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温泉旅行

龍星2

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 「ねぇ、夜に海岸でキャンドルイルミネーションをやってるんだって。行ってみない?」

ルイの言葉に姫が目を輝かせる。

「何それ?!見たい!!」

オレとしては早く姫と二人っきりになりたいけど・・姫は見かけによらず漢な性格なのに、そういうロマンチックなシチュエーションが大好きだもんな。オレは二回も告白でダメ出しをくらってるから、名誉挽回のチャンスかもしれない。

「いいね。行こうよ。」

オレがそう言うと、ショウが意外なものを見たって感じの顔をする。いいの!オレは名誉挽回するんだから!!

 豪華な晩飯の後の腹ごなしにもちょうどいい。オレたちは海岸までゆっくりと歩く。

月明かりと共存しながら静かにきらめく満天の星空を見上げていると、姫がオレの服を引っ張る。くっ・・か、可愛いすぎる・・・

「すげぇ星だな~地元じゃこんな星空見れねぇからちょっと感動。」

「・・そうだね。こんな綺麗な星空を姫と一緒に見れて嬉しいよ。」

オレがそう言うと黙り込む姫。暗いから分からないけど、真っ赤になってるんだろうなぁ・・はぁ、キスしたい。今したら怒るかなぁ・・・?

ん?姫が服を引っ張ったまま、一瞬立ち止まった?姫の視線の先を見ると、ものすごく自然な流れで軽いキスをルイの唇にして、何事もなかったかのように歩くショウ・・・うわぁっ!!ショウ先輩!さすがっす!!今なら姫もキスを受け入れてくれるかもっ?!

一大決心をするもヘタレなオレは、姫の頬に本当に軽く唇を付けただけだった・・ごめん、これがオレの精一杯です。あぁ、スマートにロマンチックを演出するのって難しいなぁ・・・って思ってたら、何と姫がそっと手を繋いでくれたんだっ!!!

オレは姫の手を引いて、すごく満ち足りた気分になりながら・・夜の散歩を満喫した。


「うわぁっ!!綺麗・・・」

海岸に着くと、紙で周りを覆われたすごい数のキャンドルが、海岸いっぱいに並べてられていた。
確かこの砂浜は六百メートルはあったはず。そんな砂浜に並べられたキャンドルは西暦の数らしいから、二千二十以上。

更に海にも映っているので、どこまでもキャンドルの火が続いているようで・・・星空までが一体となり、ものすごく幻想的な空間になっていた。

何と言うか・・上手く言葉が出て来ない。圧巻の一言だ。

せっかくだからと海岸をずっと歩いて、キャンドルイルミネーションの最終地点まで辿り着く。ここまで歩く人はなかなかいないのだろう。オレたち以外に人影はない。
しばらく四人でキャンドルの火と、静かに光る月と星、そして海に映ったさまざまな光が入り混じった煌めきを見つめた。

姫も目を見開いて見入っている。

オレは今度こそと再度一大決心をして姫の腰を抱き、オレの方に引き寄せ・・抱きしめながらキスをする・・・

びっくりして体を離そうとする姫を更にキツく抱く。

迷いがなくなったオレはもっと深いキスをしようとするが、流石に姫に抵抗された。けど・・唇を離した瞬間に、「後でな。」って言われて・・・

もう、期待しかありません!!

あぁ、早く旅館に帰りたい・・・

そんなオレの心の声が聞こえたのか、やっと旅館に戻る事になったんだ。

 姫とルイのはしゃぐ声を聞きながら、オレはショウと話している。

「いよいよだな。頑張れよ童貞。」

「うるさいわ。お前だって三ヶ月前までは童貞だっただろうが。」

「オレもルイと一晩中過ごせるのは、その初体験以来三ヶ月ぶりなんだ。あぁ、嬉しいなぁ。ルイを存分に可愛がれる。
明日の朝食は遅めの十時にしてもらったし、チェックアウトは昼の十二時だからな。」

「うん、分かった。十時に旅館の食堂に行くんだよね?ゆっくり出来て嬉しいなぁ。」

「まっ、健闘を祈ってるよ。」

旅館に着き、明日の朝の約束をしてお互いの部屋に戻る。

 さぁ、いよいよだ。

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