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第2の人生 1年生編

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 「!、紋糀あやこうじ先輩…」

 俺の肩を掴んだのは紋糀先輩だった

 「不知火、落ち着け。魔力が少しだが漏れている。」
 「……すみません。」

 紋糀先輩は謝る俺の背中をポンと叩いて少女のもとへ向かった。

 「君は華僑楽奈と言ったか、この騒動の主犯で間違いないな?」
 「主犯だなんて失礼ね、ワタクシはただ自分が特別な存在だと教えてあげていただけよ。」

 恐らく愛し子の事を言っているのだろう。
 先輩である紋糀に敬語も使わず、相変わらずふんぞり返っている。

 「その特別とは君が愛し子様だと言う事だろうか。」
 「当たり前でしょう、ワタクシは特別なの他のものとは違う、だから貴方もワタクシに跪き…」
 「少し口を閉じてくれないか。」
 「っ!」

 たった一言、その一言には抗おうと思わせない程の冷たい威圧感があった。

 「君は自分を特別な存在だと言っているが、それは間違いだろう。」
 「はっ!?、な、何を言って…」
 「君は光属性などではない。」
 「え?」
 「君は、無属性のただの令嬢。
 家にそこまでの権力も無い、特別なんかじゃない、周りと変わらないだ。」

 そう言った瞬間、少女の雰囲気がガラッと変わった。

 「そ、そんなはず無いわ…だって…だって……そ、そうだわ!
 有瀬あらせ様!有瀬様がそう言って下さったんですわよね!?
 わ、ワタクシは特別な存在だって!ワタクシが愛し子だって!」

 有瀬と呼ばれた男は左側にいた男で、少女は縋り付くように聞いていた。

 「そうだよ、君は特別な存在だ。」
 「ほ、ほら!やっぱり!…」
 「さっきまではね。」
 「……え?………」

 縋り付く少女を無理矢理引き剥がすと、有瀬は右側にいる男に近付く。

 「ねぇ、シロ?
 結構上手く行ってたのにね?」

 「そうだなクロ、
 小さい頃から刷り込んだのに、全部無駄になっちまった。」

 互いをシロ、クロと呼び、親しげに話す二人
 そして、俺は思い出した。

 (こいつら、学校一の悪童って呼ばれてた、黒白こくびゃくじゃねぇか!)

 こいつらは、学校で出来る限りの非道を繰り返しており、小さい悪戯いたずらから今回の様な事まで、そのため、こいつらに関わる奴は居なかった。

 (たしか、ゲームでは番外編ルートとかでこいつらと主人公が付き合う事もあったな。)

 それはヤンデレ系の話だったと思うけど…

 「君たちは…?」
 「俺達?俺達はその子の幼馴染だよ、10歳くらいの時に知り合ったんだけど、丁度いいだったから、ねぇシロ?」
 「ああ、だけど、残念ながら水の泡だな。」

 そう言いながらも、クスクスと笑い続けるクロこと有瀬 巴唯あらせ ともいと、無表情のシロこと皆賀 證みなか あかし

 「実験体って…」
 「ん?、ああ気になる?俺達も君の事気になってるんだ、宜しく。」

 左手を差し出される

 俺はその手を取らず

 「出来れば、宜しくしたくないですね。」

 クロのを取り、握手した

 「へぇ…面白いね。」

 そう言って左手をパーにして見せてくる
 てのひらには、何らかの方法で付けられた小さい針があった。

 「よく分かったね、大体の人は絶対に引っかかるのに。」
 「覚えがあるからな…。」
 「え?」
 「いや、何でもないです。」

 覚えといってもゲーム内での事で、これは主人公に仕掛けていた。

 「実験体ってのはね、小さい頃から有り得ない事を刷り込まれ続けたらどうなるかって言うことだよ、簡単でしょ?」

 笑いながらそんな事を言うのだから恐ろしい。
 こいつらは恐ろしく狡猾だ。

 「………とにかく、君たち3人は風紀委員室に来てくれ。」
 「はいはい、シロ、行こうか。」
 「ああ。」

 2人あっさりと向かった。
 少女はまだ信じられない、いや、信じたくないようで、ブツブツと何か言いながら、いつの間にか来ていた他の風紀委員に連行された

 そして、俺は見逃さなかった。

 食堂を出る間際、シロとクロがニヤリと此方を見て笑ったことを……

 (ああ…俺、主人公来るまで耐えられるかな…。)

 無理ですね。






























******

○✕日目 学園入学


 学園に入学したのはいい、だけど俺は生きて卒業できるのか…
 正直無理な気がするが、頑張るしかない……

 数日にして色んな人に出会った
 攻略対象である同室者、またしても攻略対象である先輩、怪しい風紀委員 長、最悪な黒白コンビ……

 キャラ濃すぎないか?
 ああ…ホントに……早く来てくれ主人公!!!






















 1年生編は短めで終わります。(大体の主要人物紹介したかっただけ)
 次は2年生編です。


















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