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第ニ章 ガルドの街
第44話
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「実際のところ、本気で、もう少し全体を底上げした方がいいと思うんだよね。ギルドはそういう考えとかないのかな?」
「危機意識がないのよ、きっと。
少なくともここ100年以上、魔物の集団が街を襲った記録はないし。
それにこの街の周りって、そんなに強力な敵もいないじゃない?
必然的に最低限の能力だけでやっていけてるし、稀に強い相手が現れる位なら、それこそケビン達程度の実力でも十分だったんでしょうね」
確かにネルの言う通りだとすれば、危機意識なんて芽生えないだろうし、実力だって伸びるはずがない。
「ネルとしては、街一つ分の人族がやられちゃったとしたら、それは自然現象的に思うものなの?」
「そんな事はないわ。一応魔物よりも生産力が高い分、人族はリソースの再生産に関しての貢献度合いが高いもの。
その分消費も増えて行ってはいるけど、人族が減る事の方がマイナスの影響が大きいって事よ」
「だとしたら、やっぱりそのリスクを減らす方向に動く方が、僕の存在理由により適うって事か…
明日ギルドに行った時、ジークロフトさんにオークの群れの話してみるよ」
「そうね。そうやって動いてみたら何か変わるかもしれないものね。
明日はわたしも一緒に行くわよ?シアもいいわね?」
「もちろんじゃよ。我ユーマ様の従魔じゃし、一応護衛って事になっておるからのぅ」
『ふうかも!ふうかも行くです!』
風羽花まで乗り気になってる。それなら銀も連れてみんなでいかないとね。
「よし、じゃあ明日はみんなでギルド行こう。昼過ぎまでは街を散策するよ。お店巡りとかもしてみないとね」
「そうね。じゃあ寝ましょ!ふーちゃんも眠たそうだし」
そしてみんなが寝静まった頃
「…ねぇ、ユーマ。ちゃんと覚えててくれてありがとう」
「きいてないよー」
「ばか…」
なんて事があったんだよね。最近ネルがデレる事が増えてきたので、密かに喜んでいます。
翌朝、目が醒めると何故かシアが一緒に寝てたりして、ネルがシアに噛み付いたりしました。
「シア!あんたねー!弁えなさいよ!何こっそり潜り込んでんのよ!」
「じゃってー」
「まぁまぁ、ネル、許してあげよう?きっと寂しかったんだってば。
シアもずっとぼっちだったんだからさ」
「あのねぇ!精霊なんて基本ぼっちなのよっ!そもそもぼっちって言うなら、私だってぼっちだわっ!」
ネルのぼっち発言…触れてはいけない予感。
「ちょっと!なんで黙るのよっ!?やめて?ねぇ、流そうとしないで?」
「ふふっ、ごめんごめん。焦るネルかわいいよ?」
「んなっ!何言ってんのよーって無視すんなー!!!」
なんてやりとりで朝からほっこりしつつ、食堂へ。
「あらあら、おはようございます。
朝食お召し上がりになりますでしょ?座ってお待ち下さいな」
マーサさんが笑顔で迎えてくれました。
メアリも朝から手伝いで忙しいみたいだね。あちこちのテーブルにプレートや飲み物を届けに動き回ってるし。
席に着くとすぐにメアリが朝食を持って来てくれました。
「おはよー!朝食はウチの焼き立てパンに角ウサギのベーコンソテーにサラダのセットでーす!」
「ありがとうメアリ。頑張ってね」
小さく手を振ってニコニコしながら戻って行くメアリの後ろ姿は、どことなく機嫌が良さそうに見えます。
「てゆーか、私の分も用意してくれたのね。
妖精だったらこんな食事摂れないから、マーサには何かしら気付かれてるのかも…」
「まぁ、いいじゃん。あの人は何か仕掛けて来る様な人じゃないと思うしさ。それよりさっと済ませて街に出よう」
朝食は昨日の晩よりもしっかり味わって食べられたからか、とても美味しかったです。
「で、とりあえず何処行くつもり?」
ネルが魔力で作った羽根をパタパタしながら聞いてきます。コレ絶対気に入ったやつだ。
「えーとね、今は手持ちのお金が頼りないから素材の売却とかを考えてる。
ギルドでも売るつもりだけど、ギルド以外の相場も知りたいし。後は物価的なやつも知っときたいかな」
「じゃなくて、場所とか知らないでしょ?どうするのって意味できいたんだけど…」
…あ、そうだ。宿出る前に言えって。
「あんたがさっさと出たんでしょうが!考えなしとかやめてよね。
いいかげんなんだから…」
「ユーマさーん!待って待ってー!」
と、メアリが追いかけててきました。
「はぁ…よかった追いつけて!
ママが、今日は花売りお休みにしていいからユーマさん達を街案内してきなさいって!」
「そうなの?助かるよ!丁度、今ネルにつっこまれてたとこだったからさ」
「うふふ、良かった!これでも街には詳しいと思うから任せて!」
いやぁ、渡りに船っていうかマーサさんの読みには脱帽だね。案内賃弾まなきゃ。
「昨日大銀貨貰っちゃったからさ。普通の案内料なら何十回分だよ?
お花の代金だって全部売れても銀貨2枚だから貰いすぎって思ってたし」
…まじか。物価知らないのはダメだね。今日のうちにある程度把握しとこう。
「そっか、それなら遠慮なく案内してもらうよ。
じゃあまずは、素材の買取してるお店とか商会とかから連れてってくれるかな?」
「はーい!了解です!じゃあ、行こっ!あっちからね」
メアリは僕の手を取ると、元気よく引っ張ってくれます。
さぁ異世界初めての街探索を始めますか。
「危機意識がないのよ、きっと。
少なくともここ100年以上、魔物の集団が街を襲った記録はないし。
それにこの街の周りって、そんなに強力な敵もいないじゃない?
必然的に最低限の能力だけでやっていけてるし、稀に強い相手が現れる位なら、それこそケビン達程度の実力でも十分だったんでしょうね」
確かにネルの言う通りだとすれば、危機意識なんて芽生えないだろうし、実力だって伸びるはずがない。
「ネルとしては、街一つ分の人族がやられちゃったとしたら、それは自然現象的に思うものなの?」
「そんな事はないわ。一応魔物よりも生産力が高い分、人族はリソースの再生産に関しての貢献度合いが高いもの。
その分消費も増えて行ってはいるけど、人族が減る事の方がマイナスの影響が大きいって事よ」
「だとしたら、やっぱりそのリスクを減らす方向に動く方が、僕の存在理由により適うって事か…
明日ギルドに行った時、ジークロフトさんにオークの群れの話してみるよ」
「そうね。そうやって動いてみたら何か変わるかもしれないものね。
明日はわたしも一緒に行くわよ?シアもいいわね?」
「もちろんじゃよ。我ユーマ様の従魔じゃし、一応護衛って事になっておるからのぅ」
『ふうかも!ふうかも行くです!』
風羽花まで乗り気になってる。それなら銀も連れてみんなでいかないとね。
「よし、じゃあ明日はみんなでギルド行こう。昼過ぎまでは街を散策するよ。お店巡りとかもしてみないとね」
「そうね。じゃあ寝ましょ!ふーちゃんも眠たそうだし」
そしてみんなが寝静まった頃
「…ねぇ、ユーマ。ちゃんと覚えててくれてありがとう」
「きいてないよー」
「ばか…」
なんて事があったんだよね。最近ネルがデレる事が増えてきたので、密かに喜んでいます。
翌朝、目が醒めると何故かシアが一緒に寝てたりして、ネルがシアに噛み付いたりしました。
「シア!あんたねー!弁えなさいよ!何こっそり潜り込んでんのよ!」
「じゃってー」
「まぁまぁ、ネル、許してあげよう?きっと寂しかったんだってば。
シアもずっとぼっちだったんだからさ」
「あのねぇ!精霊なんて基本ぼっちなのよっ!そもそもぼっちって言うなら、私だってぼっちだわっ!」
ネルのぼっち発言…触れてはいけない予感。
「ちょっと!なんで黙るのよっ!?やめて?ねぇ、流そうとしないで?」
「ふふっ、ごめんごめん。焦るネルかわいいよ?」
「んなっ!何言ってんのよーって無視すんなー!!!」
なんてやりとりで朝からほっこりしつつ、食堂へ。
「あらあら、おはようございます。
朝食お召し上がりになりますでしょ?座ってお待ち下さいな」
マーサさんが笑顔で迎えてくれました。
メアリも朝から手伝いで忙しいみたいだね。あちこちのテーブルにプレートや飲み物を届けに動き回ってるし。
席に着くとすぐにメアリが朝食を持って来てくれました。
「おはよー!朝食はウチの焼き立てパンに角ウサギのベーコンソテーにサラダのセットでーす!」
「ありがとうメアリ。頑張ってね」
小さく手を振ってニコニコしながら戻って行くメアリの後ろ姿は、どことなく機嫌が良さそうに見えます。
「てゆーか、私の分も用意してくれたのね。
妖精だったらこんな食事摂れないから、マーサには何かしら気付かれてるのかも…」
「まぁ、いいじゃん。あの人は何か仕掛けて来る様な人じゃないと思うしさ。それよりさっと済ませて街に出よう」
朝食は昨日の晩よりもしっかり味わって食べられたからか、とても美味しかったです。
「で、とりあえず何処行くつもり?」
ネルが魔力で作った羽根をパタパタしながら聞いてきます。コレ絶対気に入ったやつだ。
「えーとね、今は手持ちのお金が頼りないから素材の売却とかを考えてる。
ギルドでも売るつもりだけど、ギルド以外の相場も知りたいし。後は物価的なやつも知っときたいかな」
「じゃなくて、場所とか知らないでしょ?どうするのって意味できいたんだけど…」
…あ、そうだ。宿出る前に言えって。
「あんたがさっさと出たんでしょうが!考えなしとかやめてよね。
いいかげんなんだから…」
「ユーマさーん!待って待ってー!」
と、メアリが追いかけててきました。
「はぁ…よかった追いつけて!
ママが、今日は花売りお休みにしていいからユーマさん達を街案内してきなさいって!」
「そうなの?助かるよ!丁度、今ネルにつっこまれてたとこだったからさ」
「うふふ、良かった!これでも街には詳しいと思うから任せて!」
いやぁ、渡りに船っていうかマーサさんの読みには脱帽だね。案内賃弾まなきゃ。
「昨日大銀貨貰っちゃったからさ。普通の案内料なら何十回分だよ?
お花の代金だって全部売れても銀貨2枚だから貰いすぎって思ってたし」
…まじか。物価知らないのはダメだね。今日のうちにある程度把握しとこう。
「そっか、それなら遠慮なく案内してもらうよ。
じゃあまずは、素材の買取してるお店とか商会とかから連れてってくれるかな?」
「はーい!了解です!じゃあ、行こっ!あっちからね」
メアリは僕の手を取ると、元気よく引っ張ってくれます。
さぁ異世界初めての街探索を始めますか。
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