光の部屋、花の下で。

三尾

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それから、

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 介護職はシフト制なので、カレンダー通りの響野の仕事とは休日がずれる。お互いの休みが重なる日は、月に二日もあれば良いほうだった。休みの前の夜は、だから、どうしてもゆっくり抱き合いたくなる。
 響野の部屋のベッドはシングルで手狭なのもあって、必然的に俺の部屋ですることが多かった。
 名古屋のアパートを引き払って本格的にこの家の住人になってからも、以前と同じく一階の和室が俺の寝起きする場所だ。部屋の位置や広さに不満はないし、それ以外の、たとえば響野の家族が使っていた部屋の一つを片付けて使うことには、いまだに抵抗を感じた。
 響野の両親と未希みきちゃんの部屋は、二階の奥まった場所にある。
 階段を上がってすぐの響野の部屋よりも家の東側に寄っていて、そばには書斎や納戸スペースなどが集まっていた。
 普段は用事がないので、そのエリアへ行くこと自体が少ない。三人が使っていた部屋にいたっては、いまだに中を覗いてすらいなかった。
 年に一回、ハウスクリーニング業者が入るときは、家族の部屋もまとめて掃除をしていくようだから、完全に開かずの間というわけでもないだろう。どちらかと言うと、俺が遠慮して近づけないのだ。
 めったに人が入らない閉めきりの場所をいくつか抱えていても、一軒家はそれほど支障なく生活を送れてしまう。大きな家であれば、なおさらだ。花音さんがくる前の三重の実家と同じだった。
 もっとも、この家はあちこちがまだ新しいせいで、本来ここで生活すべき人の数が足りていないような、どうにもぬぐいきれない寂しさを感じる。
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