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第五章 フランカ市
第125話
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「ともかく、伝えるべき事は伝えたぜ。
もちろんどうするかはユーマ殿の判断だし、ギルドとしても俺個人としても、その判断に口を挟むような真似をするつもりはない。
だから一言だけ言わせてくれ。
無事を祈る。
それから、プラム村の住人はユーマ殿達をいつでも歓迎するからな。また機会があれば寄ってくれ」
「わざわざ機密っぽい情報まで頂き、ありがとうございました。
とりあえず、仲間達と情報共有してから今後の方針を決めよう思います。
またいつかお会い出来たらいいですね!
では、失礼します」
所長室を出てロビーに戻ると、マイラさんが呼びかけて来ました。ライサさんも一緒です。
「ユーマ君、おかえり。アタシの方は話がついたよ。
そっちはどうだったんだい?」
「お疲れ様でした。僕の方の話はここではちょっとアレなんで、馬車に戻ってからお話した方がよさそうですね」
「そうなのかい?それなら先にこっちの話だね」
結局、ライサさんは同行を諦め、ルフ王国を目指す事にしたそうです。
目的地一緒じゃん…
それなら同行させてあげたらいいのにと軽く言うと、マイラさんがボソッと一言。
「同行させたらアタシの番が減るじゃないか…」
番ってなんだ…
まぁわかるけどさぁ。それが理由ですか?っていうか、そんな事しないから。僕から積極的に動いた事はありません。断じて。
「いつも流されるじゃないか。ユーマ君は」
うっ…それは否定出来ないけど。
だったら、ライサさんがその気にならない限りは大丈夫のはずだし、そうはならないでしょうに。
「自覚なさすぎだよ?ユーマ君は歩く優良物件なんだから。
何日か一緒に過ごしてたら間違いなくなるさ。アタシがそうだったじゃないか」
…それ、僕、悪くない。こら、ネルさんや、頷くなし。
「…まぁ、ともかく、同行は無しだよ。ほら、ネル様も同意されてるじゃないか」
「わかりましたよ。
ライサさん、ごめん。申し訳ないけど、パーティメンバーの同意が取れなかったから同行はなしで」
「ユーマさんが謝る事じゃないです。マイラさんのオハナシも聞けましたし、わたしも久しぶりにルフ王国に戻るので、せっかくだからゆっくり帰ります」
ん?…オハナシ?お話?
まぁ、そこは触れない方がよさそうなので聞き流します。
「じゃあ、お詫び替わりに一つだけ。
ルフ王国を目指すとして、王都経由になるなら、絶対にクレイドブルクを通る主要街道を通ってね。
理由はいずれ判るから言わないけど、お願い」
「…?そうなんですか?わかりました。ご忠告覚えておきますね。ご迷惑をおかけしました」
ライサさんはそういうと席を立ち、離れて待っていたミラさんと合流してギルドを出て行きました。
じゃあ、僕達も移動しますか。
馬車に戻り、さっきカウフマンさんから聞いた話を掻い摘んで説明します。
「なるほど。確かにギルドの中では話しにくい情報だねぇ」
「そうなんですよ。僕の個人的な意見としては、行程は変更不要かなと思うんですけどね」
「あら?珍しいわね。ユーマなら先にみんなの意見を聞いてみるのかと思ってたわ。
私は基本的に賛成なんだけど」
珍しいって酷くない?たまには自分の意見から言ってもいいと思います。
「確かに珍しいのぅ。いつもならみんなはどう思う?って聞くからの。
ユーマ様の決めた事なら、反対する者はおらんじゃろうに」
「そこなんだよね。基本的にネルとマイラさん以外は、立場的に反対しにくいと思うんだ。
だからこそ、僕がどうしたいのか知った上で反対意見を言って欲しいなと」
「新手のイジメね」
…えっ?まじすか?
「そりゃそうよ。従魔とか奴隷契約って、ある程度、精神的に主人格に思考が寄るんだから。
その上で反対意見を言うって事は、自分の無意識を意識的に否定するって事よ?
まぁ、逆に余程嫌な事なら言うんだけど」
「そうだったんだ。なら積極的反対の場合には反対してくれてたって事なのか。
わかった。そういう事なら今まで通りに意見を聞くよ。
みんなはどうしたい?」
みんなの顔を見ながら聞いてみました。
「ほら、決まりね。積極的反対なのはエリーヌだけよ。アレは無視していいから」
「どうしてですのっ?わたくし怖いのは苦手ですのにっ!」
「アンタの場合、そもそも自分勝手な理由でついて来たんじゃない。今更どうこうしたいとか無いわー」
エリーヌが余りの衝撃にガクブルしてるけど、彼女に関しては概ねネルに賛成です。
「なぁ、旦那。あっしも反対意見を言わして貰えますかい?」
グラルが?珍しいね。
「いや、巴っちを危ない場所に行かせたくねぇんでさ。
馬のナリしてるって言っても、あの子も女の子じゃないすか」
おぉぅ…ブレないね。
でもグラル、あれスレイプニルだから。基本的にオーガやらトロルより格上よ?
あと、巴の性格からすると自分から突っ込んで行くから。
多分、その手の女の子扱いは必要ないんじゃないかなぁ…
「ユーマ、あんたホントにダメねぇ…女心がわかってないわ。
どんな強い女の子だって、心はやっぱり女の子なのよ?守られたり、自分を大切に見てくれたら嬉しいの。
そういう意味ではあの発言は正解」
そうなのか…グラルってもしかしたらモテ男だったのかな?
「ただしイケメンに限る」
…あぁ、それな。
もちろんどうするかはユーマ殿の判断だし、ギルドとしても俺個人としても、その判断に口を挟むような真似をするつもりはない。
だから一言だけ言わせてくれ。
無事を祈る。
それから、プラム村の住人はユーマ殿達をいつでも歓迎するからな。また機会があれば寄ってくれ」
「わざわざ機密っぽい情報まで頂き、ありがとうございました。
とりあえず、仲間達と情報共有してから今後の方針を決めよう思います。
またいつかお会い出来たらいいですね!
では、失礼します」
所長室を出てロビーに戻ると、マイラさんが呼びかけて来ました。ライサさんも一緒です。
「ユーマ君、おかえり。アタシの方は話がついたよ。
そっちはどうだったんだい?」
「お疲れ様でした。僕の方の話はここではちょっとアレなんで、馬車に戻ってからお話した方がよさそうですね」
「そうなのかい?それなら先にこっちの話だね」
結局、ライサさんは同行を諦め、ルフ王国を目指す事にしたそうです。
目的地一緒じゃん…
それなら同行させてあげたらいいのにと軽く言うと、マイラさんがボソッと一言。
「同行させたらアタシの番が減るじゃないか…」
番ってなんだ…
まぁわかるけどさぁ。それが理由ですか?っていうか、そんな事しないから。僕から積極的に動いた事はありません。断じて。
「いつも流されるじゃないか。ユーマ君は」
うっ…それは否定出来ないけど。
だったら、ライサさんがその気にならない限りは大丈夫のはずだし、そうはならないでしょうに。
「自覚なさすぎだよ?ユーマ君は歩く優良物件なんだから。
何日か一緒に過ごしてたら間違いなくなるさ。アタシがそうだったじゃないか」
…それ、僕、悪くない。こら、ネルさんや、頷くなし。
「…まぁ、ともかく、同行は無しだよ。ほら、ネル様も同意されてるじゃないか」
「わかりましたよ。
ライサさん、ごめん。申し訳ないけど、パーティメンバーの同意が取れなかったから同行はなしで」
「ユーマさんが謝る事じゃないです。マイラさんのオハナシも聞けましたし、わたしも久しぶりにルフ王国に戻るので、せっかくだからゆっくり帰ります」
ん?…オハナシ?お話?
まぁ、そこは触れない方がよさそうなので聞き流します。
「じゃあ、お詫び替わりに一つだけ。
ルフ王国を目指すとして、王都経由になるなら、絶対にクレイドブルクを通る主要街道を通ってね。
理由はいずれ判るから言わないけど、お願い」
「…?そうなんですか?わかりました。ご忠告覚えておきますね。ご迷惑をおかけしました」
ライサさんはそういうと席を立ち、離れて待っていたミラさんと合流してギルドを出て行きました。
じゃあ、僕達も移動しますか。
馬車に戻り、さっきカウフマンさんから聞いた話を掻い摘んで説明します。
「なるほど。確かにギルドの中では話しにくい情報だねぇ」
「そうなんですよ。僕の個人的な意見としては、行程は変更不要かなと思うんですけどね」
「あら?珍しいわね。ユーマなら先にみんなの意見を聞いてみるのかと思ってたわ。
私は基本的に賛成なんだけど」
珍しいって酷くない?たまには自分の意見から言ってもいいと思います。
「確かに珍しいのぅ。いつもならみんなはどう思う?って聞くからの。
ユーマ様の決めた事なら、反対する者はおらんじゃろうに」
「そこなんだよね。基本的にネルとマイラさん以外は、立場的に反対しにくいと思うんだ。
だからこそ、僕がどうしたいのか知った上で反対意見を言って欲しいなと」
「新手のイジメね」
…えっ?まじすか?
「そりゃそうよ。従魔とか奴隷契約って、ある程度、精神的に主人格に思考が寄るんだから。
その上で反対意見を言うって事は、自分の無意識を意識的に否定するって事よ?
まぁ、逆に余程嫌な事なら言うんだけど」
「そうだったんだ。なら積極的反対の場合には反対してくれてたって事なのか。
わかった。そういう事なら今まで通りに意見を聞くよ。
みんなはどうしたい?」
みんなの顔を見ながら聞いてみました。
「ほら、決まりね。積極的反対なのはエリーヌだけよ。アレは無視していいから」
「どうしてですのっ?わたくし怖いのは苦手ですのにっ!」
「アンタの場合、そもそも自分勝手な理由でついて来たんじゃない。今更どうこうしたいとか無いわー」
エリーヌが余りの衝撃にガクブルしてるけど、彼女に関しては概ねネルに賛成です。
「なぁ、旦那。あっしも反対意見を言わして貰えますかい?」
グラルが?珍しいね。
「いや、巴っちを危ない場所に行かせたくねぇんでさ。
馬のナリしてるって言っても、あの子も女の子じゃないすか」
おぉぅ…ブレないね。
でもグラル、あれスレイプニルだから。基本的にオーガやらトロルより格上よ?
あと、巴の性格からすると自分から突っ込んで行くから。
多分、その手の女の子扱いは必要ないんじゃないかなぁ…
「ユーマ、あんたホントにダメねぇ…女心がわかってないわ。
どんな強い女の子だって、心はやっぱり女の子なのよ?守られたり、自分を大切に見てくれたら嬉しいの。
そういう意味ではあの発言は正解」
そうなのか…グラルってもしかしたらモテ男だったのかな?
「ただしイケメンに限る」
…あぁ、それな。
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