【完結】狼の求愛は山に届く

ルコ

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番外編 ラウとサンの子作り

ユラ

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 ラウとサンは、山狼族のみんなに祝福されて結婚をした。

結婚式にはオレの両親とパン屋様御一行だけでなく、なんと魔王様まで来られたんだ。もう、めちゃくちゃびっくりしたよ。

魔王様は相変わらずの超絶美形なご尊顔で、

「おめでとう!いや~山狼族には前から興味があったんだ。だからユラ、いや、今はラウか。ラウの結婚式には絶対に来たくてな」

なんて軽い調子で祝福してくださった。

サンも特に警戒する様子はなかったので、魔王様にこの山をどうこうする気はないようだ。

ラウとサンの後には、ゼンとエンを初め次々と若者が結婚し、しばらくの間山はお祭り騒ぎだった。

山狼族の集落はますます賑わい、サンの山は大盛況。

オレも長として忙しいながら、ウルとサンと幸せな毎日を過ごしている。もちろん夜にはラウとなってサンを抱くのが日常だ。



 「ね、ねぇユラ・・・ちょっと聞きたい事があるんだけど・・・」

ラウとサンが結婚してから一年が経ったある日、サンがモジモジしながらオレに話しかけて来た。

「ん?何?」

「あのね、ゼンとエンに赤ちゃんが生まれたじゃない?魔族も狼と同じで、体を繋げて子宮に精を受けたら子どもが宿るんでしょ?
だったら僕にもそろそろラウの子が宿ってもいいと思うんだけど・・・」

「「・・・・・・」」

あまりの衝撃発言に、オレもウルも思考と体の機能がすべて停止してしまった。

「ユラ?ウルまでどうしたの?」

「・・・えっ?!えっと・・・子宮があれば?そ、そうだね」

「やっぱり僕が完全な魔族じゃないから無理なのかな?山は子どもを孕まないもんね」

ちょっとしょんぼりしながらサンが言う。

サンは山だけど魔族と同じ肉体となっているはずだ。けど・・・

「サンは男の子だよね?」

「えっ?うん。それが?」

それまで固まっていたウルが、突然大きな声でオレとサンの会話を遮った。

「あっ!!サン、エンがテン(息子)の事で相談があるんだって!」

「えっ?!そうなの?何かなぁ。病気とかじゃないといいけど・・・僕ちょっとエンの所に行って来るね」

 天幕を出て行くサンを呆然としながら見送っていると、ウルが慌てたように捲し立てた。

「ユラ!バカなの?サンに男って自覚させてどうすんだよっ?いい?これはチャンスなんだ。
多分サンは男女の違いをちゃんと分かっていない。その辺はやっぱり山で神だからか、魔族の体のつくりなんてそこまで気にしてないんだと思う。
サンが自分の体に子宮があると思えば、子宮が出来るんだよ。そしてそこに精を受けたら妊娠すると思えば・・・」

ウルの言葉にハッとする。

そうだ。サンがそう思えば・・・

「本当に妊娠するかもしれないって事?」

「そう!だってサンの中は濡れる。って事は、すでに子宮があるのかもしれない」

「た、確かに・・・」

「ねぇユラ、ラウとサンの子ども・・・欲しいよね?」

「欲しい!!」

オレは即答した。だってサンの子だよ?絶対可愛いに決まってる!!

「だからさ、これからは子宮があるって前提でサンを抱こう。
サンがそう信じたら肉体も変わる。それは肉を食べたら排泄した事で実証済みでしょ?」

「だね。分かった。うわぁ、なんか興奮して来た・・・あのさ、サンの一番奥の壁をさ、突きまくってたら更に奥に行けそうな時ってあるじゃん?あの先に子宮があるのかな・・・」

「うっ!やめてよユラ。おれまで興奮して来た・・・二人して欲情してるとサンに気付かれるよ。
エンが相談があるってのも嘘なのに、サンに不審がられる」

とりあえずは、ウルがエンの契約精霊のミンに、上手く話を合わせてもらうよう指示しているので大丈夫らしい。

そして、今はオレもウルもサンと心で繋がらないようにしているものの、あまりに感情が昂れば気付かれる。

サンはそれだけオレたちを大事に思ってくれているんだ。

 「よし!今日の夜から早速子作りに勤しもう!!
それとさ、サンが子どもを欲しがってるって、山狼族のみんなに噂を流そうか。神の性別が決まってない事も一緒に伝えれば、きっとみんなラウとサンの子どもを熱望するよ。なんてったって神の子だ」

オレの言葉にウルも大きく頷く。

そうなれば山の力が働いてサンの望みは叶いやすくなる。

 うん、山狼族のみんなはきっと受け入れてくれる。

だってみんなサンが大好きだから。
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