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第六章 王都
第164話
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女将さんの豹変にちょっと気分が悪くはなったけど、出て来た食事には大満足で、女将さんの事とかどうでもよくなりました。
「それでこれからどうする?この村には特に用事はないんだよね。部屋でゆっくりしとく?」
「そうだねぇ…アタシは村を一回りしてみるよ。何かしら情報があるかもしれないし」
「私もふーちゃんと空から様子見するわ」
ネルとマイラさんが動いてくれるなら僕は部屋にいた方がいいかな。
「シアはどうする?僕は部屋に居るけど」
「我もマイラと同行しようかの。一人歩きよりはよいじゃろ」
そうなると、残るのは奴隷組の3人か…
「わたくしはどうすればよろしいでしょうか?」
「わたしも…」
「じゃあさ、エリーヌとナディアは僕と部屋で休もうか。グラルは巴のトコだろうし」
二人を連れて部屋に上がることを決め、ブレアさんに声をかけると、何とも言えないイイ笑顔で鍵を手渡してくれました。
「本当にいい部屋だと自負してますからね!ごゆっくりお寛ぎ下さいな。
何かご用がある時には、お部屋に呼び鈴が置いてありますので鳴らして下さい。
お呼ばれするまで顔出したりなんて、決していたしませんので。ほんとごゆっくりお楽しみくださいませ?」
イヤイヤイヤ、ちょっと!
その、何か含みのある顔するのって接客業としてどうよ?
みんなそうなの?
していいの?
…いや、まぁ、ご想像に違わない事になりましたけれども。
「ユーマさん…もぅ動けません」
「わたくしも限界ですわ…」
えーと、二人ともなんか申し訳ない…
ほら、いつもと違う環境ってなんとなくテンション上がるもんだからさ。
だよね?え?
「ただいまなのじゃー」
ノックの音とともに、シアの声が聞こえます。
「あ、おかえり。ちょっと待ってね、今開けるから」
「ユーマ君、大体の予想通りの展開なんだけど…想像以上の結果になってるのはどうかねぇ」
部屋の中を見たマイラさんが、チベットスナギツネさんの様な顔になっています。
「まぁ、いいんではないかの。次は我らの番じゃろうし、この場所ではネル様や巴の出番はなかろ?」
「そうだねぇ…エリーヌとナディアも、もう動けないだろうし。
ユーマ君はまだまだ元気いっぱいだろうし」
…えぇまぁそうですけどもっ
はい。頑張ります。
シアとマイラさん相手にダブルヘッダーの2試合目を勝利した頃、部屋の窓をコツコツと叩く音がしました。
窓を見ると風羽花とネルの姿が見えます。
どうやら空からの観光を終えて来たみたい。
いや、ネルの身体から何やらオーラが立ち上っている様子。まさか…
「おいこら、ユーマ。わかってた事とは言え、いい度胸してるじゃない?
結構待ったわよ?ねぇ、ふーちゃん」
『はい!なのです。ふうかも待ったのです』
「あはは…お待たせしました…」
窓から部屋に入って来た二人と、目を合わせる度胸はありません。
「べつにー怒ってるわけじゃないのよー?ただ、コレは貸しね。か・し・。
まぁ、アンタがどうするのか楽しみにしてるわ」
どうやら村を出た後の野営の時は、覚悟を決めておかないといけないようです。
「そんな具合にあちこち見て回ったんだけどねぇ、門番が言ってたように食糧の関係は余裕はなさそうだったよ。
市場も商店も、村人以外には売控えしてたみたいだったし」
「うむ。事情を知らない様子の旅のものと、商店主が言い争うのを何度か見かけたしの」
「やっぱりそうなんだ?まぁ明日には出発してしまえば関係ないからいいけど」
村の様子を見てきた4人から話を聞いています。
「それで、どうやら入村記録を取っていたのは、例の騎士団からの指示のようなのじゃ。
門を閉じた後、あの門番が台帳を運んでおったからの、さりげなく跡を追ってみたんじゃ。
多分あれは村長なんじゃろうが、騎士団に提出する台帳を持って来ましたと報告しておった」
「そっか…なんの目的なんだろうね?」
「そこまではわからなかったけどねぇ…思うに、避難民を装って盗賊などが入り込まないように対策したとか、そんなところじゃないなねぇ」
マイラさんの推測にも一理あるけど、なんとなく他の理由があるような気もするんだよなぁ…
とは言っても、態々首を突っ込む必要もないし、知ったからと言って何かあるわけでもないか。
「みんなありがとう。それ以外には特に何もなさそうだね。
そしたら、せっかくいい部屋に泊まれたし、ゆっくり休んで、明日に備えよう」
「ユーマは特にお疲れでしょうからねぇ」
…返す言葉もございません。
翌朝、宿の朝食を済ませチェックアウトした後、厩舎に巴を迎えに行きます。
昨日部屋に来なかったグラルは、予想通り巴と一緒にいたようです。
宿代払ってるんだから部屋で寝たらいいのにね。
「そりゃ旦那。旦那の邪魔しちゃいけねぇし、あっしは巴ちゃんと一緒にいる方がいい」
あ、そうですか。
ある意味安定の反応で安心したけども。
グラルと二人掛かりで巴に馬車を繋ぐと、僕たちはヨーゼル村を後にします。
さぁ、王都まではもう少しだね。
「それでこれからどうする?この村には特に用事はないんだよね。部屋でゆっくりしとく?」
「そうだねぇ…アタシは村を一回りしてみるよ。何かしら情報があるかもしれないし」
「私もふーちゃんと空から様子見するわ」
ネルとマイラさんが動いてくれるなら僕は部屋にいた方がいいかな。
「シアはどうする?僕は部屋に居るけど」
「我もマイラと同行しようかの。一人歩きよりはよいじゃろ」
そうなると、残るのは奴隷組の3人か…
「わたくしはどうすればよろしいでしょうか?」
「わたしも…」
「じゃあさ、エリーヌとナディアは僕と部屋で休もうか。グラルは巴のトコだろうし」
二人を連れて部屋に上がることを決め、ブレアさんに声をかけると、何とも言えないイイ笑顔で鍵を手渡してくれました。
「本当にいい部屋だと自負してますからね!ごゆっくりお寛ぎ下さいな。
何かご用がある時には、お部屋に呼び鈴が置いてありますので鳴らして下さい。
お呼ばれするまで顔出したりなんて、決していたしませんので。ほんとごゆっくりお楽しみくださいませ?」
イヤイヤイヤ、ちょっと!
その、何か含みのある顔するのって接客業としてどうよ?
みんなそうなの?
していいの?
…いや、まぁ、ご想像に違わない事になりましたけれども。
「ユーマさん…もぅ動けません」
「わたくしも限界ですわ…」
えーと、二人ともなんか申し訳ない…
ほら、いつもと違う環境ってなんとなくテンション上がるもんだからさ。
だよね?え?
「ただいまなのじゃー」
ノックの音とともに、シアの声が聞こえます。
「あ、おかえり。ちょっと待ってね、今開けるから」
「ユーマ君、大体の予想通りの展開なんだけど…想像以上の結果になってるのはどうかねぇ」
部屋の中を見たマイラさんが、チベットスナギツネさんの様な顔になっています。
「まぁ、いいんではないかの。次は我らの番じゃろうし、この場所ではネル様や巴の出番はなかろ?」
「そうだねぇ…エリーヌとナディアも、もう動けないだろうし。
ユーマ君はまだまだ元気いっぱいだろうし」
…えぇまぁそうですけどもっ
はい。頑張ります。
シアとマイラさん相手にダブルヘッダーの2試合目を勝利した頃、部屋の窓をコツコツと叩く音がしました。
窓を見ると風羽花とネルの姿が見えます。
どうやら空からの観光を終えて来たみたい。
いや、ネルの身体から何やらオーラが立ち上っている様子。まさか…
「おいこら、ユーマ。わかってた事とは言え、いい度胸してるじゃない?
結構待ったわよ?ねぇ、ふーちゃん」
『はい!なのです。ふうかも待ったのです』
「あはは…お待たせしました…」
窓から部屋に入って来た二人と、目を合わせる度胸はありません。
「べつにー怒ってるわけじゃないのよー?ただ、コレは貸しね。か・し・。
まぁ、アンタがどうするのか楽しみにしてるわ」
どうやら村を出た後の野営の時は、覚悟を決めておかないといけないようです。
「そんな具合にあちこち見て回ったんだけどねぇ、門番が言ってたように食糧の関係は余裕はなさそうだったよ。
市場も商店も、村人以外には売控えしてたみたいだったし」
「うむ。事情を知らない様子の旅のものと、商店主が言い争うのを何度か見かけたしの」
「やっぱりそうなんだ?まぁ明日には出発してしまえば関係ないからいいけど」
村の様子を見てきた4人から話を聞いています。
「それで、どうやら入村記録を取っていたのは、例の騎士団からの指示のようなのじゃ。
門を閉じた後、あの門番が台帳を運んでおったからの、さりげなく跡を追ってみたんじゃ。
多分あれは村長なんじゃろうが、騎士団に提出する台帳を持って来ましたと報告しておった」
「そっか…なんの目的なんだろうね?」
「そこまではわからなかったけどねぇ…思うに、避難民を装って盗賊などが入り込まないように対策したとか、そんなところじゃないなねぇ」
マイラさんの推測にも一理あるけど、なんとなく他の理由があるような気もするんだよなぁ…
とは言っても、態々首を突っ込む必要もないし、知ったからと言って何かあるわけでもないか。
「みんなありがとう。それ以外には特に何もなさそうだね。
そしたら、せっかくいい部屋に泊まれたし、ゆっくり休んで、明日に備えよう」
「ユーマは特にお疲れでしょうからねぇ」
…返す言葉もございません。
翌朝、宿の朝食を済ませチェックアウトした後、厩舎に巴を迎えに行きます。
昨日部屋に来なかったグラルは、予想通り巴と一緒にいたようです。
宿代払ってるんだから部屋で寝たらいいのにね。
「そりゃ旦那。旦那の邪魔しちゃいけねぇし、あっしは巴ちゃんと一緒にいる方がいい」
あ、そうですか。
ある意味安定の反応で安心したけども。
グラルと二人掛かりで巴に馬車を繋ぐと、僕たちはヨーゼル村を後にします。
さぁ、王都まではもう少しだね。
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