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書斎
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しばらくアリスはその場で大人たちの話を聞いていたが、だんだん退屈してきた。
デイジーはその場に立っていたが小さな声で歌いだした。
あちらにいる大人たちはデイジーの歌に気づかない。
デイジーの歌は今まで聞いたことのない歌だった。
「帰ろう、デイジー」
アリスは大人のいない時ならこの丘を隅々まで探索するのが常だった。だけど今日はそれができそうにない。
アリスはあきらめてデイジーと家に戻った。
アリスは書斎に入った。
そして父親のタイプライターが置いてある小さな机に向かった。
父親は普段の書き物はペンでやっているが、必要に応じてタイプライターを使うこともある。
アリスはタイプライターがお気に入りだった。
練習のため紙とインクリボンはアリス用が常においてある。
アリスはインクリボンと紙をセットするとタイプライターをたたきながら歌い始めた。
歌はさっきデイジーが歌っていた歌だ。
アリスは一人で作業するときは歌いながらタイプライターを打つ。
アリスが習えなかったピアノを弾く動作とタイプライターを打つ動作はとても似ている。
だからアリスはピアノを弾く気分でタイプライターをたたくのだ。
そして歌い終えるとタイプライターで印字された紙には一編の詩が記されている。
紙を外してアリスはそれを机の引き出しにしまった。
引き出しには今までアリスが打った詩が何枚も保存されている。
アリスは引き出しを閉じると,紙とインクリボンを片付けた。
自分の部屋に戻ろうと扉を開けるとメイフェザーの連れてきた女が立っていた。
「あの?」
アリスは怪訝そうに女を見た。
父親はまだ丘にいる。父親が不在の時この部屋に入ろうとするのはずいぶんと不作法だ。
「あら、間違えてしまったわ、この家はずいぶん広いから」
「そうなの?」
アリスの家はそれほど広いとは思っていない。この辺りにはアリスの家と同じくらい広い家はざらにあるからだ。
「本当?」
「本当よ」
女はどこか上ずった声で答えた。
「知ってる?都会はとても土地が高いの、だから普通の家はこの家の半分もないわ」
「そうなのー」
アリスは間違えたならすぐに立ち去ればいいのにと思いながら言い訳をする女を見ていた。
女はずいぶんと若かった。
メイフェザーは父親よりだいぶ年上に見えたけれど女は母親よりかなり若い。
「じゃあ、迷子になりそうなのね」
アリスは女の手を取った。
そして女の手を取ってそのまま走り出した。
「アリス様、走ってはいけません」
メイドのエリスがアリスに声をかけた。
「あのね、エリス、この人迷子になるんだって、だから間違えてお父様の書斎に入ろうとしてしまうんだって、だからエリスはこの人が迷子にならないようにしてね」
アリスがつらつらと説明するとエリスは何やら考えているように顎に手を当てた。
「そうですか、それはそれは」
エリスは目を細めた。
「大丈夫ですよアリス様、この人は私がちゃんと見ていますしマティルダやダンやアニーも協力してもらいますから」
にっこりと笑ってエリスは女の手をつかんだ。
「それじゃあアリス様エイミー様が呼んでいますよ」
エリスはがっちりと女の手をつかんでそのまますたすた歩きだす。アリスは自分の部屋に戻ろうとしていたことを思い出し慌てて戻った。
デイジーはその場に立っていたが小さな声で歌いだした。
あちらにいる大人たちはデイジーの歌に気づかない。
デイジーの歌は今まで聞いたことのない歌だった。
「帰ろう、デイジー」
アリスは大人のいない時ならこの丘を隅々まで探索するのが常だった。だけど今日はそれができそうにない。
アリスはあきらめてデイジーと家に戻った。
アリスは書斎に入った。
そして父親のタイプライターが置いてある小さな机に向かった。
父親は普段の書き物はペンでやっているが、必要に応じてタイプライターを使うこともある。
アリスはタイプライターがお気に入りだった。
練習のため紙とインクリボンはアリス用が常においてある。
アリスはインクリボンと紙をセットするとタイプライターをたたきながら歌い始めた。
歌はさっきデイジーが歌っていた歌だ。
アリスは一人で作業するときは歌いながらタイプライターを打つ。
アリスが習えなかったピアノを弾く動作とタイプライターを打つ動作はとても似ている。
だからアリスはピアノを弾く気分でタイプライターをたたくのだ。
そして歌い終えるとタイプライターで印字された紙には一編の詩が記されている。
紙を外してアリスはそれを机の引き出しにしまった。
引き出しには今までアリスが打った詩が何枚も保存されている。
アリスは引き出しを閉じると,紙とインクリボンを片付けた。
自分の部屋に戻ろうと扉を開けるとメイフェザーの連れてきた女が立っていた。
「あの?」
アリスは怪訝そうに女を見た。
父親はまだ丘にいる。父親が不在の時この部屋に入ろうとするのはずいぶんと不作法だ。
「あら、間違えてしまったわ、この家はずいぶん広いから」
「そうなの?」
アリスの家はそれほど広いとは思っていない。この辺りにはアリスの家と同じくらい広い家はざらにあるからだ。
「本当?」
「本当よ」
女はどこか上ずった声で答えた。
「知ってる?都会はとても土地が高いの、だから普通の家はこの家の半分もないわ」
「そうなのー」
アリスは間違えたならすぐに立ち去ればいいのにと思いながら言い訳をする女を見ていた。
女はずいぶんと若かった。
メイフェザーは父親よりだいぶ年上に見えたけれど女は母親よりかなり若い。
「じゃあ、迷子になりそうなのね」
アリスは女の手を取った。
そして女の手を取ってそのまま走り出した。
「アリス様、走ってはいけません」
メイドのエリスがアリスに声をかけた。
「あのね、エリス、この人迷子になるんだって、だから間違えてお父様の書斎に入ろうとしてしまうんだって、だからエリスはこの人が迷子にならないようにしてね」
アリスがつらつらと説明するとエリスは何やら考えているように顎に手を当てた。
「そうですか、それはそれは」
エリスは目を細めた。
「大丈夫ですよアリス様、この人は私がちゃんと見ていますしマティルダやダンやアニーも協力してもらいますから」
にっこりと笑ってエリスは女の手をつかんだ。
「それじゃあアリス様エイミー様が呼んでいますよ」
エリスはがっちりと女の手をつかんでそのまますたすた歩きだす。アリスは自分の部屋に戻ろうとしていたことを思い出し慌てて戻った。
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