光の部屋、花の下で。

三尾

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五日目

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 あまり遠い場所に住むと、彼の様子を気軽に見にくるわけにもいかなくなる。目の調子がもう少し良くなるまでは、しばらく通ったほうがいいか……いや……。
 思考がまたループをはじめたのを感じながら、歩道のタイルの上で二度目のため息をついた。
 仕事をしながらでは、介助も家事もたいしてできるとは思えなかった。視覚障害のサポートに慣れたヘルパーを手配する方法を探して、それが難しい場合に考えたほうが良いかもしれない。
 それに、響野自身も身の回りのことを自分でやろうと努力している。世話を焼きすぎることはお互いのために良くないと、彼をサポートするようになってからずっと思っているけれど、神奈川での生活を思い描くと必然的に響野との関係についても考えてしまう。
 本心では、相手の体調を抜きにしても、今のように友達付き合いを続けたかった。せっかく再会できたのだし。
 思案に暮れながらスーパーに到着し、買い物をすませて再び山沿いの高級住宅街に戻る。幅の広い歩道を歩いていくと、公園の横に白い外壁の家が見えてきた。
 ほかの家と比べると公園との距離が近いせいか、緑が濃くて建物自体は目立たない印象だ。それでもこうやってながめてみると、やはり大きい。歩道の一角から響野家を見上げて思う。
 家の敷地に植わった庭木のあいだから、午前中に洗濯物を干したベランダが見えた。そこに人影を見つけて、思わず足が止まる。
 家にいるのは響野だけだ。手すりの向こうに見える上半身が、間違いなく彼のものであることを認めて、まずはホッとした。
 次に気になったのは、手すりのそばで彼がしていることだった。最初は庭を見ているのかと考え、相手の目の状態を思い出して、そんなはずはないと気付く。
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