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「疲れた顔してますね」
学校の食堂でイネスに言われた。
「昨日、姉の結婚式の用意を手伝っていて。いつもより寝るのが少し遅くなってしまったので」
「あらあら、淫乱な人もウェディングドレス着るのね」
ラランド侯爵令嬢派の一人が言葉をとらえて嫌味をいい捨てていく。
イネスは呟く。
「ポー伯爵令嬢シルヴィ。あなたの姉上とアラン・ウジェの婚約が決定されるまでアラン・ウジェ氏の恋人の一人と言われてた人。あの方もご乱行で有名な方でした…。先日の賭け事騒ぎで停学になった一人でもあります」
リリゼットは義兄になる人が艶福家であるとは義姉に聞いていたが自分たちと同じクラスにその被害者というか対象者というかがいることは想像もしていなかった。
「私には関係ないけど………。何がしたいのかも理解できない」
イネスはリリゼットの言葉にくすくす笑う。
「私もわかりません」
イネスも同意見だった。
「姉に当たるなり、アランさんにあたるなり、ならわかるんですけど。私に言ってもあの二人に伝わらなのにね」
リリゼットの言葉にイネスも頷く。
放課後、リーゼに呼ばれて生徒会室に行く。リリゼットとイネスは少し驚いた。生徒会のメンバーが勢ぞろいしていたからだ。何の話かと思えば、秋の学園祭を手伝ってほしいという話であった。今回運動部部長代表と庶務の二人が学園祭にて生徒会を手伝うのがスケジュール的に少しだけになりそうということで庶務ができそうな人員を探していたらしい。
今回はリーゼ立っての希望でイネスとリリゼットが呼ばれたのだ。
「お二人とも…クラスの出し物しかないですね?」
いつもと違い有無を言わさない雰囲気でどうしたのかな、と思っていたら庶務は女子生徒二人でこの二人が居なくなるとリーゼは生徒会で女性が一人になるのでそれを避けたいという思いで二人に声をかけたのだった。
「リーゼ、リリゼットはおうちの方の出店の出品もあるんじゃ」
イネスがリーゼに思い出させる。リリゼットが言う。
「もう私の担当は用意がおわりました。今回は刺繍じゃなくて父親のものにつける小さな半貴石のチャームにお守りの効果をつけただけだったんで」
「お父様は何を?」
クレマンが聞いてくる。
「財布を金運、恋愛運、全体運で100個納入とか言ってました」
「金運の石はなに?」
生徒会の文化部担当のるマール子爵嫡男が少し本気で聞いてくる。
「えっと、タイガーアイを使ってます」
リリゼットが言うと、マール子爵令息は小さくガッツをした。
「絶対買いに行くから!」
マール子爵令息はいい顔で言い切った。
学園の学園祭は初日の学園関係者だけが入れる日と入園料をとり、一般に開放する日の二日間で開催される。ドルバック家の出店は初日のみで父親の革細工やら、兄の木工細工、一族の女性による加護刺繍、加護付きレース編み、加護付きのシュシュなどが並ぶ。今回はリリゼットは名前出しての出店はしていない。12になったころから修道院で一年間の刺繍作品で出来の良いものを出品していた。その時の売れ方を見て兄に『可愛い』を学べと
言われているとはリリゼットは気が付いていなかった。
「じゃリリゼットも手伝ってもらえる?」
リーゼはほかの役員の事など気にせずにストレートに聞いてくる。
「わからないところは私がサポートしますよ」
クレマンが優しい声で付け足した。王太子以外の男性役員がぎょっとした顔でクレマンを見る。クレマンが優し気な声を出せるということを初めて知ったからであった。
学校の食堂でイネスに言われた。
「昨日、姉の結婚式の用意を手伝っていて。いつもより寝るのが少し遅くなってしまったので」
「あらあら、淫乱な人もウェディングドレス着るのね」
ラランド侯爵令嬢派の一人が言葉をとらえて嫌味をいい捨てていく。
イネスは呟く。
「ポー伯爵令嬢シルヴィ。あなたの姉上とアラン・ウジェの婚約が決定されるまでアラン・ウジェ氏の恋人の一人と言われてた人。あの方もご乱行で有名な方でした…。先日の賭け事騒ぎで停学になった一人でもあります」
リリゼットは義兄になる人が艶福家であるとは義姉に聞いていたが自分たちと同じクラスにその被害者というか対象者というかがいることは想像もしていなかった。
「私には関係ないけど………。何がしたいのかも理解できない」
イネスはリリゼットの言葉にくすくす笑う。
「私もわかりません」
イネスも同意見だった。
「姉に当たるなり、アランさんにあたるなり、ならわかるんですけど。私に言ってもあの二人に伝わらなのにね」
リリゼットの言葉にイネスも頷く。
放課後、リーゼに呼ばれて生徒会室に行く。リリゼットとイネスは少し驚いた。生徒会のメンバーが勢ぞろいしていたからだ。何の話かと思えば、秋の学園祭を手伝ってほしいという話であった。今回運動部部長代表と庶務の二人が学園祭にて生徒会を手伝うのがスケジュール的に少しだけになりそうということで庶務ができそうな人員を探していたらしい。
今回はリーゼ立っての希望でイネスとリリゼットが呼ばれたのだ。
「お二人とも…クラスの出し物しかないですね?」
いつもと違い有無を言わさない雰囲気でどうしたのかな、と思っていたら庶務は女子生徒二人でこの二人が居なくなるとリーゼは生徒会で女性が一人になるのでそれを避けたいという思いで二人に声をかけたのだった。
「リーゼ、リリゼットはおうちの方の出店の出品もあるんじゃ」
イネスがリーゼに思い出させる。リリゼットが言う。
「もう私の担当は用意がおわりました。今回は刺繍じゃなくて父親のものにつける小さな半貴石のチャームにお守りの効果をつけただけだったんで」
「お父様は何を?」
クレマンが聞いてくる。
「財布を金運、恋愛運、全体運で100個納入とか言ってました」
「金運の石はなに?」
生徒会の文化部担当のるマール子爵嫡男が少し本気で聞いてくる。
「えっと、タイガーアイを使ってます」
リリゼットが言うと、マール子爵令息は小さくガッツをした。
「絶対買いに行くから!」
マール子爵令息はいい顔で言い切った。
学園の学園祭は初日の学園関係者だけが入れる日と入園料をとり、一般に開放する日の二日間で開催される。ドルバック家の出店は初日のみで父親の革細工やら、兄の木工細工、一族の女性による加護刺繍、加護付きレース編み、加護付きのシュシュなどが並ぶ。今回はリリゼットは名前出しての出店はしていない。12になったころから修道院で一年間の刺繍作品で出来の良いものを出品していた。その時の売れ方を見て兄に『可愛い』を学べと
言われているとはリリゼットは気が付いていなかった。
「じゃリリゼットも手伝ってもらえる?」
リーゼはほかの役員の事など気にせずにストレートに聞いてくる。
「わからないところは私がサポートしますよ」
クレマンが優しい声で付け足した。王太子以外の男性役員がぎょっとした顔でクレマンを見る。クレマンが優し気な声を出せるということを初めて知ったからであった。
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