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「ランバート公爵とエティエンヌ殿下、王宮を掌握したみたい」
それはソフィーがジリオーラに助けられて2年後の事だった。ノエラは新聞社と専属契約をし、立派なエッセイストとして自立した。ジャクリーヌは結局、国許の騎士と結婚し将来的には自領で蟄居、と決まっている。今も王宮の与えられた部屋から出ることはなかった。ララは一年の期間のあと反省というよりは『やったからいいでしょう』という態度だったので父親の持つ商会の一番下っ端の平民と結婚し、貴族籍をはく奪された。
そしてエレーヌは自分は娼婦になるしかないのだと思い詰めていたのだがサ・レ男爵との見合がセッティングされ、翌週には嫁いでいった。今も続いている。お互いにとってお互いが最適な相手だったらしい。男爵はにんまりと笑い
「妻とはどんな趣向でも楽しめるのが最高ですな』
と言っている。子供も第一子が生まれ今は第二子を妊娠しているようである。
「これ、罰なんですかね?」
フレデリクの呟きに父親のディオンは
「仲良きことは美しきかな。仲の良い夫婦が一組増えたんだ。それでいいじゃないか。……被害にあう子息や令嬢が居なくなるのが一番だよ」
と皮肉な口調だった。現在はフーシェ領は母が侯爵として統治しており長兄が母の跡を継ぐという事で母親の元で仕事に励んでいる。フレデリクとジェラール、そして父親のディオンは王宮で役人として働いている。ジェラールは騎士がいいのだが、と言いながらも真面目に文官として勤めていた。
ソフィーとジェラールは騎士団の朝の鍛錬のメニューを教えてもらいそれに沿って体を作っていた。
「ソフィー、思う存分やってきなさい。と言っても王宮で、じゃないの。ジェラールと二人、ジリオーラの店に行って。ローラン殿下はあの店に通い詰めらしくてね。一対一で血統をするの。ジェラールはお付きで来てる遊び相手、あの時一緒にいた子息達ね、複数人がおつきで来てるからそのお付きを抑えてもらうわ」
ソフィーは不敵にほほ笑んだ。
「望むところですわ」
「その時に陛下からエティエンヌ殿下に玉座が移る事になるの」
ソフィーは母に訊ねる。
「あの五月蠅いばー……王太后様は何も言わないのですか?」
マルグリットは眉間に皺を寄せる。
「この半年いよいよお年で……」
「体調がお悪いのですか?」
「体調というより、周りを認識できなくなってね。お年だから仕方ないけど、あの方大きいでしょう。侍女たちが苦労してるみたい」
「そうなんですか……。エリカ嬢は婚約者のまま?」
「あら、言ってなかった?エリカ嬢はマナー講習が先に進まなくて結局陛下の婚約者を降りたようよ。それと共に、元ラミナ領はお義父様、あなたのお祖父様の管理になってるわ。このままエティエンヌ殿下のクーデターが成功したらラミナ領は元に戻るわ」
ソフィーは一安心していた。祖父があの土地をどれだけ愛していたか知っていたからだ。
ソフィーと婚約者のエリク、この二人は婚約したのだ、はアラン陛下の私的なお茶会に呼ばれている。
「二年前から……アレがソフィーを返せって五月蠅かったのね」
セシルが話始めた。
「何度も公的なものから私的なものまで手紙が来ててね」
アラン陛下は苦笑いしている。
「少し前に私の兄が亡くなったのは知ってるね?」
エリクとソフィーは頷いた。
「……私がこの国の王になったのはあの人からの依頼、というか予言というか……があったからなんだ」
それはソフィーがジリオーラに助けられて2年後の事だった。ノエラは新聞社と専属契約をし、立派なエッセイストとして自立した。ジャクリーヌは結局、国許の騎士と結婚し将来的には自領で蟄居、と決まっている。今も王宮の与えられた部屋から出ることはなかった。ララは一年の期間のあと反省というよりは『やったからいいでしょう』という態度だったので父親の持つ商会の一番下っ端の平民と結婚し、貴族籍をはく奪された。
そしてエレーヌは自分は娼婦になるしかないのだと思い詰めていたのだがサ・レ男爵との見合がセッティングされ、翌週には嫁いでいった。今も続いている。お互いにとってお互いが最適な相手だったらしい。男爵はにんまりと笑い
「妻とはどんな趣向でも楽しめるのが最高ですな』
と言っている。子供も第一子が生まれ今は第二子を妊娠しているようである。
「これ、罰なんですかね?」
フレデリクの呟きに父親のディオンは
「仲良きことは美しきかな。仲の良い夫婦が一組増えたんだ。それでいいじゃないか。……被害にあう子息や令嬢が居なくなるのが一番だよ」
と皮肉な口調だった。現在はフーシェ領は母が侯爵として統治しており長兄が母の跡を継ぐという事で母親の元で仕事に励んでいる。フレデリクとジェラール、そして父親のディオンは王宮で役人として働いている。ジェラールは騎士がいいのだが、と言いながらも真面目に文官として勤めていた。
ソフィーとジェラールは騎士団の朝の鍛錬のメニューを教えてもらいそれに沿って体を作っていた。
「ソフィー、思う存分やってきなさい。と言っても王宮で、じゃないの。ジェラールと二人、ジリオーラの店に行って。ローラン殿下はあの店に通い詰めらしくてね。一対一で血統をするの。ジェラールはお付きで来てる遊び相手、あの時一緒にいた子息達ね、複数人がおつきで来てるからそのお付きを抑えてもらうわ」
ソフィーは不敵にほほ笑んだ。
「望むところですわ」
「その時に陛下からエティエンヌ殿下に玉座が移る事になるの」
ソフィーは母に訊ねる。
「あの五月蠅いばー……王太后様は何も言わないのですか?」
マルグリットは眉間に皺を寄せる。
「この半年いよいよお年で……」
「体調がお悪いのですか?」
「体調というより、周りを認識できなくなってね。お年だから仕方ないけど、あの方大きいでしょう。侍女たちが苦労してるみたい」
「そうなんですか……。エリカ嬢は婚約者のまま?」
「あら、言ってなかった?エリカ嬢はマナー講習が先に進まなくて結局陛下の婚約者を降りたようよ。それと共に、元ラミナ領はお義父様、あなたのお祖父様の管理になってるわ。このままエティエンヌ殿下のクーデターが成功したらラミナ領は元に戻るわ」
ソフィーは一安心していた。祖父があの土地をどれだけ愛していたか知っていたからだ。
ソフィーと婚約者のエリク、この二人は婚約したのだ、はアラン陛下の私的なお茶会に呼ばれている。
「二年前から……アレがソフィーを返せって五月蠅かったのね」
セシルが話始めた。
「何度も公的なものから私的なものまで手紙が来ててね」
アラン陛下は苦笑いしている。
「少し前に私の兄が亡くなったのは知ってるね?」
エリクとソフィーは頷いた。
「……私がこの国の王になったのはあの人からの依頼、というか予言というか……があったからなんだ」
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