それは語られなかっただけ

karon

文字の大きさ
上 下
4 / 14

普通に疑問だろ

しおりを挟む
 俺の部屋で太郎は勝手知ったる人の家で本当に勝手にせんべいを取り出してお茶を淹れていた。
太郎はせんべいをかじりながら俺に聞いてきた。
「いったい何がミステリーなんだ?」
 俺はどうしてここまでわかりやすい話が分からないのか本気で不思議だった。
 俺はコホンと咳払いをした。
「俺は聖徳太子の時代か奈良時代のあたりの文献を読み漁った、しかし俺の疑問に突っ込んだ奴は一人もいなかった。どうしてここまであからさまなことを疑問に思わないか不思議でしょうがない」
 太郎は途中で聞く気はないのかお茶をすすっている。
「お前、怨霊とかそういう話好きだよな」
 俺は太郎の好きな話題を振ってみた。
「じゃあ、ものすごく簡単なアンケートをするな、非業の死をとげたA、怨むと書き残して自殺したAの親B、Aが死ぬ数年前に死んだAの祖父C、この中で怨霊になるなら誰でしょう」
 太郎は首をかしげた。
「普通AかBじゃね」
「そうだね、人が百人いたら百人がそう思うよなだけど、聖徳太子のポジションは確実にCなんだよ」
「山背大兄皇子の死は」
「聖徳太子の死後だろ」
 山背大兄皇子の一族皆殺しは確かに痛ましい、しかしその時点でだいぶ昔に死んだ親がたたるとは普通考えないんじゃないだろうか。
「なんで聖徳太子を祭らんとならんわけ?」
 太郎は何も言わず無表情にせんべいをかじっている。どうやら答えられないのだろう。
「じゃ、どうしてこういうことになったと思うわけ」
 せんべいを食べきって太郎がそう聞いてきた。
 この野郎、俺がいちまいも食べてないのにせんべい食べきりやがった。
「こういう時普通山背大兄皇子を祀るよな、どうして祀らないで聖徳太子を祀ったのか、、これはお前が持ってきた隠された十字架に出てきた」
「おお」
 太郎が身を乗り出す。
「殺した側が、殺した相手を祀って祟り封じをする、それがよくあること、ここを逆説的に考えてみろ」
 俺は大きく間を取った。
「山背大兄皇子を殺したのは入鹿ということになっている。しかしそれは違う、うかつに山背大兄皇子を祀り、その結果その真犯人とばれるのを恐れたせいだ」
「つまり、入鹿は無罪、真犯人は別にいる」
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

兄の悪戯

廣瀬純一
大衆娯楽
悪戯好きな兄が弟と妹に催眠術をかける話

四代目 豊臣秀勝

克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。 読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。 史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。 秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。 小牧長久手で秀吉は勝てるのか? 朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか? 朝鮮征伐は行われるのか? 秀頼は生まれるのか。 秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

処理中です...