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第四章 プラム村
第98話
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グラルは指示通りに森に入って、視界が閉じた辺りに馬車を止めました。
「旦那、ここらで良かったですかね?」
「そうだね、ありがとう。じゃあみんな降りて」
「こんな森の中でどうするつもりなんですの?」
エリーヌの疑問も当然だけど、あえて説明はしません。
僕は馬車を収納して、森の中へ入っていきます。
「えっ?馬車が…ユーマ様!いったいどちらへ行かれるんですの?森の中に何かあるんですの?」
「エリーヌ君、いい機会だから黙ってついておいで。あんまり騒ぐと何が寄ってくるかわからないよ」
慌てて口を噤むエリーヌを横目にしながら、森の奥へ踏み入って行きます。
しばらく進むと、ちょうどいい具合に大木と大きな岩塊がありました。
「この辺りなら良さそうだね。この木と岩を目隠しにするから、周りの木を回収しちゃうよ。
シア、マイラさん、お願い」
「了解なのじゃ。その辺りまででよいかの?」
「そだね。やっちゃって」
シアは力尽くで、マイラさんは魔法で、次々と木を切り始めました。僕は倒れそうな木を次々と収納していきます。
「は?え?」
「そろそろいいんじゃなーい?」
ネルの声で周りを確認すると、拠点を出すには充分な広さになってます。
「じゃあ、みんな岩の方に寄っておいてね。それっ!」
僕は地面に魔力を流し土を支配します。まずは切り株を弾き出してから、地面の水平を意識しつつ整地していきます。
よし、完了。
いい感じに平らになったので、拠点の小屋を出します。
「はぁっ?何が起きたんですの?え?」
1人混乱するエリーヌを放置して、明かり用の篝火をセットしていきます。うん、いい感じ。
続けてカマドも設置していきます。
「うん、完了。じゃあ、風羽花と銀とシアは食材集めお願い。巴とグラルはカマドに火熾ししてくれる?マイラさんはエリーヌと夕食の準備を手伝ってね。ネルは監督」
「おっけー!ほらほらー!みんな動けー」
「巴ちゃん、火熾しするから準備しよう」
グラルは、自分の手荷物に巴の作業着をしまってるみたい。巴もわかってるみたいで、ピカっと光って人化すると、グラルから受け取った服に袖を通します。
「ねぇ、旦那様!コレ着ないとダメかな?ウチ正直面倒なんだけどなぁ…」
「着といて。僕とグラルの為に」
「はぁい…仕方ないなぁ」
まぁ巴は美人だし、スタイルもいいから眼福なんだけどさ、流石に全裸の美少女にウロウロされると、若い男には辛いものがあるよね。
あ、エリーヌが尻もちついた。
「おい、エリーヌ君!大丈夫かい?」
「なんなんですの?何が起きたんですの?」
そりゃまぁ驚くだろうなぁ…
「エリーヌ君。見たままだよ。
こういうもんだって慣れないとキツくなるから。
あ、ユーマ君、給湯器出しておくれよ」
マイラさんも随分慣れてくれたよね。
半分呆けたエリーヌはほぼ戦力外。仕方ないので、マイラさんと2人で夕食の準備をしました。
食材採取組が、大量の戦果を持ち帰ってきてくれたので、メインは銀達が捕まえてきた単角鹿のステーキにして、野草のサラダと平パンというメニューに。余った食材は、ストックとして収納にしまっておきます。
酢漬けの葉野菜を買ったので、ジルさんのソースも作れるようにもなったんだよね。
酢漬けと、丸ネギを細かく刻んでからペースト状になるまで叩いて、オイルに混ぜて塩で味を調整するだけなのに、肉にも野菜にも良く合うんです。胡椒も手に入ったし、辛味人参を混ぜても良さそう。
単角鹿のステーキにも、惜しげも無く胡椒を使ってみました。
やっぱり塩だけよりも良かったです。ネルも絶賛。
あとは主食をなんとかしたいよね。パン焼き窯でも作ろうかな?そうなると小屋に設置するか、外に別に作るかでも変わってくるよなぁ…
食事が終わればまったりタイムっていうのが、ほぼスタンダードな生活サイクルになってきてます。
「あの…ユーマ様、いくつかお聞きしたい事があるんですが…」
エリーヌが遠慮がちに尋ねてきました。
「なに?なんでも聞いてよ」
「ありがとうございます。それじゃあ、まずはこの小屋の事なんですけど…」
「やっぱり?そうだろうなと思ってたよ。小屋の事っていうより、僕の収納の事だよね?知りたいのは」
僕の指摘が図星だったみたいで、エリーヌはちょっとびっくりした表情で頷きながら質問してきました。
「えぇ、その通りですの。わたくしこれほど大きな物が入る収納は初めてみました。一体どれほどの大きさがあるのでしょうか?」
今なら彼女から情報が流れる心配も無くなったわけで、僕はエリーヌに無制限の容量、時間遅延について説明してあげました。
「そうなんですか…ユーマ様が本気で商人をやれば、あっという間に稼げるのではありませんの?
もちろん目的は蔑ろに出来ないでしょうけれど…
あっ、それから巴さんです!あの子は一体…」
「巴はスレイプニルって魔獣だよ。人化の能力は元から持ってる種族らしいね。普段は普通の馬に化けてるだけ」
「!…スレイプニルと言えば、王族ですら滅多に持てないほど貴重な魔獣だと聞いたことがありますわ!
確か進化したと仰ってましたわよね?秘訣があるんですの?」
おっ!このネタには食い付きが違うね。
そりゃ確かに量産出来るようなものなら、物凄い価値になる話だろうけどね。
「旦那、ここらで良かったですかね?」
「そうだね、ありがとう。じゃあみんな降りて」
「こんな森の中でどうするつもりなんですの?」
エリーヌの疑問も当然だけど、あえて説明はしません。
僕は馬車を収納して、森の中へ入っていきます。
「えっ?馬車が…ユーマ様!いったいどちらへ行かれるんですの?森の中に何かあるんですの?」
「エリーヌ君、いい機会だから黙ってついておいで。あんまり騒ぐと何が寄ってくるかわからないよ」
慌てて口を噤むエリーヌを横目にしながら、森の奥へ踏み入って行きます。
しばらく進むと、ちょうどいい具合に大木と大きな岩塊がありました。
「この辺りなら良さそうだね。この木と岩を目隠しにするから、周りの木を回収しちゃうよ。
シア、マイラさん、お願い」
「了解なのじゃ。その辺りまででよいかの?」
「そだね。やっちゃって」
シアは力尽くで、マイラさんは魔法で、次々と木を切り始めました。僕は倒れそうな木を次々と収納していきます。
「は?え?」
「そろそろいいんじゃなーい?」
ネルの声で周りを確認すると、拠点を出すには充分な広さになってます。
「じゃあ、みんな岩の方に寄っておいてね。それっ!」
僕は地面に魔力を流し土を支配します。まずは切り株を弾き出してから、地面の水平を意識しつつ整地していきます。
よし、完了。
いい感じに平らになったので、拠点の小屋を出します。
「はぁっ?何が起きたんですの?え?」
1人混乱するエリーヌを放置して、明かり用の篝火をセットしていきます。うん、いい感じ。
続けてカマドも設置していきます。
「うん、完了。じゃあ、風羽花と銀とシアは食材集めお願い。巴とグラルはカマドに火熾ししてくれる?マイラさんはエリーヌと夕食の準備を手伝ってね。ネルは監督」
「おっけー!ほらほらー!みんな動けー」
「巴ちゃん、火熾しするから準備しよう」
グラルは、自分の手荷物に巴の作業着をしまってるみたい。巴もわかってるみたいで、ピカっと光って人化すると、グラルから受け取った服に袖を通します。
「ねぇ、旦那様!コレ着ないとダメかな?ウチ正直面倒なんだけどなぁ…」
「着といて。僕とグラルの為に」
「はぁい…仕方ないなぁ」
まぁ巴は美人だし、スタイルもいいから眼福なんだけどさ、流石に全裸の美少女にウロウロされると、若い男には辛いものがあるよね。
あ、エリーヌが尻もちついた。
「おい、エリーヌ君!大丈夫かい?」
「なんなんですの?何が起きたんですの?」
そりゃまぁ驚くだろうなぁ…
「エリーヌ君。見たままだよ。
こういうもんだって慣れないとキツくなるから。
あ、ユーマ君、給湯器出しておくれよ」
マイラさんも随分慣れてくれたよね。
半分呆けたエリーヌはほぼ戦力外。仕方ないので、マイラさんと2人で夕食の準備をしました。
食材採取組が、大量の戦果を持ち帰ってきてくれたので、メインは銀達が捕まえてきた単角鹿のステーキにして、野草のサラダと平パンというメニューに。余った食材は、ストックとして収納にしまっておきます。
酢漬けの葉野菜を買ったので、ジルさんのソースも作れるようにもなったんだよね。
酢漬けと、丸ネギを細かく刻んでからペースト状になるまで叩いて、オイルに混ぜて塩で味を調整するだけなのに、肉にも野菜にも良く合うんです。胡椒も手に入ったし、辛味人参を混ぜても良さそう。
単角鹿のステーキにも、惜しげも無く胡椒を使ってみました。
やっぱり塩だけよりも良かったです。ネルも絶賛。
あとは主食をなんとかしたいよね。パン焼き窯でも作ろうかな?そうなると小屋に設置するか、外に別に作るかでも変わってくるよなぁ…
食事が終わればまったりタイムっていうのが、ほぼスタンダードな生活サイクルになってきてます。
「あの…ユーマ様、いくつかお聞きしたい事があるんですが…」
エリーヌが遠慮がちに尋ねてきました。
「なに?なんでも聞いてよ」
「ありがとうございます。それじゃあ、まずはこの小屋の事なんですけど…」
「やっぱり?そうだろうなと思ってたよ。小屋の事っていうより、僕の収納の事だよね?知りたいのは」
僕の指摘が図星だったみたいで、エリーヌはちょっとびっくりした表情で頷きながら質問してきました。
「えぇ、その通りですの。わたくしこれほど大きな物が入る収納は初めてみました。一体どれほどの大きさがあるのでしょうか?」
今なら彼女から情報が流れる心配も無くなったわけで、僕はエリーヌに無制限の容量、時間遅延について説明してあげました。
「そうなんですか…ユーマ様が本気で商人をやれば、あっという間に稼げるのではありませんの?
もちろん目的は蔑ろに出来ないでしょうけれど…
あっ、それから巴さんです!あの子は一体…」
「巴はスレイプニルって魔獣だよ。人化の能力は元から持ってる種族らしいね。普段は普通の馬に化けてるだけ」
「!…スレイプニルと言えば、王族ですら滅多に持てないほど貴重な魔獣だと聞いたことがありますわ!
確か進化したと仰ってましたわよね?秘訣があるんですの?」
おっ!このネタには食い付きが違うね。
そりゃ確かに量産出来るようなものなら、物凄い価値になる話だろうけどね。
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