「メイ」

メイの元に駆け寄るとセバスチャンと家臣たち
それにあの男が立っていた。
メイはバツの悪そうな顔をしながら言う。

「私が聖女じゃないってバレちゃった」

リオンが何が何だかわからずにいるとあの男が
言う。

「魔族の王リオン様我が国の無礼をお許しください」

あの男が深々と謝罪しメイもくらそうな表情をする。

「リオン様…」

セバスチャンと周りの家臣も暗い表情をしていた。

メイは男と何かを話すと男は了承しセバスチャンと家臣と共に部屋を出た。

「リオン様…私が聖女じゃないとわかればここにいる資格はないよ…明日魔法学園の卒業式兼あの二人の結婚式が開かれる…その時にクリスと一緒に突撃するつもり…リオン様…私はあなたを巻き込みたくない そりゃ魔族との約束を破った王国もかなり悪いけど…私はあの女とケジメをつけたいの…」

そう答える。

「メイ…」

リオンは優しくメイの手を触れる。

「…好きです… 私はメイのことが好きです…
聖女じゃなくても…私はメイが大好きです」

「……ごめんなさい」

手を払うと部屋から出て行った。

「メイ…」


その後メイはくらそうな顔で馬車に乗っていた。

「メイ様…」

メイは外を見ながら(これでいいんだ…もうリオン様とは会うことはない…)

愛するリオンを巻き込みたくない一心でメイは告白を断ったのだ。

「クリス…私 ロマンと決着をつけたら遠い国に行こうと思います…あんな国にいたくないですしそれに…リオン様に会うの申し訳ないので」

拳を震わせながら言うメイをクリスは心配そうに見ていた。

その頃王国ではカリオスが結婚式芸の準備に勤しみながらメイの情報を喜び、メイのいる地下に行き再会

革命の準備を進めていた。

メイは愛用の剣を手にロマンへの復讐心に燃える。

一方でのんきなロマンは結婚式の準備に勤しむのだった。

これからね悪夢を知らずに








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