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第五章 フランカ市
第134話
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「ねぇ、シア。シアの種族って何になるの?やっぱり精霊族とか竜族?」
「ぬ?いきなりどうしたんじゃ?もしや、ついに我に興味が湧いて来たのかの?むふっ」
「あながち間違いではないかも。
実は、さっきマイラさんから話を聞いたんだけど、王都に入る時種族を申告するらしくてね。魔道具で申告に誤魔化しがないか判別するらしいんだ。
自分の認識と、申告の違いを見極める魔道具みたいだから、シア自身がどう認識してるのかと思ってさ」
シアは小さく首を傾げると、少し考えてからニヤリと笑いました。
「普段種族など考えぬから今考えた。我は精霊竜人族じゃ。きっと他には居らんじゃろ?
魔道具の判別なぞどうにでもなると思うが、我がそう決めたからそれで問題ないじゃろうて」
「え?まじか…かっこいいけど大丈夫かな?」
「大丈夫じゃよ。どうしても認めんというのであれば竜身を見せてやれば良い。
前例が無いのじゃから、我がそういうものだと言えば誰も否定出来ぬよ」
確かにシアの言う通りかもなぁ。
仮に魔道具の判別がダメだとして、精霊竜人族はそのように認識するのが普通だって言い切ったら、その言葉を否定出来る根拠なんてないわけだし。
ただ、入市出来るかどうかは別問題じゃ…
「ふふっ。ユーマ様に気にして貰えるのは嬉しいのぅ。まぁ、どうにでもなるから心配はいらぬよ」
「確かに考えてわかるもんでもないか。シアはシアだし」
「そういう事じゃ」
基本的に頼りになるんだよなぁ…
そんな話をしながらシアと湯を楽しんでいると、ネルとマイラさんがナディアを連れて、こちらに向かって来るのが見えました。
ネルの様子を見る限り、話はついたのかな?
「あー!しまった!油断したわっ!シア!あんた何さりげなくユーマを独占してんのよっ!
ほら離れなさい。そこは私の場所よっ!」
「ふふっ。もうユーマ様をたっぷり堪能させて貰ったから、場所を譲るのは構わないんじゃがの。
ネル様はどうやって交代するのかのぅ」
「…は?そんなの…って、くっ!そうだったわ…」
ネルが絶望的な表情で悔しがっています。
そんなネルを横目に、すっと湯に入って来たマイラさんがシアと反対側で僕の腕を取りました。
「くふふっ。ネル様、残念でしたねぇ。今夜は諦めて下さい」
「むきーっ!!なによっ!そんな言い方しなくたっていいじゃないっ!
我が身の不自由さを恨むわ…」
こういう時は黙ってるのが一番です。
「ねぇ、シア。ナディアに場所を譲ってあげてくれないかい?」
「む?あぁ、良いのじゃ。ナディアよ、ほれ」
シアが横にずれると、そこに遠慮がちな雰囲気でナディアさんが入ってきます。
「あれ?ツノと羽根は?あと肌の色も」
「えっと、ネル様とマイラさんから変化術を使っておくように言われたから…おかしいかな?」
「いや、おかしくなんてないけど、変化術ってずっと使ってたら魔力の消費とか大丈夫?
仲間しかいない時は、楽にしてていいんだよ?」
変化した姿には全く違和感がなくて、ほんとに人族にしか見えないね。
顔立ちは元の印象が残ってるので、少しツリ目がちな美人のまま。知ってる僕はナディアだってすぐにわかるくらいの変化だけど、彼女を知らない人には、多分キャリアウーマン的な美女に見えるんだろうと思います。
それに、シアに劣らず立派なものをお持ちだから、冒険者ギルドの受付とかやってたら、目の前が長蛇の列になるんじゃないかな。
「あ、ありがとう。でも大丈夫。潜入任務なんかもある部隊だったから、このままの状態で10日間位は平気。
服装によっては、見える部分だけ変化させることもできるし、それならもっと長くても大丈夫だから」
「そうなんだ?やっぱり特殊部隊は伊達じゃないんだね」
「ワタシは落ちこぼれだったみたいだけど…」
おぅふ。地雷を踏んだかな?
「あ、ごめん。やな事思い出させたかな?」
「えっ?あ、ううん、大丈夫。流石に忘れたりは出来ないけど、今は平気よ。ユーマさんと一緒にいられるから…」
「ユーマ君?アタシもいるんだけどねぇ?」
マイラさんに抓られました。ネルみたいなんでやめて下さい…
「ほぅ、マイラが嫉妬しておるのじゃ。なかなか、かわいい所もあるんじゃのぅ。くふふふっ」
「くっ…アタシだって女だよ。嫉妬したっていいんじゃないかい?」
「むふふっ。ムキになりよって、まるで少女のようでかわいいのぅ」
…あのぅ、さっきから凄く恥ずかしいんですけどねぇ。
「ちょっとー!何マイラさんとシアさんと2人で楽しんでるかな!?
ウチだって、旦那様の事大好きなんですからねー!」
巴が参戦してきちゃったよ…まさに三つ巴。おそまつ。
あ、グラルの切なげな顔が視界に…なんか、ごめん。
賑やかなお風呂タイムを過ごして、少し逆上せてしまったので、僕は一人ウッドデッキに腰掛けながら涼んでいます。
地球にいた頃には、こんな姦しい環境になることなんて一切なかったので、嬉しい反面戸惑いの気持ちが強いんだよなぁ…
実はハーレム願望とかあったんだろうか?なんて自問自答してると、不意に声がかかりました。
「ねぇ、ユーマ。私の事も見てくれなきゃイヤよ?」
ツンデレ女神様でした。
「ぬ?いきなりどうしたんじゃ?もしや、ついに我に興味が湧いて来たのかの?むふっ」
「あながち間違いではないかも。
実は、さっきマイラさんから話を聞いたんだけど、王都に入る時種族を申告するらしくてね。魔道具で申告に誤魔化しがないか判別するらしいんだ。
自分の認識と、申告の違いを見極める魔道具みたいだから、シア自身がどう認識してるのかと思ってさ」
シアは小さく首を傾げると、少し考えてからニヤリと笑いました。
「普段種族など考えぬから今考えた。我は精霊竜人族じゃ。きっと他には居らんじゃろ?
魔道具の判別なぞどうにでもなると思うが、我がそう決めたからそれで問題ないじゃろうて」
「え?まじか…かっこいいけど大丈夫かな?」
「大丈夫じゃよ。どうしても認めんというのであれば竜身を見せてやれば良い。
前例が無いのじゃから、我がそういうものだと言えば誰も否定出来ぬよ」
確かにシアの言う通りかもなぁ。
仮に魔道具の判別がダメだとして、精霊竜人族はそのように認識するのが普通だって言い切ったら、その言葉を否定出来る根拠なんてないわけだし。
ただ、入市出来るかどうかは別問題じゃ…
「ふふっ。ユーマ様に気にして貰えるのは嬉しいのぅ。まぁ、どうにでもなるから心配はいらぬよ」
「確かに考えてわかるもんでもないか。シアはシアだし」
「そういう事じゃ」
基本的に頼りになるんだよなぁ…
そんな話をしながらシアと湯を楽しんでいると、ネルとマイラさんがナディアを連れて、こちらに向かって来るのが見えました。
ネルの様子を見る限り、話はついたのかな?
「あー!しまった!油断したわっ!シア!あんた何さりげなくユーマを独占してんのよっ!
ほら離れなさい。そこは私の場所よっ!」
「ふふっ。もうユーマ様をたっぷり堪能させて貰ったから、場所を譲るのは構わないんじゃがの。
ネル様はどうやって交代するのかのぅ」
「…は?そんなの…って、くっ!そうだったわ…」
ネルが絶望的な表情で悔しがっています。
そんなネルを横目に、すっと湯に入って来たマイラさんがシアと反対側で僕の腕を取りました。
「くふふっ。ネル様、残念でしたねぇ。今夜は諦めて下さい」
「むきーっ!!なによっ!そんな言い方しなくたっていいじゃないっ!
我が身の不自由さを恨むわ…」
こういう時は黙ってるのが一番です。
「ねぇ、シア。ナディアに場所を譲ってあげてくれないかい?」
「む?あぁ、良いのじゃ。ナディアよ、ほれ」
シアが横にずれると、そこに遠慮がちな雰囲気でナディアさんが入ってきます。
「あれ?ツノと羽根は?あと肌の色も」
「えっと、ネル様とマイラさんから変化術を使っておくように言われたから…おかしいかな?」
「いや、おかしくなんてないけど、変化術ってずっと使ってたら魔力の消費とか大丈夫?
仲間しかいない時は、楽にしてていいんだよ?」
変化した姿には全く違和感がなくて、ほんとに人族にしか見えないね。
顔立ちは元の印象が残ってるので、少しツリ目がちな美人のまま。知ってる僕はナディアだってすぐにわかるくらいの変化だけど、彼女を知らない人には、多分キャリアウーマン的な美女に見えるんだろうと思います。
それに、シアに劣らず立派なものをお持ちだから、冒険者ギルドの受付とかやってたら、目の前が長蛇の列になるんじゃないかな。
「あ、ありがとう。でも大丈夫。潜入任務なんかもある部隊だったから、このままの状態で10日間位は平気。
服装によっては、見える部分だけ変化させることもできるし、それならもっと長くても大丈夫だから」
「そうなんだ?やっぱり特殊部隊は伊達じゃないんだね」
「ワタシは落ちこぼれだったみたいだけど…」
おぅふ。地雷を踏んだかな?
「あ、ごめん。やな事思い出させたかな?」
「えっ?あ、ううん、大丈夫。流石に忘れたりは出来ないけど、今は平気よ。ユーマさんと一緒にいられるから…」
「ユーマ君?アタシもいるんだけどねぇ?」
マイラさんに抓られました。ネルみたいなんでやめて下さい…
「ほぅ、マイラが嫉妬しておるのじゃ。なかなか、かわいい所もあるんじゃのぅ。くふふふっ」
「くっ…アタシだって女だよ。嫉妬したっていいんじゃないかい?」
「むふふっ。ムキになりよって、まるで少女のようでかわいいのぅ」
…あのぅ、さっきから凄く恥ずかしいんですけどねぇ。
「ちょっとー!何マイラさんとシアさんと2人で楽しんでるかな!?
ウチだって、旦那様の事大好きなんですからねー!」
巴が参戦してきちゃったよ…まさに三つ巴。おそまつ。
あ、グラルの切なげな顔が視界に…なんか、ごめん。
賑やかなお風呂タイムを過ごして、少し逆上せてしまったので、僕は一人ウッドデッキに腰掛けながら涼んでいます。
地球にいた頃には、こんな姦しい環境になることなんて一切なかったので、嬉しい反面戸惑いの気持ちが強いんだよなぁ…
実はハーレム願望とかあったんだろうか?なんて自問自答してると、不意に声がかかりました。
「ねぇ、ユーマ。私の事も見てくれなきゃイヤよ?」
ツンデレ女神様でした。
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