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第三章 バーナムの街
第79話
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グラルを奴隷化して、ネルが落ち込んだ翌朝。
僕はソファーで、ネルを抱えて目を覚ましました。
え?ベッド?
…うん、まぁまだサイズアップしてないからさ、シアとマイラさんがのびのびと寝てて隙間がなかったんです。
サイズアップ急務。
でも結果的に、落ち込んだネルを慰めながら寝たから良かったのかもね。
「ふぁぁ…あ、ユーマ。おはよー。昨日はありがとね。
ちょっとショック大きかったから助かった」
…あら、かわいい。しおらしいネルとか珍しいモノ見れちゃった。
「私はいつもかわいいわよっ!でも嬉しい…」
…普段からこうならいいんだけどなぁ。
「あんた記憶力ないわけ?いつになったら覚えるのかしら?」
…あ。
「まぁ、いいわよ。昨日の優しさに免じて許してあげる」
と、朝からちょっとラブコメをやりつつも、活動開始といきますかね。
ネルをソファーに下ろし、朝食の準備にかかると、マイラさんが起きて来ました。
「ユーマ君おはよう。昨日は先に寝てしまってすまなかったねぇ。
それで魔道具作成は上手くいったのかい?」
「おはようございます。もちろんですよ!朝食済んだらお披露目しますね。あ、それから報告する事もあるんで。
シアを起こしといて貰えますか?すぐ朝食の準備終わらせます」
シアは、わりとのんびりした性格のせいか、朝はいつも最後まで寝てるんですよね。竜ってのは大体を寝て過ごす事が多いんだそう。ドラゴンも似たようなもんらしいけど。
そんなシアをマイラさんに任せて、僕は急いでみんなの朝食を用意してしまいます。
今日の朝食は、朝からガッツリ肉サンドにしようと思います。
平パンを沢山焼き上げて、同時に金網で厚切りオーク肉を焼きます。そろそろ香辛料も欲しいけどなぁ。
辛味人参を手早くすりおろしてオーク肉にまぶしたら、平パンで挟んで完成です。
近いうちに、オーク肉のベーコンとか虹鮭の燻製とかも作りたいよね。そうだ、食材集めの探索もしたいなぁ。
朝食を終えたところで、僕はみんなに声をかけました。
「これから密約書の回収に向かうんだけど、その前にみんなに報告します。昨日の夜から、グラルを僕の奴隷にしました。話の経緯なんかは向かう道中にでも聞いてね。
それから、本題なんだけどこれを見て!昨日完成した給湯器です!自信作だよ」
「そっちが本題なのがユーマらしいわね…」
ネルのツッコミが聞こえたような気もしますが、ここはさらっとスルーして、給湯器を実際に起動させてみましょう。
デッキの湯船脇に移動して、給湯器を設置します。
さぁ、起動!
魔石に触れると、確かに起動したのがわかります。
「ん?どうしたのじゃ?まだ何も…ふわっ!水が溢れてきよった!
ユーマ様、これは水を創り出す魔道具かの?それにしては魔力がそれ程動いておらぬが…」
「正確には水を集める魔道具って感じなんだよね。シア、その水に触ってて」
僕は加熱用魔石も起動させます。
「ふむ、これで良いかの?む?むむむっ?だんだん温かくなって…いや、なんと!熱くなってきた……ん?
これはまた少し熱つ目じゃが、まさに風呂の湯にするには適温!
ユーマ様!これはよいのぅ!」
「これは凄いねぇ。ユーマ君らしいと言うか、大したもんじゃないか」
「自信作って言うけど、どうせ大した事ないだろって侮ってたわ。
これはほんとに凄いわね。いつでも気軽にお風呂楽しめるじゃない」
おぉ!褒められた!若干、ネルの発言にディスり成分が含まれてたのには、気付かない事にしようっと。
「加熱用の魔石を起動しなければ、水しか出て来ないから、暑くなってきたら水浴び用にも使えると思わない?」
「それは思いつかなかったわ!気持ち良さそうね!」
「これは数を作れば、一財産作れるね…」
あ、マイラさんが久しぶりにがめつい商売人の顔になってる。今のところ売る気はないからね?
「確かにあっしの奴隷化の話とか、本題にゃなりませんなぁ…」
はい、そこ!遠い目をしない!
魔道具披露の後は、改めて水抜きをして小屋を収納。
その時に、ようやく料理とか洗面用にも使えるってことに気付きました。もう少し小さめのも作ろうかな。
それから僕達は、再び馬車の上の人となりました。
馬車を引く馬の上には、風羽花が止まって、馬となにがしか会話してる様子です。
「風羽花、何かお話ししてんの?」
『はいなのです!昨日も沢山お話しして、とっても仲良くなったです!
今は、お馬さんが草原で馬車を曳くのは大変だって言ってるので、がんばれー!って応援してたです』
そうだよなぁ…たしかに未整地を走らせるのは、相当体力使うだろうね。
「じゃあ、お馬さんに、大変だから終わったら美味しいもの食べさせてあげるよって伝えて。だから頑張れって」
『はいなのです!お馬さん頑張れなのです!』
風羽花の伝言が効いたのか、一声上げてさっきよりも力強く曳き始める馬。
けど馬の好みってなんだろ?辛味人参でもあげてみようかな。
そんな風羽花の励ましのせいか、ご褒美欲しさかわからないけど、馬車は快調に草原を進みます。
「旦那っ、あ、いやユーマさん!見えた!間違いねぇ、あの岩場が隠し場所だぁ!」
グラルの声で前方に目をやると、草原からいくつかの大きな岩が固まって顔を出していました。
無事到着ですね。
さぁ密約書を回収して帰ろう!
僕はソファーで、ネルを抱えて目を覚ましました。
え?ベッド?
…うん、まぁまだサイズアップしてないからさ、シアとマイラさんがのびのびと寝てて隙間がなかったんです。
サイズアップ急務。
でも結果的に、落ち込んだネルを慰めながら寝たから良かったのかもね。
「ふぁぁ…あ、ユーマ。おはよー。昨日はありがとね。
ちょっとショック大きかったから助かった」
…あら、かわいい。しおらしいネルとか珍しいモノ見れちゃった。
「私はいつもかわいいわよっ!でも嬉しい…」
…普段からこうならいいんだけどなぁ。
「あんた記憶力ないわけ?いつになったら覚えるのかしら?」
…あ。
「まぁ、いいわよ。昨日の優しさに免じて許してあげる」
と、朝からちょっとラブコメをやりつつも、活動開始といきますかね。
ネルをソファーに下ろし、朝食の準備にかかると、マイラさんが起きて来ました。
「ユーマ君おはよう。昨日は先に寝てしまってすまなかったねぇ。
それで魔道具作成は上手くいったのかい?」
「おはようございます。もちろんですよ!朝食済んだらお披露目しますね。あ、それから報告する事もあるんで。
シアを起こしといて貰えますか?すぐ朝食の準備終わらせます」
シアは、わりとのんびりした性格のせいか、朝はいつも最後まで寝てるんですよね。竜ってのは大体を寝て過ごす事が多いんだそう。ドラゴンも似たようなもんらしいけど。
そんなシアをマイラさんに任せて、僕は急いでみんなの朝食を用意してしまいます。
今日の朝食は、朝からガッツリ肉サンドにしようと思います。
平パンを沢山焼き上げて、同時に金網で厚切りオーク肉を焼きます。そろそろ香辛料も欲しいけどなぁ。
辛味人参を手早くすりおろしてオーク肉にまぶしたら、平パンで挟んで完成です。
近いうちに、オーク肉のベーコンとか虹鮭の燻製とかも作りたいよね。そうだ、食材集めの探索もしたいなぁ。
朝食を終えたところで、僕はみんなに声をかけました。
「これから密約書の回収に向かうんだけど、その前にみんなに報告します。昨日の夜から、グラルを僕の奴隷にしました。話の経緯なんかは向かう道中にでも聞いてね。
それから、本題なんだけどこれを見て!昨日完成した給湯器です!自信作だよ」
「そっちが本題なのがユーマらしいわね…」
ネルのツッコミが聞こえたような気もしますが、ここはさらっとスルーして、給湯器を実際に起動させてみましょう。
デッキの湯船脇に移動して、給湯器を設置します。
さぁ、起動!
魔石に触れると、確かに起動したのがわかります。
「ん?どうしたのじゃ?まだ何も…ふわっ!水が溢れてきよった!
ユーマ様、これは水を創り出す魔道具かの?それにしては魔力がそれ程動いておらぬが…」
「正確には水を集める魔道具って感じなんだよね。シア、その水に触ってて」
僕は加熱用魔石も起動させます。
「ふむ、これで良いかの?む?むむむっ?だんだん温かくなって…いや、なんと!熱くなってきた……ん?
これはまた少し熱つ目じゃが、まさに風呂の湯にするには適温!
ユーマ様!これはよいのぅ!」
「これは凄いねぇ。ユーマ君らしいと言うか、大したもんじゃないか」
「自信作って言うけど、どうせ大した事ないだろって侮ってたわ。
これはほんとに凄いわね。いつでも気軽にお風呂楽しめるじゃない」
おぉ!褒められた!若干、ネルの発言にディスり成分が含まれてたのには、気付かない事にしようっと。
「加熱用の魔石を起動しなければ、水しか出て来ないから、暑くなってきたら水浴び用にも使えると思わない?」
「それは思いつかなかったわ!気持ち良さそうね!」
「これは数を作れば、一財産作れるね…」
あ、マイラさんが久しぶりにがめつい商売人の顔になってる。今のところ売る気はないからね?
「確かにあっしの奴隷化の話とか、本題にゃなりませんなぁ…」
はい、そこ!遠い目をしない!
魔道具披露の後は、改めて水抜きをして小屋を収納。
その時に、ようやく料理とか洗面用にも使えるってことに気付きました。もう少し小さめのも作ろうかな。
それから僕達は、再び馬車の上の人となりました。
馬車を引く馬の上には、風羽花が止まって、馬となにがしか会話してる様子です。
「風羽花、何かお話ししてんの?」
『はいなのです!昨日も沢山お話しして、とっても仲良くなったです!
今は、お馬さんが草原で馬車を曳くのは大変だって言ってるので、がんばれー!って応援してたです』
そうだよなぁ…たしかに未整地を走らせるのは、相当体力使うだろうね。
「じゃあ、お馬さんに、大変だから終わったら美味しいもの食べさせてあげるよって伝えて。だから頑張れって」
『はいなのです!お馬さん頑張れなのです!』
風羽花の伝言が効いたのか、一声上げてさっきよりも力強く曳き始める馬。
けど馬の好みってなんだろ?辛味人参でもあげてみようかな。
そんな風羽花の励ましのせいか、ご褒美欲しさかわからないけど、馬車は快調に草原を進みます。
「旦那っ、あ、いやユーマさん!見えた!間違いねぇ、あの岩場が隠し場所だぁ!」
グラルの声で前方に目をやると、草原からいくつかの大きな岩が固まって顔を出していました。
無事到着ですね。
さぁ密約書を回収して帰ろう!
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